ヒナゲシ(学名:Papaver rhoeas )は、ケシ科ケシ属の一年草です。
漢字では雛芥子と書きます。
ヨーロッパ中部が原産で、白色、ピンク色、赤色、オレンジ色など花を咲かせます。
草丈は50cm~1m位になります。
可憐な花の姿が人気で、様々な園芸品種も流通しています。
- ヒナゲシとはどんな花?
- ヒナゲシに麻薬成分はないの?
- ヒナゲシの花言葉
- ヒナゲシの別名
- ヒナゲシの名前の由来
- ヒナゲシの名所
- ヒナゲシを育てるポイント
- 種類(原種、園芸品種)など
- まとめ
1. ヒナゲシとはどんな花?
ヒナゲシは、シワのある薄く繊細な花びらがひらひらと風に揺れる姿が儚げで情緒があります。
色鮮やかなヒナゲシの花々が花畑を埋め尽くす光景は、一見の価値があります。
花びらは4枚が基本ですが、品種により異なります。
八重咲きもあります。
2. ヒナゲシに麻薬成分はないの?
ケシというと、薬の原料となるモルヒネが含まれていて栽培しても大丈夫なの?と思うかもしれませんが、全てのケシにモルヒネが含まれている訳ではありません。
ヒナゲシには麻薬成分は含まれておらず、栽培しても違法ではありません。
3. ヒナゲシの花言葉
3-1. 「別れの悲しみ」「いたわり」「思いやり」
ギリシャ神話の女神デメテルの愛娘ペルセポネは、冥界の王ハーデスに略奪されてしまいます。
そのことを悲しみ眠れなくなった女神デメテルを可哀そうに思った眠りの神ヒュプノスは、デメテルにケシの実を与えたと言われています。
これらの花言葉は、そのエピソードに因んでつけられたと考えられています。
3-2. 「心の平穏」「休息」
ケシの実には、入眠、鎮痛、麻痺といった薬効成分が含まれています。
この効能により、古くから薬として利用されてきました。
その歴史は古く、古代ギリシャやローマまで遡ります。
このことが「心の平穏」「休息」という花言葉の由来になっていると考えられています。
3-3. 「七色の恋」「乙女らしさ」
ヒナゲシが、赤、白、ピンク、オレンジなど色とりどりの可憐な花を咲かせる様子から、この花言葉がつけられたと考えられています。
繊細で儚げな花びらを、可憐にひらひらと風に揺らす様は、まさに恋する乙女のイメージです。
4. ヒナゲシの別名
ヒナゲシには虞美人草(グビジンソウ)という別名があります。
この別名は、中国の武将、項羽が劉邦に敗れ、項羽の寵愛を受けた虞(虞美人)が自害した時に、その傍らから赤いヒナゲシの花が咲いたという伝説に由来しています。
フランスではコクリコと呼ばれ、スペインではアマポーラと呼ばれて親しまれています。
英語ではコーンポピーと呼ばれています。
5. ヒナゲシの名前の由来
ヒナゲシは、漢字で「雛芥子」と書きます。
ヒナゲシはケシ科の植物では小型の品種であることから、雛=小さくかわいらしいという意味でこの名前が付いたと言われています。
学名(Papaver rhoeas)のPapaverはラテン語で粥を意味します。
ヨーロッパでは入眠作用のあるケシの実の乳液をお粥に混ぜて赤ちゃんに食べさせる習慣があったことに由来しています。
6. ヒナゲシの名所
6-1. 花の都公園(山梨)
約40万本のヒナゲシ、カリフォルニアポピー(花菱草)を見ることができます。
見ごろは6月下旬~7月中旬ごろです。
抜けるような青い空と富士山をバックに、辺り一面ポピーに埋め尽くされた花畑は、人気のお花見スポットとなっています。
6-2. 愛知牧場(愛知)
愛らしいヒナゲシが、緩やかな斜面にある約3500平方メートルの花畑を赤やピンク色に染めます。
ヒナゲシ畑には迷路が作られています。
360度お花に囲まれて満開のヒナゲシを堪能することができます。
写真スポットとしても人気があります。
6-3. 小貝川ふれあい公園 (茨城)
約3. 2ヘクタールの花畑には、300万本のヒナゲシが咲きます。
この広大な花畑は、地元ボランティアが手入れをしています。
5月中旬から6月上旬ごろまでが見頃です。
筑波山を背景カラフルなヒナゲシが風に揺れる光景を見に、遠方からも観光客が訪れています。
6-4. 昭和記念公園 (東京)
約180万本のシャーレーポピーと、30万本のアイスランドポピーを見ることができます。
