秋の草原を涼やかな青紫色の花で彩るマツムシソウは、日本の秋を代表する可憐な山野草です。
現在は色とりどりの華やかな園芸品種も数多く流通しており、ガーデニングでも人気があります。
そんなマツムシソウについて解説します。
- マツムシソウとはどんな花?
- マツムシソウの花言葉
- マツムシソウについて解説
- マツムシソウのマメ知識
- マツムシソウ(スカビオサ)を育てる時の注意点
- マツムシソウの種類(原種、園芸品種・花言葉など)
- マツムシソウに似た植物(原種、園芸品種・花言葉など)
- まとめ
1. マツムシソウとはどんな花?
マツムシソウは日本の草原に自生している植物で、晩夏から秋にかけて青紫色の花を咲かせます。
こんもりとした可愛い花を、秋風に揺らせながら咲かせる姿はとても風情があり、日本で広く親しまれている植物です。
古くから俳句などでも詠われるなど、日本の秋を代表する野草です。
ガーデニングや切り花、ドライフラワーなど幅広く人気のあるマツムシソウですが、現在、属名の「スカビオサ」や「マツムシソウ」として一般的に出回っているのは、ほとんどが近縁種のセイヨウマツムシソウの園芸種です。
2. マツムシソウの花言葉
2-1. 「不幸な愛」「私は全てを失った」
西洋では、紫色の花にはギリシャ神話の悲しいエピソードがあることから、花言葉も悲しいものが付けられることが多くなっています。
そのため、青紫色の花を咲かせるマツムシソウにも、西洋のスカビオサの花言葉に倣ってこのように物悲しい花言葉が付けられたとされています。
2-2. 英語の花言葉
「unfortunate love(不幸な愛)」「I have lost all(私は全てを失った)」
西洋では、スカビオサの花は未亡人に贈る花束に適しているとされています。
これには、黒みがかった赤色の花を咲かせるスカビオサの花色が喪服を思わせることに由来しているとする説もあります。
3. マツムシソウについて解説
マツムシソウ(学名:Scabiosa japonica)は、マツムシソウ科・マツムシソウ属の越年草・多年草です。
草丈は60〜90センチほどで、9月〜10月頃に4センチほどの青紫色をした花を咲かせます。
花は中心がこんもりと盛り上がり、外側の花びらが大きく開きます。
一般に出回っている園芸品種は花色が豊富で、青、紫、白、ピンク、黄、赤など色とりどりの可愛らしい花を咲かせます。
草丈が10〜100センチと幅が広いため、ガーデニングに利用されるだけでなく、切り花としてブーケなどにもよく利用されています。
又、ドライフラワーとしても人気があります。
3-1. 英語での呼び名
英語では、「Pincushion flower」「Sweet scabious」と呼ばれています。
こんもりと盛り上がった花の形が、お裁縫で使う針山(ピンクッション)に似ていることから、「Pincushion flower(ピンクション フラワー)」と名付けられたとされています。
学名の「Scabiosa」は、ラテン語で「疥癬(かいせん)」を意味する「Scabiea」が語源となっています。
これは、皮膚病である疥癬の治療に用いる薬草として利用されていたことに由来しているといわれています。
3-2. 原産地
マツムシソウは日本の固有種で、原産地は日本です。
北海道から本州、四国、九州に幅広く分布しており、日当たりの良い山地の草原などに自生しているのを見ることができます。
青紫色の花を群生して咲かせる様子は、とても美しく風情があり、古くから人気があります。
3-3. マツムシソウの名前の由来
マツムシソウの名前の由来には諸説ありますが、日本の固有種は、マツムシ(スズムシ)が鳴く時期に咲くことから、松虫草(マツムシソウ)の和名が付けられたとされています。
又、花が終わった後の姿が、仏具の松虫鉦(マツムシガネ)に似ていることから、この名で呼ばれるようになったという説もあります。
「輪鋒菊(リンボウギク)」の別名もあります。
3-4. マツムシソウの誕生日花の日
1月5日、4月12日、4月26日、5月2日、6月2日、6月16日、6月28日、6月30日、7月30日、8月3日、8月5日、8月13日、8月23日、8月26日、10月1日、10月5日の誕生花です。
4. マツムシソウのマメ知識
4-1. マツムシソウの薬効
