オダマキはルネサンス時代から西洋では絵画によく登場する花です。
ルーヴル美術館にあるルネサンスの画家ピサネッロ ( Pisanello ) の1435年頃の作品『ジネーヴラ・デステ ( GInevra d'Este ) の肖像』。
夫に殺害されたジネーヴラの肖像画の背後には蝶やカーネーションと共にオダマキが描かれています。
また、北イタリアの画家ベルナルディーノ・ルイーニ ( Bernardino Luini ) のブレラ美術館にある聖母子像「薔薇園の聖母」でも聖母に抱かれたイエスが右手に握っているのが「聖母の悲嘆」や「イエスの受難」を象徴するオダマキです。
当時のヨーロッパではオダマキは「悲嘆」の象徴とされていました。
その他多くの作品にも「聖母の悲嘆」や「イエスの受難」を象徴する花としてオダマキは描かれています。
ルネサンス時代には実際、オダマキは葬儀に登場する花となったこともあり、そこからさらに「イエスの受難」へと意を変えていったそうです。
また現在では宗教的意味合いで使用されることは薄れ、その独特な姿と可憐な透明感ただよう花姿から多くの人々に愛されている花のひとつです。
- オダマキとはどんな花?
- オダマキ全般の花言葉
- オダマキの花色別の花言葉
- オダマキについて解説
- オダマキの名前の由来
- オダマキの誕生日花の日
- オダマキの種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
- オダマキに似た花(花言葉や特徴など)
- オダマキのマメ知識
- まとめ
1. オダマキとはどんな花?
キンポウゲ科オダマキ属に属しています。
オダマキの花は一見すると花の中にもうひとつ花が咲いてるかのように見えます。
実は外側の花びらに見える部分は萼(がく)で、本当の花は苧環(おだまき)に例えられている内側の前方に突き出してみえる花の部分です。
花びら状の萼(がく)は大きく広がり、長い「距(キョ:植物の花びらや萼(がく)の付け根にある突起部分)」があるのが特徴です。
また花は下向きに咲くものが多いです。
1-1. 山野草として人気が高い
日本やアジア、ヨーロッパに約70種が自生していて日本原産の「ミヤマオダマキ」「ヤマオダマキ」は山野草として愛好されています。
一般的に「オダマキ」といわれるものはヨーロッパで品種改良されたものです。
北米大陸、ヨーロッパ原産の「セイヨウオダマキ」は品種改良が行われて園芸品種が多く出回っています。
一般に「セイヨウオダマキ」と呼ばれるものは主にヨーロッパ原産の「アクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)」と北米産の大輪の花を咲かせる数種との交配種をさします。
セイヨウオダマキは花色が多彩で、萼(がく)が日本のオダマキに比べるとやや水平に開きます。
2. オダマキ全般の花言葉
2-1. 「愚か」「暗愚」
オダマキの英名の「コランバイン」がヨーロッパの道化芝居に登場する娘の名前で、その娘が持つ杯に花姿が似ていることから道化師が愚かな芸をして笑わせることにちなんでつけられたといわれています。
2-2. 「必ず手に入れる」「断固として勝つ」
かつてヨーロッパでこの植物がライオンソウと呼ばれていました。
ライオンがこの葉を食べるので非常な力があるといわれ、人間が両手に葉をこすりつけるだけで勇気がでると信じられていました。
紫のオダマキの花言葉「必ず手に入れる」「勝利への決意」はこの話にちなんでいるといわれています。
3. オダマキの花色別の花言葉
オダマキには花色別に花言葉があるのでご紹介します。
3-1. 紫色のオダマキの花言葉「勝利の誓い」
こちらも全般の花言葉「断固として勝つ」と同じく、ライオンソウと呼ばれていたことからつけられました。
ちなみに西洋の紫色のオダマキの花言葉も「resolved to win(勝利への決意)」同じ意味です。
3-2. 白色のオダマキの花言葉「あの方が気がかり」
白色のイメージには「神聖」「清潔」「新しい」というものがあります。
オダマキのうつむいて咲く姿が誰かを気にしているかのようにいるかのように見えることからつけられたといわれています。
新たに何かはじめるときはわくわくすると同時に未知なものに対し不安もありますよね。
3-3. 赤色のオダマキの花言葉「心配して震えている」
西洋の赤色のオダマキの花言葉は「anxious and trembling(心配して震えている)」と同じです。
ヨーロッパで「捨てられた恋人」のシンボルになっていることに由来するといわれます。
4. オダマキについて解説
オダマキはその美しい姿からは想像しにくいですが根から花にいたるまで全てに毒を持つ植物です。
この毒はプロトアネモニン(protoanemonin)という成分で皮膚炎(水疱)、胃腸炎、心臓麻痺などの症状を引き起こすため注意が必要です。
しかし、その毒からヨーロッパでは古くは「薬草」として栽培されていたこともあったそうです。
14世紀にペストが大流行した時は、オダマキは特効薬として使用されました。