アイスランドポピーの見ごろは4月中旬~5月上旬、シャーレーポピーの見ごろは5月中旬~下旬です。
昭和記念公園は桜の名所としても有名ですので、桜とポピーを一緒に鑑賞することも出来ます。
6-5. 秩父高原牧場 (埼玉)
「天空を彩るポピー畑」と呼ばれ、人気が高い観光スポットです。
標高500mにある花畑には、約1500万本のシャレーポピーが咲きます。
丘一面が赤く染まる光景は感動的です。
5月中旬~6月上旬ごろが見ごろです。
開花時期には「ポピーまつり」も開催されます。
6-6. くりはま花の国 (神奈川)
赤やピンク色のシャーレ―ポピーとオレンジ色のカリフォルニアポピーが咲き競います。
見ごろは5月中旬から6月上旬ごろです。
開花時期には、「ポピーまつり」を開催しております。
花が終わる時期になると、無料で花畑のポピーを摘むことができます。
6-7. ポピーの里 館山ファミリーパーク (千葉)
7500m2の広大な花畑に、約100万本のアイスランドポピー(シベリアヒナゲシ)が咲きます。
見ごろは3月上旬~4月中旬ごろです。
12月~5月上旬頃までアイスランドポピー摘みを楽しむことができます。
この期間にはポピーフェスティバルが開催され、パーク全体がポピーで埋め尽くされます。
6-8. ポピーハッピースクエア (埼玉)
花が見頃となる5月には、約125,000m2敷地に約3,000万本の赤やピンク色のシャーレ―ポピーと、オレンジ色のカリフォルニアポピーで埋め尽くされます。
日本一広いポピー畑は
絶景です。
5月中旬に開催されるポピーまつりは、多くの人で賑わいます。
6-9. 万博記念公園(大阪)
約38万本のオレンジや黄色のアイスランドポピーが、丘を覆いつくすように咲きます。
アイスランドポピーの見ごろが終わると、バトンタッチするように、赤やピンクのシャーレ―ポピーが見頃を迎えます。
アイスランドポピーの見ごろは4月上旬~4月下旬。
シャーレーポピーの見ごろは5月上旬~5月下旬です。
6-10. くじゅう花公園(大分県)
標高800mにある花の公園で、阿蘇くじゅう国立公園内にあります。
15万株のカラフルなアイスランドポピーが広大な園内をビタミンカラーに染め上げます。
くじゅう連山、阿蘇五岳など、雄大な自然に囲まれた花畑は、人気の観光スポットになっています。
7. ヒナゲシを育てるポイント
7-1. 用土(鉢植え)
水はけが良く通気性のある土を用意しましょう。
赤玉土6:腐葉土4の割合で配合した土を用意するか、市販されている草花用培養土を使いましょう。
水はけが悪い土では、根腐れを起こしやすくなりますので、注意しましょう。
7-2. 水やり
鉢植えの場合は、土が乾いたら鉢底から水が出てくるまで、たっぷりと水を与えます。
鉢の中が過湿になると根が腐りやすくなるので、水のやりすぎには十分に注意しましょう。
庭植えの場合は、水やりはほとんど必要ありません。
7-3. 肥料
鉢植えの場合は、春に液体肥料を与えます。
肥料を与えすぎると株が弱くなり、花付きが悪くなります。
肥料は少なめを心掛けましょう。
庭植えの場合は、緩効性化成肥料を元肥として土壌に混ぜておきます。
追肥の必要はありません。
7-4. 栽培環境
庭植えの場合は、日当たりと風通しが良く、水はけの良い場所に植えましょう。
ヒナゲシは酸性の土壌が苦手です。
植え付ける前に苦土石灰を混ぜて庭土を中和しておきましょう。
鉢植えの場合は、日当たりが良く、風通しの良い場所で育てましょう。
7-5. 病気
ヒナゲシは、灰色かび病になることがあります。
花や蕾、茎葉に灰色のカビが発生するものです。
冬場などの低温時に水を与えすぎて多湿になると発生することがあります。
害虫が寄ってくる原因にもなりますので、カビを見つけたらすぐに対処しましょう。
7-6. 害虫
ヒナゲシにはアブラムシが付くことがあります。
春に蕾や葉などに群れで付いて汁を吸い、株の成長を阻害してしまいます。
風通しが悪い環境で発生しやすくなります。
アブラムシを発見したら、すぐに殺虫剤で駆除しましょう。
7-7. ふやし方
ヒナゲシは種で増やせます。
直根性で植え替えを嫌うので、種を直まきするか、ポットにまきます。
