イチリンソウは非常に地味で白い花ですが、群生しているととてもさわやかな光景です。
野山を訪れてイチリンソウを見つけると「春が来た」とほっとすることでしょう。
他の花の様に決して自分を主張することのないイチリンソウの花言葉やその他の魅力について紹介します。
- イチリンソウとはどんな花?
- イチリンソウの花言葉
- イチリンソウについて解説
- イチリンソウのマメ知識
- イチリンソウの伝説
- イチリンソウを育てる時の注意点
- 病害虫に注意・多い病気など
- イチリンソウの種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
- イチリンソウに似た花(ニリンソウの花言葉や特徴)
- まとめ
1. イチリンソウとはどんな花?
イチリンソウは「キンポウゲ科」の多年草で。
原産地は日本、全国各地の野山に自生しています。
茎の高さは20センチ前後と低く、葉っぱに切れ目があるのが特徴で、春には花の茎が約10センチ程生長してきて、梅の花に似た大きめの花が1輪咲きます。
花の色は白が多いのですが、中には淡いピンクのものもあります。
2. イチリンソウの花言葉
イチリンソウの花言葉は数少ないのですが、とて優美で美しいのが特徴です。
2-1. 「追憶」
イチリンソウの素朴な白い花を見ていると、昔故郷で過ごした懐かしい日々を思い出します。
小さい頃遊んだ野山の春の光景で、一面に咲いたイチリンウが頭に浮かぶことに因んで付けられました。
或いは後に紹介する伝説に由来しているとも言われていますm。
2-2. 「久遠の美」
非常にシンプルですが美しくて見飽きることがありません。
毎年変わらず愛され続ける花のイメージから付けられたと思われます。
3. イチリンソウについて解説
3-1. 英語での呼び名
イチリンソウは学名を「Anemone nikoensis(アネモネ ニコエンシス)」といます。
「アネモネ」とはギリシャ語で「風」を意味していて、可愛らしい花と長い花と茎が風に揺らぐ様子を表しています。
そして「ニコエンシス」は何と日本の「栃木県日光産」という意味で付けられているのです。
海外ではキンポウゲ科の植物はこの学名を英語で直訳して「Soft Windflower」と呼ばれています。
3-2. 原産地
イチリンソウの原産地は「日本・中国・東シベリア」です。
4. イチリンソウのマメ知識
イチリンソウは地味な花ですが、意外と多くの興味深いマメ知識になります。
4-1. 別名・スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)
イチリンソウのことを「スプリング・エフェメラル」と呼ぶ人がいます。
しかしイチリンソウの名前の由来を見てもその様な言葉はありません。
実は「スプリング・エフェメラル」とは、春先に葉が生長して花を咲かせ、夏が過ぎると葉が落ちてしまい、次の春まで地下で過ごす植物の総称なので、「春植物」と呼ばれています。
春のほんのわずかな間だけ地上に表れ、夏が過ぎると地下茎になって休眠する野草を表す言葉です。
英語に直訳すると「春のはかない命」という意味になり、「春の妖精」をイメージして付けられています。
「ニリンソウ・ユキワリソウ・フクジュソウ・カタクリ」は代表的な「スプリング・エフェメラル」です。
4-2. イチリンソウには毒がある
イチリンソウは、茎や葉っぱ全体に「プロトアネモニン」という有毒成分が含まれいてます。
これは皮膚や粘膜を刺激する毒性があり、大量に摂取すると胃腸炎を起こします。
葉っぱがヨモギに似ている為に山菜を取りに来て間違って採取してしまう人もいるのです。
食べて数時間後に食中毒の症状が表れたり、肌が敏感な人は葉っぱや茎の汁に触れるだけで皮膚がかぶれることもあります。
4-3. イチリンソウの花びらについて
イチリンソウはふんわりとした白い花びらが特徴ですが、この花びらの様に見えているのは実は「がく」の部分です。
中心部に沢山付いているのが本当の花になります。
4-4. イチリンソウの名前の由来
