モッコウバラは可愛らしい小振りな花をたわわに付けて咲かせる姿が人気で、住宅のフェンスが花で埋め尽くされている風景は一般的になってきており、身近な花の1つになっています。
そんなモッコウバラの花言葉や名前の由来などの豆知識、栽培方法などを解説します。
- モッコウバラとはどんな花?
- モッコウバラの花言葉
- モッコウバラが咲かない原因
- モッコウバラ(木香薔薇)の名前の由来
- モッコウバラの見ごろ時期
- モッコウバラの名所
- モッコウバラの育て方
- モッコウバラの種類
- まとめ
1. モッコウバラとはどんな花?
モッコウバラ(学名Rosa banksiae)は、バラ科バラ属の常緑つる性の低木です。
花は一重と八重があり、花色は白色と薄い黄色の2色です。
白色の花には香りがありますが、黄色の八重咲きには香りがありません。
原産地は中国西南部です。
木香薔薇・木香茨の別名があり、英名はbanksia roseです。
トゲがないので扱いやすく、大変丈夫で高温多湿の環境でも病気の心配が少なく、初心者でも育てやすいバラです。
日本には江戸時代、1720年頃に黄色の八重咲き品種が渡来しました。
当時日本に来ていたドイツ人医師のエルゲルト・ケンペルは、日本でバラの栽培が行われていたことを記録に残しています。
モッコウバラは、秋篠宮眞子様のお印となっています。
お印というのは日本の皇族が用いる徽章のことで、身の回りの品などに用いられます。
ご生誕から7日後の「命名の儀」で、モッコウバラと発表され、モッコウバラの人気が高まりました。
2. モッコウバラの花言葉
モッコウバラの花言葉には「あなたにふさわしい人」「初恋」「幼い頃の幸せな時間」「素朴な美」「純潔」があります。
2-1. 「あなたにふさわしい人」
つるバラは、フェンスや支柱につるを絡ませながら成長します。
何かに寄り添ってどこまでもつるを伸ばし、可憐な花を沢山咲かせることから、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-2. 「初恋」「幼い頃の幸せな時間」「素朴な美」
モッコウバラは、小振りで優しい色の花を沢山咲かせます。
派手な華やかさはありませんが、優しい美しさがあります。
その様子が幸せそうな可憐な少女を思わせることから、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-3. 「純潔」
聖母マリアがヴェールをかけたバラのつぼみが純白のバラを咲かせた、という伝説があります。
モッコウバラには白い花をさかせるものがあることから、白ばらを象徴する「純潔」という花言葉が付けられたと考えられています。
3. モッコウバラが咲かない原因
モッコウバラは、株が充実しないと花が咲きません。
又、生育が大変に旺盛なので、手入れをしないで放っておくと枝ばかりが伸びてしまいます。
そうすると花が咲かなかったり、花つきが悪くなったりしますので、きちんと剪定をする必要があります。
モッコウバラは養分が少ない環境でも子孫を残そうとして花を咲かせます。
与える養分が多すぎると、子孫を残そうとせずにまだ成長しようとして、花を咲かせなくなることがあります。
4. モッコウバラ(木香薔薇)の名前の由来
根を漢方薬として用いる「木香菊」の香りに似ていることから、モッコウバラの名前が付けられたと考えられています。
また、インドや中国に分布している植物の根を乾燥させたものが「木香」という香料の原料とされており、モッコウバラの根を原料とした香料が「唐木香」と呼ばれていたことに由来しているとも言われています。
学名のrosa banksiae(ロサ・バンクシエ)は、イギリスの植物学者J・バンクスの夫人Lady Banksの名前に因んでつけられたものです。
rosaはギリシャ語の「rhodon(バラ)」やケルト語の「rhodd(赤色)」に由来しています。
ナポレオン1世の皇后で、熱心なバラ収集家として有名なジョゼフィーヌのもとに届けられたモッコウバラの株が見事な花を咲かせたといわれています。
「バラの画家」として有名なベルギーの画家Pierre-Joseph Redoute(ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ)の作品に、モッコウバラを描いた「Lady Banks(レディバンクス)」という作品があります。
5. モッコウバラの見ごろ時期
モッコウバラは、4月~5月頃に開花します。
花は直径2~3cmほどと小振りです。
春から初夏にかけての爽やかな季節に、優しく可憐な花を沢山咲かせます。
黄色や白の花を所せましと咲かせますので、とても見応えがあります。
6. モッコウバラの名所
6-1. 小栗家住宅の白モッコウバラ(愛知県)
国登録有形文化財の小栗家住宅の庭にある大きな白モッコウバラ「萬三の白モッコウバラ」が有名です。
樹齢150年ほどで、日本で最大最古のモッコウバラと言われています。
2011年に半田市の天然記念物に指定されました。
