クレマチスの原種は日本を含む世界中で約300種類存在すると言われています。
その系統は様々ありますが、園芸種を総称して「クレマチス」と呼びます。
日本では安土桃山時代から栽培が開始されました。
19世紀頃に有名な医師で植物ハンターとしても知られるシーボルトが日本に自生しているのクレマチスをヨーロッパへ持ち帰ってから園芸品種の育種がさらに活発になり、様々な変化に富んだ品種が誕生したと言われています。
クレマチスはヨーロッパではバラのパートナープランツとして親しまれています。
イギリスではクレマチスのことを「Queen(女王)」と呼び、ツルバラのことを「King(王)」と呼ぶそうです。
クレマチスのつるはバラと相性が良いためです。
クレマチスはつるを上に上に伸ばしてたくさんの花をつける世界中から愛される花です。
- クレマチスとはどんな花?
- クレマチスの花言葉
- クレマチスの色別の花言葉
- クレマチスの名前の由来
- クレマチスの開花時期
- クレマチスの育てる時のポイント
- クレマチスの原種や品種と似ている花
- まとめ
1. クレマチスとはどんな花?
キンポウゲ科センニンソウ属の多年草でつる性または直立性の植物です。
花色は白、ピンク、紫なやグラデーションになっているものととても数多くあります。
花びらはなく、花びらに見える部分は萼(がく)です。
花びら状の萼(がく)の数も品種に異なり、少ないものは4枚から八重咲きまであります。
原種は花も小さく、花色もあまりありませんが可憐な花を咲かせます。
種類が多いクレマチスは花の咲く時期も4種類の系統によって違ってきます。
1-1. 四季咲き
長期間にわたって花が次々と咲いたり、剪定すると繰り返し咲く四季咲きのグループです。
フロリダ系(原種:テッセン)
上を向いて大きな花を咲かせる市場にもっとも流通しているともいわれるクレマチスです。
テキセンシス系
チューリップのような形の花がつきます。
ヴィオルナ系
細長くベル状の花をつけます。
インテグリフォリア系
木立ち性です。
花は下や横向きに咲きます。
1-2. 春咲き
アーマンディー系(原種:クレマチス・アーマンディー)
中国が原産の原種です。
香りが良いものが多くあります。
アトラゲネ系
アルピナ・マクロペタラ・コリアーナなどに属するか、それに由来する園芸品種です。
夏の暑さが苦手です。
モンタナ系
原産地は中国の高山です。
モンタナを中心に改良されました。
芳香があります。
小輪の花を株全体覆い尽くすように多数咲かせます。
クレマチスのなかでも特に多花性です。
フォステリー系
ニュージーランド原産です。
小輪の花を、株いっぱいに咲かせます。
常緑性でパセリのような切れ込みがある葉が特徴です。
1-3. 夏~秋咲き
タングチカ系(原種:クレマチス・タングチカ)
中国やヒマラヤの高山に分布し、クレマチスとしては珍しい黄花系です。
フラミュラ系(原種:センニンソウ)
日本に自生するセンニンソウなどの改良種で芳香があります。
ヴィタルバ系
日本や中国が原産で雄しべが突き出して見える花を持ちます
ヘラクレフォリア系
日本や中国に自生するクサボタンの改良種です。
からみつかない直立性です。
1-4. 冬咲き
10月から5月に白やアイボリーホワイトの下向きに咲く花が咲きます。
常緑性と落葉性があります。
シルホサ系(原種:クレマチス・シルホサ)
冬咲きのシルホサを中心に改良されました。
カンパネラ系
インドから中国が原産地です。
ベル状の花をつけます。
2. クレマチスの花言葉
2-1. 「精神の美」
ツルが細いのに大きく鮮やかな花を咲かせることに由来しているといわれています。
大きく育てば300cm以上にもなるクレマチスを支えるつるは一見すると細く弱いものに見えます。
しかし、実際は強く頑丈で大きくなった花全体を支えています。
外面からはわからない心の強さ=精神の美ととらえらてつけられたといわれています。
2-2. 「旅人の喜び」
ヨーロッパには旅人が快適に一夜を過ごせるよう宿の玄関にクレマチスを植えるという慣習があったそうです。
宿主のそのやさしい思いを旅人が喜んだことにちなんでいるといわれています。
2-3. 「策略」
ヨーロッパの乞食がクレマチスのつるをわざと自分に巻きつけ傷をつけ、毒を持つ葉を傷口にすり込むんで皮膚を醜くただれさせ、より哀れに見せて物乞いをしたことからこの花言葉がつきました。
2-4. 「創意工夫」
つる性の茎は誘引してあげれば色々な花姿になるためこの花言葉がついたといわれます。
