「ラテラルシンキング」は、既存の固定概念に縛られない自由な発想法であり、今までになかったような斬新なアイデアや解決方法を考え出すことができます。
ロジック(論理)にとらわれないラテラルシンキングには、どのような特徴があるのでしょうか?
ラテラルシンキング(水平思考)とロジカルシンキング(垂直思考)の違い、ラテラルシンキングの特徴・事例・鍛え方・重要性などについて徹底的に解説していきます。
- ラテラルシンキングとは?
- ラテラルシンキングの特徴と長所・短所
- ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違い
- ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法
- ラテラルシンキングの事例・やり方
- ラテラルシンキングの重要性・将来性
- まとめ
1. ラテラルシンキングとは?
ラテラルシンキング(Lateral thinking)は「水平思考・水平思考法」と訳されますが、既存の常識や固定観念に囚われずに自由に新しいアイデアや解決方法を発想することができる思考法です。
ラテラルシンキングの「ラテラル」とは「横・水平」を意味しています。
ラテラルシンキングは水平思考と呼ばれるように、意識を横方向にスライドさせることで「物事の多様な見方・捉え方」をすることに特徴があり、「今までになかった斬新で効果的・実際的なアイデア」を思い浮かべることができるのです。
1-1. ラテラルシンキングは「ひらめき(直感)」を生かした水平思考
ラテラルシンキングは誰も思いつかないような新しいアイデアや方法論を思い浮かべられるということで、「天才的・直感的な水平思考」として理解することができます。
ロジカルシンキングが物事を論理的に深めて考えていく思考方法だとすると、ラテラルシンキングは物事を直感的に広げていく思考方法であり、ひらめきの直感を受けたラテラルシンキングによって「視点・発想の大転換」をすることができるのです。
2. ラテラルシンキングの特徴と長所・短所
ラテラルシンキングは、1967年にマルタ共和国の医師・心理学者・作家のエドワード・デボノによって提唱されました。
ラテラルシンキングには、どのような特徴があるのでしょうか?ラテラルシンキングの特徴について、分かりやすく説明していきます。
2-1. 常識・固定観念にとらわれない
ラテラルシンキングの価値を生み出す重要な特徴は、「常識・固定観念にとらわれない」ということです。
ラテラルシンキングというのは、この問題はこのように認識して解決していくのが当たり前だと考える「常識」を根底からひっくり返していく斬新な思考法のことです。
ラテラルシンキングは一般的に正しいとされるマニュアルや固定観念にとらわれないからこそ、誰もが思いつかないような新しいアイデア・問題解決法を着想することができるのです。
ラテラルシンキングは、「常識・固定観念のフレームワーク(枠組み)」から意図的に外れた思考法と言えます。
2-2. 今とは違う多様な視点・価値観を持つ
「今とは違う多様な視点・価値観を持つ」というのが、ラテラルシンキングの大きな特徴です。
ラテラルシンキングが斬新で有効なアイデアを生み出せる理由は、「今現在とは違う視点に立って物事や問題を見ることができること」にあります。
ラテラルシンキングというのは、今の自分が立っている「一つの視点・立場(スタンス)」から見える景色だけではなく、「今とは異なる視点・立場(スタンス)」から見える色々な景色を敢えて見ようとする横方向に移動する水平思考なのです。
「今とは違う多様な視点・足場」を作り、そこから「新しい価値観・方法論」をアイデアとして発想していくのがラテラルシンキングなのです。
2-3. ロジック(論理)よりも直感・ひらめきを重視する
ラテラルシンキングの特徴として、「ロジック(論理)よりも直感・ひらめきを重視する」ということがあります。
ラテラルシンキングというのは、ロジックの理屈で原因や理由を深掘りしていくロジカルシンキングとは正反対の思考です。
何が正しくて何が間違っているのかをロジックで厳密に考えていくのではなく、パッと頭に浮かんでくる「直感的な思考・感覚」を重視するのが、ラテラルシンキングなのです。
ラテラルシンキングは論理や知識をベースにして一つの物事を深めていくロジカルな思考ではなくて、その時々に瞬間的に思い浮かんでくる「直感・直観・イメージ」を「問題解決に有効なひらめき」へとつなげていく思考なのです。
2-4. ラテラルシンキングの長所は「新奇性・意外性・実効性」にある
ラテラルシンキングの長所は、今までにない新しいアイデアを元にして様々な生産活動や問題解決、市場競争に役立てられるという「新奇性」と「実効性」にあります。
ラテラルシンキングは「新奇(新規)のアイデア」によって、今までの常識的な考え方では思いもつかなった「意外性のある問題解決の方法+現状改善の方法」を提案することができるのです。
ラテラルシンキングは発想が柔軟で多様なので、色々な問題のケースに幅広く適用できます。
