処世術とは？使い方や例文・処世術を身につけるポイント | SPITOPI

処世術とは人生を上手く生き抜いていくための方策、巧みな世渡りの方法のことですが、「処世術を身に付けるポイント」はどこにあるのでしょうか? 「処世術を身につけている人の特徴」を紹介しながら、「処世術の意味・類語・例文・処世術関連の名言」について詳しく解説していきます。

1. 処世術の意味とは?

処世術の意味は、直訳的には「世の中・世間(他者)に対処するための効果的な術策」です。

処世術とは、厳しい世の中を生き抜いていくための方法であり、人間関係に適応して巧みに世渡りするための術策のことです。

ビジネス書の成功哲学・人生哲学も処世術の一種であり、人が世の中で効率的に仕事をしたり、望ましい人間関係を営んだりして生きていくための方法は全て処世術とも言えます。

仏教・キリスト教などの世界宗教の教義の中にも、人の心を安らかにして世間の苦難に耐えさせる「倫理的・道徳的な処世術」が含まれています。

人間がシビアな世の中や人間関係を巧みに生き抜いていく世渡りの方策・方法が「処世術」と呼ばれているのです。

1-1. 処世術を身につければサラリーマンも経営者・自営業者も人生が生きやすくなる

「渡る世間は鬼ばかり」のテレビドラマではありませんが、人間が世の中・世間を生き抜いていくということは、仕事・経済問題にしても恋愛・結婚(家庭運営)にしても一般に簡単なことではないため、世の中を上手く渡っていくための「処世術のニーズ」が常にあります。

サラリーマンは特に、出世したり給与を上げたりするために職場の環境・人間関係に適応する処世術が大切になります。

サラリーマン以外の経営者・自営業者・自由業者(フリーランス)も処世術を身につけていれば、人間関係がスムーズになり仕事や人生で得をすることが増えます。

2. 処世術の類語

処世術の類語には以下のようなものがあります。

2-1. 「世渡りの術・世渡りの方法」

処世術の類語として、「世渡りの術・世渡りの方法」があります。

処世術とは、上手く人間関係や世の中のルールに適応して巧みに世渡りすることですから、その類語として「世渡りの術(よわたりのすべ)」や「世渡りの方法」を上げることができます。

処世術とは、簡単には渡ることのできない世の中を巧みに渡るための術策であり方法なのです。

世渡りの術や世渡りの方法を適切に身に付けることができれば、人生や仕事、人間関係の悩み事を格段に減らすことができるでしょう。

2-2. 「世故に長けた(せこにたけた)」

処世術の類語として、「世故に長けた(せこにたけた)」があります。

「世故(せこ・せいこ)」とは、「世間の俗事・事情・習慣」のことであり、「世間・世の中についての知識全般」を指示しています。

「世故に長けた」とは、「世の中の事情や習慣について通じている」や「世間の道理に詳しくて世渡りが上手い」ということを意味しています。

処世術を身に付けている人は、必然的に「世故に長けた人」でもあるのです。

世故に長けた人は、世の中の仕組みに詳しくて人間関係の経験も豊富なので、世渡りで失敗することが少なくなるのです。

2-3. 「立ち回り」

処世術の類語として、「立ち回り」があります。

「立ち回り」というのは、「対人関係の相手や社会生活の状況に合わせて臨機応変に動くこと」を意味します。

人間関係や世の中の活動において立ち回りが上手い人は、処世術を身に付けている人が多いのです。

立ち回りとは、世の中で巧みに生き抜いていくための、相手や状況に対応した身の処し方であると言えます。

立ち回りが悪ければ、世間や人間関係に上手く適応することができずに、思わぬ失敗をしてしまうリスクが高まります。

処世術を学ぶことによって、臨機応変に問題状況に対応するだけの立ち回りをすることが出来るようになるのです。

2-4. 「目端が利く(めはしがきく)」

処世術の類語として、「目端が利く(めはしがきく)」があります。

目端が利くというのは、問題状況や人間関係の機微を素早く見抜くことができる眼力を意味しています。

目端が利く人は、その状況において相手が自分にどのようなことを求めているのかを瞬時に見抜くことができるので、基本的に抜け目のない判断と行動をすることができるのです。

処世術に優れている人は、必然的に目端が利く人になっていき、「今の状況において自分にとっての最適な選択・判断」を見定めることができるのです。

抜け目なく立ち回ることができる目端が利く人になるということが、処世術の一つの課題であると言えるでしょう。

3. 処世術を使った例文

処世術という言葉を使った例文として、以下のような文章を上げることができます。

3-1. 処世術を使った例文:1

高橋君は個人としての才能は抜きん出ていて知識も技術も十分過ぎるほどの実力があったのだが、「処世術」を知らないが故に、組織内部の競争に打ち勝つことができずに挫折した。

