「ギブアンドテイクで行こう」
「あのふたりはギブアンドテイクの関係だ」
もともとは英語なのに、すっかり日本語として定着した言葉となった「ギブアンドテイク」。
でも、この言葉の雰囲気や、おおよその意味はわかっていても、本来の意味を知っていますか?
また、ギブアンドテイクは、単純なもののやり取りだけを指すのではありません。
ギブする側、テイクする側にはそれぞれの心理が背景にあります。
ここでは「ギブアンドテイク」とはどういうことなのか、日本語で言い換えるとどうなるのか、「ギブアンドテイク」という言葉の使い方や、ギブばかりやテイクばかりな人の特徴を見ていきます。
- ギブアンドテイクとは?
- ギブアンドテイクの類語や言い換え
- ギブアンドテイクの使い方
- ギブアンドテイクができる人の特徴
- テイクばかりの人の特徴
- ギブばかりの人の特徴
- まとめ
1. ギブアンドテイクとは?
ギブアンドテイクはgive and takeをそのままカタカナに置き換えた言葉です。
giveは「与える」という意味、takeは「取る」という意味で、直訳すると「与えることと取ること」、つまり相手に利益を与え、自分も相手から利益を得る、という意味になります。
2. ギブアンドテイクの類語や言い換え
ギブアンドテイクは英語ですが、日本語では昔から以下のように言われてきました。
2-1. 情けは人の為ならず
最近では「間違った理解をされていることわざ」の代表格のような表現ですが、本来の意味は、「人のために親切なことをしてあげれば、その相手のためになるだけでなく、やがては良い報いとなって自分に戻ってくる」という意味で、ギブアンドテイクの精神と同義の言葉になっています。
2-2. 持ちつ持たれつ
この「持つ」は、「受け止められる・支えられる」という意味です。
自分が誰かをサポートし、また同時にサポートされている、という意味で、「人は持ちつ持たれつだからね」という風に言うことができます。
「ギブアンドテイクの関係」は「持ちつ持たれつの関係」と言い換えることができます。
2-3. 因果応報
そもそもは仏教用語で、前世や過去に行った善悪の行為が原因となって、その報いが現在の自分にふりかかってくる、という意味の言葉です。
今ではどちらかというと、過去にしてしまった悪い行為が、現在になって悪い結果となって現れてくる場合によく使いますが、善いことであってもこの言葉を使うことができます。
過去に与えたことで、今、利益を得ることができたときに、「ギブアンドテイクになったね」と言うこともできるし、「因果応報だね」と言うこともできます。
2-4. 返報性の原理
ギブアンドテイクという言葉を心理面から説明したのがこの用語です。
人は「ギブ」されると相手に「お返しをしなければならない」という気持ちを抱きます。
それによって「ギブアンドテイク」という関係が成立するのです。
マーケティングなどでよく使われる言葉ですが、簡単に言うと人の心は自然に「ギブアンドテイク」を行いたがる、という心理学用語です。
3. ギブアンドテイクの使い方
ギブアンドテイクという言葉は、もともと貿易において、対等な条件での交換を指すものとして使われていました。
双方の利益が同じようになる条件での交換が「give and take」だったのです。
そこから今日ではビジネスでもプライベートでも、あらゆる場面で使われるようになりました。
3-1. 「対等な関係」という意味で使う
ビジネスの面で提携・協力するとき、「当社は〇〇を提供し、相手からは××を提供してもらう」という関係を「ギブアンドテイクの関係」ということができます。
「ギブアンドテイク」ということで、双方の関係性が対等であるというニュアンスが受け取れます。
3-2. 「助け合い」という意味で使う
心理的な意味で「あの人は『お互い様』という精神を理解していない」と言いたいときに「あの人は『ギブアンドテイク』の精神を理解していない」ということができます。
3-3. 「譲歩」の意味で使う
「こちらもある程度は譲歩するから、あなたも少し譲歩してください」という意味で使われる場合もあります。
たとえば隣家の庭に張り出したビワの枝を、隣人にがまんしてもらうかわりに、実ったビワを持っていくようなことを、「ギブアンドテイクの関係」と呼ぶことができます。
3-4. 「権利と義務」のような関係で使う
