夏の夕方に純白の花を咲かせるユウガオ。
翌日の午前中には枯れてしまう儚い花として知られています。
ユウガオは、日本の食生活には欠かせない食材の原料としても親しまれています。
そんなユウガオの花言葉や育て方や豆知識などを詳しく解説します。
- ユウガオとはどんな花?
- ユウガオの花言葉
- ユウガオについて解説
- ユウガオのマメ知識
- ユウガオを育てる時の注意点
- ユウガオの種類(原種、園芸品種・花言葉など)
- ユウガオに似た植物(原種、園芸品種・花言葉など)
- まとめ
1. ユウガオとはどんな花?
ユウガオは、源氏物語や枕草子にも登場するほど、古くから日本人に親しまれてきた植物です。
ユウガオの実はカンピョウの原料にもなっており、現在では野菜の1つとして農家で栽培されています。
真っ白な花は短命なことでも知られていて、古来より美しい女性に例えられてきました。
一般家庭でも簡単に育てることができる植物で、夕方に開く白い花を楽しみに栽培しているガーデナーも少なくありません。
2. ユウガオの花言葉
2-1. 「はかない恋」
ユウガオのけがれのない白い花は、夕方に開花して、翌日の午前中にはしぼんでしまう儚い花です。
そんなユウガオの性質から、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-2. 「夜の思い出」
夕方に花を咲かせるユウガオは、夜の間真っ白な美しい花を咲かせ続け、翌日陽が昇って暫くするとしぼんでしまいます。
そのようなユウガオの特徴から、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-3. 「魅惑の人」「罪」
これらの花言葉は、源氏物語に登場する美しい女性、「夕顔の君」に因んで付けられたとされています。
3. ユウガオについて解説
ユウガオ(学名Lagenaria siceraria var. hispida)は、ウリ科・ユウガオ属のツル性の一年草です。
7月〜9月の夕暮れ時に純白の綺麗な花を咲かせますが、その花は翌日の午前中には枯れてしまうという特徴があります。
秋には60〜90cmほどの大きな実を付けます。
平安時代には日本で栽培が行われていたといわれており、紫式部の源氏物語や、清少納言の枕草子といった有名な書物に登場するだけでなく、和歌や俳句などにも詠われてきました。
夕顔の実の中にある種には毒があります。
誤食すると、唇のしびれ、嘔吐、下痢などの症状を起こしてしまうことがあります。
3-1. 英語での呼び名
英語では「Bottle gourd」と呼ばれています。
gourdはウリ科の植物を指す言葉で、ボトルのようなウリ科の植物、といった意味合いになります。
英語では、ユウガオもヒョウタンも同じ呼び方をします。
ユウガオの実を干して作るカンピョウは、乾燥ウリという意味の「Dried gourd」と呼ばれています。
3-2. 原産地
ユウガオの原産地は、北アフリカ、インドです。
日本では平安時代にはすでに栽培されていたと伝えられていますが、ユウガオが原産地からどのようにして日本へ渡ってきたかは、はっきりしていません。
ユウガオは、観賞用に日本へ入ってきたヒョウタン(瓢箪)の変種とされています。
実に苦みがあって食用にはできないヒョウタンとは異なり、ユウガオの実には苦みがなく食用にできることから、広く普及していったとされています。
3-3. ユウガオの名前の由来
ユウガオは漢字では「夕顔」と書かれます。
これは、ユウガオが、夕方に白い花を咲かせる性質に由来していると考えられています。
「タソガレソウ(黄昏草)」という別名がありますが、これも、夕方に開花させる性質があることから付けられたとされています。
朝から昼まで花を咲かせる「アサガオ(朝顔)」、朝から夕方まで花を咲かせる「ヒルガオ(昼顔)」、夕方から翌朝まで花を咲かせる「ヨルガオ(夜顔)」という植物も知られていますが、これらはヒルガオ科の植物で、ウリ科のユウガオとは別の仲間です。
3-4. ユウガオの誕生日花の日
8月16日、8月27日の誕生花です。
きれいな純白の花を見ていただくなら、鉢植えを贈るのがおススメです。
贈る相手が気心の知れた人であれば、夕顔を原料としている干瓢を贈るのも良いでしょう。
4. ユウガオのマメ知識
4-1. カンピョウ(干瓢)
巻きずしの「カンピョウ巻き」などでお馴染みのカンピョウですが、これはユウガオの大きな実が原料になっています。