2-5. ラテラルシンキングの短所は「論理的根拠や体系のない空論」になりやすい
ラテラルシンキングの短所は、直感的なひらめきに頼った思考方法なので、「論理的・具体的な根拠」がなく、ただの場当たり的なアイデアやいい加減で雑な提案になりやすいということです。
その場でパッと直感的に思い浮かんだアイデアや問題の解決方法が本当に有効なものである保証はないからです。
「直感・イメージ・柔軟性(多様性)」が新しくて有効なアイデアを生み出すというラテラルシンキングの長所になっていますが、一つの物事・現象の因果関係を論理的に突き詰めて考えることをしないので、「根拠・体系のない空論」になってしまう恐れがあるのです。
3. ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違い
「ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違い」は、どのようなことにあるのでしょうか?「ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違い」について、分かりやすく解説していきます。
3-1. ラテラルシンキングはロジカルシンキングとは違う「水平方向(横向き)の思考」である
ラテラルシンキングはロジカルシンキングとは違う「水平方向(横向き)の思考」と言われますが、思考が「水平方向・横向き」と言われてもいまいち具体的なイメージが湧かない人も多いと思います。
簡単に言えば、ラテラルシンキングとは「多様性のある色々な物事の見方・考え方」のことであり、「A・B・C・D・E・F……」といった色々な視点を列挙しつつ、その中から実際に有効な思考や新奇性のある思考を選び取っていく形になります。
この色々な物事の見方や考え方を広げていく思考方法のことを、ラテラルシンキングの「水平方向・横向きの思考」と呼んでいるのです。
ラテラルシンキングはロジカルシンキングとは違って、「結論が一つではない」という特徴もあります。
これに対して、ロジカルシンキングは以下で説明するように「垂直方向・縦向きの思考」になっています。
3-2. ロジカルシンキングはラテラルシンキングとは違う「垂直方向(縦向き)の思考」である
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ロジカルシンキングはラテラルシンキングとは違う「垂直方向(縦向き)の思考」と言われますが、それは「一つの物事・対象」について論理的・客観的に深めて考えていく思考方法のことです。
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、ラテラルシンキングのように「視点A・B・C・D・E・F……」といった色々と多様な視点・発想を列挙していく思考方法ではなくて、「視点A・問題A」について論理的思考・理屈を前提にして縦に深掘りして根拠や仕組み、因果関係を明らかにしていく思考方法なのです。
この一つの物事(問題点)の理由・根拠・仕組みを、論理的に深く突き詰めて考えていく思考方法のことを、ロジカルシンキングの「垂直方向・縦向きの思考」と呼んでいるのです。
3-3. ラテラルシンキングは「今までの枠組みにはないアイデア」を発想する
ラテラルシンキングとロジカルシンキングの決定的な違いは、ラテラルシンキングは「今までの枠組み(常識・体系・固定観念)から外れた思考」であるということです。
ラテラルシンキングは既存の常識や知識体系、固定観念の枠組み(フレームワーク)に拘束されていないからこそ、柔軟で自由な発想をすることができるのです。
ロジカルシンキングが「既存のフレームワークと論理のルールに従った正しい思考方法」だとすると、ラテラルシンキングというのは「既存のフレームワークと論理のルールから外れた新しい思考方法」なのです。
3-4. ロジカルシンキングは「今までの枠組みの内部で最善のアイデア」にたどり着く
ラテラルシンキングとロジカルシンキングの決定的な違いとして、ロジカルシンキングは「今までの知識体系・論理ルールの枠組みの内部における最善のアイデアや解決法」を導き出す思考方法であるということです。
ロジカルシンキングには「今までの常識からは信じられないような珍しいアイデア」や「既存の知識体系で整理することのできない意外な考え方・方法論」はまず出てきません。
しかし、「既存の知識体系をベースにして、一つの物事・問題を合理的に解決する思考方法」としては、ロジカルシンキングはラテラルシンキング以上に効果的なのです。
4. ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法
新規のアイデアや有効な解決方法を生み出すラテラルシンキングの「鍛え方・トレーニング方法」にはどのようなものがあるのでしょうか?「ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法」について、分かりやすく紹介していきます。
