ものごとを途中で諦め、止めてしまった経験は、誰にでもあるはずです。
小さいころの夢、10代の夢、学生時代に夢中になって打ち込んだことなど、何かを諦めて先へ進むのが、大人になるということなのかもしれません。
でも、普段は諦めたことすら忘れていても、何かの拍子に思い出したり、ネットのニュースで、四十代、五十代で遅咲きのデビューをした人が話題になっているのを見て、「ああ、自分もずっと続けていたら…」と後悔が押し寄せてくるのを感じることはありませんか?
あるいはまた、今年こそ英語がしゃべれるようになりたい。
資格が取りたい。
そんな思いを胸に、本を買ったり教室に通ったりしても、3か月もすると面倒くささが先に立って、結局諦めてしまう。
「もうこんな思いをするのはイヤだ。今度こそ諦めずに続けていきたい」
そう思ったことのある人は、この記事を読んでください。
ここでは「最後まで諦めない心」とは何か、諦めない心を持つメリットや、また諦めない心を持つコツや、諦めない心を持つ子供を育てるコツなどについて明らかにしていきます。
そして最後に、あなたの背中を押してくれる、先人たちの言葉をご紹介します。
- 最後まで諦めない心とはどんな心?
- 最後まで諦めない心を持つメリット
- 最後まで諦めない心を持つコツ
- 最後まで諦めない心を持つ子供を育てるには
- 最後まで諦めない心を持つ人を後押ししてくれる名言
- まとめ
1. 最後まで諦めない心とはどんな心?
ハリー・ポッターシリーズの作者J. K. ローリングが、自分の持つ魔力に目覚めていない少年の着想を得たのは25歳の時でした。
そのイメージを元に作品に取りかかったローリングは、途中、母の死、結婚、流産と出産、離婚などのさまざまな出来事を乗り越え、ひたすら書き続けます。
シングルマザーとなり、生活保護と住宅手当を受給しながら、貧困と心労でうつ病になっても、ローリングは決して書くことを諦めませんでした。
そうして5年後、ついに作品は完成します。
ところが出来上がった原稿を送った出版社から、つぎつぎに断られてしまいます。
新人の発掘に熱心なブルームズベリー社が出版を認めるまで、何と12社に拒否されてきたのでした。
やっと出版が決まっても、ローリングが受け取った契約金は、わずか1,500ポンド(日本円で20万強)、たった500部の出版がスタートだったのです。
それが今日の大ヒットとなり、映画化もされ、世界中でハリー・ポッターの名前を知らない人はいないまでになっています。
ローリング自身も億万長者となりました。
何が起ころうと、自分の心に浮かんだイメージを元に、紙に文字を書き続けることをやめなかったローリングは、まさに「最後まで諦めない心」の持ち主であると言えます。
ほかにもメジャーリーガーとして大活躍したイチローも、「プロでは無理だ」と言われたり、ドラフト4位でオリックスに指名されてプロ選手になっても、2軍でどれほど活躍しても認めてもらえない、苦しい時期がありました。
でもそんなときでも諦めなかったからこそ、今の彼の活躍があります。
成功する人の多くは、苦しい時期でも「諦めない心」を持った人です。
端から見れば、華々しいスタートを切ったかのような人でも、かならずどこかで挫折を経験しており、転機を経たのちに復活する、という道すじを通っています。
「最後まで諦めない心」とは、自分にとって一番大切なことをやり続ける、周囲で何を言われても、どんなに状況が厳しくなっても、粘り強く続ける、そんな「心のスタミナ」のことを表す言葉です。
2. 最後まで諦めない心を持つメリット
2-1. 成功のために大切なのは、IQでもなく、才能でもなく、諦めない心
の要旨は、学校でも、軍隊でも、教員でも、販売員でも共通して、成功する人には共通点がある、それは「やり抜く力(グリット)」を持っていることだ、ということです。
「やり抜く力」とは、最後まで諦めない心にほかなりません。
最後まで諦めずにやり抜く力を持つ人が、高いIQや、美しい容姿、体力のある人や才能に恵まれている人よりも、最後には成功するのです。
2-2. 諦めない心があれば工夫できる
失敗は心を傷つけます。
先の見えない失敗の繰り返しは、心を壊してしまうかもしれません。
その意味で「諦め」は、人が自分の心を守ろうとする防御策と言えるでしょう。
しかし、失敗を分析し、それを元にやり方を改良すればどうでしょうか。
うまくいかなかった、よしもう一度、ではなく、うまくいかなかったのはどこがいけなかったんだろう、と考え、やり方を改良してもう一度トライしてみる。
その工夫が成功につながります。
自分の打撃フォームを変更するように1軍コーチから言われたイチローは、それを拒否したために1軍に上げてもらえませんでした。