2-5. 「高潔」
バラの王、クレマチスの女王と呼ばれることから女王の持つ高潔のイメージがついたようです。
2-6. 「心の美しさ」
「精神の美」と同じ由来です。
外見の美しさをほめられると嬉しいものですが、心の美しさをほめられるとよりいっそう嬉しく思いますよね。
「心の美しさ」という花言葉を持つクレマチスをそのメッセージをこめて大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか。
2-7. 「甘い束縛」
美しい花が巻き付いて咲くことから「甘い束縛」という花言葉がついたといわれています。
3. クレマチスの色別の花言葉
3-1. 紫色のクレマチスの花言葉 「精神の美」
クレマチス全般と同じですが、紫色は「精神の美」。
紫色でも濃淡あるクレマチスの花色は美しいものです。
3-2. 白色のクレマチスの花言葉 「旅の感激 」
クレマチス全般と同じヨーロッパで旅宿でクレマチスが植えられたことからつけられたといわれています。
3-3. クレマチスの葉の花言葉「貧乏」
クレマチスの葉には接触皮膚炎(水泡)を起こす毒性があります。
こちらも乞食の話が元になっているそうです。
4. クレマチスの名前の由来
花名のクレマチスは、ギリシア語の「klema(クレマ、つる)」に由来します。
その名のとおり、修景用のつる植物として人気が高く「つる性植物の女王」として知られています。
英語名の「Traveller’s joy(旅人の楽しみ)」は「旅人が宿での生活に満足すように」とクレマチスを宿泊施設の玄関などに植える習慣があるためつけられたそうです。
イタリア語では「ごま塩ひげ」、フランス語では「乞食草」といった呼び名もあります。
乞食草の名は、クレマチスの葉には毒性があり、かつてフランスの乞食がクレマチスの葉をつぶして皮膚につけ、わざとただれさせて通行人の同情をひいたことにちなむといわれています。
また「テッセン(鉄線)」も強いつるから命名されたといわれています。
5. クレマチスの開花時期
クレマチスの開花時期はそれぞれの系統によって違います。
四季咲き:
開花期は4月中旬から10月で種類によって違います。
春咲き:
開花期は3月から5月です。
種類によって違ってきます。
夏~秋咲き:
開花期は5月から10月です。
種類によって違ってきます。
冬咲き:
開花期は10月から5月ごろです。
種類によって違ってきます。
6. クレマチスの育てる時のポイント
6-1. 場所
日光が大好きなので半日以上日が当たる場所で育てます。
半日陰でも明るさがあれば育ちますが、花つきは少し悪くなったり徒長しやすくなります。
株元が日陰でも枝に日が当たる場所でもいいです。
真夏は半日陰が適しています。
鉢植えの場合、夏の直射日光が鉢に当たって熱をもつと根を傷めてしまうので半日陰に置くか鉢に直射日光が当たらないよう注意します。
庭植えの場合、真夏の直射日光には少し弱いですが、水切れしないならば枯れるまでにはなりません。
また風通しのよいことも大切です。
しかし強風にあたるような場所は避けます。
水はけのよい場所がよいので庭植えの場合は水はけをよくするためにあらかじめ軽石などを加えておくといいでしょう。
クレマチスは冬の間に地上部が枯れる新枝咲きと、ツルだけ残ったり常緑の旧枝咲き・新旧枝咲きとがあります。
枯れたと思って抜かないように何咲きかを確認するのが大切です。
6-2. 植えつけ・植え替え
クレマチスの根は弱いため移植をきらいます
庭植えにする場合、移植しないですむように場所を十分考えてから植えつけます。
つる1節分土中に深植えします。
鉢植えの場合は鉢底から根が見えてきたら植え替えします。
土をほぐさずにひと回り大きな鉢の底に軽石を敷いた上に植えつけます。
大きく育ってしまった場合は庭植えにしたほうが無難です。
6-3. 水やり
クレマチスは乾燥に弱いです。
水切れしないように注意します。
鉢植えでは、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
特に夏は乾きやすいので、1日に2回朝夕の水やりが必要です。
一旦ぐったりとしおれるような状態になると、枯れなくてもなかなか復帰しないので気をつけます。
夏に休眠するシルホサ系は、土の乾き具合をよく確認し、表土がすっかり乾いてから水やりしましょう。
過湿にならないよう注意します。
庭植えの場合、根が活着してしまえば、基本的に水を与える必要はありません。