毎年4月中旬~5月初旬に可憐な白い花を見ることができます。
このモッコウバラの幹はハート型に見えます。
開花時期には「萬三の白モッコウバラ祭り」が開催されています。
白モッコウバラのお花見をメインに、その開花を祝うお祭りです。
夜にはモッコウバラがライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれたお花見をすることができます。
この祭り限定のお酒やスイーツが販売されたり、様々なイベントが行われます。
6-2. グラバー園(長崎)
グラバー園にある「旧オルト住宅」には、日本最古・最大級といわれるモッコウバラがあります。
メルヘンな作りの建物をモッコウバラが覆っています。
「旧オルト住宅」は庭に噴水があり、花に囲まれています。
イギリス人、ウィリアム・ジョン・オルトが慶応元(1865)年~明治元(1868)年の3年間居住していました。
その後は女学校の校舎や米国領事館として使われ、明治26(1903)年からはフレデリック・リンガーの長男一家が居住していました。
オルトは日本の開国と同時に長崎にオルト商会を設立した人物で、日本のお茶を海外に広めた人物として知られています。
いろは丸事件の時には、坂本龍馬の相談にも乗ったことが書物に記されています。
グラバー園は、昭和49(1974)年に開園。
1万坪以上ある敷地では外国人居住邸宅を見て回ることができます。
長崎を代表する人気観光スポットです。
6-3. アメリカ山公園(神奈川県)
モッコウバラのトンネルがあります。
満開時には白と黄色の可憐なモッコウバラの花がトンネルを覆いつくし、人気の写真スポットになっています。
アメリカ山公園は、横浜開港150周年を記念する事業の一環で整備された公園です。
見晴らしの良い公園で、ベイブリッジやマリンタワー、富士山を望むことができます。
西洋風の庭園で、四季折々の植物を楽しむことができます。
各種イベントも開催されています。
6-4. イタリア山庭園(神奈川県)
水や花壇を幾何学的なデザインで配置したイタリア式の庭園が素晴らしい公園です。
季節ごとに様々な花が咲き競います。
ベイブリッジやみなとみらいなど横浜を象徴する景色を眺めることができる人気の観光スポットです。
イタリア山庭園内にある「外交官の家」の庭では黄色いモッコウバラが沢山の花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませています。
6-5. 旧古河庭園(東京都)
昭和31年に開園された面積30,780. 86m2もの広い庭園です。
園内にはジョサイア・コンドル作の洋館、洋風庭園、日本庭園、茶室があります。
洋風庭園はジョサイア・コンドル設計によるフランス式庭園とイタリア式庭園の技法を融和させたもので、洋館とともに見事な景観を作り出しています。
小川治兵衛作の日本庭園には、枯滝・大滝があり、冬はマツの雪吊が風物詩になっています。
洋風庭園のバラ園には約100種、199株ものバラが咲き誇り、重厚な洋館とバラの風景を毎年楽しみにしているファンも多くいます。
バラの開花時期には「バラフェスティバル」が開催され、様々なイベントが催されます。
フェスティバル期間中は庭園内がライトアップされます。
ライトに浮かびあがる庭園は幻想的で、昼間とはちがった美しさを楽しむことができます。
6-6. 国営越後丘陵公園
面積約400haの国営公園です。
広い園内には趣の異なるエリアが様々あり、四季折々の花を観賞することができます。
「香りのバラ園」では黄色いモッコウバラを見ることができます。
季節ごとに様々なイベントも開催されています。
バーベキュー場、レストラン、カフェもあり、憩いのひと時を過ごすことができます。
7. モッコウバラの育て方
7-1. 用土
モッコウバラは水はけの良い環境を好みます。
鉢植えの場合は、赤玉土6:腐葉土4の割合で混合した用土を用意するか、市販されているバラ専用の培養土を使いましょう。
庭植えの場合は、苗を植える場所の土を掘り上げて堆肥を混ぜておきます。
2週間ほどたったら植え付けをします。
7-2. 水やり
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水を与えます。
水を与え過ぎると鉢内が過湿状態となり根腐れを起こす原因になりますので注意しましょう。
地植えの場合は、水を与えなくても大丈夫です。
7-3. 肥料
6~9月上旬頃までの期間は、月に2回ほど、市販のバラ用肥料を与えます。
油かすや骨粉などの固形肥料、又は緩効性の化成肥料でも大丈夫です。
肥料を与えすぎると花を咲かせなくなることがあります。
又、根を痛めることもありますので、肥料は与え過ぎないようにしましょう。
7-4. 植え付け
鉢植え
10~11月に植え付けをします。
苗の根についている土は落とさずにそのまま植えます。
苗より二回りほど大きな鉢に鉢底石を敷きます。
水はけのよい用土を鉢の1/3ほど入れ苗を置き、再び用土を入れていきます。
つるを誘引するための支柱を立てます。
地植え