たとえば、一方的に自分の意見ばかりを主張し、人の話を聞かないような人に、「人に意見を聞いてもらいたかったら、人の意見をちゃんと聞かなくては。
『ギブアンドテイク』なんだから」というふうに、「何かをやってもらいたいのであれば、自分からそうしなさい」という意味で使うことができます。
4. ギブアンドテイクができる人の特徴
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』の著者であるアダム・グラントは、人間を「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッャー(収支バランスを取る人)」の3つのタイプに分け、現代は「与える人」であるギバーこそが成功する時代だとしています。
グラントのいう「ギバー」とは、与えるだけの人ではありません。
与える人でありながら、同時にその「与える」という行為を、自分自身の目標達成とリンクづけることができる人のことです。
つまり、本当の意味での「ギブアンドテイク」を実践している人と考えられるので、ここでの「ギブアンドテイクができる人」は、「成功するギバー」の特徴を挙げていきます。
4-1. ゆるいつながりを作ることができる
お金をもらうほどのこともない、ちょっとしたアドバイスや、自分の知識をSNSなどを通じてシェアすることによって、ゆるいつながりを幅広く持つことができます。
こうしたつながりは、同僚や親しい友人、親戚などよりも、役に立つネットワークになっていきます。
というのも、同僚や友人などの緊密なつながりだと、関心領域や友人知人なども重なり合っているために、ふだん知らない世界とアクセスする助けにはならないからです。
逆に、ちょっとした知り合いだと、関心や生活圏、友人知人などが重なり合うことはありません。
そのため、知らない世界、これまでまったく未知の領域とアクセスすることが可能になってくるのです。
知識やアドバイスを「与える」ことによって、それを受け取った人との間に、ゆるやかな結びつきが生まれます。
そこからこれまで知らなかった世界や新しい人間関係を「得る」ことができるのです。
4-2. チームの総力を活かすことができる
人間のものの見方、考え方のゆがみである「認知バイアス」のひとつに、「責任バイアス」というものがあります。
たとえば、チームのそれぞれのメンバーに対して、「あなたが果たした仕事は、全体の何パーセントくらいに相当しますか」と聞いたところ、チームに貢献していますか?」と聞いたところ、メンバーの挙げた数値の合計は140%を超えるという結果が出ています。
つまり、自分の果たした役割を、必要以上に多く見積もり、他人の果たす役割は、低く見積もるということなのです。
人に対して与えることのできる人は、自分自身がやったことを評価する前に、上司や周囲のメンバーに自分がどれほど助けられたかを評価します。
自分がどれだけ多くのものを受け取ったか適切に評価できれば、周囲のやる気を喚起することにもなり、同時に必要以上に「人に与えてやった」という態度をとることもありません。
自分の持つ知識や力を周囲に与え、また受け取った結果をきちんと評価できる人がいるチームは、総体としてのパフォーマンスが高くなっていくのです。
4-3. 人を助けることで自分自身を助けている
フリーマーケットや物々交換サイトなどで、自分の不用になったものを誰かにあげてお礼を言われた人は、とても幸せな気分になれます。
というのも、人に与えるときは、相手に得をさせたいという欲求と、自分自身も得をしたいという欲求が混じり合っているからなのです。
募金や支援行動も同様です。
自分の選択によって人を幸せにできると考え、そう行動した人は、そのことによって幸せになれます。
「ギブアンドテイクが適切にできる人」は、与えること、助け合うことのメリットを理解しているために、人のために進んで行動することができます。
5. テイクばかりの人の特徴
5-1. ものごとをすべてゼロサムゲームでとらえている
「テイク」することしか頭にないテイカーたちにとっては、誰かが得をすることは、たちまち自分が損をすることを意味します。
そのため、「与える」ことなどとんでもないことなのです。
テイカーが権力を手にすると、利己的な目的を追求し、できるだけ多くのものを手に入れようとします。
その様子があまりになりふり構わないものであるため、多くの人は離れていきます。