「処世術」とは世間において人の心の機微を読み取って、相手の思惑や期待に添った行動をすることでもあるが、高橋君は自分の能力と実績を過信して独断専行で失敗することになったのだ。

3-2. 処世術を使った例文:2

私には「処世術」なんて必要ないというような傲慢不遜に陥っていた若い季節もあったが、中年期に入って思うのは人生・人間関係というのは本当に複雑で甘いものではないということだ。

「処世術」というのは、自分の自己中心的な自我に基づく行動を、世の中にいる他の人々に合わせて調和することで世渡りする術なのだが、この処世術の重要性に気づくにはどうしても人生の豊かな経験が必要になってくる。

3-3. 処世術を使った例文:3

世間の目を恐れて他人からの評価・批判に怯えて、過剰に気遣いばかりするのが「処世術」だというのであれば、俺にはそんな処世術など必要ない。

世の中や他人が俺のことをどう思おうと、俺は処世術などという言葉で自分の信念や価値観を曲げるつもりは更々ないからだ。

自分の信じる所に従った不器用な生き方しかできない彼は、結局、処世術などはかなぐり捨てて、己の信じる道をひたすらまっすぐに突き進んでいったのだった。

4. 処世術に関連する名言・格言

「処世術に関連する名言・格言」には、以下のようなものがあります。

処世術の本質や部分を切り取ったような名言・格言を紹介していきます。

4-1. 名言・格言1

人に好かれるための唯一の方法は、畜生のなかで最も愚かなものの皮をかぶることである。(バルタザール・グラシアン)

処世術に関連する名言・格言として、17世紀スペインの哲学者・イエズス会の修道士であるバルタザール・グラシアンの「人に好かれるための唯一の方法は、畜生のなかで最も愚かなものの皮をかぶることである」を上げることができます。

バルタザール・グラシアンは「賢者論」「英雄論」などの処世術を含む著作で有名な哲学者・宗教者ですが、人から好かれる方法の本質を知り抜いていたようです。

人間は自分よりも「知恵が働く頭の良さそうな相手」を尊敬することもありますが、一般に警戒したり敬遠したりしやすいのです。

「畜生のなかで最も愚かなものの皮をかぶること」というのは、実際に知性があっても馬鹿に見せかけることを意味しています。

人は自分よりも愚かで頭が悪そうな相手だと見ると、急に安心して近寄ってくることが多いのです。

4-2. 名言・格言2

ある事を真剣に3時間考えて、自分の結論が正しいと思ったら、3年かかって考えてみたところでその結論は変わらないだろう。(フランクリン・ルーズヴェルト)

処世術に関連する名言・格言として、第二次世界大戦期のアメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズヴェルトの「ある事を真剣に3時間考えて、自分の結論が正しいと思ったら、3年かかって考えてみたところでその結論は変わらないだろう」があります。

物事の重要な判断は時間をかけて熟慮すればするほどに、良い判断にたどり着けるわけではないのです。

真剣に各種の条件を考慮して「3時間」かけて考えた結論であれば、「3年間」かかって考えた結論よりも適切なことが多いでしょう。

あまりに長い時間をかけて、あれこれ考えてみたところで、余計に迷いや不安が強まることも多く、各種の前提条件も時間が経つにつれて変わってしまいます。

時に人生の処世術においては、「即断即決」の決断力と行動力が必要になってくるのです。

4-3. 名言・格言3

状況?何が状況だ。俺が状況をつくるのだ。(ナポレオン・ボナパルト) 処世術に関連する名言・格言として、超絶的な軍事の才能を発揮してフランス皇帝として戴冠したナポレオン・ボナパルトの「状況?何が状況だ。

俺が状況をつくるのだ」があります。

晩年のナポレオンは皇帝になって慢心したこともあり、かつての政略や軍事の冴えを失って、反ナポレオンのヨーロッパ諸国との戦争で敗れますが、絶頂期に達するまでのナポレオンは「連戦連勝の状況打開」を続けました。

人生は今の自分を取り巻いている状況・環境によって受動的に決まるわけではなく、自分の人生の状況や局面は自分の力で作り上げていくべきというポジティブな人生観が溢れているナポレオンの名言です。

苦しくて心が折れそうな時、私たちはどうしても「こんな状況だからどうしようもない」と諦めがちですが、そんな時こそ「俺・私が状況を作る」という強気な処世術が必要になるのかもしれません。

