シクラメンという花・植物の特徴と名前の由来を詳しく解説しながら、「シクラメンの花言葉の意味」について紹介していきます。
シクラメンの花に関する色々なエピソードも掲載しています。
シクラメンの花には「赤色・白色・ピンク色・紫色」など複数の色があって、「冬の鉢花の女王」として観賞されています。
このシクラメンにはどのような花言葉や花(植物)の特徴があるのでしょうか。
- シクラメンとはどんな花・植物なのか?
- シクラメンの花言葉
- シクラメンの花の色別の花言葉
- シクラメンの名前の由来
- シクラメンの開花時期
- シクラメンの育て方のポイントや注意点
- シクラメンの種類(原種・園芸品種など)
- まとめ
1. シクラメンとはどんな花・植物なのか?
シクラメンの花や植物としての特徴について解説していきます。
1-1. シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の球根植物:
シクラメン(学名:Cyclamen persicum)は、サクラソウ科シクラメン属の多年草の球根植物の総称であり、別名を「カガリビバナ、ブタノマンジュウ」とも言います。
学名・属名のCyclamenを忠実に原語で発音すると「キクラメン」となるので、植物図鑑や博物学の本には「キクラメン」と表記されているケースもあります。
原産地は、ヨーロッパのギリシアや北アフリカのチュニジアといった「地中海沿岸地域」ですが、現在では世界中の広範な地域で自生したり栽培されていたりします。
シクラメンの花は「一重咲・八重咲」の形状をしていて、花色は「赤色・白色・ピンク色・紫色・黄色」などのカラフルなバリエーション(多様性)があります。
1-2. ヨーロッパにおけるシクラメンの歴史:シクラメンの塊茎が食用にされた時期もあった
古代ヨーロッパ(古代ギリシア)では、シクラメンの花よりも食用にできる「シクラメンの塊茎(かいけい)のデンプン成分」に注目されていて、大航海時代にデンプン豊富なジャガイモがアメリカ大陸からもたらされるまでシクラメンの塊茎が食べられていました。
シクラメンは「アルプスのスミレ」と呼ばれて食用植物の一種にされていましたが、実際にはサポニン配糖体の「シクラミン(Cyclamin)」という有毒成分を含んでいます。
シクラメンの原種であるCyclamen persicumがイギリスに渡ってきたのは、17世紀半ばと考えられています。
ウィリアム・ターナーは、シクラメンが豚に食べられているということから、1551年に「sows bread(雌豚のパン)」と命名しましたが、1895年にキャノン・H・N・エラコムは、豚が実際にシクラメンの塊茎を食べることはなかったという記録を残しています。
シクラメンと関連するソロモン王のエピソード:シクラメンの花言葉「内気・はにかみ」の由来
シクラメンはユダヤ教のソロモン王のエピソードとも関連した植物であり、ソロモン王が王冠に花のデザインを採用したいと考えて、色々な植物の花の精霊と掛け合いますがすべて断られてしまいました。
ソロモン王のお願いに唯一承諾してくれたのがシクラメンの精霊であり、ソロモン王がシクラメンに深く感謝してお礼の言葉を述べると、シクラメンの花は感激と恥ずかしさ(シャイネス)によって下を向いてうつむいてしまったのです。
このソロモン王のシクラメンのエピソードは、シクラメンの花言葉である「内気・はにかみ」の由来になっています。
1-3. 日本におけるシクラメンの歴史:
日本にシクラメンが輸入されたのは明治時代であり、岐阜県恵那市の伊藤孝重(いとうたかしげ)によって日本におけるシクラメン栽培が開始されたと伝えられています。
戦後日本ではシクラメンは鉢植え植物でもっとも人気のある品種となり、品種改良も積極的に進められました。
シクラメンは花色のバリエーションも増えて「フリンジ咲き・八重咲きのシクラメン」も生まれてきたのです。
シクラメンには「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」という異名もありますが、この面白いネーミングは植物学者・大久保三郎(おおくぼさぶろう)が英名の「sows bread(雌豚のパン)」を日本語に直訳した結果と言われています。
1-4. シクラメンの花を「病院・お見舞い」に持っていくことは縁起が悪いと思われることもある
シクラメンは赤色の花が「血液・流血」をイメージさせたり、シクラメンが「死(し)・苦(く)」との語呂合わせを持つことから、「不吉なイメージのある花」とされることもあります。