ただし、雨が降らない日が続いたり、葉がぐったりとしおれるようなときは、たっぷりと水やりします。
春咲きクレマチスのフォステリー系は、晩秋から冬の間に、やや乾かし気味に管理した方が花芽がつきやすくなります。
ほかの系統とはやや管理が異なるので、注意しましょう。
6-4. 肥料
芽が出て開花するまでは、しっかりと肥料を与えます。
1週間に1回液肥をやるか、3月以降に緩効性肥料を2ヶ月に1回、根元に与えます。
液肥は通常の植物より濃い目位で丁度いいです。
クレマチスは高温多湿が苦手なので真夏には肥料を与えません。
ただし四季咲きの場合、秋以降も花を咲かせるのため、様子をみながら与えます。
6-5. ふやし方
さし木とつる伏せがありますが主にさし木でふやします。
さし木
4月下旬から7月下旬ごろに、今年伸びた新しいつるの堅い部分を清潔な用土に2節分(10cm~15cm)さします。
上の葉を4枚か5枚を残してその他の葉は落とします。
葉を残していると植物には負担になりますが葉がなければ発根しません。
明るい日陰から徐々に日の当たる場所へ移しながら管理します。
水切れしないように受け皿にはつねに水がたまっている状態にします。
このとき水が腐らないように注意します。
約2か月で発根するので普通の培養土かクレマチスの培養土に植えます。
つる伏せ
4月下旬から7月下旬ごろに、昨年から今年にかけて伸びているつるを親株についたままの状態で1~2節埋めて、節から根を出させる方法です。
翌春、土から出ているつるを引っ張って、抜けなければ発根しています。
親株とつながったつるを、切り離します。
6-6. 誘引・剪定
誘引
クレマチスはツル性植物で、自分の力だけでは自立できません。
フェンス、ネットなどに誘引させなくては勝手に好き勝手につるを伸ばしていきます。
クレマチスは下へ下がると葉っぱや花が出ません。
基本的に斜め上に誘引させると花と葉を出させることができます。
そのままにしておくと真直ぐ上に伸びます。
誘引方法:
新枝咲きと新旧枝咲きの場合はツボミが見え始めてからはじめます。
新芽が出た直後は枝がまだしっかりとせず折れやすいため、枝がかたく強くなってから誘引をはじめます。
絡んでいたら解きます。
もし解けない場合は絡んでいる場所を切断します。
誘引するときは力を入れて曲げます。
少し折れても枝がかたくなっていた場合、完全に切断しない限りは枯れません。
フェンスやネットに絡ませるならS字に誘引して上へと上らせます。
行灯仕立てにする場合は下のほうからゆったりと巻いていきます。
上までいったら一番下に戻ってまた下から、らせん状に巻きつけます。
6-7. 病気・害虫
病気:
立枯病、白絹病、うどんこ病、葉枯病、さび病など
かびが原因の立枯病、白絹病は未熟な腐葉土が混ざっていると菌が混ざっていることがあるので気をつけます。
風通しが悪いと、うどんこ病、葉枯病、さび病などが発生しやすくなります。
害虫:
アオムシ、ナメクジ、アブラムシ、コガネムシ、ヨトウムシ、ハダニなど
葉が食害されたり、葉がすすけたような症状が出ます。
病気の原因にもなるので早めに薬剤を散布するなどして早めに対処しましょう。
コガネムシの幼虫は根を食害するので見つけ次第駆除します。
7. クレマチスの原種や品種と似ている花
7-1. テッセン(Clematis florida Thunb. var. sieboldiana Morren)四季咲きクレマチス
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原産地は中国です。
草丈は1mから3mほどになります。
乳白色の花びら状の萼(がく)と紫色のしべとのコントラストが美しい花です。
シーボルトがヨーロッパに持ち帰ったので「クレマチス・フロリダ・シーボルディー(Clematis florida 'Sieboldii')」と呼ばれているそうです。
7-2. クレマチス・アーマンディー(Clematis armandii)春咲きのクレマチス
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原産地は中国の原種です。
開花期は3月から4月で草丈は5m~8mほどになります。
白い花びら状の萼(がく)4~6枚ほどつけます。
常緑性で香りが良いことで知られています。
樹勢旺盛でアーチやトレリス仕立てにすると美しいです。
先端がとがったような濃い緑の葉が茂るため花のない季節でも寂しくなりません。