4-1. 常識とされている当たり前の前提を疑ってみる
ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法として、「常識とされている当たり前の前提を疑ってみる」ということがあります。
ラテラルシンキングは横方向に「多様な視点・発想・イメージ」を広げていくクリエイティブな思考方法ですから、「みんなが当たり前のこととして信じている常識」をひっくり返して、新しいアイデアを提案できるところに最大の強みがあります。
ラテラルシンキングで問題解決や競争の優位性につながる新規のアイデアを出すためのトレーニング方法は、まず「常識とされている当たり前の前提」を疑ってみる癖を付けることなのです。
4-2. 全く関係がないように見えるものを結びつけてみる
「全く関係がないように見えるものを結びつけてみる」ということが、ラテラルシンキングの有効な鍛え方・トレーニング方法になっています。
ラテラルシンキングとクリエイティブな思考方法の共通点として、「二つ以上のモノ・概念・考え方を結びつけて試してみること」があります。
例えば、Apple社を時価総額100兆円超の世界ナンバーワンの企業にした大ヒット商品のスマホ「iPhone」は、故スティーブ・ジョブズ氏が「従来の携帯電話」と「パソコン(インターネットの快適な閲覧環境+アプリケーションのダウンロード環境)」を結びつけたことによって誕生したイノベーション(技術革新)でした。
全く関係がないように見える二つ以上のモノや考え方を結びつけることで、ラテラルシンキングを鍛えていきましょう。
4-3. 新しい情報・知識・トレンドは素早くチェックしておく
ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法として比較的簡単にできるものとして、「新しい情報・知識・トレンドは素早くチェックしておく」ということがあります。
ラテラルシンキングは新規で有効なアイデアを生み出すための水平思考ですが、「色々な多様性のあるアイデア」を出していくためには、そのベースとなる豊富な知識と新しい情報が必要になってきます。
大まかな情報収集でも構わないので、ウェブやニュースをこまめにチェックする習慣をつけましょう。
こまめに頻繁にウェブやSNS、ニュースなどで最新情報をチェックすることによって、「時代遅れにならない知識情報+センス」を手に入れることができ、「最新のトレンド(流行)に合致した新アイデア」を生み出しやすくなるのです。
ラテラルシンキングの土台になる「豊かな知識+最新の情報・センス」を仕入れておきましょう。
4-4. ブレインストーミングを行う
「ブレインストーミングを行う」ということが、ラテラルシンキングの典型的な鍛え方・トレーニング方法の一つになります。
ブレインストーミングとは、数人〜10人程度の集団で自由闊達に意見を出し合うことによって、「多様性のある意見・考え方」の中から新しいアイデアを発掘しようとするものです。
ブレインストーミングを行う時には、性急に判断を下して結論を出してしまわないことが大切です。
できるだけ多くの人に自由な意見を出してもらい、「奇想天外なアイデア」や「奇抜・斬新なアイデア」をみんなで歓迎する雰囲気を作りましょう。
ブレインストーミングではじっくり考えるのではなく、思いついたらすぐに言葉に出すことが重要であり、「アイデアの質より量」を重視します。
二つ以上の複数のアイデアを結びつけることで、今までにない新奇性のある有効なアイデアや方法論を発見できます。
4-5. 希望列挙法・欠点列挙法を行う
ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法として、「希望列挙法・欠点列挙法を行う」ということが上げられます。
「希望列挙法」は、自由連想を前提としたブレインストーミングの一種であり、複数の人を集めて、「現在の問題・課題に対する希望(こんな風だったらいいのにというポイント)」をできるだけ多く挙げていきます。
集まった希望的な内容・予測の中から、もっとも実現可能性がありそうなものをピックアップしていくのです。
「欠点列挙法」は、「現在のやり方・仕事内容に対する欠点(ダメな部分)」をできるだけ多く挙げていきます。
集まった現在のやり方や仕事内容に対する欠点を並べて、その中から重要度の高いものをピックアップして「解決法(改善法)・対処法」を考えていきます。
5. ラテラルシンキングの事例・やり方
ラテラルシンキングの具体的な事例・やり方にはどのようなものがあるのでしょうか?「ラテラルシンキングの事例・やり方」について、代表的な事例を紹介していきます。
5-1. 13個のオレンジを3人で公平に分ける命題
ラテラルシンキングのやり方として、「13個のオレンジを3人で公平に分ける命題」が知られています。
13個のオレンジを3人で分ける時は、常識的な数学思考で考えれば「13÷3=4余り1」で、1人に4個のオレンジを分けて残りの1個を三等分するということになります。
