パノプティコンの思想や目的 | SPITOPI

パノプティコンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

パノプティコンというのは、日本語にすると全展望システムと言うのですが、全展望システムという言葉を聞いてもいまいちピンと来ないかも知れません。

そこで、今回はパノプティコンという言葉についてご紹介していきます。

1. パノプティコンとは

パノプティコンというのは、日本語にすると「全展望システム」というような言葉となります。

パノプティコンは中央に監視塔をつけた監房の作りの構想のことを言います。

日本では馴染みがないような監房ではありますが、映画などでこのパノプティコンの思想を取り入れた監房の作りを見たことがあるというような人も多いのではないでしょうか。

パノプティコンは中央に監視塔をおくことによって、周囲全体を見ることが出来るというような、状態にすることを目的とした作りとなっています。

18世紀にイギリスの思想家によって生み出された監房の作りです。

監房の中央に監視塔をおくことによっていつ見られているのかわからないというような心理的な不安を与えることを目的としたものであるとされています。

2. パノプティコンの目的

2-1. 監視することではなく監視されていることを目的としている

パノプティコンの目的というのは、中央に監視塔をおいて、いつでも監視をするということではなく、監獄に入っているものがいつでも見られているというような心理となっていくことです。

人は見られることで、理性を保たなくてはと考えたりするものです。

いつでも監視するというよりも、相手にいつでも見られているため、脱獄なども、悪行も出来ないと思わせることが目的です。

2-2. 復習の記憶を与えるため

パノプティコンの目的というのは、復習の記憶を与えるためにも有効であるとされています。

パノプティコンの思考によって作られた監房というのは、中央に常に監視塔があります。

その監視塔から監視をされているというような記憶があり、いつでも見られているというような気持ちになってしまいます。

もしも監視塔のなかに誰の姿も見えないとしても、いつでも見られているというような記憶が植え付けられた者は、どこかで見られているというような気持ちになるのです。

同じように、ハエなどをコップに入れて蓋をすると、始めは逃げ出そうと蓋に何度もぶつかるのですが、そのうち飛んでもぶつかるため、飛ばなくなります。

その状態で蓋を取ると、ハエは飛んでも出られないという記憶から、飛ばなくなるとされています。

3. パノプティコンのメリット

3-1. 悪事を阻止することが出来る

パノプティコンのメリットというのは、悪事を阻止することが出来るようになるとされています。

本来の目的というのは、監房にて監視をしているというような記憶を与えることによって、見られているため、悪いことをしてはいけない、いつかバレるというような気持ちになって、悪事を阻止することが出来るようになるような傾向にあるとされています。

パノプティコンのメリットは見られていることから悪事をやめようというような気持ちを抱かせることが出来るというメリットがあります。

3-2. 協調性を身に付けることが出来る

小さな頃、欲しいものを買ってもらえなかったとき、場もわきまえずに泣きわめいたことがある人もいるのではないでしょうか。

そのようなときに「みんなが笑っているよ」と言われたことがあり、途端に恥ずかしくなってしまうというような人もいると思います。

その現象というのは、パノプティコンの効果であるとされています。

パノプティコンの効果のメリットは周りから見られているというような気持ちをもち、周りに迷惑をかけないように心がけたり、協調性を持てるようになると言われています。

4. パノプティコンのデメリット

4-1. 監視下におかれている精神的な負担がある

パノプティコンというのは、メリットがあるだけではなく、デメリットもあります。

パノプティコンのデメリットは精神的な負担が大きいということです。

パノプティコンにおかれている人は、常に自分が誰かに見れられているというような気持ちになってしまうこともあります。

誰かに見られていると強く意識をしてしまうと、火とというのは思ったように実力を発揮することができません。

また、パノプティコンによって見られているというような意識が強くなると、実力を発揮することが出来ないだけではなく、精神的にも大きな負担となります。

4-2. 気持ちを押さえ込んでしまう

パノプティコンのデメリットとしては、自分の気持ちを押さえ込んでしまうというような傾向にあるとされています。

パノプティコンによって、周りの人のことを気にしすぎてしまい、気持ちを抑えこんでしまうことによって、自分の気持ちと向き合うことが出来なくなります。

また、押さえ込んでいた感情というのは、どこかで爆発してしまうことがあり、それが重大な事件であることが多いとされています。

昨今、真面目でいい人だと思っていた人が爆発してしまい、重大な事件を起こしてしまい、周囲を驚かせるようなこともありますが、それはパノプティコンによって、押さえ込まれてしまった感情が一気に爆発してしまったようにあるとされています。