カンピョウは、ユウガオの実を細長く帯状に剥いて乾燥させたもので、農家では専用の機械を使って大量に作っています。
現在は、栃木県が総生産量の約95%を占めています。
ユウガオは育てやすい植物なので一般家庭でも栽培されており、収穫した実は包丁でかつら剥きにしたりピーラーなどで帯状に剥いてカンピョウ作りを楽しんでいる人も多くいます。
カンピョウは、酢の物にしてシャキシャキした食感を楽しむことも出来ます。
4-2. 郷土料理
ユウガオは東北地方では主に煮物にして食べられています。
冬瓜のようにとろりとした食感と、ほんのりと苦みのある味わいが好まれています。
新潟県のクジラ汁、秋田県のユウガオ汁、岩手県のユウガオ煮など、ユウガオは郷土料理として古くから親しまれています。
5. ユウガオを育てる時の注意点
ユウガオは病気や害虫に強く、ポイントを押さえて育てれば、栽培の難しい植物ではありません。
1本の苗からは3〜4つもの実を収穫することができ、手作りのカンピョウや、ユウガオの煮物などを楽しむことができます。
もちろん、夕方に開く白い花を愛でる楽しみもあります。
5-1. 栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所で育てます。
ユウガオは、北アフリカやインドといった暖かい地域の植物なので、暑さには強いのですが、寒さにはあまり強くありません。
冷え込む時期には、株元を黒いシートで覆って保温しましょう。
5-2. 水やり
鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
ただし、鉢内が過湿になっている状態が続くと根腐れを起こしたり、葉が茂り過ぎたりしますので、水の与え過ぎには注意しましょう。
庭植えの場合は、水やりの必要はほとんどありません。
晴天が続いて極度に乾燥した時には、朝や夕方の涼しい時間帯に水を与えます。
鉢植え、庭植えともに、実が生長して大きくなる時期に乾燥させてしまうと実の育ちが悪くなりますので注意しましょう。
5-3. 用土
ユウガオには、水はけの良い中性〜弱アルカリ性の土が適しています。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)5:腐葉土5の割合で配合した土を用意するか、市販されている野菜用培養土を利用しましょう。
庭植えの場合は、植え付けの2週間ほど前に土を30センチほど掘って、苦土石灰を土に混ぜ込んでおきます。
その1週間後に、さらに腐葉土を混ぜて耕しておきます。
5-4. 肥料
植え付けのときには、元肥としてリン酸が多い野菜用の肥料を土に混ぜて与えます。
そして、実がピンポン球くらいの大きさになったら、同じ肥料を株元に与えましょう。
その後は、実の生長具合を見ながら、2週間後にもう一度同じ肥料を株元に施します。
肥料が強すぎるとかえって株を弱らせてしまいます。
必ず用法、用量を守って与えるようにしましょう。
5-5. 種まき
ユウガオの発芽温度は25〜30度ですので、種まきは4月〜5月に行います。
ポットなどに
赤玉土(小粒)や種まき用土など、清潔な土を入れます。
種を2センチ間隔でまき、1センチほどの覆土をします。
土が乾燥しないように水やりをしながら管理し、本葉1〜2枚ほどになったら、丈夫そうな苗を1株ずつ植え替えます。
更に本葉3〜5枚ほどに生長してから、鉢や庭に植え替えましょう。
5-6. 苗植え
鉢植えの場合は、30センチ以上の深さのある鉢に1株を目安に植え付けます。
ユウガオはつる性の植物なので、あんどん仕立てにするか、近くにネットや支柱を立てて、つるを誘引できるようにしておきます。
庭植えに場合は、幅1メートル、高さ10センチくらいの畝を作って、株と株の間隔が80センチ以上空くように苗を植え付けます。
この時、根を痛めないように苗は丁寧に扱いましょう。
ユウガオはつるを3メートル以上伸ばして大きく育つ植物です。
株が混み合っていると蒸れて株が弱ってしまいますので注意しましょう。
5-7. 摘心
植え付けた苗の本葉が5?6枚に育ったら、新しいつる(子づる)が生えるのを促進するために、太いつる(親づる)を5節ほど残して先端を摘み取りましょう。
子づるは、親づるの葉の付け根から生えてきます。
その後、子づるの中で生育のよいものを3?4本選別して、他のつるはすべて摘み取ります。
そして、子づるから生えてきた新しいつる(孫づる)は、全て摘み取り、子づるに実が付くようにします。
5-8. 人工授粉
ユウガオは開花期間が短いので、人工授粉を行うと効率よく実を収穫することができます。
