ナズナの花言葉・英語・種類別花言葉 | SPITOPI

小さい頃に道端に咲くぺんぺん草の花のその可愛らしい実を下にそっと引っ張って回しながら耳に近づけて「しゃらしゃら」という音を聞いて遊んだことはありませんか。

昔からあるこの伝承遊びの主役がこの「ナズナ」です。

道端や野原や荒地にいたるところにたくましく咲いているこのナズナは庭では「雑草」扱いされて見つけたら引っこ抜いてしまう運命になることが多いのではないでしょうか。

しかし、ナズナははた迷惑な雑草や伝承遊びで子どもが使うだけの草ではなく、ハーブや野菜として古くから利用されてきた植物です。

日本では春の七草のひとつとしてお正月の頃に七草がゆの中にいれて食べる習慣があります。

そんな身近にあるこのナズナについてご紹介します。

1. ナズナとはどんな花?

ナズナはアブラナ科ナズナ属の越年草です。

根元から花茎を中心に円盤状に並んだような根生葉という切れ込みのある細長い葉をロゼット状に広げて冬を越します。

春になると根生葉から花茎を伸ばし、白い4枚の花びらを持つ直径3mmほどのとても小さな花を花穂に次々につけて花を咲かせます。

花を咲かせながら生長していくので、下の方で花が終わって実がついていく間にも、先端部では次々とツボミができてて次々と新しい花をつけて咲きます。

1-1. ナズナの実

花が終わった後にはハート型とも軍配型ともいえる可愛らしい実をつけます。

この実は次第にふくらんで2室に割れ、タネを蒔きます。

そしてタネはまた葉をつけ春になるとまた新しい花をつけるのです。

ナズナはどんな荒れた土地にでも適応する力強い花のため、何もしなくてもどんどんふえていきます。

これが雑草といわれる所以でもあります。

2. ナズナの花言葉

2-1. 西洋のナズナの花言葉「I offer you my all(私のすべてをあげます)」

これには次のような話から由来しているといいます。

「その昔、羊飼いの男がおりました。

羊飼いは牧羊犬とともに走り回るため、大きな札入れは持ち歩かずに小さな財布を持っていました。

羊飼いは仕事を終えると家族の待つ家へ帰り、その日の賃金が入った小さな袋状の財布を自分の妻に渡しました」 この羊飼いが財布として使っていた袋の形が、このナズナの実の形に似ていたため、「すべてを捧げます」のような意味の花言葉が付けられました。

2-2. 「あなたに私のすべてを捧げます」「あなたに私のすべてをお任せします」「すべてを捧げます」

日本での花言葉も西洋の「財布(purse)」を任せることげできるという花言葉からつけられたそうです。

「あなたに私のすべてを捧げます」というとなんとなくロマンチックな意味合いにもとれますが、ロマンチックというよりも、あなたであれば財布も任せることができるという「信頼しています」という意味が強い由来です。