イチリンソウの名前の由来は、1つの茎に1輪だけ花を咲かせることに因んでいます。
イチリンソウは別名「一華草・一花草(イチゲソウ)」とも呼ばれていて、花びらの裏側が紅色になるものは「ウラベニイチゲ(裏紅一華)」と呼ばれています。
4-5. イチリンソウの誕生日花の日
イチリンソウは「4月19日」の誕生日花です。
毒性があるので生の花をプレゼントするのは難しいのですが、写真やイラストをカードにして贈ると良いでしょう。
5. イチリンソウの伝説
中国には以下のイチリンソウにまつわる伝説があります。
5-1. 悲しみにくれる母
昔、中国のある里に、幼い子供を亡くしてしまい、昼も夜も嘆き悲しんでいる母親がいました。
毎日子供の墓参りをしても悲しみは増すばかりで、涙が途絶えることはありませんでした。
しばらくすると、夜中に眠っている時に何と亡くなった愛する子供が夢に現れたのです。
子供は母親に1本の白い花を差し出して言いました。
「私は今、舟に乗って川を渡り、極楽浄土の彼岸に着きました。
そして慈悲深い仏様の元で楽しく暮らしているのです。
しかし仏様にとってはお母さん達がいつまでも悲しんでいることがとても不憫に思われてならないのです。
そこで仏様はこの花を親元に届ける様におっしゃいました。
この花には、私げ現世に残してきた魂が宿っています。
ですからこの花を私だと思って大切にして下さい」
子供がそこまで言うと、母親は急に目が覚めました。
墓に咲いたイチリンソウ
母親は夢から覚めて周囲を見回しましたが、子供が持っていた様な花は見当たりませんでした。
自分は子供のことを思うばかりに夢に見てしまったのかと思いましたが、その夢があまりにもはっきりとしていたのが気になって仕方ありませんでした。
そこで夜明けになってからすぐに子供の墓へ行って見たのです。
すると、墓の側にとても可愛らしくて綺麗な白い花が咲いているのを見つけました。
それは正に夢の中で子供が差し出してきた花に違いありません。
そこで母親はその花を株ごと掘わり出して持ち帰り、庭に植えて大切に育てました。
これがイチリンソウであったと言れています。
5-2. 西洋の伝説
西洋のイチリンソウの伝説は非常に有名です。
その昔、たくさんの星たちが集まって、遥か地上の春の景色を眺めていました。
花園には沢山の美しい花々が咲き乱れ、うっすらとたなびく春の霞にすっかり見とれていたところ、あまりの素晴らしさに1つの星がうっとりして眠気を催してしまい、地上に落ちてしまったのです。
その星は地上に落ちるや否や明るく光り、1輪の白い花になりました。
これがイチリンソウで、春になると光の様に白い花が咲き、星空を見上げて懐かしがっているのだと言われています。
6. イチリンソウを育てる時の注意点
イチリンソウは可愛らしい花ですので、庭で育てたいと思う人もいるでしょう。
以下に幾つかの注意点を紹介します。
6-1. 毒性に注意
イチリンソウは冬は休眠期に入るので、耐寒性はある植物です。
但し、冬に雪が積もる様な地域では生長が悪くなる場合もあります。
イチリンソウは茎や葉から出る汁で皮膚に炎症が起きる可能性があります。
軽く振れただけでもかゆみや痛み、水泡ができるので、長袖を着たり手袋をするなど、きちんとした服装で行う様にしましょう。
特に小さな子供がうっかり触らない様に注意します。
6-2. 日当たりは良好に
イチリンソウは春の植物ですので、とにかく明るい日差しのあるところで育てましょう。
特に春の開花時期までは日光が当たる場所で、花が終った頃には木漏れ日ができて風通しの良い場所で育てます。
毎年キレイな花を咲かせようと思ったら、とにかく葉っぱを良い状態で長持ちさせることを考えます。
葉っぱに直射日光が当たり過ぎると傷んでしまい、翌年きちんと生長できなくなります。
凍結する場所や雪の積もる場所は苦手ですので、地域によっては鉢植えにした方が良いでしょう。
6-3. 水やりは朝1回
生育中は水が大切ですので、鉢植えの場合は1日1回朝に水を与えます。
