「悖る」とは？意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】 | SPITOPI

この「悖る」は、現在ではあまり使われない言葉です。

読み方も難しく、漢字検定の準一級の問題にそれが出題されたこともあるくらいです。

1. 「悖る」の意味とは?

悖るは、”背く”(そむく)、”歪める”(ゆがめる)といった意味で使われます。

”反する”、”矛盾する”とも解釈され、何かに対してその”逆”や”反対”という意味で使うこともあります。

この言葉の元は「戻る」だと言われており、その意味が”逆に進む”ことなので、大きな違いはないとも考えることができます。

何故「戻る」が「悖る」の元なのかは、以下の読み方の項で詳しく説明します。

2. 「悖る」の読み方

「悖る」は、「もとる」と読む言葉です。

「戻る」が濁らないと覚えるといいでしょう。

その「戻る」と読み似ているのは単なる偶然ではなく、「戻る」から派生し、この「悖る」という言葉ができたという説があります。

確かに、意味が似ているという面と、読みも酷似していることから、そのように考えてもおかしくありません。

更に、「戻る」で「もとる」と発音し、「悖る」の意味で使うこともできることがこの説に拍車をかけています(諸説あります)。

3. 「悖る」の英語(解釈)

悖るを英語にするなら、「contradict」が一番合う表現です。

この言葉は”〜に反する”、”〜と矛盾する”という意味で、「悖る」の解釈そのものです。

または「betray」にも”背く”という意味があるので、こちらも「悖る」の英語表現として使うことができます。

そして、「悖る」は「戻る」と表記することもあると書きました。

その「戻る」(もどる)は英語では「return」となりますが、returnに上記の”〜に反する”のような意味はないので注意してください。

4. 「悖」は常用漢字ではない?

冒頭で、「悖る」は漢字検定でも出題されるほど読み方が難しいことを挙げましたが、漢字検定では二級までは常用漢字、及び人名(に利用できる)漢字しか出題されることはなく、その上の準一級、一級になると、常用漢字以外の難しい字も出題されます。

「悖る」の「悖」は常用漢字ではなく、その為、漢字検定では準一級以上での出題になります。

また、基本的に常用漢字以外は使わないメディアでは、「もとる」と平仮名表記にされることがほとんどです。

前述のように、「戻る」でも「もとる」と読み、「悖る」の意味で使うことができますが、「もどる」そのままの意味でとられてしまう懸念があるので、実際に「戻る」を「悖る」の代わり(表記)に使うことはまずありません。

5. 「悖る」を使った言葉の使い方

悖るが使われる際に多い形です。

どちらも「悖る」の意味が分かっていれば、解釈に困ることはないでしょう。

5-1. 「倫理に悖る」

人間として持つべき倫理に背くことだという意味で、この言葉が使われることがあります。

”それは倫理に悖るとか言えない”などという使い方になり、メディアなどでもこの表現はよく見掛けますが、「悖」が常用漢字ではない為、”倫理にもとる”と平仮名にされていることがほとんどです。

5-2. 「悖る行為」

何かに背く、反する行為だと言いたい時に使う表現です。

上の「倫理に悖る」と組み合わせて使うと、”倫理にも悖る行為だ”となり、倫理に背く行為だと解釈できます。

その他に、”期待に悖る行為”、”スポーツマンシップに悖る行為”などといった使い方をよく見掛けます。

意味はどちらもすぐに分かるでしょう。

6. 「悖る」の言葉の使い方

悖るは、何かに背いて(反して)いる、その逆だと感じた時に使う言葉です。

よって、使い方は難しくなく、”それは法則に悖る”と使えば、法則に従っていない、もしくはその逆だという意味になります。

”悖った”、”悖っている”という変化を付けて使うこともできるので、”実験では法則に悖った”(法則に従わなかった)などといった使い方でも問題ありません。

7. 「悖る」を使った例文や短文(解釈)

悖るを使った例文や短文です。

どれも難しい解釈をする必要はありません。

7-1. 「悖る」の例文1

「それは、この前決めた内容に悖る」

この前決めた内容に反する(その約束を歪めることになる)と言っています。

しかし、このように難しく言わなくても、”〜内容とは違う”と分かりやすく言い換えることができる為、あまりこのような使い方はしないかも知れません。

7-2. 「悖る」の例文2

「コンプライアンスに悖ったことをしてまで進める必要はない」

何かを進める際に、コンプライアンスに反してまで行う必要はないと使っている例文です。

このコンプライアンスは、本来は”法令順守”という意味の言葉ですが、序々に拡大解釈され、今では倫理的なことや、その会社や団体などにおける決まりを守るという意味も含んで使われています。

7-3. 「悖る」の例文3

「仁義に悖ったことだけはしたくない」

この仁義という言葉は、”人の道”と解釈でき、倫理やその世界内でのルールのことを表します。

それに背くようなことだけはしたくない言っており、先の”倫理に悖る”と共に、この”仁義に悖る”という使われ方もよく見掛けます。

8. 「悖る」の類語や類義表現

悖ると似た意味で使われる言葉や表現です。

”背く”、”反する”などの先に挙げた意味としての言葉は除きます。

8-1. 「裏切る」(うらぎる)

”期待に悖る”は”期待を裏切る”と言い換えられるように、使い方によって「悖る」と同様の意味で使える言葉です。

「悖る」を使うほとんどの形の置き換えとして使うことができます。

”倫理に悖る行為”も”倫理を裏切るような行為”と置き換えれば意味は一緒です。

8-2. 「盾つく」(たてつく)

この言葉も、「悖る」の置き換え表現として使えることが多いです。

あまり見掛けませんが、”倫理に盾つく”、”法律に盾つく”といったような形で「悖る」と同じ意味で使えます。

ただし、置き換えることが難しい形もあり、”スポーツマンシップに盾つく”、”定理に盾つく”などとはあまり使いません(意味が通らないこともありませんが、一般的な使い方ではありません)。

まとめ

悖るは、それほど見掛ける言葉ではありませんが、意味と読み方を知っておいて損はありません。

平仮名で「もとる」と見掛けた際にも、この言葉を知っていればすぐに意味が分かるでしょう。