5-2. 目上の人には良い印象を与えようと一生懸命、目下の人間にはどう思われようと気にしない
テイカーの特徴のひとつに、自分にまったく利益をもたらさない人間に対しては、ひどい扱いをするということがあります。
上の人には懸命に取り入ろうとするため、最初は成功するかもしれませんが、周囲の人は「奪われる」だけなので、どんどん離れていき、結局その成功も長続きしません。
こういう人は、フェイスブックなどのプロフィールに、自分がどれだけ偉いか、有名人と知り合いかをやっきになってアピールしようとします。
知らない人はそれを見て、すごい人だな、と思うかもしれませんが、よく知っている人や、一緒に仕事をしたことがある人は、それを見て苦笑しています。
5-3. たとえ才能があっても発揮できない
私たちは「孤高の天才」の話が大好きで、ドラマなどにもわがままな芸術家や、天才的な外科医などがよく登場します。
ところが現実には、芸術家や外科医のような個人の能力がものをいうような職業であっても、実際にはチームメンバーとの協力関係が必要なのです。
今日の仕事は、仮に個人のスキルが大きくものを言うようなものであっても、その個人をサポートする多くの人の存在が前提となっています。
協力者やサポートをしてくれる人は、テイカーの目には「利益をもたらさない人」にしか映らないため、結局のところ、どれほど才能やスキルがあったとしても、それを発揮することができないのです。
6. ギブばかりの人の特徴
6-1. 自己犠牲に陥りやすい
自分自身の利益を追求しない人は、自分自身のニーズを損ねてしまうことになります。
たとえば友人の問題に一生懸命になりすぎて、自分の仕事や家族のことがおろそかになってしまうのです。
そのことで、やがてギバーは疲れたり、燃え尽きたり、失敗したりします。
グラントは同書の中で、成功するギバーとは「受け取るより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それ(※他者志向になること)を指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである」と書いています。
6-2. テイカーの餌食になってしまう
与えるだけの人は、テイカーにとっては願ってもない餌食です。
人を信用しやすく、他人の言うことをそのままに受け取る人にとって、愛想のいいテイカー(ペテン師)の素顔を見抜くことができないと、大損害を被ることになります。
人の痛みに敏感なギバーは、踏みつけにされがちです。
しかし、本来、相手の真意を見極め、正確に判断する能力があるために、見せかけと下心に気づくことも可能なのです。
ギバーは潜在的なテイカーを割り出す必要があります。
6-3. 「いい人症候群」に陥ってしまう
助けを求める人にあまりに感情移入してしまうと、相手のニーズに応えようとするあまり、自分だけでなく自分の会社や、身近な人までも犠牲にしてしまいます。
こうした「いい人症候群」に陥らないためには、自分のためではなく、自分が保護する人の立場に立って、彼らのために戦う、という視点を持つと、そのような失敗に陥らないですみます。
自分が守るべき家族のため、自社の社員のため、という観点に立つことで、相手のニーズに必要以上に応じることもなくなるのです。
まとめ
ここでは「ギブアンドテイク」という言葉の意味や、日本語で言い換え、「ギブアンドテイク」という言葉の使い方や、ギブアンドテイクができる人、ギブばかりの人やテイクばかりな人の特徴を見てきました。
人が2人いれば、まったく同じと言うことはありえず、かならずどちらかが与え、どちらかが受け取ることになります。
また、与える人は、与えることによって、目には見えなくても「満足」や「感謝」や「貸し」の気持ちなどを受け取り、受け取る人は、受け取ることによって、「お礼の気持ち」や「恩に感じる気持ち」「貸しを作ったという気持ち」などを相手に差し出しています。
ギブアンドテイクを適切に行うことによって、与える人も与えられる人も、共に良い結果が得られるような、そんなギブアンドテイクを目指していきたいですね。
5. テイクばかりの人の特徴
5-1. ものごとをすべてゼロサムゲームでとらえている
「テイク」することしか頭にないテイカーたちにとっては、誰かが得をすることは、たちまち自分が損をすることを意味します。
そのため、「与える」ことなどとんでもないことなのです。