庭上の場合は雨が少ない時には水やりをしますが、そうでなければ自然環境に任せてかまいません。
休眠期には土が湿る程度に水をやれば大丈夫です。
6-4. 肥料はあった方が良い
自然に育てたいと思う人もいますが、やはり肥料があった方が良く育ちます。
植え付けの時に肥料を入れておくと良いでしょう。
鉢植えの場合はイチリンソウの根が鉢の中に張り巡らされているので、根に当たらない様に鉢の下に入れます。
発芽してきたら葉が枯れるまでは液体肥料をあげます。
7. 病害虫に注意・多い病気など
イチリンソウは病害虫が付き易いので、きちんとお手入れをしてあげることが大切です。
7-1. 「灰色かび病」
湿度の高い梅雨の時期や、冬でも雨が多い時期に発生し易くなります。
葉や茎が腐ってきて、そのままにしておくと灰色のカビが生えてきます。
7-2. 「炭そ病」
花が咲き始める4月頃から段々と葉や茎、花の周囲に黒い斑点が現れます。
葉に穴があくので害虫だと思う人が多いのですが、伝染病の一種です。
傷んだ葉っぱはすぐに切り取らないと、どんどん広がってしまいます。
7-3. 「白絹病」
土や茎の生え際が白く細い糸で覆われた様になり、段々と枯れてきます。
5月〜10月の葉が落ちる頃に発病し易いので、感染した株はすぐに抜き取り、土を整備する必要があります。
7-4. 「ナメクジ」
ナメクジは夜行性で、夜になると周囲の植物を食い荒らします。
ナメクジは庭全体に広がるので、夜に観察をして見つけたらすぐに駆除することが大切です。
7-5. 「アオムシ」
葉っぱを食べて穴を開けます。
葉の裏側に付いていることが多いので、見つけたらすぐに駆除します。
7-6. 「アブラムシ」
新芽や葉っぱの裏、茎などあらゆるところにびっしりと付き、汁を吸う害虫です。
放っておくと枯れてしまいますので、最初に見つけた時に速やかに駆除することが大切です。
8. イチリンソウの種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
イチリンソウには以下の仲間があります。
8-1. ニリンソウ
ニリンソウは、北海道から九州にかけて幅広く分布している植物です。
多くが森林に自生しているのですが、イチリンソウよりも湿気の多い場所で良く育ちます。
木漏れ日で半日くらい陰ができる湿地では、広範囲で群生しているのが見られます。
丈は20センチ〜30センチほどで、花の色は白か薄ピンクです。
ニリンソウは、1本の茎に2輪の花が咲くことから名づけられました。
但し、全て必ず2輪咲くという訳ではなく、1輪のこともあるのでそれだけでは決定的な違いにはなりません。
ニリンソウはイチリンソウの様に強い毒性はないので、食用にされています。
但し、葉っぱがトリカブトと良く似ている為に毎年誤食による中毒事故が発生しています。
ニリンソウの花言葉は「友情」「協力」「ずっと離れない」です。
8-2. アズマイチゲ
こちらも北海道から九州にかけて分布していて、林や緑地に自生しています。
関東地方で多く繁殖しているので「アズマ」の呼び名が付きました。
「イチゲ」は1本の茎に1輪花が咲くことから名づけられています。
花が咲く前は茎に細かい毛が生えていますが、開花するとなくなります。
はなびらは通常10枚前後ですが、多くなることもあります。
アズマイチゲの花言葉は「温和」です。
8-3. キクザキイチゲ
こちらは北海道から近畿地方に分布しています。
葉っぱの裂け方が最も大きく、見ればすぐに区別できます。
丈は30センチ程で、花の色は白や紫です。
キクザキイチゲの花言葉は「静かな瞳」「追憶」です。
8-4. ユキワリイチゲ
近畿地方から九州にかけて分布しています。
林の中に自生しているのですが、葉っぱの形がギザギザしていて三つ葉に似ていて、表には斑点があり、裏は紫色をしています。
丈は30センチ程、花の色は白や薄い紫色があります。
他の種類よりも開花時期が早く、2月〜3月の早春であることから「ユキワリイチゲ」と名づけられました。
ユキワリイチゲの花言葉は「しあわせになる」です。