しかし、この常識的なオレンジの分配方法だと、残りの1個のオレンジを綺麗に3等分することが物理的に難しいという問題が生じます。
ここでラテラルシンキングを活用すると、「オレンジを丸ごと1個ずつ分けなければならないという前提」を疑って、「オレンジをジュースにして3等分すればいい→液体のオレンジジュースなら完璧に公平に3等分できる」という画期的な新しいアイデアにたどり着くことができるのです。
5-2. 映画監督ジョージ・ルーカス氏のラテラルシンキングの事例
「スターウォーズ」や「インディージョーンズ」などのSF映画の巨匠として知られるジョージ・ルーカス監督ですが、ルーカスは「宇宙・秘境を舞台にした個性的な作品世界の構築」だけではなく「新規の映画ビジネス(映画監督の収入源)の拡大」にもラテラルシンキングを活用しています。
ジョージ・ルーカス以前の映画監督の仕事では、「映画監督の報酬」を作品ごとに受け取ることが慣例になっていましたが、ジョージ・ルーカスは映画監督の報酬を減らす代わりに、「映画に関連するすべての権利」を求めたのです。
その結果、「スターウォーズ関連のグッズ販売」などでジョージ・ルーカスは莫大な利益を上げて、更なる映画制作に専念することができたのです。
これは、「映画監督という職業の収入源の数を増やす」というラテラルシンキングの結果でした。
5-3. Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏のラテラルシンキングの事例
Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏は、柔軟で自由な発想によって、MacやiPod、iPhoneという画期的な新製品を次々と生み出して、世の中と人々のライフスタイルを革命的に変えてきました。
新製品のアイデアを思いつくひらめきの天才といわれたスティーブ・ジョブズ氏も、「複数のアイデアや考え方を効果的に結びつける」というラテラルシンキングの達人として知られています。
Macは複雑で難しかったコンピューター操作を、コンピューター画面にマウスとGUIを組み合わせることで誰もが簡単に利用できるようにしました。
iPodも「ソニーのウォークマン」と「音楽のダウンロード」を結びつけるラテラルシンキングで生み出された商品です。
スマホの発明につながったiPhoneも、「従来の携帯電話」と「パソコン+アプリケーション」を組み合わせたアイデアから生み出されたイノベーションに基づく新製品でした。
6. ラテラルシンキングの重要性・将来性
ラテラルシンキングの重要性と将来性にはどのようなものがあり、どんな根拠・理由によってラテラルシンキングが将来、更に重要な思考法になっていくと考えられているのでしょうか?
6-1. ラテラルシンキングの重要性:企業と個人が市場競争で勝つために更に重要になる
ラテラルシンキングの重要性は、より激しくなる市場競争で企業と個人の勝敗を規定するということです。
ロジカルシンキング(垂直思考)では「従来の常識・理論・優位の前提」を置いた上で、「企業・商品・個人の強み」を伸ばしていくことになりますが、ロジカルシンキングでは最終的に行き着く結論がみんな同じようなものになって十分な差別化ができません。
これから激化する市場競争に勝っていくためには、「視点・考え方の多様性」を高めるラテラルシンキング(水平思考)の柔軟性と自由度が更に重要になってくるのです。
任天堂が「テレビゲーム+携帯ゲーム+家族の娯楽」を結びつけるラテラルシンキングで、「スイッチ」を大ヒットさせたような新奇性のあるアイデアが求められているのです。
6-2. ラテラルシンキングの将来性:個人のエンパワメントと集団のイノベーション
ラテラルシンキングの将来性は、個人の発想力・スキルを高める「個人のエンパワメント」と企業の企画力・商品開発力を高める「組織集団のイノベーション」にあります。
上述したように、多様な新規アイデアを生み出していくラテラルシンキング(横方向の水平思考)の重要度は、今後ますます高まっていきますが、その将来性は個人と企業、社会を今よりも豊かにしていくという明るい希望・可能性につながっているのです。
まとめ
ラテラルシンキング(水平思考)とは、ロジカルシンキング(垂直思考)とは違って「論理・常識・固定観念」にとらわれずに、「自由で柔軟なアイデア」をどんどん出していく思考方法です。
今までに無かった新しいアイデアや解決方法を生み出すラテラルシンキングを鍛えるためには、「既存の常識を疑う」「二つ以上のモノを結びつける」「ブレインストーミング」などが有効です。
ラテラルシンキングについて詳しく知りたい時は、ぜひこの記事を参考にして下さい。
5. ラテラルシンキングの事例・やり方
ラテラルシンキングの具体的な事例・やり方にはどのようなものがあるのでしょうか?「ラテラルシンキングの事例・やり方」について、代表的な事例を紹介していきます。
5-1. 13個のオレンジを3人で公平に分ける命題
ラテラルシンキングのやり方として、「13個のオレンジを3人で公平に分ける命題」が知られています。