マツムシソウに含まれる成分には、血流を良くする作用や、血管内の血小板凝集を抑制する作用があるとされています。
脳血栓や心筋梗塞の予防を目的とし、地上部の全草を乾燥させたものを煎じて飲まれることもあります。
江戸時代後期にヨーロッパの民間薬を集めた「和蘭薬鏡(おらんだやっきょう)」には、薬草としてセイヨウマツムシソウの記載があり、日本では近縁種のマツムシソウを利用していたとされています。
4-2. 絶滅危惧種
日本原産のマツムシソウは、変種も含めて自生している数が減っており、絶滅が心配されています。
昔はごく普通に日本全国の草原で見ることができたマツムシソウですが、環境の変化などから31の都道府県で減少している傾向にあり、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
5. マツムシソウ(スカビオサ)を育てる時の注意点
5-1. 栽培環境
風通しが良く、日当たりと水はけの良い環境で育てます。
スカビオサは元来、高い山の涼しい環境で育っていますので、多くの品種は涼しい気候を好みます。
寒さには強く、霜に当たっても枯れない品種が多いのですが、高温多湿の環境には弱く、枯れやすくなります。
気温が上がる梅雨以降は涼しい半日陰で管理したり、庭土の温度が上がらないように対処する必要があります。
5-2. 水やり
土の表面が乾いてから、たっぷりと水を与えます。
多湿には弱いので、水の与えすぎには注意しましょう。
気温が高くなる夏などの水やりは、朝や夕方の涼しい時間帯に行います。
暑い時間帯に水を与えるとすぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいますので注意しましょう。
湿気に弱いことから、鉢植えを屋外で育てているときは、6月以降は室内に取り込んでおきます。
地植えは、6〜9月の間は株元をワラや腐葉土で覆い、地面の温度が上がるのを防ぎます。
この作業によって、地面の泥が株にはねて病気へ感染するのを防ぐ効果もあります。
5-3. 肥料
植えつけ時に元肥として腐葉土や緩効性の化成肥料を混ぜておきます。
そして3〜4月と9〜10月に、緩効性の肥料を少量与えるか、若しくは、10日に1回を目安に液体肥料を与えます。
肥料が強すぎると根が傷んで株が弱り枯れてしまうこともあります。
肥料を与える時は、用量を守って適量を与えるようにしましょう。
5-4. 病気
通しが悪く湿気が多い環境では、灰色カビ病が発生しやすくなります。
葉や茎に斑点ができ、感染が拡大すると株全体がカビで覆われて枯れてしまいます。
感染が拡大してしまうと治すことがでず、株を廃棄処分するしかなくなってしまいます。
早期発見が大切ですので、日頃からチェックして、感染を見つけたらすぐに感染箇所を取り除くようにしましょう。
又、病気の発生を防ぐためにも、風通しの良い環境で育てるように心がけましょう。
5-5. 用土
水はけの良い土を使います。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)4:軽石砂4:腐葉土2の割合で配合した土を用意するか、市販されている山野草培養土を利用します。
市販の草花用培養土も利用することができますが、その場合には、2〜3割ほど鹿沼土や山砂を混ぜて水はけを良くしておきましょう。
庭植えの場合は、植え付ける2週間ほど前に、腐葉土、山砂、苦土石灰を土に混ぜておきます。
5-6. 植え付け
3月〜4月に行います。
鉢植えの場合は、苗より1回り大きな鉢を使用しましょう。
庭植えの場合は、日当たりが良く、風通しの良い場所に、株と株の間隔が30センチほど空くように植え付けます。
株が密生すると風通しが悪くなり、病気が発生したり、株が蒸れて枯れてしまうことがありますので注意しましょう。
5-7. 植え替え
多年草の品種の場合は3月〜4月に植え替えを行います。
鉢植えでは、株の成長と共に鉢の中が根でいっぱいになり、根づまりを起こしてしまいます。
1〜2年に1回を目安に1回り大きな鉢に植え替えます。
庭植えの場合には、3〜4年に1回を目安に植え替えをすると、株の生育が良くなります。
5-8. 手入れ
枯れた花はこまめに摘み取り、株の風通しを良くしておきましょう。
花がらを放置しておくと、風通しが悪くなり蒸れて株が枯れてしまったり、病気が発生することがあります。