その縁起の悪いイメージから、入院患者に対する「病院のお見舞いの花」としてはあまり適切ではないと考える人もいるようです。
2. シクラメンの花言葉
シクラメンには、以下のような花言葉があります。
2-1. 遠慮・気後れ
シクラメンの花言葉は、ソロモン王がシクラメンの精霊に「王冠のデザイン」になってくれるように頼んだというエピソードに由来しています。
ソロモン王の申し出を受け入れて感謝したシクラメンの精霊が嬉しさと恥ずかしさを感じて、花を下に向けたことから「遠慮・気後れ」という花言葉が生まれたのです。
美しさと清楚な雰囲気を兼ね備えるシクラメンの花言葉は、でしゃばって自己主張をすることがない控えめな「遠慮・気後れ」です。
礼儀正しくて慎み深い女性、あるいは礼節を弁えた丁寧で紳士的な男性に贈るプレゼント用の花としても、ふさわしい花だと言えるでしょう。
2-2. 内気・はにかみ(含羞)
上記したソロモン王の感謝に対して、シクラメンの精霊が照れて恥ずかしがったというエピソードにちなんで、「内気・はにかみ(含羞)」という可愛らしい女性をイメージさせるような花言葉も生まれました。
はにかんだような笑顔が素敵な女性・男性に贈るのにうってつけの花がシクラメンになりますが、性格がちょっと内気だけれど人間性が魅力的な人に贈ってみるのもいいかもしれません。
シクラメンの花言葉は「遠慮・気後れ」にしても「内気・はにかみ」にしても、「控えめ・真面目で心根がとても優しいという魅力的な人物像」をイメージさせるものになっています。
そういった控えめで誠実な人、内向きだけど魅力的な人が親しい友人知人にいるのであれば、ぜひシクラメンの花を一度誕生日などに贈ってみてほしいと思います。
もちろん、人間的魅力に溢れている愛する恋人・配偶者に贈るのにもふさわしい花です。
2-3. 絆
シクラメンは秋・冬の開花シーズンになると、揃ったように一斉に花を咲かせ始めますが、その足並みが揃っているような開花の様子から「絆」というポジティブな花言葉も生まれています。
これからも絶えることのない「強い絆」を維持していきたいと思える大切な相手に贈るのにふさわしい花になっています。
みんなで仲良く咲き誇るシクラメンの花は「絆」というとても素敵な花言葉を持っていますので、学校・職場・地域の花壇や花瓶などにもぜひシクラメンの花を咲かせてみて下さい。
2-4. シクラメンの英語の花言葉
シクラメンの英語の花言葉は、「timid hope(遠慮のある希望・期待)」「shyness(内気・恥ずかしさ・はにかみ)」「resignation and good-bye(退職と別れの言葉)」になっています。
3. シクラメンの花の色別の花言葉
シクラメンの花には「赤色・白色・ピンク色・紫色」など様々な色がありますが、花色によって花言葉とその意味が変わってきます。
この項目では、シクラメンの花色別の花言葉をご紹介します。
3-1. 赤色のシクラメンの花の花言葉:嫉妬・ねたみ
赤色のシクラメンの花の花言葉は「嫉妬・ねたみ」になっています。
赤色のシクラメンの花が、メラメラと燃え上がる恋の情念のようにも感じられることから「嫉妬・ねたみ」という花言葉が生まれたのですが、微妙な情況になっている恋人や配偶者に贈るのはちょっと控えたほうがいいかもしれません。
ただし赤色のシクラメン自体は、鮮やかな花色でとても綺麗な色合いをしているので、ネガティブな花言葉だけに左右される必要はありません。
もし赤色のシクラメンの花色が好きで購入・栽培したいのであれば、「嫉妬してしまうほどに強く愛している」と良い方向に解釈してみるのもいいでしょう。
3-2. 白色のシクラメンの花の花言葉:清純・思いやり
白色のシクラメンの花の花言葉は「清純・思いやり」です。
白色の花を咲かせるシクラメンは、その控えめで清楚・無垢な白色の花のイメージを反映しているかのように、「清純・思いやり」という素敵な花言葉を持っています。
清純(ピュア)で美しい心をいつまでも持っていてほしいと思える大切な人へ、白色のシクラメンを贈ってみるのはどうでしょうか。
きっとあなたの「温かい思いやり」が相手に通じるはずです。
3-3. ピンク色のシクラメンの花の花言葉:内気・恥じらい・希望
ピンク色のシクラメンの花の花言葉は「内気・恥じらい・希望」になっています。
可憐なピンク色をしたかわいらしいシクラメンの花は、ソロモン王のエピソードにちなんで「内気・恥じらい」という慎ましい花言葉を持っています。
