オミナエシ(女郎花)は、スイカズラ科オミナエシ属の多年草ですが、オミナエシ科で分類されることもあります。
学名はPatrinia scabiosifolia。
原産地はシベリア~東アジアです。
粟花(あわばな)、血目草(チメグサ)、敗醤(はいしょう)などの別名を持ちます。
秋の七草の一つです。
万葉集や源氏物語にも名前が出ており、古来より日本人に親しまれてきた植物です。
- オミナエシ(女郎花)とはどんな花?
- オミナエシ(女郎花)の花言葉
- オミナエシ(女郎花)匂い
- オミナエシ(女郎花)名前の由来
- 秋の七草とは?
- 生薬としてのオミナエシ
- オミナエシ(女郎花)を見られる所
- オミナエシ(女郎花)育てるポイント
- 種類(原種、園芸品種)など
- まとめ
1. オミナエシ(女郎花)とはどんな花?
オミナエシは、日の良く当たる草原で見ることができる植物です。
開花期の6月~9月には小さな黄色い花を塊状に咲かせます。
草丈は100~150cmと大きくなります。
葉の形がダイコンに葉に似ています。
暑さにも寒さにも強く、ガーデニング初心者でも育てることができます。
2. オミナエシ(女郎花)の花言葉
2-1. 「美人」
すらっと伸びた茎に、小さく可愛らしい黄色い花を沢山咲かせます。
その姿が可憐で美しいことから美しい女性に例えられ、また、鮮やかな黄色い花が秋の空に映えて美しく見えることから、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-2. 「はかない恋」
草原で秋風に揺れる花の姿は、とても可憐ではありますが、どこか寂しく儚げでもあります。
派手さはありませんが風情のあるその花姿が繊細な女性を思わせることから、この花言葉がつけられたと考えられています。
3. オミナエシ(女郎花)匂い
切り花にして室内に飾っていると、花瓶の水が物凄く臭くなりますので注意しましょう。
毎日水を替えることで、多少は改善されます。
オミナエシは古くなると臭くなることから、敗醤(はいしょう)という別名があります。
4. オミナエシ(女郎花)名前の由来
オミナエシの名前は、黄色い小花が粟粒に似ていることから、女飯(おみなめし)と呼ばれていた粟飯に例えられてオミナエシになったと言われています。
又、女性を圧倒するほど美しい花姿から、女性(おみな)圧し(へし)→オミナエシと呼ばれるようになったという説もあります。
平安時代の中期ごろから「女郎花」と漢字で書かれるようになったと言われています。
オミナエシには、アワバナ(粟花)、思い草(おもいぐさ)、オミナメシ(女飯)、ハイショウ(敗醤)、アワゴメバナ、チメグサ(血目草)、ムシアワ(蒸粟)、リュウゲ(竜牙)、コウゲ(黄花)という別名もあります。
5. 秋の七草とは?