3. ナズナについて解説

都会でも公園や道路の脇にある小さなこの花は、あまりにも馴染み深過ぎてじっくり観察することはあまりないのでしょうか。

ナズナは知れば知るほど興味深い花だということがわかりますよ。

3-1. 英語での呼び名

ナズナの英名は「Shepherd’s purse(羊飼いの財布)」といいます。

ナズナの実の形が財布に似ていることからつけられました。

3-2. 原産地

原産地は東ヨーロッパ、西アジアです。

ナズナは縄文時代にムギなどの畑作物と一緒にメソポタミヤ(現在のイラクの一部にあたります)から中国経由で伝来した史前帰化植物と考えられています。

4. ナズナの名前の由来

4-1. 和名「ナズナ」の由来

ナズナの花名の由来には諸説あります。

夏になると枯れることから「夏無(なつな)」を語源とする説、撫でたいほどのかわいい花から「撫菜(なでな)」から「なずな」になったという説などがあります。

4-2. 別名の「ぺンペン草」の由来

「ぺんぺん」が三味線を弾く擬音語で、実の形が三味線のバチに似ていることに由来しているといわれています。

また、実の部分をとれないように下向きに引っ張ってくるくる回すと「ぺんぺん」と音がすることにちなむともいわます。

4-3. 学名「カプセラ ブルサ パストリス( Capsella bursa pastoris)」の由来

「Capsella(カプセラ)はラテン語で「小箱」が語源です。

「bursa pastoris(ブルサ パストリス)」は「羊飼いの財布」です。

5. ナズナを使った慣用句

ナズナのどこにでも根づいて次々とタネを落としどんどん株をふやしていく丈夫な性質から次のような慣用句が生まれました。

5-1. 「ぺんぺん草が生える」

ナズナが荒れた土地にも生育することから、荒れ果てた様子をいいます。

5-2. 「ぺんぺん草も生えない」

ナズナでさえも生育しないというこの慣用句は「何も残っていない状態、一切合財が残らない状態」を揶揄した表現です。

「○○が通った後はぺんぺん草も生えない(○○がくるとすべて台無しにしてしまう)」のように用います。

6. ナズナの誕生日花の日

1月17日,2月3日

7. ナズナの種類

ナズナの開花期は2月～6月で草丈は20cm～ 40cmになります。

白い小さな小花が花穂にたくさんついて咲きます。

7-1. イヌナズナ(Draba nemorosa)花言葉「無邪気」

アブラナ科イヌナズナ属でナズナの近縁種です。

ナズナとよく似た黄色い小さい花をつけます。

ナズナはハート形のような実をつけますが、イヌナズナは楕円形の実を付けます。

この実の違いがナズナとイヌナズナを見分けるポイントです。

イヌナズナは多年草で、日本中に分布しています。

食用のナズナと違って食べても効能などなく、味も悪いため、「食用の役立たず」の意味で「イヌナズナ」と名付けられました。

7-2. グンバイナズナ(Thlaspi arvense) 残念ながら花言葉はありません

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アブラナ科グンバイナズナ属のナズナの近縁種です。

原産地はヨーロッパです。

草丈は10cm～60cmで葉は長細い卵形をして光沢があります。

葉が軍配型をしているためグンバイナズナという名前がつけられました。

開花期は4月～6月で花びらは2mm～5mmほどの小さな花をつけます。

日本や北アメリカなどに帰化植物として定着しています。

7-3. マメグンバイナズナ(Lepidium virginicum)花言葉「頑張って」

アブラナ科マメグンバイナズナ属のナズナの近縁種です。

草丈は20cm～60cmでグンバイナズナより実が小さいことから「マメグンバイナズナ」の和名がつけられました。

原産地は北アメリカで日本に帰化植物として空き地や道端などに生える雑草です。

ナズナに似ていますが、茎が直立して開花時に根出葉が残らないことと花序に花が多いこと、実が軍配型ではなく丸っこいことなどがで見分けがつきます。

7-4. シロガラシ(Sinapis alba L. )花言葉「私は傷ついている」

アブラナ科シロガラシ属です。

原産地は地中海沿岸。

荒地などに自生している野草で野菜やハーブとしても利用されています。

タネはマスタードの原料です。

現在では帰化植物として世界中に分布しています。

スプラウト(モヤシのようにタネから発芽した芽)はサラダやサンドイッチの具にして食べてもとても美味しい野菜です。

7-5. イベリス(Iberis)花言葉「心をひきつける」「初恋の思い出」「甘い誘惑」

アブラナ科マガリバナ属(イベリア属)の南欧、北アフリカ、西アジアを原産とする植物です。

名前はスペインの昔の国名イベリアに由来し、この地域に多く自生していることからつけられました。

開花期は4月～6月で草丈は10cm～60cmになります。

7-6. スイートアリッサム(Alyssum Lobularia maritima )花言葉「美しさを超えた価値」「奥ゆかしい美しさ」「優美」「飛躍」