4-4. 名言・格言4

あなたが明日会う人々の四分の三は、「自分と同じ意見の者はいないか」と必死になって探している。この望みをかなえてやるのが、人に好かれる秘訣である。(D.カーネギー)

処世術に関連する名言・格言として、アメリカの鉄鋼王だったD.カーネギーの「あなたが明日会う人々の四分の三は、「自分と同じ意見の者はいないか」と必死になって探している。

この望みをかなえてやるのが、人に好かれる秘訣である」があります。

D.カーネギーは、ビジネスと人間関係を相関させた成功哲学の著作「人を動かす」で有名ですが、上手に世渡りをしてビジネスを成功に導くための達人であり、人間関係の本質を知り尽くしていました。

人に好かれる簡単な処世術として、「相手と同じ意見を持っているように見せること」や「相手の意見・考えに反対せずに共感してみせること」を教えてくれているのです。

5. 処世術を身につけるポイント

処世術を身につけるためのポイントには、どのようなことがあるのでしょうか?「処世術を身につけるポイント」について、分かりやすく紹介していきます。

5-1. コミュニケーション力を高めて人を好きになる

処世術を身につける時の効果的なポイントとして、「コミュニケーション力を高めて人を好きになる」ということが上げられます。

処世術の基本中の基本は、「人間嫌いの傾向(人を避けがちな傾向)」を改めて「人間が好きになること(人と関わることを好む傾向)」を身に付けることにあります。

人を好きになってコミュニケーションの経験を積み重ねることによって、「どのように振る舞えば世間の人に好かれやすいのか・嫌われやすいのか」が実感として分かってくるのです。

コミュニケーション能力を高めることで、人間関係や仕事の世渡りがかなり楽になります。

5-2. 知ったかぶりをせずに人に謙虚に質問する

「知ったかぶりをせずに人に謙虚に質問する」ということが、処世術を身につける重要ポイントになります。

世の中の人は「傲慢で自慢ばかりする人」を嫌って、「謙虚で他人に対する思いやりがある人」を好きになる傾向を強く持っています。

対人関係を円滑にする処世術を身につけたいのであれば、謙虚な態度で人に接して、何事に対しても知ったかぶりをしないことです。

人は自分に対して「謙虚な質問」をぶつけてくる人を嫌いになることはまずなく、「自分の価値を認めてくれた人」として好意的に接してくれるようになります。

知ったかぶりをして、何でも自分ひとりでできるような態度を取ることはやめて、「分からないこと+教えてほしいこと」があれば、素直・謙虚な気持ちで相手に質問してみて下さい。

5-3. ニュースや流行、読書などで色々な情報を手に入れる

処世術を身につける大きなポイントとして、「ニュースや流行、読書などで色々な情報を手に入れる」ということが上げられます。

処世術に優れているという人は、「知識・情報をたくさん持っている人」であることが多いのです。

世の中の情勢や一般的な知識を多く持っていればいるほど、臨機応変に他者とのコミュニケーション状況に適応することができます。

日頃から知識・情報のアンテナを広く張り巡らして、「ニュース・流行・読書・人との雑談」などから、コミュニケーションや人間関係に役立つ色々な情報をゲットしていきましょう。