しかし、2軍で結果を出すことで1軍に上がったのですが、今度は打撃不振となって、ふたたび2軍に戻らざるを得ませんでした。
ところが2軍打撃コーチは彼のセンスを認め、そのコーチと二人三脚でイチローの「振り子打法」の完成に取り組んで行ったのです。
そうやって自分の資質を活かし、工夫を重ねた「振り子打法」は、その後の大活躍の基礎となりました。
たとえうまくいかなくても、諦めない心があれば「なぜうまくいかないのか」と工夫できるのです。
2-3. 諦めない心があれば、かならず上達し、進歩する
最初からうまくできる人はいません。
若い時から完成されたように見える人でも、その後も活躍し続ける人は誰もが、肉体改善に取り組んだり、練習法を工夫したり、別の方法を取り入れたり、理論的な裏付けを求めたり、科学的なアプローチを行ったりするなど、小規模のバージョンアップを重ねています。
そうした人はみな、「これが最善最高だ」と思った瞬間から衰退が始まることを知っているのです。
ひとつのことを続けるのは、辛いものです。
最初どれほどおもしろかったとしても、同じことを何年も続けていれば、飽きるし、興奮はなくなります。
それでも練習し、工夫を重ね、さらに上を目指すことができるのは、その人が「諦めない心」を持っているからにほかなりません。
2-4. 諦めない心が生んだ成功体験は、その人の一生の宝物になる
些細なことでかまいません。
毎朝ウォーキングする、毎晩寝る前に家計簿をつける、そんなことでも欠かさず続けるのは大変です。
どんなことでも人は飽きるし、面倒くさくなってくるのです。
しかし、諦めない心があれば、面倒くささに打ち勝つことができます。
たとえ1日サボったとしても、それきりにならず、よし、もう一度頑張ろう、と思えるのも、諦めない心があるからこそ。
そうやって面倒くささを克服し、最後までやり遂げた経験は、その人にとって大きな成功体験となります。
その後も何かに挑戦する時「自分ならできる、だってあの時諦めなかったのだから」という大きな自信につながるのです。
2-5. 諦めない心の持ち主は、周囲の人に信頼される
「朝令暮改」という故事成句がありますが、朝、命令を下して夜それを改めるようなことをしていては、誰もついていきません。
反対に、ひとつのことを粘り強くやり続ける人は、最初は人目を引かなくても、力を発揮するようになることで、信頼され、尊敬されるようになります。
瞬間的に爆発的な力を発揮する人ほど、大きな注目は集めないかもしれませんが、本当に信頼されるのはそういう人です。
3. 最後まで諦めない心を持つコツ
3-1. 自分にとって「一番大切なこと」を見極める
人生は取捨選択の連続です。
ディズニーランドに行こうと思えば、その日は海釣りに行くのは諦めなければなりません。
どうしても抜けられない会議が夜9時まで入ってしまえば、アフターファイブのデートの約束はキャンセルせざるを得ません。
問題なのは、多くの人が自分にとって大切なことよりも、目先の利益を優先してしまうことです。
これは現在志向バイアスといって、人間の認知のゆがみの1つです。
諦めない心を持つためには、自分にとって何が一番大切なのかをはっきりとさせておくことが重要です。
自分にとって何が諦めてはならないことなのか、それを基準にしていつも考えるようにします。
3-2. 将来のビジョンを持つ
3-1. とも密接に関連することですが、これから先、自分はどんな人間になりたいか、大きなビジョンを持つ必要があります。
漠然としたものでかまいません。
起業して社会にインパクトを与えるような仕事がしたい、とか、自分の辛かった経験を本にして、同じような苦しみを味わっている人を勇気づけたい、とか、家の暮らしがハッピーになるような雑貨店を開きたい、などなど。
何も思い当たらない人は、自分が人のために何ができるか、考えてみてください。
誰かほかの人がやるよりも、あなたがやってあげた方がうまくできることは何ですか? その「できること」を、「お金を払ってやってほしい」と思える人が出てくるほど、上達させることをビジョンに置いてください。
人に言えば笑われそうなビジョンでも、できるだけ具体的に、「10年後、それをしている自分」を細部まで思い描いてください。
十分具体的になったら、その実現に向けてスタートを切りましょう。
それがあなたの「諦めてはいけないこと」です。
3-3. 10年後のビジョンを元に、3年後、1年後、3か月後の到達目標を立てる
「10年後に自分はこうなっていたい」というビジョンを立てたら、それを元におおまかなスケジュールと到達度合いの目安を考えていきます。