雄花を摘み取り、花粉を雌花の柱頭に軽くこすりつけます。
そして実が付いたら、大きさが40センチほどになるまで育て、収穫します。
5-9. 病気や害虫
ユウガオは病気や害虫に強い植物ですが、アブラムシが付くことがあります。
見つけたらすぐに木酢液などを散布して、駆除しましょう。
大量発生を防ぐためには早期発見が大切です。
日頃からチェックしておくようにしましょう。
又、風通しが悪く水はけの悪い環境では、炭疽病が発生することがあります。
いったん発生すると回復しませんので、病気にかかった部分はすぐに取り除き、感染が拡大しないようにしましょう。
6. ユウガオの種類(原種、園芸品種・花言葉など)
6-1. ナガユウカ゛オ(学名:Lagenaria siceraria var. hispida)
ウリ科・ユウガオ属の一年草で、原産地は北アフリカです。
7月〜8月頃の夕方に、白い花を咲かせ、翌日の午前中にはしぼんでしまいます。
長さ60?80センチ、太さ20cセンチほどの円筒状の実を付けます。
白い果肉はわずかに苦みがあるのが特徴で、煮物や汁物に用いられています。
また、スイカを接ぎ木する際に台木としても利用されています。
「ユウガオ」「カンピョウ」「シケラリア」とも呼ばれており、漢字では「長夕顔」と書きます。
ナガユウガオには、ユウガオ全般の花言葉が使われています。
6-2. マルユウガオ(学名 Lagenaria siceraria var. depressa)
ウリ科・ユウガオ属の一年草で、原産地は北アフリカです。
「ふくべ(瓢)」とも呼ばれており、スイカ程の大きさの実を付けます。
この実には苦みがなく、硬くなる前の若い実を収穫し、果肉を帯状に削って天日干しにしたものは、カンピョウとして古くから日本の食卓で広く親しまれています。
夏の夕暮れ時に白い花を咲かせますが、翌日の昼までにはしぼんでしまう性質があります。
漢字では「丸夕顔」と書きます。
マルユウガオには、ユウガオ全般の花言葉が使われています。
6-3. オオマルユウガオ(学名:Lagenaria siceraria)
マルユウガオの大型種で、直径30センチほど、重さ20キロにもなる大きな実を付けます。
若い実を帯状に向いて天日干しすればお馴染みのカンピョウが出来るほか、完熟させた実の中身をくり抜けば、味わいのある容器として使用することもできます。
漢字では「大丸夕顔」と書きます。
オオマルユウガオには、ユウガオ全般の花言葉が使われています。
6-4. ヒョウタン(学名:Lagenaria siceraria var. gourda)
ウリ科・ユウガオ属のつる性植物で、アフリカが原産です。
「ひさご」「ふくべ」とも呼ばれており、漢字では「瓢箪」と書かれます。
中央がくびれた独特の形をした実は、古くから容器として利用されています。
縄文時代の遺跡からヒョウタンの種子が出土しており、古来より日本に存在していたと考えられている植物です。
ヒョウタンの果肉には苦みがあり、この成分が嘔吐や下痢といった症状を引き起こします。
花言葉「幸福」「平和」「繁栄」「夢」
7. ユウガオに似た植物(原種、園芸品種・花言葉など)
トウガン(学名:Benincasa hispida)
ウリ科・トウガン属のつる性一年草です。
熱帯アジアを原産とし、夏〜秋に黄色い花を咲かせます。
実は食用にされており、白い果肉は煮物などに、皮はきんぴらに用いられています。
夏が旬の野菜ですが、漢字では「冬瓜」と書きます。
これは、トウガンの実の日持ちが良いことに由来しているといわれています。
「トウガ」「カモウリ(氈瓜)」「シブイ」の別名をもち、英語では「winter melon」と呼ばれています。
トウガンは花を多数咲かせますが、実になるのはごくわずかなことから、「咲いても百に一つ」といわれています。
花言葉「困難に勝つ」「勝利」「静かなる愛」
まとめ
ユウガオは短命な白い花を観賞するだけでなく、実を収穫して美味しくいただくこともできます。
栽培が簡単なので、夏の庭を賑わす植物の1つに加えて、秋には収穫した実で自家製のカンピョウ作りを楽しんでみましょう。
まとめ
ユウガオは短命な白い花を観賞するだけでなく、実を収穫して美味しくいただくこともできます。
栽培が簡単なので、夏の庭を賑わす植物の1つに加えて、秋には収穫した実で自家製のカンピョウ作りを楽しんでみましょう。
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