野に咲く可憐な花、スミレ。
奥ゆかしく楚々とした花ですが、実は大変品種が多く、また近い種類の花を含めると膨大な仲間を持つ花の一大カテゴリーなのです。
歴史も古く、ヨーロッパをはじめとした世界各国で愛されています。
今回は、身近ながらグローバルな花、スミレをご紹介します。
- スミレとはどんな花?
- スミレの花言葉
- スミレの色別花言葉
- スミレについて解説
- スミレのマメ知識
- スミレを育てる時の注意点
- スミレの種類
- スミレに似た植物
- まとめ
1. スミレとはどんな花?
スミレとは、スミレ科スミレ属の章物の総称です。
スミレ科の植物は有名なものも多数あり、例えばパンジー、ビオラなどもスミレと呼ばれることがあります。
スミレ科の種類は16属850種にものぼり、スミレ属の植物はその400を占めています。
園芸用として品種改良されていたり、土地環境が全く違う条件でも同じ科として分類されたり、また突然変異種なども含めこの種類数となっているようです。
2. スミレの花言葉
スミレは低い位置で素朴で可憐な花を咲かせる奥ゆかしい花です。
決して大輪の花のような派手さはありませんが、守ってあげたくなるような優しい雰囲気を持っています。
花言葉も、そんなスミレのイメージそのままの花言葉が付けられています。
ただし、これはいわゆる菫色のスミレの花言葉。
色別にも花言葉を持っており、これはまた別項でご紹介します。
2-1. 「誠実」
豪華な花束や大柄な一輪挿しには似合わないけれど、道端で、あるいは野に群生してさざめくスミレ。
可憐な見た目と相まって、その生命力の強さは裏切ることのない「誠実」さを感じます。
まじめなパートナーに、鉢植えで贈る時にカードに添えたい花言葉ですね。
2-2. 「謙虚」
ほかの花を押しのけるわけでなく、むしろ背の高い草花に埋もれてしまいがちなスミレ。
それはまるで、自己主張せずに一歩下がってついてくる女性のような奥ゆかしさを感じます。
2-3. 「小さな幸せ」
小さいながら、花を次々と咲かせるスミレ。
確かに誰もがうらやむような大きな成功ではないかもしれないけれど、日常の、ほんのささやかな出来事が嬉しい、そう思う気持ちを表しているかのようです。
3. スミレの色別花言葉
スミレは花の色が大変多い植物です。
元から色が多いことに加え品種改良により多数の色を持つようになりました。
そして、花ごとにも花言葉を持っています。
その一部をご紹介します。
3-1. 白いスミレ「誠実」「謙遜」「あどけない恋」「無邪気な恋」
白いスミレは、元来のスミレの花言葉に加え幼さ、あどけなさの残るイメージの花言葉を持っています。
白さとは純白、ほかの色に染められる前の幼子のような印象なのでしょう。
とりわけ、生命を歓び咲き誇る姿が、恋をする乙女のような初々しい花言葉を持つに至りました。
3-2. 紫のスミレ「ささやかな幸せ」「誠実」「真実の愛」
紫のスミレは、本来のスミレの花言葉とほぼ重なります。
それもそのはず、スミレ色とは紫色のこと。
紫のスミレこそ、スミレの本流に他ならないのです。
スミレ本来が持っている花言葉と違うのは「真実の愛」という言葉。
これは、同種のビオラの花言葉にも通じる、ギリシャ神話のイオという少女の恋のエピソードからなるものでしょう。
恋を貫いたイオからは、なるほど「真実の愛」を感じざるを得ません。
3-3. 黄色いスミレ「慎ましい幸福」「牧歌的な喜び」
黄色いスミレは、太陽の色をその身に集めたような輝かしい色をしています。
そのため、ほかのスミレよりも明るく、おおらかな花言葉を持っています。
3-4. ピンクのスミレ「愛」「希望」
優し気な桃色に色づくピンクのスミレは、ほかのスミレと違い直接的な「愛」という花言葉を持っています。
また、その薄桃に染まる花は将来を夢見ている乙女のようで、そこから「希望」という花言葉が生まれたとされます。
4. スミレについて解説
スミレには英名もありますが、その呼び名の範囲は大変広いためあいまいになっています。
また、種類の範囲の広さゆえ、原産地も広いことになります。