花後には茎を半分くらいに切り戻すと、新芽が出て、再度花が咲きます。
庭植えの場合は、6月〜9月は株元をワラなどで覆い、雨などで株に土が跳ねるのを防ぎます。
又、ワラなどを敷いておくことで、土の温度が上昇するのを抑えることもできます。
鉢植えの場合は、6月以降は室内で育てるのが安心です。
5-9. ふやし方
種まき、株分け、挿し木で増やすことができます。
株分けや挿し木は2〜4月が適期です。
種まき
発芽適温が15〜20度ぐらいですので、9月〜10月ごろが適しています。
種子は新しいほど発芽率が高くなります。
古い種子は発芽率が悪くなりますので注意しましょう。
又、種子の表面は水を弾きやすくなっていますので、砂などで軽く揉んでからまくと、発芽しやすくなります。
ポットに種まき用土をいれ、種子を2〜3粒まきます。
薄く覆土したら水やりをしながら、直射日光の当たらない場所で、土が乾燥しないように管理します。
発芽後は、苗を間引きながら管理し、本葉3〜4枚に育ってから、鉢や庭に植え付けましょう。
株分け
2〜4月に行います。
掘り上げた株の根についた土を軽く落としてから、株を分けます。
この時、それぞれの株に花芽が2〜3個付くように分け、鉢や庭に植え付けます。
挿し木
2〜4月に行います。
花芽の付いていない若い茎を、先端から7〜10cmほどのところ切り取ります。
鉢に川砂やバーミキュライトを入れ、茎を挿し、土が乾燥しないように水やりをしながら管理します。
十分に根が育ってきてから、鉢や庭に植え替えましょう。
6. マツムシソウの種類(原種、園芸品種・花言葉など)
6-1. セイヨウマツムシソウ(学名:Scabiosa atropurpurea)
ヨーロッパ西部を原産とする多年草です。
園芸品種が非常に多く、園芸店などで一般に「マツムシソウ」「スカビオサ」と呼ばれているのは、この品種です。
花色の豊富さが特徴で、青、ピンク、白、赤などをした5センチほどの可愛らしい花を咲かせます。
開花期が長く、次々に花を咲かせることから、ガーデニングにも人気があり、草丈が10〜30センチくらいとコンパクトなことから、鉢植えとしても人気が高い品種です。
漢字では「西洋松虫草」と書きます。
花言葉「不幸な愛」「私は全てを失った」
6-2. コーカサスマツムシソウ(学名:Scabiosa caucasica)
ロシア〜ヨーロッパにかけてのコーカサス地方が原産の多年草です。
花の大きさが6〜8センチほどもあり、優雅な大輪の花を咲かせるのが特徴です。
数多くの園芸品種が作り出されており、青紫色や白色の優雅な花は、鉢植えとして人気があるだけでなく、切り花としても人気があります。
ブーケやアレンジメントの材料としてもよく利用されています。
花言葉「不幸な愛」「私は全てを失った」
6-3. シロバナマツムシソウ(学名:Scabiosa japonica Miq. f. albiflora (Honda) H. Hara )
日本原産のマツムシソウの変種で、白い花を咲かせる品種です。
6-4. タカネマツムシソウ(学名: Scabiosa japonica Miq. var. alpina Takeda)
草丈30〜35 cmと小さく、本州中部以北と四国の高山に自生しています。
漢字では「高嶺松虫草」と書きます。
日本原産のマツムシソウの変種で、高山に自生していることから「ミヤママツムシソウ(深山松虫草)」とも呼ばれています。
6-5. シロバナタカネマツムシソウ(学名:Scabiosa japonica Miq. var. alpina Takeda f. alba Sugim. ) タカネマツムシソウの白花品種です
">
漢字では「白花高嶺松虫草」と書きます。
7. マツムシソウに似た植物(原種、園芸品種・花言葉など)
7-1. プリムラ・カピタータ(学名:Primula capitata ssp. mooreana)
サクラソウ科・サクラソウ属の多年草です。
ヒマラヤ周辺、チベットなどが原産で、標高2700〜5000メートルの草原に自生しています。
早春に花を咲かせるプリムラとしては珍しく、この品種は春〜初夏に花を咲かせます。
青紫色の鮮やかな花色がとても美しく、咲き進むにつれて深みのある藍色に変化するのが特徴です。