今でも広い地域で生薬として黄疸、肝臓病、慢性皮膚炎等に処方され、時に不安や興奮による動揺を抑えるための鎮静剤として用いられることもあるといわれています。
18世紀の中頃には既に薬草としての人気は無くなりました。
オダマキの毒性の強さを忌避したともいわれています。
オダマキのタネや根は非常に毒性が強く、食物として消費されると重度の胃腸炎や心臓の動悸の原因となる心臓毒素が含まれています。
4-1. 英語での呼び名
花が鳩に似ていることから英名は「コランバイン(Columbine)」といいます。
4-2. 原産地
日本、アジア、ヨーロッパが主な原産地です。
日本には「ヤマオダマキ」「ミヤマオダマキ」の2種が山地から高山にかけて分布しています。
「ミヤマオダマキ」は園芸品種としてではなく、山野草として栽培されることが多く見られます。
5. オダマキの名前の由来
5-1. オダマキの和名の由来
オダマキは、突き出している花の形が麻糸を巻くために使った苧環(オダマキ)に似ていることに由来します。
同様に糸巻きに似ているということから糸繰草(イトクリソウ)の別名もあります。
5-2. オダマキの学名「Aquilegia flabellata」の由来
オダマキの学名「Aquilegia」の由来には諸説あります。
花びらの形状が鷲のかぎ爪やくちばしに似ているということからラテン語の「aquila(鷲)」から由来したという説。
もうひとつは水を入れる容器「Aquilegium」から派生しているという説です。
オダマキの葉の部分によく露がたまることから名づけられたといわれています。
また「flabellata」は「扇状の」という意味です。
5-3. オダマキの海外の名前の由来
オダマキの英名は「Columbine(コランバイン)は「鳩のような」という意味で、つぼみの形が五羽の鳩が花を中心に輪になっているように見えることからつけられたとも、独特の花びらの形が「鳩が羽ばたいているように」見えるからともいわれています。
6. オダマキの誕生日花の日
5月14日(紫)、5月29日、6月2日(赤)
7. オダマキの種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
世界に約70種が知られるオダマキ属。
宿根草で毎年繊細で可憐な花を楽しむことができます。
日本にはヤマオダマキ(紫褐色)、ミヤマオダマキ(青紫色)の2種が山地から高山にかけて分布します。
一般に出回っているのはセイヨウオダマキの改良品種で、多彩な色や花姿を誇ります。
7-1. ミヤマオダマキ(Aquilegia flabellata var. pumila)
日本在来種で亜高山帯や高山帯の岩場、草丈の低い草原などに見られる多年草です。
草丈は10cm~20cmで開花期は4月~5月です。
花色は紫、ピンク、白などがあります。
花茎から1輪~5輪ほどの花を咲かせます。
花径は約3cm。
7-2. ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana)
日本在来の種です。
開花期は6月~8月で花径は約3cmです。
下向きに花をつけますがタネをつける頃には徐々に上向きになります。
変種で黄色い花をつけるキバナノヤマオダマキや距が内側に強く巻き込んでいるオオヤマオダマキがあります。
7-3. アクイレギア・ブルガリス「クレメンタイン」シリーズ(Aquilegia vulgaris Clementine Series)
花色がとても豊富な八重咲きのオダマキです。
距がない八重咲きクレマチスのような花をもちます。
下向きに咲くことが多いオダマキの中では上向きに咲く品種です。
7-4. アクイレギア・クリサンサ ‘イエロー・クィーン’(Aquilegia chrysantha ‘Yellow Queen’)
クリサンサの選別品種で、草丈や花の大きさなど各種の性質がそろっています。
イエロークインは鮮やかな黄色と長い距が特徴です。
草丈は70cm~90cmで 開花期は5月~7月で生育が早く丈夫な園芸種です。
8. オダマキに似た花(花言葉や特徴など)
オダマキの特徴に似た花をご紹介します。
8-1. スイセン(Narcissus)
スイセンは日本でもおなじみのヒガンバナ科スイセン属の花です。
オダマキと同じく花びら状の萼(がく)に突き出したような花をさかせます。
その形から「ラッパ水仙」とも呼ばれています。
スイセンの花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」です。
8-2. ラークスパー(Consolida ajacis)
別名をヒエンソウ(飛燕草)、チドリソウ(千鳥草)といいます。
キンポウゲ科ヒエンソウ属で原産地は南ヨーロッパで青、紫、白やピンク色の花を咲かせます。
葉や花のつき方は似てはいないのですが、ラークスパーもオダマキと同じく長い距(キョ)を持ちます。
花言葉は「陽気」「快活」です。
8-3. クレマチス(Clematis)
キンポウゲ科センニンソウ属の多年草でつる性の植物です。