スミレというのは和名ですが、その命名は色ではなく意外な部分を取り上げています。
また、少しびっくりするような別名も持っています。
4-1. 英語での呼び名
スミレは英名を「violet」と言います。
しかし、ヴァイオレットは和名「ニオイスミレ」という香りのあるスミレのことも含みますし、またビオラ、パンジーといった園芸の区分けでは異なる品種も総括しています。
そのため、violetと言った時には「どのヴァイオレットか?」を確認する必要がありますね。
4-2. 原産地
スミレの原産地は日本列島、そして中国東北部から東部、朝鮮半島です。
なお、同じスミレ科スミレ属の仲間は幅広く、その意味であればヨーロッパ原産であったり北欧を原産としたりと様々です。
4-3. スミレの名前の由来
日本語のスミレとは、花の形に由来すると言われます。
花の形が墨壺、つまり墨入れに似ているということから、転じてスミレになったとされています。
また、和名で別名があり、その名はなんとスモウトリグサ(相撲取り草)。
これはその昔、子供たちが花の距をひっかけあって、花相撲という遊びをしたことに由来しています。
更に伊勢地方では、花相撲で遊ぶ草としてエンゴサクという草があり、エンゴサクを次郎坊、スミレを太郎坊と呼んだということです。
4-4. スミレが誕生日花の日
スミレは、1月9日の誕生花とされています。
開花時期は4月から5月が一般的ですが、2月ごろから咲き始める園芸品種もあります。
冬にもみられる花とはなりましたが、どちらかと言えばそのきりっとした紫の花色のイメージからの指定かもしれませんね。
5. スミレのマメ知識
スミレは西洋において、少し特別な意味を持つ花として扱われています。
それは、理想の女性を表す花としてのスミレです。
また、日本でもスミレは古くから親しまれ、有名な歌人も自分の気持ちを乗せて一句読んでいます。
そして、スミレは時代をさかのぼり、ギリシャ神話の世界にまで登場します。
この神話から、スミレのイメージが決定したのでしょうね。
5-1. 理想の女性はバラ、ユリ、スミレ?
スミレは、西洋においてバラ、ユリと共に、女性の美徳のうちの一翼を担う存在とされています。
バラは慈愛や美を象徴し、ユリは威厳や純潔を表現しているとされていますが、スミレは誠実さ、奥ゆかしさなどという女性のしっかりした部分を表しているとされているのです。
そのため、バラ、ユリ、スミレの美徳を併せ持った女性こそ、理想の女性であると言われています。
色気もあって気品もあり、そしてスミレのように控えめな女性ということですから、理想の女性というのも納得ですね。
5-2. 日本では控えめをフィーチャー
日本でも、古くからのその控えめなさまは親しまれていました。
かの松尾芭蕉も「山路来て/なにやらゆかし/すみれ草」と詠んだほどです。
ぱっと目に付くわけではないけれど、長い山登りにふと疲れて足元を見た時にたまたま目についたスミレの美しさ。
日本人らしい繊細なとらえ方ですね。
5-3. スミレが登場するギリシャ神話
スミレは歴史が古く、古代ギリシャですでに栽培用として愛されていたことがわかっています。
そのためか、ギリシャ神話にもその名が登場します。
菫色の瞳をした美しい娘、イアは、羊飼いの婚約者を持っていました。
しかし、その美しさに太陽神アポロンが恋をし、イアに求愛します。
しかし、イアは婚約者への愛を貫き、アポロンは自分を拒否した報復としてイアをその瞳の色と同じ色の花に変えてしまったということです。
このエピソードはスミレの花言葉として、また同じ種類のビオラの花言葉としてもモチーフにされています。
6. スミレを育てる時の注意点
スミレは丈夫で育てやすく、ガーデニング初心者にも大変おすすめの花です。
6-1. 好む環境
日当たりが良いことを好むため、鉢の置き場所も、庭植えの位置も、日が当たる場所を選びましょう。
日差しが強すぎる夏には、少々遮光してやると葉が日焼けしないため見栄えが良くなります。
6-2. 与える肥料や水に関して
肥料は鉢で育てる場合のみ与えます。
リン酸とカリウムが多めの緩効性肥料を与えますが、その場合もあまり多くは与えません。