葉や茎には細かな白い毛が生えていて、シルバー色がかって見えます。
花の時期に次々と涼し気な花を咲かせる人気の品種です。
花言葉「永遠の愛」
7-2. クナウティア・マケドニカ(学名:Knautia macedonica)
マツムシソウ科・クナウティア属の多年草で、地中海沿岸が原産です。
5月中旬頃〜9月頃に、赤、ピンク、紫色をした3センチほどの可愛らしい花を長い期間咲かせ続けます。
クナウティア・マケドニカの花はスカビオサと非常によく似ており、花をよく観察してみないと区別がつかないほどです。
「アカバナマツムシソウ(赤花松虫草)」「ルメリカ」の別名もあります。
ガーデニング、鉢植え、切り花として利用されています。
花言葉「幸せになりたい」
まとめ
マツムシソウの園芸品種には、夏の暑さ対策をしっかりとしていれば手をかけずに育てられる品種も様々作り出されています。
ガーデニングでも人気の植物ですので、お庭で育てて、その可憐な花姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
3. マツムシソウについて解説
マツムシソウ(学名:Scabiosa japonica)は、マツムシソウ科・マツムシソウ属の越年草・多年草です。
草丈は60〜90センチほどで、9月〜10月頃に4センチほどの青紫色をした花を咲かせます。
花は中心がこんもりと盛り上がり、外側の花びらが大きく開きます。
一般に出回っている園芸品種は花色が豊富で、青、紫、白、ピンク、黄、赤など色とりどりの可愛らしい花を咲かせます。
草丈が10〜100センチと幅が広いため、ガーデニングに利用されるだけでなく、切り花としてブーケなどにもよく利用されています。
又、ドライフラワーとしても人気があります。
3-1. 英語での呼び名
英語では、「Pincushion flower」「Sweet scabious」と呼ばれています。
こんもりと盛り上がった花の形が、お裁縫で使う針山(ピンクッション)に似ていることから、「Pincushion flower(ピンクション フラワー)」と名付けられたとされています。
学名の「Scabiosa」は、ラテン語で「疥癬(かいせん)」を意味する「Scabiea」が語源となっています。
これは、皮膚病である疥癬の治療に用いる薬草として利用されていたことに由来しているといわれています。
3-2. 原産地
マツムシソウは日本の固有種で、原産地は日本です。
北海道から本州、四国、九州に幅広く分布しており、日当たりの良い山地の草原などに自生しているのを見ることができます。
青紫色の花を群生して咲かせる様子は、とても美しく風情があり、古くから人気があります。
3-3. マツムシソウの名前の由来
マツムシソウの名前の由来には諸説ありますが、日本の固有種は、マツムシ(スズムシ)が鳴く時期に咲くことから、松虫草(マツムシソウ)の和名が付けられたとされています。
又、花が終わった後の姿が、仏具の松虫鉦(マツムシガネ)に似ていることから、この名で呼ばれるようになったという説もあります。
「輪鋒菊(リンボウギク)」の別名もあります。
3-4. マツムシソウの誕生日花の日
1月5日、4月12日、4月26日、5月2日、6月2日、6月16日、6月28日、6月30日、7月30日、8月3日、8月5日、8月13日、8月23日、8月26日、10月1日、10月5日の誕生花です。
4. マツムシソウのマメ知識
4-1. マツムシソウの薬効
マツムシソウに含まれる成分には、血流を良くする作用や、血管内の血小板凝集を抑制する作用があるとされています。
脳血栓や心筋梗塞の予防を目的とし、地上部の全草を乾燥させたものを煎じて飲まれることもあります。
江戸時代後期にヨーロッパの民間薬を集めた「和蘭薬鏡(おらんだやっきょう)」には、薬草としてセイヨウマツムシソウの記載があり、日本では近縁種のマツムシソウを利用していたとされています。
4-2. 絶滅危惧種
日本原産のマツムシソウは、変種も含めて自生している数が減っており、絶滅が心配されています。
昔はごく普通に日本全国の草原で見ることができたマツムシソウですが、環境の変化などから31の都道府県で減少している傾向にあり、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
スポンサーリンク