同じキンポウゲ科のクレマチスもまた花びら状の萼(がく)を持ちます。
花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」「策略」などがあります。
9. オダマキのマメ知識
9-1. オダマキは「距(キョ)」が角のように突き出してるのが特徴です
ヨーロッパでは「妻に浮気をされた男は角がはえる」という言い伝えからオダマキは不義密通のシンボルとされていたとそうです。
ですが一般的にシンボルには相反する意味を持つことが多いため、不義密通の正反対の貞節にもとられたそうで、青のオダマキは貞節のシンボルだそうです。
オダマキは俳句では「春」の季語です。
9-2. オダマキは花以外にもいろいろなオダマキがあります
元々は苧環(オダマキ)という麻糸を空洞の玉のように巻いたものといいます。
能登ではこの苧環にちなんだ餡子を糸に模した求肥でくるんだ「おだまき」という和菓子があります。
また、うどんをオダマキのようにぐるぐると巻いて茶碗蒸しにしたものは「おだまき蒸し」といわれています。
9-3. ロッキー山脈に分布するオダマキ(Aquilegia coerulea)は別名を「Colorado blue columbine(コロラドの青いオダマキ)」と呼ばれています
「coerulea」とはラテン語で「スカイブルー」の意味です。
青い花びら状の萼(がく)に白い花をつけるこの清楚な青いオダマキはアメリカ・コロラド州の州花になっています。
9-4. オダマキの伝説
日本ではオダマキは糸を巻く「苧環(おだまき)」と関連づけられて次のような古事記の中にある神話に結び付けられることが多いようです。
「美しいイクタマヨリヒメという娘のもとに立派な男が現れ、二人は愛し合うようになりました。
やがて娘は妊娠します。
娘の両親は不思議に思い娘に問いますが、娘は「姓も名前も知らない」と言うので、両親は娘に「苧環と針を渡すからその男の衣の裾に糸を通した針を刺しておくように」と教えます。
娘は両親の言うとおりにしました。
翌朝、見ると衣の裾につけた糸は戸の鍵穴を通って外に出ており、残った麻は「三輪」だけでした。
糸をたどると三輪山の社のところで留まっていたので毎夜通って来られたのは三輪の神であり、生まれる子どもは三輪の神の御子であるとわかった」と記されています。
この伝説から奈良県の有名なそうめんは「三輪そうめん」とつけられたそうです。
まとめ
オダマキの美しい透明感のある可憐な涼しげな花の背後にはいろいろな花言葉やエピソードがあるのです。
3. オダマキの花色別の花言葉
オダマキには花色別に花言葉があるのでご紹介します。
3-1. 紫色のオダマキの花言葉「勝利の誓い」
こちらも全般の花言葉「断固として勝つ」と同じく、ライオンソウと呼ばれていたことからつけられました。
ちなみに西洋の紫色のオダマキの花言葉も「resolved to win(勝利への決意)」同じ意味です。
3-2. 白色のオダマキの花言葉「あの方が気がかり」
白色のイメージには「神聖」「清潔」「新しい」というものがあります。
オダマキのうつむいて咲く姿が誰かを気にしているかのようにいるかのように見えることからつけられたといわれています。
新たに何かはじめるときはわくわくすると同時に未知なものに対し不安もありますよね。
3-3. 赤色のオダマキの花言葉「心配して震えている」
西洋の赤色のオダマキの花言葉は「anxious and trembling(心配して震えている)」と同じです。
ヨーロッパで「捨てられた恋人」のシンボルになっていることに由来するといわれます。
4. オダマキについて解説
オダマキはその美しい姿からは想像しにくいですが根から花にいたるまで全てに毒を持つ植物です。
この毒はプロトアネモニン(protoanemonin)という成分で皮膚炎(水疱)、胃腸炎、心臓麻痺などの症状を引き起こすため注意が必要です。
しかし、その毒からヨーロッパでは古くは「薬草」として栽培されていたこともあったそうです。
14世紀にペストが大流行した時は、オダマキは特効薬として使用されました。
今でも広い地域で生薬として黄疸、肝臓病、慢性皮膚炎等に処方され、時に不安や興奮による動揺を抑えるための鎮静剤として用いられることもあるといわれています。
18世紀の中頃には既に薬草としての人気は無くなりました。
オダマキの毒性の強さを忌避したともいわれています。
オダマキのタネや根は非常に毒性が強く、食物として消費されると重度の胃腸炎や心臓の動悸の原因となる心臓毒素が含まれています。
4-1. 英語での呼び名
花が鳩に似ていることから英名は「コランバイン(Columbine)」といいます。
4-2. 原産地
日本、アジア、ヨーロッパが主な原産地です。
日本には「ヤマオダマキ」「ミヤマオダマキ」の2種が山地から高山にかけて分布しています。
「ミヤマオダマキ」は園芸品種としてではなく、山野草として栽培されることが多く見られます。
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