水やりは、鉢植えの場合、表土が乾いたことをめやすにたっぷり与えます。
庭に植えた場合は雨で十分です。
あまりに雨が降らない時期などは様子を見て水を与えましょう。
6-3. 気を付けたい病害虫
病気はそうか病、うどんこ病にかかることがあります。
そうか病は雨を避けることで防ぐことができます。
うどんこ病はかかっても重症化しないのが特徴ですが、白っぽいカビが生えるため見た目が良くありません。
虫はアブラムシやハダニ、ヨトウムシなどの代表的な虫がつきますので、それぞれの駆除方法で取り除きます。
7. スミレの種類
スミレ科は大変種類の多い植物で、分類上仲間である花はたくさんあります。
どの花も主に可憐で小さな花をつけることは同じですが、花の色やサイズ、茎の形、育つ環境などが微妙に異なります。
どれもスミレのため、花言葉は共通しているのですが、あまりに違う育ち方をするスミレの仲間には固有の花言葉を持つ種類もあります。
7-1. アリアケスミレ
コシロバナスミレとも呼ばれる、白地に紫の筋の入った花を咲かせるスミレです。
紫と白の微妙で複雑なグラデーションが、まるで夜、空が白み始める有明のようということでこの名が付けられました。
7-2. ツボスミレ
アリアケスミレと同じく、白に紫の入った花をつけます。
小型で、1センチほどの小さな花です。
花の距がグッと曲がっているスミレで、その部分のことを坪と呼んでおり坪菫という名前になったという説があります。
別名はニョイスミレと呼ばれ、やはり茎の形状からの名前です。
7-3. タチツボスミレ
ツボスミレと似た見た目ですが、花のサイズが1. 5センチから2センチほどと大きいことが挙げられます。
また、花の色はまさに菫色です。
タチツスツミレの中でも形状の異なる花が存在し、毛が生えているものをケタチツボスミレ、小型のものをコタチツボスミレ、葉が厚いものをツヤスミレなどと言って分けています。
7-4. エイザンスミレ
市街地や耕作地などではなく、林の中に育つスミレ。
自生種ですが、香りのある珍しい品種です。
薄紅の花をつけ、葉が裂け、ヨモギのようなぎざぎざの形をしていることが特徴です。
エゾスミレという別名も持ちますが、なぜかエゾ、北海道では分布していません。
植生として変わっているからか、スミレの仲間の中でも固有の花言葉を持っています。
その花言葉とは「茶目っ気」。
その由来は良く分かっていません。
8. スミレに似た植物
スミレは、多種にわたるスミレ科の花の総称です。
しかし、園芸界ではある程度の区別があり、それぞれの特徴もあります。
花言葉もスミレとは違うものを持っています。
どれも可憐な花ではありますが、その名前の由来から意外な花言葉を持つ花もあります。
8-1. パンジー
パンジーもスミレ科スミレ属の植物です。
よく見るパンジーは黄色に、黒い花の模様がついていますが、その模様がまるで顔のようで、またうつむきがちに下を向いて咲くことからフランスのパンセ、思考という花の名前が付けられました。
パンジーの花は三色の複色で構成されることが多いため、三色スミレと呼ばれることもあります。
花言葉は「思慮深い」「田園の喜び」「温順」などです。
可憐で小さな花はあたたかなイメージの言葉を想像しますが、パンジーの名前の由来であるパンセより「思慮深い」という落ち着いた花言葉も持っています。
8-2. ビオラ
ビオラもスミレ科スミレ属の花です。
品種改良で様々な色があります。
黄色や紫などパンジーと混同しやすいのですが、園芸界では花のサイズで区分けしているようです。
花径が2〜3センチほどで小さいものをビオラ、8センチから10センチほどと大き目のものをパンジーと呼びます。
ビオラの花言葉は「誠実」「信頼」。
ギリシャ神話のイオンの恋物語がベースになっています。
8-3. ヴァイオレット
ヴァイオレットは同じくスミレ科スミレ属の植物ですが、最大の特徴は香りです。
パンジーやビオラより花つきが悪い代わり、部屋の中に立ち込めるほどの芳香を放つため和名はニオイスミレと言います。
花言葉は「高尚」「秘密の愛」「控えた美しさ」「奥ゆかしい」などです。