ストックした情報は、いつか必ず活用できる場面があるはずです。

5-4. 他者を強く否定したり馬鹿にしたりしない

「他者を強く否定したり馬鹿にしたりしない」ということが、処世術を身につける大事なポイントになってきます。

処世術の基本テクニックは、「他者に嫌われずに好かれること」と「他者から攻撃されずに協力してもらうこと」にあります。

そのためには、他人のことを強い口調で否定したり馬鹿にしたりしないことがとても大切になります。

人間は自分のことを否定したり馬鹿にしたりしてくる相手のことを好きになったり、その人のために協力したいと思ったりすることは絶対にありません。

対人関係をスムーズにして堅実な世渡りをしていきたいのであれば、「他者に対する敬意・尊重」を忘れないで下さい。

5-5. 適度な距離感を保って人のプライバシーに踏み込みすぎない

処世術を身につける時の重要なポイントが、「適度な距離感を保って人のプライバシーに踏み込みすぎない」ということです。

良好な人間関係で必須になるポイントとして、「自分と他者との適度な距離感」があります。

相手の気持ちや感じ方を無視して距離感を詰めすぎると、相手は不快感・窮屈さを感じてしまいます。

巧みに世の中を生きていく処世術として大事なのは、お互いに心地よい適度な距離感を保つことであり、「相手のプライバシー」に必要以上に踏み込まないということなのです。

5-6. 人間関係や社会生活で感情的に反応し過ぎない

「人間関係や社会生活で感情的に反応し過ぎない」ということが、処世術を身につけるポイントの一つです。

他者と関わりながら仕事をしたり活動をしたりしていく上で、最も重要になる処世術は「人間関係・社会生活のやり取りの中で感情的に興奮し過ぎないこと」です。

人は感情的に興奮して冷静さを失った時に、「他人との取り返しのつかない大きなトラブル」を起こしがちなのです。

興奮して暴力を振るったりすれば、それだけで自分の職業キャリアや人生設計が大きく崩れてしまうことさえあります。

感情的になり過ぎず、いつも合理的かつ冷静に対応することを心がけましょう。

6. 処世術を身につけている人の特徴

処世術を身につけている人の特徴には、どのようなものがあるのでしょうか?「処世術を身につけている人の特徴」について分かりやすく解説していきます。

6-1. 人の気持ちや意見に上手に合わせてくれる

処世術を身につけている人の典型的な特徴として、「人の気持ちや意見に上手に合わせてくれる」ということがあります。

処世術を身につけている人は、対人関係において相手と激しく対立するトラブルがほとんどありません。

それは、処世術に優れている人というのは、「相手の気持ち」に調和したり「相手の意見」に適度に合わせたりしているからなのです。

その結果、処世術を身につけた人と一緒に過ごす時間は、一般的に快適で心地よいものになります。

6-2. 自分のことを語るよりも他人の話をよく聞いている

「自分のことを語るよりも他人の話をよく聞いている」というのが、処世術を身につけている人の特徴になります。

処世術を身につけている人は、ベラベラと「自分が話したいこと」だけを一方的に話し続けることはまずありません。

自分の自慢話だったり相手が嫌がる話題だったりを無理に話すこともありません。

処世術に優れている人は、「自分が話すこと」よりも「他人が話したい内容を丁寧に聞くこと」に力を注いでいるのです。

6-3. 他人を否定・侮辱することがなく肯定・賞賛している

処世術を身につけている人の典型的な特徴として、「他人を否定・侮辱することがなく肯定・賞賛している」ということが上げられます。

処世術を身につけている人は、どうすれば「他者との良好な人間関係を築けるか+人に嫌われたり恨まれたりしないようにできるか」を知り尽くしています。

そのため、他人に対して否定したり侮辱したりすることはまずなく、基本的に「相手の存在・能力」を肯定したり賞賛したりする言動が目立っているのです。

6-4. いつも笑顔で明るく人に不機嫌な態度・言動を見せない

「いつも笑顔で明るく人に不機嫌な態度・言動を見せない」ということが、処世術を身につけている人の特徴の一つです。

処世術を身につけている人が、社会生活や人間関係において感情をあらわにして不機嫌な態度を取っていることは絶対にありません。

公共的な場面や仕事状況においては、いつも上機嫌で笑顔を出していることが「相手を不愉快にしない最低限のマナーであること」を経験的に理解しているからです。

いつも笑顔で明るく接しているので、職場・学校・地域などの人間関係における評価がいつも高いということが、処世術を身につけている人の特徴になっています。

6-5. 苦境にあっても楽観的で前向きな解決方法を探そうとする

処世術を身につけている人の大きな特徴として、「苦境にあっても楽観的で前向きな解決方法を探そうとする」ということがあります。

処世術を身につけている人は、ネガティブな思考を持ち続けたり、悲観的な予測で落ち込み続けたりすることがありません。

いつまでもくよくよと思い悩んでいても、何も人生の問題や悩みが解決しないことを十分に理解しているからです。

処世術に秀でている人は、どんな苦しい状況にあっても絶望的・悲観的になることがなく、「前向きな解決方法」を楽観的に探すことに意識を集中しているのです。

まとめ

「処世術」について徹底的に解説してきましたが、処世術とは「巧みに世渡りをする方策+厳しい世の中を生き抜いていくための方法」のことです。

「処世術を身に付けるポイント」には、「コミュニケーション力を高めて人を好きになる」や「他者を強く否定したり馬鹿にしたりしない」などがあります。

「処世術を身につけている人の特徴」として、「人の気持ち・意見に上手に合わせてくれる」や「苦境にあっても楽観的で前向きな解決方法を探そうとする」などがあります。

厳しい世間・人生を生き抜いていく世渡りの方法である「処世術」について詳しく調べたい時には、この記事をぜひ参考にして下さい。