7-3. センニンソウ(Clematis terniflora)夏~秋咲きのクレマチス
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日本に自生する原種で開花時期は7月から10月です。
草丈は2m~3mほどになります。
白花4弁の小花がつき、株全体が白く見えるほどの花が咲きます。
芳香性です。
和名の「仙人草(センニンソウ)」は痩果(そうか、乾いた果実の一種)の綿毛を仙人の髭に見たてたことに由来します。
有毒植物なので別名が「ウマクワズ(馬食わず)」です。
7-4. クレマチス・シルホサ(Clematis cirrhosa)冬咲きのクレマチス
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原産地はポルトガルの原種で開花期は11月から4月です。
花径は2cmから3cmで草丈は1. 5m~2mほどになります。
白いベル状の花をつけます。
アーチ仕立てにも庭植えにも鉢植えにも向いています。
7-5. クレマチスによく似た花、皇帝ダリア(Dahlia imperialis )
メキシコから中米に分布しているキク科テンジクボタン属の植物です。
この皇帝ダリアは茎が太く成長すると5m~6mほどの高さになります。
花の形と大きいところからクレマチスと間違えられることがあるようです。
皇帝ダリアの花言葉は「乙女の真心」「乙女の純潔」
7-6. クレマチスによく似た花、トケイソウ
熱帯アメリカ、アジア、オーストラリアが原産地のトケイソウ科トケイソウ属の多年草でです。
草丈は3m以上にもなります。
クレマチスと同じつる性植物で花の形が3つに分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針のように見えることからトケイソウの名前がつけられました。
果物のパッションフルーツはトケイソウの仲間「クダモノトケイソウ」の果実です。
トケイソウの花言葉は「聖なる愛」「信仰」「宗教的熱情」です。
7-7. クレマチスによく似た花、マダガスカルジャスミン
その名のとおりマダガスカルが原産地のキョウチクトウ科シタキソウ属の植物です。
ジャスミンという名ですがモクセイ科のジャスミンとはまったく違う植物です。
開花期は4月~9月で草丈は2m、大きいもので5mにもなるつる性の植物です。
ジャスミンの花言葉は「二人で遠くへ旅を」「愛される花嫁」「清らかな祈り」です。
まとめ
植物ハンターのシーボルトがクレマチスを日本からヨーロッパに持ち帰ったことで数多くの園芸種が作出されました。
クレマチスは和の趣がありますし洋風の趣もあります。
四季咲き、春咲き、夏~秋咲き、そして冬咲きと開花時期も多種多様 。
花弁のように見えて実は萼(がく)。
平べったい大輪の花からベルの形の花、十文字の形の花な姿もさまざまなクレマチスはまさに多種多様な誰からも愛される「女王」の風格を持つ花ですね。
3. クレマチスの色別の花言葉
3-1. 紫色のクレマチスの花言葉 「精神の美」
クレマチス全般と同じですが、紫色は「精神の美」。
紫色でも濃淡あるクレマチスの花色は美しいものです。
3-2. 白色のクレマチスの花言葉 「旅の感激 」
クレマチス全般と同じヨーロッパで旅宿でクレマチスが植えられたことからつけられたといわれています。
3-3. クレマチスの葉の花言葉「貧乏」
クレマチスの葉には接触皮膚炎(水泡)を起こす毒性があります。
こちらも乞食の話が元になっているそうです。
4. クレマチスの名前の由来
花名のクレマチスは、ギリシア語の「klema(クレマ、つる)」に由来します。
その名のとおり、修景用のつる植物として人気が高く「つる性植物の女王」として知られています。
英語名の「Traveller’s joy(旅人の楽しみ)」は「旅人が宿での生活に満足すように」とクレマチスを宿泊施設の玄関などに植える習慣があるためつけられたそうです。
イタリア語では「ごま塩ひげ」、フランス語では「乞食草」といった呼び名もあります。
乞食草の名は、クレマチスの葉には毒性があり、かつてフランスの乞食がクレマチスの葉をつぶして皮膚につけ、わざとただれさせて通行人の同情をひいたことにちなむといわれています。
また「テッセン(鉄線)」も強いつるから命名されたといわれています。
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