一番大変な基礎段階の完成を3年後に置き、それまでには何ができるようになっていなければならないか、取っておかなければならない資格は何か、資金はどれくらい貯めなければならないかを書きます。
次は1年後です。
1年後、自分はここまでなら進める、という、リアルな目標を立ててください。
1年後、そこに到達するためには、今から3か月後はどこまで進んでいなければなりませんか? 何をしていなければならないでしょうか。
3か月後の目標は、実現可能なものでなければなりません。
今から始めたとして、3か月後はどこまで進めるでしょうか。
計画を立てた後は、かならず「今日はどこまで進んだ」「今日はあまりできなかった」と振り返り、1週ごとに進捗度合いを記録していきます。
3-4. マラソンを走る気持で
長距離を走り続けるコツを知っていますか?
それは、絶対に走るのを止めないことです。
一度走るのを止めたら、よほど力と経験がある人でない限り、復帰することはできません。
苦しくなったらペースを落としてもかまいません。
でも、絶対に足を止めないことです。
端から見れば歩いているより遅い速さでも、走っていればかならず先に進むことができます。
ひとつのことを諦めずに続けるのは、並大抵のことではありません。
ペースダウンしてもかまいません。
それでも、1日にたった5分でも、3分でも、そのことを続けてください。
自分に言い聞かせる「サボる理由」は、いくらでも見つかります。
それに耳を貸さず、たとえ3分でもそのことを続けてください。
4. 最後まで諦めない心を持つ子供を育てるには
ここでは保護者や指導者のために、「諦めない心を持つ子供」を育てるコツをお伝えします。
4-1. 成長思考vs停滞思考
で、人間の思考のあり方を「成長思考」と「停滞思考」に分けています。
成長思考の脳は、チャレンジすることを好み、失敗を怖れません。
できないことがあっても「まだできないけど、次は必ずできるようになる」と考えます。
一方、停滞思考の脳は、失敗を怖れ、避けて通ろうとし、自分が確実にできることだけをやりたがろうとします。
できないことは「自分には無理」と諦めてしまうか、ひどい場合にはカンニングなどの不正行為をしてもうまくやろうとしてしまいます。
諦めない心を持つためには、脳の働きを成長思考型にしてやる必要があるのです。
4-2. 成長思考をはぐくむ声掛けを
「成長思考」型の脳と「停滞思考」の脳は、どのように決まっていくのでしょうか。
それは、子供の場合、保護者からの声掛けが非常に重要だということです。
「頭がいいね」「才能があるね」などと生まれつきのものを褒めると、子供は努力しなくなり、悪い結果が出て評価が下がるのを怖れて、チャレンジしなくなります。
そうして少しずつ脳は「停滞型」になっていくのです。
そうではなく、「よく頑張ってたね」「ここの工夫をしていたでしょ、そこが良かったね」とプロセスを褒めることによって、子供の脳は「成長思考型」に育っていきます。
失敗したとしても、良かったところを見つけて褒めることで、失敗は悪いことではない、自分はもっとやっていける、という風に、気持ちを切り替えさせることができるのです。
4-3. 人の脳は何歳になっても成長できることを教える
もうひとつ、子供たちの成績を飛躍的に上げる「声掛け」があります。
それは、人間の脳は柔軟であり、使えば使うほど成長していくことを教えることです。
脳は、何か新しいことやむずかしいことにチャレンジしようとすると、それまで慣れ親しんだ状態から抜け出そうとして、脳内で新たなニューロン(神経細胞)が結合し、活発に動き始めます。
脳はいくつになっても鍛えることができるし、活性化させることができるのです。
そのため、あらゆる能力も鍛えることができるし、絶えず変わっていきます。
そうした脳の可塑性(変わっていくこと)について伝えることで、子供たちは成長思考を受け入れるようになります。
子供たちにそう声掛けするだけでなく、保護者の側も脳の可塑性を信頼して、自分自身のチャレンジをすることも、子供にとって大きな励みになることでしょう。
5. 最後まで諦めない心を持つ人を後押ししてくれる名言
最後に「諦めない心」を実践した人からの言葉をお送りします。
くじけそうになったとき、思い出してくださいね。
5-1. J. K. ローリング(2008年 ハーバード大学卒業スピーチ)
「人生でいくつか失敗することは避けられません。
失敗せずに生きていくことは不可能です。
生きているとはいえないほど、おそるおそる生きていればそんなことはないかもしれませんが。
でも、そんなふうにおそるおそる生きていれば、それ自体が失敗です」
5-2. イチロー(『夢をつかむ イチロー 262のメッセージ』)