まいた種には覆土はしません。
種まきは9月上旬~10月中旬に行います。
直まきしたものは、混み合っている芽を間引いて株と株の間隔を20cm程にします。
ポットにまいたものは、本葉が6~7枚になったら植えつけます。
8. 種類(原種、園芸品種)など
8-1. シャーレー・ポピー
学名はPapaver rhoeas Shirley。
ケシ科ケシ属の一年草です。
原産地は南ヨーロッパ。
1880年ごろに作出されたヒナゲシ園芸品種です。
花付きが良く、現在栽培されているヒナゲシのほとんどがこの品種です。
草丈は40~60cmで、花径は5~8cm程。
花色は白、ピンク、赤などがあります。
8-2. アイスランドポピー(シベリアヒナゲシ)
学名はPapaver nudicaule。
ケシ科ケシ属 多年草です。
ヨーロッパやシベリアに分布しています。
草丈は30~60cmで、花径は5~10cm程。
花色はオレンジ、黄色、ピンク、赤、白などがあります。
開花時期は2月~5月です。
庭植えにも鉢植えにも向いています。
8-3. リシリヒナゲシ(利尻雛芥子)
学名はPapaver fauriei。
ケシ科ケシ属の多年草です。
北海道の利尻山に自生する日本固有種で、ミヤマヒナゲシという別名を持っています。
山野草に分類されています。
自生地では、7月~8月に開花します。
草丈は10~20cmと小型のヒナゲシです。
小さな黄色い花を咲かせます。
8-4. モンツキヒナゲシ(紋付ひなげし)
学名はPapaver commutatum。
ケシ科ケシ属 の一年草です。
赤い花びらの中心に大きな黒い点紋があることから、てんとう虫を意味するレディバードという名称で流通しています。
西アジアからコーカサス地方が原産です。
草丈は30~40cm程。
4月~5月に開花します。
まとめ
ヒナゲシは、歌や小説にも登場する日本人にとても馴染みの深い花です。
昔から、可憐な乙女を思わせるヒナゲシの花姿に魅了されてきました。
広大なヒナゲシの花畑が観光スポットとして注目されるようになってきたのは、多くの人が、優しいその姿に癒しを求めている証なのでしょう。
8. 種類(原種、園芸品種)など
8-1. シャーレー・ポピー
学名はPapaver rhoeas Shirley。
ケシ科ケシ属の一年草です。
原産地は南ヨーロッパ。
1880年ごろに作出されたヒナゲシ園芸品種です。
花付きが良く、現在栽培されているヒナゲシのほとんどがこの品種です。
草丈は40~60cmで、花径は5~8cm程。
花色は白、ピンク、赤などがあります。
8-2. アイスランドポピー(シベリアヒナゲシ)
学名はPapaver nudicaule。
ケシ科ケシ属 多年草です。
ヨーロッパやシベリアに分布しています。
草丈は30~60cmで、花径は5~10cm程。
花色はオレンジ、黄色、ピンク、赤、白などがあります。
開花時期は2月~5月です。
庭植えにも鉢植えにも向いています。
8-3. リシリヒナゲシ(利尻雛芥子)
学名はPapaver fauriei。
ケシ科ケシ属の多年草です。
北海道の利尻山に自生する日本固有種で、ミヤマヒナゲシという別名を持っています。
山野草に分類されています。
自生地では、7月~8月に開花します。
草丈は10~20cmと小型のヒナゲシです。
小さな黄色い花を咲かせます。
8-4. モンツキヒナゲシ(紋付ひなげし)
学名はPapaver commutatum。
ケシ科ケシ属 の一年草です。
赤い花びらの中心に大きな黒い点紋があることから、てんとう虫を意味するレディバードという名称で流通しています。
西アジアからコーカサス地方が原産です。
草丈は30~40cm程。
4月~5月に開花します。
まとめ
ヒナゲシは、歌や小説にも登場する日本人にとても馴染みの深い花です。
昔から、可憐な乙女を思わせるヒナゲシの花姿に魅了されてきました。
広大なヒナゲシの花畑が観光スポットとして注目されるようになってきたのは、多くの人が、優しいその姿に癒しを求めている証なのでしょう。
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