春の七草には、食べて無病息災を願う習慣がありますが、秋の七草は、眺めて楽しまれてきた、秋を代表する植物です。
秋の七草は、平安時代を代表する歌人である山上憶良が万葉集に詠んだ歌に由来すると言われています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌の花」
秋の七草:オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギ
6. 生薬としてのオミナエシ
全草を洗浄して天日干ししたものは、敗醤(ハイショウ)。
花だけを摘んで天日干ししたものは、黄屈花(オウクツカ)と呼ばれており、解熱作用や解毒作用があるとされています。
オミナエシは鑑賞するだけでなく、生薬としても古くから利用されてきまれてきました。
7. オミナエシ(女郎花)を見られる所
7-1. 東谷山真性寺(埼玉県)
真性寺は「長瀞七草寺」のひとつとして有名で、オミナエシの寺として人気があります。
オミナエシの見ごろは7月中旬~9月中旬頃です。
秋風に揺れる鮮やかな黄色い花とお寺の組み合わせは非常に風情があります。
趣のある風景を見に、多くの人が訪れています。
7-2. 越畑(京都府)
越畑は地蔵山の中腹にあり、800枚にも及ぶ棚田がひろがっている地域ます。
この地域では、約10万本のオミナエシを見ることができます。
棚田の緑とオミナエシの黄色が美しい景観を作り上げています。
のどかな里山の風景を見ることができます。
7-3. 花之江の郷(栃木県)
約16000坪の園内では、800種類にも及ぶ植物が栽培されています。
主に山野草が栽培されており、自然に近い状態で栽培されているため、植物の生き生きとした姿を見ることができます。
自然の風情を大切にしている植物園で、園内をのんびり散策しながら、四季折々の景色を楽しむことができます。
7-4. 国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県)
304ヘクタール、東京ドーム65個分の広大な敷地に作られた公園です。
園内には植物園、ハーブガーデン、庭園や花壇が整備され、様々な植物を見ることができます。
サイクリングコース、アスレチックコースやバーベキュー場もあり、レジャースポットとしても人気があります。
植物園スタッフや専門家によるガイドツアーも開催されています。
8. オミナエシ(女郎花)育てるポイント
8-1. 用土(鉢植え)
水はけの良い土を用意します。
市販の草花用培養土でよく育ちます。
土質特に選びません。
高山性の品種(コキンレイカ、キンレイカ、チシマキンレイカなど)の場合は、軽石2:硬質鹿沼土4:桐生砂4の割合で用土を作ります。
市販の山野草用培養土でも大丈夫です。
8-2. 水やり
鉢植えの場合は、表土が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水を与えます。
夏は1日1~2回与えます。
水やりは朝夕の涼しい時間帯に行いましょう。
昼間の暑い時間帯に水を与えるのは、お湯を与えるのと同じことになってしまいますので注意しましょう。
庭植えの場合は、晴天が続いて地面が乾いている時にだけ水を与えます。
それ以外は水やりの必要はありません。
8-3. 肥料
鉢植えの場合は、春から夏にかけて、草花用の肥料を少なめに与えます。
量が多すぎると枝葉が茂りすぎてしまい、花付きが悪くなりますので、控えめにしましょう。
庭植えの場合は、特に肥料を与える必要はありません。
8-4. 病気と害虫
オミナエシは、水はけの悪い環境で育てていると、立ち枯れ病が発生することがあります。
植え付ける時には、必ず水はけの良い用土を使用しましょう。
害虫が付くことは、ほとんどありません。
水はけだけ気を付ければ手がかかりませんので、初心者にも育てやすい植物です。
8-5. 植え付け
苗の植え付けは、2月~3月に行います。
鉢植えの場合は、水はけを良くするために鉢底に鉢底石を敷きましょう。
鉢のサイズは、8号に苗1株を目安にします。
鉢が大きすぎると鉢の中が過湿になりますので、注意しましょう。
8-6. 植え替え
鉢植えの場合は、毎年2月~3月に行います。
細かい根を半分に切って根を整理しましょう。
新しい根が生えやすくなります。
オミナエシは良く育ち、鉢の中が根でいっぱいになりやすい植物です。
根詰まりを起こさないように年に1度、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
庭植えの場合は、3年に1回掘り上げて、株分けと植え直しを行います。
8-7. ふやし方
オミナエシは、種と株分けで増やすことができます。
秋に種を取って春まで冷蔵庫に入れておきます。
春になったら種まきをします。
生育状態が良ければ、その年の秋に花を咲かせます。
株分けは、植え替えをする時に行います。
株を園芸用のハサミで切り分けます。
硬いので、剪定バサミを使うのが良いでしょう。
9. 種類(原種、園芸品種)など