9. イチリンソウに似た花(ニリンソウの花言葉や特徴)
イチリンソウに似た花と言えば、ニリンソウがあります。
多くの人が「1つの茎に花が1輪ならばイチリンソウ、2輪ならばニリンソウ」と覚えていますが、これは絶対ではありません。
イチリンソウとニリンソウには以下の様なはっきりとした違いがあります。
9-1. 葉っぱの形
イチリンソウの葉っぱは細く裂けた形をしていて、茎から柄が伸びてその先に葉っぱが生えています。
一方ニリンソウの葉っぱは丸みを帯びていて、茎に直接葉っぱが生えています。
9-2. 花の大きさ
イチリンソウの花は直径4センチ位、ニリンソウは2センチ位です。
2つを比較すればすぐに分かります。
9-3. 毒性の違い
イチリンソウは有毒物質が含まれていて、食べることはできません。
ニリンソウは湯がいてあく抜きをして食用にされます。
まとめ
イチリンソウは大きな花は4センチ〜5センチ程になり、遠目で見ても楽しめる植物です。
春になったら是非野山にでかけて観察してみては如何でしょうか。
花言葉と照らし合わせると、より美しさが理解できる様になるでしょう。
3. イチリンソウについて解説
3-1. 英語での呼び名
イチリンソウは学名を「Anemone nikoensis(アネモネ ニコエンシス)」といます。
「アネモネ」とはギリシャ語で「風」を意味していて、可愛らしい花と長い花と茎が風に揺らぐ様子を表しています。
そして「ニコエンシス」は何と日本の「栃木県日光産」という意味で付けられているのです。
海外ではキンポウゲ科の植物はこの学名を英語で直訳して「Soft Windflower」と呼ばれています。
3-2. 原産地
イチリンソウの原産地は「日本・中国・東シベリア」です。
4. イチリンソウのマメ知識
イチリンソウは地味な花ですが、意外と多くの興味深いマメ知識になります。
4-1. 別名・スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)
イチリンソウのことを「スプリング・エフェメラル」と呼ぶ人がいます。
しかしイチリンソウの名前の由来を見てもその様な言葉はありません。
実は「スプリング・エフェメラル」とは、春先に葉が生長して花を咲かせ、夏が過ぎると葉が落ちてしまい、次の春まで地下で過ごす植物の総称なので、「春植物」と呼ばれています。
春のほんのわずかな間だけ地上に表れ、夏が過ぎると地下茎になって休眠する野草を表す言葉です。
英語に直訳すると「春のはかない命」という意味になり、「春の妖精」をイメージして付けられています。
「ニリンソウ・ユキワリソウ・フクジュソウ・カタクリ」は代表的な「スプリング・エフェメラル」です。
4-2. イチリンソウには毒がある
イチリンソウは、茎や葉っぱ全体に「プロトアネモニン」という有毒成分が含まれいてます。
これは皮膚や粘膜を刺激する毒性があり、大量に摂取すると胃腸炎を起こします。
葉っぱがヨモギに似ている為に山菜を取りに来て間違って採取してしまう人もいるのです。
食べて数時間後に食中毒の症状が表れたり、肌が敏感な人は葉っぱや茎の汁に触れるだけで皮膚がかぶれることもあります。
4-3. イチリンソウの花びらについて
イチリンソウはふんわりとした白い花びらが特徴ですが、この花びらの様に見えているのは実は「がく」の部分です。
中心部に沢山付いているのが本当の花になります。
4-4. イチリンソウの名前の由来
イチリンソウの名前の由来は、1つの茎に1輪だけ花を咲かせることに因んでいます。
イチリンソウは別名「一華草・一花草(イチゲソウ)」とも呼ばれていて、花びらの裏側が紅色になるものは「ウラベニイチゲ(裏紅一華)」と呼ばれています。
4-5. イチリンソウの誕生日花の日
イチリンソウは「4月19日」の誕生日花です。
毒性があるので生の花をプレゼントするのは難しいのですが、写真やイラストをカードにして贈ると良いでしょう。
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