4-3. 成功の邪魔をする

パノプティコンのデメリットとしては、成功の邪魔をするというようなことがあると言われています。

目標を抱えて頑張っているときに、「お前じゃ無理だ」と周りから謂われ続けていると、自分には無理なのだと洗脳されてしまい、成功するはすだったものが成功しなくなっていくと言われています。

また、仕事などで失敗ばかりしていると、失敗する自分が記憶されてしまい、成功の邪魔になってしまう傾向にもあるとされています。

前記したハエの行動と同じように、やっても意味がないと思い込んでしまう傾向にあるのです。

本来なら努力して叶うことすら、自分自身にリミッターをかけてしまうというようなデメリットがあるとされています。

そのため、成長することができなくなる可能性もあります。

5. パノプティコンの広がり

5-1. 多方面にてパノプティコンの適応

パノプティコンというのは、始めは監房のみに用いられるものでしたが、それは次第にパノプティコンのみに留まらずに、学校や病院などにも広がりを見せており、パノプティコンは軍隊にも取り入れられる手法となっています。

パノプティコンはさまざまな方向性に広がりを見せることで、人々を監視のなかに暮らしているような、自由でありながらも自由ではないような世界というのを確立していると言われています。

5-2. パノプティコンは現代にも

現代というのは、正にパノプティコンに支配されていると言われています。

多くの街では監視カメラが設置されており、先進国では携帯電話などにカメラがついているのが当たり前になっています。

一歩外を出ただけでも、監視カメラなどで監視をされているような状態であるとされています。

現に、犯罪が多い場所ほど監視カメラを設置しています。

なかにはダミーのカメラなどを設置しているような場所も多く、正に監視をすることが目的ではなく、監視をされていることを意識させることが目的であるとされています。

監視をされていることで、自分の犯罪がバレてしまうというような恐れがあることから、監視カメラが設置している場所では犯罪率が低下したと言われています。

パノプティコンてはイギリスの思想家によって作られたものであることが要因であるかのように、現在のイギリスというのは監視カメラ国家と言われているほど、監視カメラが多いとされています。

パノプティコンが産み出された18世紀の思想を現在においては文明によって保っているとされています。

6. パノプティコンの必要性とは

近年、パノプティコンの必要性が問われるようになっています。

パノプティコンが生み出された18世紀には、悪者を見張る、悪者が見られているというような気持ちになってしまうことを目的としていましたが、現在ではなにもしていないのに監視されていると感じさせられるような時代となっています。

そのことで自分自由が奪われていると感じたり、プライバシーが守られないと怯えている人がいるのも事実です。

パノプティコンのあり方としては、犯罪者に監視されているという気持ちを植え付けることでしたが、現在では職場などに監視カメラが設置されていることも多く、病院などにおいても診察室など以外には監視カメラが設置されています。

そのため、外の世界に一歩足を踏み入れたら、監視されていることを意識しながら生きていかなくてはならないような時代となっています。

パノプティコンというのは、監視されているという気持ちを植え付けることで悪事をなくそうとしていたものですが、現在においては一人ひとりの動きを監視し、身動きがとれないような状態にがんじがらめになってしまっているような傾向にあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

パノプティコンという言葉を聞いたことがなかった人であっても、監視カメラをイメージすると、とても分かりやすいのではないでしょうか。

パノプティコンは元々は悪事を働いた人を監視するために有効な監房を作り上げたことがきっかけで使われるようになった思考であるとされています。

パノプティコンは見られていることを意識させることで、犯罪を防ぐことが本来の目的であるにも関わらず、犯罪をしていない人にまで周りから監視下におかれているような気分にさせられているというのも現状であると言えます。

パノプティコンはメリットもありますが、もちろんデメリットも存在しています。

メリットをうまく使うことでよい世の中になるかもしれません。

パノプティコンは犯罪者がいないと出来上がらなかった思想ですが、デメリットを見直していき、パノプティコンが必要のない世の中になるというのが一番よいことであると言えます。