10~11月に植え付けをします。
苗の根についている土は落とさずにそのまま植えます。
日当たりと水はけの良い場所に植えましょう。
つるを誘引するためにフェンスなどを立てます。
7-5. 植え替え
10~11月が植え替えの適期です。
鉢の中が根でいっぱいになったら、二回り大きな鉢に植え替えます。
かつ根鉢を崩さないように植え替えます。
植え替えをする時は、新しい用土を用意しましょう。
7-6. 病気や害虫
モッコウバラは大変丈夫な植物なので、病害虫の心配はほとんどありません。
ごく稀にアブラムシやハダニが付くことがあります。
見つけたらすぐに薬剤を散布して駆除しましょう。
ハダニは暖かく乾燥した時期に、風通しの悪い環境で発生しやすくなります。
枝葉が混んできたら剪定をして風通しを良くしておきましょう。
7-7. 増やし方
モッコウバラは、挿し木で増やすことができます。
挿し木の作業は花が咲き終わった6月頃に行います。
硬くなった枝を10~15cm切り取り、切り口を斜めに切ります。
この時、良く切れる園芸用のハサミを使いましょう。
切り口に発根促進剤をまぶして、赤玉土やバーミキュライトを入れた鉢に挿しておきます。
乾燥しないように鉢にビニールを被せてから、明るい日陰で管理します。
30~40日後、根が出てきたらビニールを外し、水やりは控えます。
根が十分に育ってきたら、鉢や庭に植え替えましょう。
7-8. 剪定
花が咲き終わる5月下旬~6月頃に枝を剪定します。
8~9月頃に新芽をつけます。
この新芽が育って翌年たくさんの花を咲かせますので、夏前に剪定を終えておきましょう。
花の咲き終わった枝を半分くらいの長さに切ります。
樹形のバランスを見ながら作業しましょう。
7-9. 誘引
剪定した後、樹形を整えながら、太い枝をフェンスに絡めて麻縄などで固定します。
斜めや横向きに絡ませるようにすると、株が広がるようになります。
8. モッコウバラの種類
モッコウバラには、黄色い花を咲かせる品種と、白い花を咲かせる品種があります。
一般的にモッコウバラといえば、黄花八重咲の「ロサ・バンクシア・ルテア」を指し、秋篠宮眞子様のお印となっています。
黄モッコウバラ(黄木香薔薇)
一重咲きのロサ・バンクシア・ルテスケンス(Rosa banksiae f. lutescens Voss)
八重咲きのロサ・バンクシア・ルテア(Rosa banksiae f. lutea Rehder)
白モッコウバラ(白木香薔薇)
一重咲きのロサ・バンクシア・ノルマリス(Rosa banksiae var. normalis)
八重咲きのロサ・バンクシア・アルボプレナ(Rosa banksiae f. alboplena)
八重咲きのロサ・バンクシア・アルバ(Rosa banksiae f. alboplena Rehder = Rosa banksiae Aiton 'Alba')
まとめ
バラは一般的には栽培に手がかかる植物ですが、モッコウバラは害虫や病気にも強くとても丈夫で、バラ特有のとげもありません。
ガーデニング初心者にも育てやすい花です。
フェンスに這わせたり、バラのアーチにすることのも人気があります。
優しい色の花を咲かせるモッコウバラで、春の庭がより一層華やぎます。
3. モッコウバラが咲かない原因
モッコウバラは、株が充実しないと花が咲きません。
又、生育が大変に旺盛なので、手入れをしないで放っておくと枝ばかりが伸びてしまいます。
そうすると花が咲かなかったり、花つきが悪くなったりしますので、きちんと剪定をする必要があります。
モッコウバラは養分が少ない環境でも子孫を残そうとして花を咲かせます。
与える養分が多すぎると、子孫を残そうとせずにまだ成長しようとして、花を咲かせなくなることがあります。
4. モッコウバラ(木香薔薇)の名前の由来
根を漢方薬として用いる「木香菊」の香りに似ていることから、モッコウバラの名前が付けられたと考えられています。
また、インドや中国に分布している植物の根を乾燥させたものが「木香」という香料の原料とされており、モッコウバラの根を原料とした香料が「唐木香」と呼ばれていたことに由来しているとも言われています。
学名のrosa banksiae(ロサ・バンクシエ)は、イギリスの植物学者J・バンクスの夫人Lady Banksの名前に因んでつけられたものです。
rosaはギリシャ語の「rhodon(バラ)」やケルト語の「rhodd(赤色)」に由来しています。
ナポレオン1世の皇后で、熱心なバラ収集家として有名なジョゼフィーヌのもとに届けられたモッコウバラの株が見事な花を咲かせたといわれています。
「バラの画家」として有名なベルギーの画家Pierre-Joseph Redoute(ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ)の作品に、モッコウバラを描いた「Lady Banks(レディバンクス)」という作品があります。
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