テイカーが権力を手にすると、利己的な目的を追求し、できるだけ多くのものを手に入れようとします。
その様子があまりになりふり構わないものであるため、多くの人は離れていきます。
5-2. 目上の人には良い印象を与えようと一生懸命、目下の人間にはどう思われようと気にしない
テイカーの特徴のひとつに、自分にまったく利益をもたらさない人間に対しては、ひどい扱いをするということがあります。
上の人には懸命に取り入ろうとするため、最初は成功するかもしれませんが、周囲の人は「奪われる」だけなので、どんどん離れていき、結局その成功も長続きしません。
こういう人は、フェイスブックなどのプロフィールに、自分がどれだけ偉いか、有名人と知り合いかをやっきになってアピールしようとします。
知らない人はそれを見て、すごい人だな、と思うかもしれませんが、よく知っている人や、一緒に仕事をしたことがある人は、それを見て苦笑しています。
5-3. たとえ才能があっても発揮できない
私たちは「孤高の天才」の話が大好きで、ドラマなどにもわがままな芸術家や、天才的な外科医などがよく登場します。
ところが現実には、芸術家や外科医のような個人の能力がものをいうような職業であっても、実際にはチームメンバーとの協力関係が必要なのです。
今日の仕事は、仮に個人のスキルが大きくものを言うようなものであっても、その個人をサポートする多くの人の存在が前提となっています。
協力者やサポートをしてくれる人は、テイカーの目には「利益をもたらさない人」にしか映らないため、結局のところ、どれほど才能やスキルがあったとしても、それを発揮することができないのです。
6. ギブばかりの人の特徴
6-1. 自己犠牲に陥りやすい
自分自身の利益を追求しない人は、自分自身のニーズを損ねてしまうことになります。
たとえば友人の問題に一生懸命になりすぎて、自分の仕事や家族のことがおろそかになってしまうのです。
そのことで、やがてギバーは疲れたり、燃え尽きたり、失敗したりします。
グラントは同書の中で、成功するギバーとは「受け取るより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それ(※他者志向になること)を指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである」と書いています。
6-2. テイカーの餌食になってしまう
与えるだけの人は、テイカーにとっては願ってもない餌食です。
人を信用しやすく、他人の言うことをそのままに受け取る人にとって、愛想のいいテイカー(ペテン師)の素顔を見抜くことができないと、大損害を被ることになります。
人の痛みに敏感なギバーは、踏みつけにされがちです。
しかし、本来、相手の真意を見極め、正確に判断する能力があるために、見せかけと下心に気づくことも可能なのです。
ギバーは潜在的なテイカーを割り出す必要があります。
6-3. 「いい人症候群」に陥ってしまう
助けを求める人にあまりに感情移入してしまうと、相手のニーズに応えようとするあまり、自分だけでなく自分の会社や、身近な人までも犠牲にしてしまいます。
こうした「いい人症候群」に陥らないためには、自分のためではなく、自分が保護する人の立場に立って、彼らのために戦う、という視点を持つと、そのような失敗に陥らないですみます。
自分が守るべき家族のため、自社の社員のため、という観点に立つことで、相手のニーズに必要以上に応じることもなくなるのです。
まとめ
ここでは「ギブアンドテイク」という言葉の意味や、日本語で言い換え、「ギブアンドテイク」という言葉の使い方や、ギブアンドテイクができる人、ギブばかりの人やテイクばかりな人の特徴を見てきました。
人が2人いれば、まったく同じと言うことはありえず、かならずどちらかが与え、どちらかが受け取ることになります。
また、与える人は、与えることによって、目には見えなくても「満足」や「感謝」や「貸し」の気持ちなどを受け取り、受け取る人は、受け取ることによって、「お礼の気持ち」や「恩に感じる気持ち」「貸しを作ったという気持ち」などを相手に差し出しています。
ギブアンドテイクを適切に行うことによって、与える人も与えられる人も、共に良い結果が得られるような、そんなギブアンドテイクを目指していきたいですね。
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