13個のオレンジを3人で分ける時は、常識的な数学思考で考えれば「13÷3=4余り1」で、1人に4個のオレンジを分けて残りの1個を三等分するということになります。
しかし、この常識的なオレンジの分配方法だと、残りの1個のオレンジを綺麗に3等分することが物理的に難しいという問題が生じます。
ここでラテラルシンキングを活用すると、「オレンジを丸ごと1個ずつ分けなければならないという前提」を疑って、「オレンジをジュースにして3等分すればいい→液体のオレンジジュースなら完璧に公平に3等分できる」という画期的な新しいアイデアにたどり着くことができるのです。
5-2. 映画監督ジョージ・ルーカス氏のラテラルシンキングの事例
「スターウォーズ」や「インディージョーンズ」などのSF映画の巨匠として知られるジョージ・ルーカス監督ですが、ルーカスは「宇宙・秘境を舞台にした個性的な作品世界の構築」だけではなく「新規の映画ビジネス(映画監督の収入源)の拡大」にもラテラルシンキングを活用しています。
ジョージ・ルーカス以前の映画監督の仕事では、「映画監督の報酬」を作品ごとに受け取ることが慣例になっていましたが、ジョージ・ルーカスは映画監督の報酬を減らす代わりに、「映画に関連するすべての権利」を求めたのです。
その結果、「スターウォーズ関連のグッズ販売」などでジョージ・ルーカスは莫大な利益を上げて、更なる映画制作に専念することができたのです。
これは、「映画監督という職業の収入源の数を増やす」というラテラルシンキングの結果でした。
5-3. Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏のラテラルシンキングの事例
Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏は、柔軟で自由な発想によって、MacやiPod、iPhoneという画期的な新製品を次々と生み出して、世の中と人々のライフスタイルを革命的に変えてきました。
新製品のアイデアを思いつくひらめきの天才といわれたスティーブ・ジョブズ氏も、「複数のアイデアや考え方を効果的に結びつける」というラテラルシンキングの達人として知られています。
Macは複雑で難しかったコンピューター操作を、コンピューター画面にマウスとGUIを組み合わせることで誰もが簡単に利用できるようにしました。
iPodも「ソニーのウォークマン」と「音楽のダウンロード」を結びつけるラテラルシンキングで生み出された商品です。
スマホの発明につながったiPhoneも、「従来の携帯電話」と「パソコン+アプリケーション」を組み合わせたアイデアから生み出されたイノベーションに基づく新製品でした。
6. ラテラルシンキングの重要性・将来性
ラテラルシンキングの重要性と将来性にはどのようなものがあり、どんな根拠・理由によってラテラルシンキングが将来、更に重要な思考法になっていくと考えられているのでしょうか?
6-1. ラテラルシンキングの重要性:企業と個人が市場競争で勝つために更に重要になる
ラテラルシンキングの重要性は、より激しくなる市場競争で企業と個人の勝敗を規定するということです。
ロジカルシンキング(垂直思考)では「従来の常識・理論・優位の前提」を置いた上で、「企業・商品・個人の強み」を伸ばしていくことになりますが、ロジカルシンキングでは最終的に行き着く結論がみんな同じようなものになって十分な差別化ができません。
これから激化する市場競争に勝っていくためには、「視点・考え方の多様性」を高めるラテラルシンキング(水平思考)の柔軟性と自由度が更に重要になってくるのです。
任天堂が「テレビゲーム+携帯ゲーム+家族の娯楽」を結びつけるラテラルシンキングで、「スイッチ」を大ヒットさせたような新奇性のあるアイデアが求められているのです。
6-2. ラテラルシンキングの将来性:個人のエンパワメントと集団のイノベーション
ラテラルシンキングの将来性は、個人の発想力・スキルを高める「個人のエンパワメント」と企業の企画力・商品開発力を高める「組織集団のイノベーション」にあります。
上述したように、多様な新規アイデアを生み出していくラテラルシンキング(横方向の水平思考)の重要度は、今後ますます高まっていきますが、その将来性は個人と企業、社会を今よりも豊かにしていくという明るい希望・可能性につながっているのです。
まとめ
ラテラルシンキング(水平思考)とは、ロジカルシンキング(垂直思考)とは違って「論理・常識・固定観念」にとらわれずに、「自由で柔軟なアイデア」をどんどん出していく思考方法です。
今までに無かった新しいアイデアや解決方法を生み出すラテラルシンキングを鍛えるためには、「既存の常識を疑う」「二つ以上のモノを結びつける」「ブレインストーミング」などが有効です。
ラテラルシンキングについて詳しく知りたい時は、ぜひこの記事を参考にして下さい。
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