スミレ科スミレ属の中では小さめの花を咲かせることから控えめな印象を受けるヴァイオレットですが、実はその香りはマリーアントワネットの香水の原料とされていたそうです。
見た目ではでしゃばらず、ふと香る匂いで振り向かせる…ヴァイオレットは大変優雅な花なのです。
まとめ
スミレは色ごとに花言葉を持っていますが、それでも基本となるのはその控えめな奥ゆかしさ。
丈夫で栽培も簡単ですから、誠実で信頼に足るパートナーに贈り物として選んでみてもいいかもしれませんね。
3. スミレの色別花言葉
スミレは花の色が大変多い植物です。
元から色が多いことに加え品種改良により多数の色を持つようになりました。
そして、花ごとにも花言葉を持っています。
その一部をご紹介します。
3-1. 白いスミレ「誠実」「謙遜」「あどけない恋」「無邪気な恋」
白いスミレは、元来のスミレの花言葉に加え幼さ、あどけなさの残るイメージの花言葉を持っています。
白さとは純白、ほかの色に染められる前の幼子のような印象なのでしょう。
とりわけ、生命を歓び咲き誇る姿が、恋をする乙女のような初々しい花言葉を持つに至りました。
3-2. 紫のスミレ「ささやかな幸せ」「誠実」「真実の愛」
紫のスミレは、本来のスミレの花言葉とほぼ重なります。
それもそのはず、スミレ色とは紫色のこと。
紫のスミレこそ、スミレの本流に他ならないのです。
スミレ本来が持っている花言葉と違うのは「真実の愛」という言葉。
これは、同種のビオラの花言葉にも通じる、ギリシャ神話のイオという少女の恋のエピソードからなるものでしょう。
恋を貫いたイオからは、なるほど「真実の愛」を感じざるを得ません。
3-3. 黄色いスミレ「慎ましい幸福」「牧歌的な喜び」
黄色いスミレは、太陽の色をその身に集めたような輝かしい色をしています。
そのため、ほかのスミレよりも明るく、おおらかな花言葉を持っています。
3-4. ピンクのスミレ「愛」「希望」
優し気な桃色に色づくピンクのスミレは、ほかのスミレと違い直接的な「愛」という花言葉を持っています。
また、その薄桃に染まる花は将来を夢見ている乙女のようで、そこから「希望」という花言葉が生まれたとされます。
4. スミレについて解説
スミレには英名もありますが、その呼び名の範囲は大変広いためあいまいになっています。
また、種類の範囲の広さゆえ、原産地も広いことになります。
スミレというのは和名ですが、その命名は色ではなく意外な部分を取り上げています。
また、少しびっくりするような別名も持っています。
4-1. 英語での呼び名
スミレは英名を「violet」と言います。
しかし、ヴァイオレットは和名「ニオイスミレ」という香りのあるスミレのことも含みますし、またビオラ、パンジーといった園芸の区分けでは異なる品種も総括しています。
そのため、violetと言った時には「どのヴァイオレットか?」を確認する必要がありますね。
4-2. 原産地
スミレの原産地は日本列島、そして中国東北部から東部、朝鮮半島です。
なお、同じスミレ科スミレ属の仲間は幅広く、その意味であればヨーロッパ原産であったり北欧を原産としたりと様々です。
4-3. スミレの名前の由来
日本語のスミレとは、花の形に由来すると言われます。
花の形が墨壺、つまり墨入れに似ているということから、転じてスミレになったとされています。
また、和名で別名があり、その名はなんとスモウトリグサ(相撲取り草)。
これはその昔、子供たちが花の距をひっかけあって、花相撲という遊びをしたことに由来しています。
更に伊勢地方では、花相撲で遊ぶ草としてエンゴサクという草があり、エンゴサクを次郎坊、スミレを太郎坊と呼んだということです。
4-4. スミレが誕生日花の日
スミレは、1月9日の誕生花とされています。
開花時期は4月から5月が一般的ですが、2月ごろから咲き始める園芸品種もあります。
冬にもみられる花とはなりましたが、どちらかと言えばそのきりっとした紫の花色のイメージからの指定かもしれませんね。
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