夢をつかむことというのは一気にはできません。
ちいさなことを積み重ねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます。
5-3. 夏目漱石(1916 若き芥川龍之介に宛てた書簡)
牛になる事はどうしても必要です。
吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なりきれないです。
(中略)
あせっては不可(いけ)ません。
頭を悪くしては不可(いけ)ません。
根気づくでお出でなさい。
世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、
火花の前には一瞬の記憶しか与えて呉れません。
うんうん死ぬ迄押すのです。
それ丈(だけ)です。
まとめ
ここでは「最後まで諦めない心」とは何か、諦めない心を持つメリットや、また諦めない心を持つコツや、諦めない心を持つ子供を育てるコツなどについて、説明していきました。
その中で、ハリー・ポッターシリーズの作者やイチロー選手の「諦めない心」についても紹介しています。
また最後に、あなたの背中を押してくれる、先人たちの言葉も3つ挙げておきました。
自分には無理、自分にはできない、と諦める前に。
何でもいい、今日できることを1つやって、それを明日もやってみてください。
明日できたら、明後日も。
これで3日続きました。
3日坊主は悔しいから、もう1日。
さらにもう1日。
ついでだから1週間目指しましょう。
1週間続いたら、10日を目指し、10日続いたら2週間、2週間続いたのなら、きっと1か月大丈夫…というふうに、簡単なことでいいから毎日やってみませんか。
1年続けば、きっとあなたも「成長思考」を手に入れているはずですよ。
3. 最後まで諦めない心を持つコツ
3-1. 自分にとって「一番大切なこと」を見極める
人生は取捨選択の連続です。
ディズニーランドに行こうと思えば、その日は海釣りに行くのは諦めなければなりません。
どうしても抜けられない会議が夜9時まで入ってしまえば、アフターファイブのデートの約束はキャンセルせざるを得ません。
問題なのは、多くの人が自分にとって大切なことよりも、目先の利益を優先してしまうことです。
これは現在志向バイアスといって、人間の認知のゆがみの1つです。
諦めない心を持つためには、自分にとって何が一番大切なのかをはっきりとさせておくことが重要です。
自分にとって何が諦めてはならないことなのか、それを基準にしていつも考えるようにします。
3-2. 将来のビジョンを持つ
3-1. とも密接に関連することですが、これから先、自分はどんな人間になりたいか、大きなビジョンを持つ必要があります。
漠然としたものでかまいません。
起業して社会にインパクトを与えるような仕事がしたい、とか、自分の辛かった経験を本にして、同じような苦しみを味わっている人を勇気づけたい、とか、家の暮らしがハッピーになるような雑貨店を開きたい、などなど。
何も思い当たらない人は、自分が人のために何ができるか、考えてみてください。
誰かほかの人がやるよりも、あなたがやってあげた方がうまくできることは何ですか? その「できること」を、「お金を払ってやってほしい」と思える人が出てくるほど、上達させることをビジョンに置いてください。
人に言えば笑われそうなビジョンでも、できるだけ具体的に、「10年後、それをしている自分」を細部まで思い描いてください。
十分具体的になったら、その実現に向けてスタートを切りましょう。
それがあなたの「諦めてはいけないこと」です。
3-3. 10年後のビジョンを元に、3年後、1年後、3か月後の到達目標を立てる
「10年後に自分はこうなっていたい」というビジョンを立てたら、それを元におおまかなスケジュールと到達度合いの目安を考えていきます。
一番大変な基礎段階の完成を3年後に置き、それまでには何ができるようになっていなければならないか、取っておかなければならない資格は何か、資金はどれくらい貯めなければならないかを書きます。
次は1年後です。
1年後、自分はここまでなら進める、という、リアルな目標を立ててください。
1年後、そこに到達するためには、今から3か月後はどこまで進んでいなければなりませんか? 何をしていなければならないでしょうか。
3か月後の目標は、実現可能なものでなければなりません。
今から始めたとして、3か月後はどこまで進めるでしょうか。
計画を立てた後は、かならず「今日はどこまで進んだ」「今日はあまりできなかった」と振り返り、1週ごとに進捗度合いを記録していきます。
3-4. マラソンを走る気持で
長距離を走り続けるコツを知っていますか?