和名はニワナズナ(庭薺)といわれるアブラナ科ニワナズナ属(ロブラリア属)の植物です。

開花期は春咲きは2月～6月上旬、秋咲きは9月下旬～12月上旬と長く花を楽しめる植物です。

地中海北岸から西アジアに分布しています。

7-7. タネツケバナ(Cardamine scutata)花言葉「勝利」「情熱」「不屈の精神」「父の失策」

アブラナ科タネツケバナ属の植物です。

和名は種漬花(たねつけばな)と書きます。

草丈はは10cm～30cmで日本全土の水田跡や道端に咲いています。

開花期は3月～5月で花びらは約3mm～4mmほどの小さい白い花をつけます。

葉は細長い楕円形です。

8. ナズナのマメ知識

現在の日本ではやっかいな「雑草」扱いですが、ナズナは日本や海外で古くからハーブや食材として利用されてきているとても栄養価が高く利用価値のある植物なのです。

次から次へと花を咲かせたくさんのタネをつけるナズナは幸せの象徴でもあったのではないのでしょうか。

8-1. ナズナの花のつき方

ナズナは花茎の軸の先端が成長しながら、茎の側面に花芽を次々に作っていく「無限花序(むげんかじょ)」という花の咲き方をしています。

無限花序の中でも花茎が長く伸び、柄のついた花が間隔を開けて着いてい咲く「総状(そうじょう)花序 (英語: raceme)」です。

この咲き方をする花はフジなどがあります。

8-2. ナズナは漢字では「薺」と書きます

日本でも古くから自生しているなじみのある花は「家紋」にもなっています。

五つ薺 (いつつなずな)は5枚のロゼッタ状の葉をシンプルに描いたものです。

八つ薺(やっつなずな)はもっとディテールにこだわってより本物の葉に近い家紋になっています。

その他にも変わり薺(かわりなずな)、丸に薺(円の中に五つ薺を入れたもの)、雪輪に六つ薺 (ゆきわにむっつなずな)など多くあります。

身近な植物であるナズナの家紋を武家でも使用されていたらしく、仙台の伊達氏も用いていたという記録もあります。

8-3. 美味しい野菜ナズナ

春の七草のひとつナズナはかつては冬の貴重な野菜だったそうです。

またどんな荒れた地でも生育する丈夫なナズナは貧しい人にとっても大切な食料でもありました。

江戸時代の儒学者、原益軒は『大和本草』にて「『天生此物為幽人山居之為』コレ味ヨキ故也(「天は世を捨て暮らしている人の為にナズナを生じた」これは味が良いためである)」と記しています。

日本では食用にするのには若葉を使います。

七草がゆのほかにもおひたし、てんぷらとしても美味しく食べることができます。

また、中国では野菜の一つで、チーツァイとよばれ上海あたりでは1年中出荷されています。

ナズナで作ったワンタンは中国ではポピュラーなものです。

韓国ではナズナは「ネンイ」という名前で春と秋にお店の野菜コーナーでよく目にする食材だそうです。

韓国では根ごとナムルや味噌汁にいれて食べられています。

8-4. ハーブとしてのナズナ

ナズナはタンパク質が豊富で抗酸化作用にも優れています。

ビタミン、カルシウムも豊富で食物繊維、亜鉛、葉酸、鉄分なども豊富な身近なハーブなのです。

カリウム、サポニンが豊富に含まれており、むくみの解消効果があるといわれています。

血液を生成するので特に女性に良いといわれています。

日本や中国では便秘・下痢から解熱・生理不順など様々な病気に対応する優れた民間医薬(薬草)としても利用されてきました。

日本や中国ほどは広がりませんでしたが、ヨーロッパでも止血用の薬草として特に薬の入手がしにくかった第一次世界大戦中にはよく利用されたそうです。

陰干ししたナズナは「ナズナ茶(シェパーズパース茶)」として利用します。

胃腸障害、眼精疲労、疲労回復、がん予防、解毒作用、利尿作用、殺菌作用、抗菌作用、止血作用に効果があるとされています。

まとめ

春の七草といえば芹(セリ)、御形(ゴギョウ:母子草ハハコグサ)、繁縷(ハコベラ)、仏の座(ホトケノザ)、・菘(スズナ:蕪カブ)、蘿蔔(スズシロ:大根ダイコン)そして薺(ナズナ)。

葉物野菜の乏しい冬にとって食べ、邪気を払い縁起を祝った中国の古い風習が日本にも伝えられて春の七草になったといわれています。

中国では古くから食べられていた野菜で6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』の中で「あつものの実に使う」と載っているそうです。

日本では平安時代初期の『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(901ころ)に薺(なずな)、甘奈豆奈(あまなずな)の名で登場し、『延喜式(えんぎしき)』(927)には雑菜としてその名があがっているそうです。

江戸時代は陰暦4月8日にナズナを行灯(あんどん)につるして、虫除(むしよ)けのまじないにしたといいます。

このようにナズナは食用にも薬用にも利用された日本でも伝統ある植物なのです。