9-1. ハマオミナエシ(Patrinia scabiosifolia f. crassa)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草で、日本の固有種です。
北海道~本州に分布し、海岸に生えています。
草丈は30~40cm程とやや低く、葉に厚みがあるのが特徴です。
開花時期は8月~10月頃です。
黄色い小さな花を沢山付けます。
9-2. オトコエシ(Patrinia villosa)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草で、中国東部~南部、朝鮮半島、日本列島、台湾の草原などで見ることができます。
草丈は50~100cmです。
白小さな花を沢山付けます。
オトコエシの名前は、葉や茎がオミナエシよりも大きく、花の色が白く地味でオミナエシよりも男性的なイメージがあることに由来しています。
9-3. コキンレイカ(Patrinia triloba var. triloba)
スイカズラ科オミナエシ属の多年草で、日本固有種です。
本州の中部地方以北、日本海側の山地帯~亜高山帯の日当たりの良い岩場や岩の多い斜面で見ることができます。
草丈は20?30cmと、オミナエシを小型にしたような品種です。
葉はモミジに似た形をしています。
7月~8月に黄色やオレンジ色の花を咲かせます。
ハクサンオミナエシとも呼ばれています。
9-4. キンレイカ(Patrinia triloba var. palmate)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。
本州(東北地方南部?近畿地方)の、主に太平洋側の山地の岩場や岩の多い斜面で見ることができます。
草丈は30?50cm。
コキンレイカよりも一回り大きい花を咲かせます。
開花時期は7月~8月で、小さな黄色い花を咲かせます。
9-5. チシマキンレイカ(Patrinia sibirica)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。
ロシア中部~東シベリア、サハリン、千島列島、北海道の高山の草原や礫原で見ることができます。
草丈は7~15cmと小型です。
6月~8月に小さな黄色い花を咲かせます。
タカネオミナエシとも呼ばれています。
9-6. シマキンレイカPatrinia triloba var. kozushimensis
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。
伊豆七島の神津島でのみ見ることができる絶滅危惧種です。
冷温帯で見られるハクサンオミナエシの変種とされています。
光沢のある厚い葉が特徴です。
7月~8月に黄色い小さな花を咲かせます。
草丈は50cm程です。
9-7. マルバキンレイカあ(Patrinia gibbosa)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。
本州北部と北海道の山地の草原、湿原、岩礫地などで見ることができます。
7月~8月にオミナエシに似た黄色い小さな花を咲かせます。
草丈は30~70cm程です。
他のオミナエシ属の葉が深く裂けているのに対し、葉の裂け方が浅いのが特徴です。
9-8. オオキンレイカ(Patrinia triloba var. takeuchiana)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。
キンレイカの仲間では最も大型になる品種です。
8月〜9月にオミナエシに似た小さな黄色い花を咲かせます。
福井県大飯郡高浜町と京都府舞鶴市の境界に位置する青葉山とその周辺にだけ自生しています。
舞鶴市の天然記念物に指定されています。
まとめ
古来より日本人に馴染みの深いオミナエシ。
丈夫な性質を持っているため、栽培しやすい植物です。
秋の七草としても有名なので和のイメージが強いオミナエシですが、その可憐な黄色い小花は、洋風な庭にも良く合います。
お庭の植物に加えてみたい花の1つです。
3. オミナエシ(女郎花)匂い
切り花にして室内に飾っていると、花瓶の水が物凄く臭くなりますので注意しましょう。
毎日水を替えることで、多少は改善されます。
オミナエシは古くなると臭くなることから、敗醤(はいしょう)という別名があります。
4. オミナエシ(女郎花)名前の由来
オミナエシの名前は、黄色い小花が粟粒に似ていることから、女飯(おみなめし)と呼ばれていた粟飯に例えられてオミナエシになったと言われています。
又、女性を圧倒するほど美しい花姿から、女性(おみな)圧し(へし)→オミナエシと呼ばれるようになったという説もあります。
平安時代の中期ごろから「女郎花」と漢字で書かれるようになったと言われています。
オミナエシには、アワバナ(粟花)、思い草(おもいぐさ)、オミナメシ(女飯)、ハイショウ(敗醤)、アワゴメバナ、チメグサ(血目草)、ムシアワ(蒸粟)、リュウゲ(竜牙)、コウゲ(黄花)という別名もあります。
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