それは、絶対に走るのを止めないことです。
一度走るのを止めたら、よほど力と経験がある人でない限り、復帰することはできません。
苦しくなったらペースを落としてもかまいません。
でも、絶対に足を止めないことです。
端から見れば歩いているより遅い速さでも、走っていればかならず先に進むことができます。
ひとつのことを諦めずに続けるのは、並大抵のことではありません。
ペースダウンしてもかまいません。
それでも、1日にたった5分でも、3分でも、そのことを続けてください。
自分に言い聞かせる「サボる理由」は、いくらでも見つかります。
それに耳を貸さず、たとえ3分でもそのことを続けてください。
4. 最後まで諦めない心を持つ子供を育てるには
ここでは保護者や指導者のために、「諦めない心を持つ子供」を育てるコツをお伝えします。
4-1. 成長思考vs停滞思考
で、人間の思考のあり方を「成長思考」と「停滞思考」に分けています。
成長思考の脳は、チャレンジすることを好み、失敗を怖れません。
できないことがあっても「まだできないけど、次は必ずできるようになる」と考えます。
一方、停滞思考の脳は、失敗を怖れ、避けて通ろうとし、自分が確実にできることだけをやりたがろうとします。
できないことは「自分には無理」と諦めてしまうか、ひどい場合にはカンニングなどの不正行為をしてもうまくやろうとしてしまいます。
諦めない心を持つためには、脳の働きを成長思考型にしてやる必要があるのです。
4-2. 成長思考をはぐくむ声掛けを
「成長思考」型の脳と「停滞思考」の脳は、どのように決まっていくのでしょうか。
それは、子供の場合、保護者からの声掛けが非常に重要だということです。
「頭がいいね」「才能があるね」などと生まれつきのものを褒めると、子供は努力しなくなり、悪い結果が出て評価が下がるのを怖れて、チャレンジしなくなります。
そうして少しずつ脳は「停滞型」になっていくのです。
そうではなく、「よく頑張ってたね」「ここの工夫をしていたでしょ、そこが良かったね」とプロセスを褒めることによって、子供の脳は「成長思考型」に育っていきます。
失敗したとしても、良かったところを見つけて褒めることで、失敗は悪いことではない、自分はもっとやっていける、という風に、気持ちを切り替えさせることができるのです。
4-3. 人の脳は何歳になっても成長できることを教える
もうひとつ、子供たちの成績を飛躍的に上げる「声掛け」があります。
それは、人間の脳は柔軟であり、使えば使うほど成長していくことを教えることです。
脳は、何か新しいことやむずかしいことにチャレンジしようとすると、それまで慣れ親しんだ状態から抜け出そうとして、脳内で新たなニューロン(神経細胞)が結合し、活発に動き始めます。
脳はいくつになっても鍛えることができるし、活性化させることができるのです。
そのため、あらゆる能力も鍛えることができるし、絶えず変わっていきます。
そうした脳の可塑性(変わっていくこと)について伝えることで、子供たちは成長思考を受け入れるようになります。
子供たちにそう声掛けするだけでなく、保護者の側も脳の可塑性を信頼して、自分自身のチャレンジをすることも、子供にとって大きな励みになることでしょう。
スポンサーリンク