恥じらうようなピュアな精神を持って生きた先には、「明るい希望」が待ち受けていることを暗示しているのです。
3-4. 青紫色のシクラメンの花の花言葉:想いが響き合う・遠慮
青紫色のシクラメンの花の花言葉は「想いが響き合う・遠慮」です。
どこか妖艶な雰囲気も併せ持つ美しい青紫色のシクラメンの花には、愛する二人が深く愛し合うことを予兆するかのような「想いが響き合う」という花言葉が込められています。
礼儀正しく遠慮がちな二人の距離を縮めたい時に、この青紫色のシクラメンの花を贈ってみるのが良いでしょう。
4. シクラメンの名前の由来
シクラメン(Cyclamen)の名前は、受粉した後に花茎の形状がぐるぐるとした螺旋状(らせんじょう)の形に変化していく現象に由来しています。
ギリシア語で、シクラメンの語源であるキクロス(kiklos)には「螺旋・円」という意味があり、このキクロスがシクラメンの花茎の螺旋状態の形を指示する言葉として選ばれたのです。
ただし、シクラメンと総称されているすべての花・植物の花茎が螺旋状に変化していくわけではなく、「Cyclamen. persicum、Cyclamen. somalense」などの品種では、花茎は螺旋状にぐるぐると巻いていくわけではなく、そのまま下方に垂れ下がっていく変化を示すことになります。
4-1. シクラメンの和名であるカガリビバナの名前の由来
シクラメンの別名・和名は「カガリビバナ(篝火花)」といいますが、この名前は日本の明治時代の有名な植物学者である牧野富太郎(まきのとみたろう,1862~1957)によって命名されたものです。
シクラメンの外側にそり返ったような花びらの形を見たある高貴な女性(一説には五摂家の九条武子とされます)が、「この花は篝火のような形をしているのですね」と言ったというエピソードが残されており、それを耳にした牧野富太郎がカガリビバナと名付けたのです。
5. シクラメンの開花時期
シクラメンの開花時期は「11~12月(あるいは栽培技術が進歩した現代では10月~4月)」であり、冬にカラフルで色鮮やかな美しい花を咲かせる植物として知られています。
シクラメンはその開花時期の性質から「冬の鉢花の女王」という異名も持っているのです。
花持ち期間は「5~7日程度」とされています。
6. シクラメンの育て方のポイントや注意点
シクラメンの育て方のポイントや注意点について説明していきます。
6-1. シクラメンの「夏越し」と日当たり・置き場所のポイント
シクラメンは、夏の暑さにかなり弱いので「夏越し」が重要になってきます。
5月前後の初夏に葉が枯れて「休眠状態」に入った場合は、「直射日光の当たらない風通しの良い場所」で9月まで水やりをせずに夏越しをします。
シクラメンは自生地域でも、「6~10月頃」は雨が降らない高温の乾燥期で葉が枯れて休眠状態に入るので水やりをしなくても大丈夫です。
高温多湿の日本の夏では、球根が腐る一定のリスクがあります。
ただし、初夏に葉枯れの休眠状態にならなかった株は、日陰の涼しい場所に置いて夏越しをさせるので、通常通りの水やりと液体肥料(月一回)も必要になります。
6-2. シクラメンの水やりの方法と注意点
シクラメンの鉢植えは「底面吸水鉢」が多いので、受け皿に水が無くなったら水を足すだけでOKです。
普通の鉢植えだったら、土の表面が乾いてから底から水が流れ出るくらいの「多めの水」を与えて下さい。
水やりの注意点としては、先の細いジョウロを使用して、「(傷みやすい)花・葉っぱ」に水をかけないようにすることが大切です。
6-3. シクラメンの肥料のやり方の方法と注意点
シクラメンの肥料のやり方は、9~翌5月までは「2ヶ月に1回」、土の表面に化成肥料を施すだけでOKです。
化成肥料が無い場合には、「1週間に1回」、約2000倍に薄めた「液体肥料」を与えても同じ肥料の効果に期待できます。
シクラメンを底面吸水鉢で育てている場合は、液体肥料も「鉢の底の受け皿」に入れれば良いのですが、濃度が濃いと根腐れするので必ず1000~2000倍程度には希釈しましょう。
6-4. シクラメンの増やし方と病害虫に対する注意点
シクラメンを増やしたい時は、「9~11月頃に種まきをする方法」になるので、シクラメンが開花するまでに数年はかかることが多く忍耐力のいる作業になります。
シクラメンがかかりやすい病気・害虫には、「灰色カビ病・アブラムシ・ハダニ」があります。
灰色カビ病を予防するためのポイントとしては、カビが繁殖しやすい「枯れた花・葉」をできるだけ早く取り除くことになります。
アブラムシ・ハダニは殺虫剤で防げますが、シクラメンの株周辺を清潔に保つことで病気も害虫も防ぎやすくなります。
7. シクラメンの種類(原種・園芸品種など)
シクラメンには膨大な数の品種があり、次々と新種も生まれていますが、代表的な種類と分類方法について紹介します。
7-1. 大輪系
一般的な大輪の花を咲かせるシクラメンの品種です。
ビクトリア、サーモンピンク、スカーレット、モンブラン、ラッフルド(色違いの品種あり)など
ベートーベンやショパン、リスト、バッハなどの音楽家名がつけられた「パステル系(中間色系)」に分類される大輪系のシクラメンもあります。
7-2. 中輪系
花の大きさが、大輪系よりも小さく小輪系よりも大きい中程度のシクラメンの品種です。
アイーダ、オフェリア、トスカ、カルメンなど
7-3. 小輪系(ミニシクラメン)
品種改良を受けていますが、原種の系統を継いだ花弁が4cm以下の小ぶりなシクラメンの分類になります。
暑さにも寒さにも害虫にも強い品種です。
マルチフローラ系統・多花系
アンネット、ウイリー、ソニア、ローズマリーなど。
バンビーニ系・花の嵩が少なめ
アダージョ、ピアノ、アンダンテ、フォルテッシモなど。
エーデルスタイン系(宝石シリーズ)・多花系
アメジスト、トパーズ、ローザサファイアなど。
ドレスデン系・多花系
アンネリーエ、ブリジッドなど。
ガーデンシクラメン
ミニシクラメンを品種改良して「耐寒性+花持ち」を高めた品種で、冬の屋外の寒さでも花を咲かせることができます。
花付きが良くて花粉が出ない「チモシリーズのシクラメン」が有名です。
ガーデンシクラメンは非常に種類が多いので全てを紹介し尽くすことができませんが、「スーパーコンパクト、メティスシリーズ、シルバービューティー、ピカソシリーズ」などの下位分類があります。
チモシリーズには、「チモ魂、ピンク、ディープレッド、ブライドレッド、パープル」などの品種があります。
7-4. 原種シクラメン
シクラメンには上で紹介してきた園芸品種とは別に、生命力・野趣の魅力を備えた「原種シクラメン」も販売されるようになっていて、特に「C. hederifolium、C. coum」などの原種シクラメンが市場に流通するようになってきています。
7-5. 芳香性シクラメン
シクラメンは通常、花の香りがほとんどありませんが、バイオテクノロジーを活用してC. persicum種と芳香性の野生種C. purpurascens種の種間交雑が実施されたことにより、バラやスズランのような花の強い香りがする「芳香性シクラメン」が栽培できるようになっています。
バイオテクノロジーの交雑を実施した埼玉県が「孤高の香り(紫色の花)」 「麗しの香り(ピンク色の花)」の芳香性シクラメンを種苗登録しています。
まとめ
シクラメンは秋・冬・春(10月~4月)にかけて、下を向いた控えめな美しい花を咲かせます。
シクラメンは「冬の鉢花の女王」として冬の花のイメージが強いのですが、実際には春先まで楽しむことのできる花であり、芳香性の強いC. purpurascensの原種を交配した品種であれば布施明の歌「シクラメンのかほり」
を想起させる香りも楽しむことができます。
シクラメンの花には、「青紫色・赤色・ピンク色・白色・黄色」など様々な色の花があり、花言葉が花の色によって変わります。
シクラメンの一般的な花言葉は、「遠慮・気後れ」「内気・はにかみ」「絆」などになります。
シクラメンの花言葉や植物・花の特徴、シクラメンの種類について知りたい方は、この記事を参考にしてみて下さい。
まとめ
シクラメンは秋・冬・春(10月~4月)にかけて、下を向いた控えめな美しい花を咲かせます。
シクラメンは「冬の鉢花の女王」として冬の花のイメージが強いのですが、実際には春先まで楽しむことのできる花であり、芳香性の強いC. purpurascensの原種を交配した品種であれば布施明の歌「シクラメンのかほり」
を想起させる香りも楽しむことができます。
シクラメンの花には、「青紫色・赤色・ピンク色・白色・黄色」など様々な色の花があり、花言葉が花の色によって変わります。
シクラメンの一般的な花言葉は、「遠慮・気後れ」「内気・はにかみ」「絆」などになります。
シクラメンの花言葉や植物・花の特徴、シクラメンの種類について知りたい方は、この記事を参考にしてみて下さい。
スポンサーリンク