ギリシャの国家であるアカンサス。
丈夫で生命力の溢れたこの植物はと古代ギリシアより建築物や内装などの装飾のモチーフとされてきました。
このアカンサスにはこんなギリシャ神話があります。
「あるところにアカンサスという名の美しい娘がいました。
太陽の神アポロンはアカンサスを見初めて求婚しました。
しかしアカンサスはその申し出を断りました。
それでも近づいてくるアポロンを爪で引っかいたので、アポロンは彼女を、爪のようなとげのあるアカンサスに変えてしまいました」
アカンサスの葉はコリント様式のアカンサス模様として有名で古代ギリシャからローマに受け継がれ、中世には教会の天井画にも使われたといいます。
現在でも植木鉢などにアカンサスのモチーフが施されていることもあります。
そんな古代より愛されるアカンサスについてご紹介します。
- アカンサスとはどんな花?
- アカンサスの花言葉
- アカンサスの装飾とは
- アカンサスの名前の由来
- アカンサスの開花時期や見頃
- アカンサスを育てるポイント
- 種類(原種、園芸品種)など
- まとめ
1. アカンサスとはどんな花?
アカンサス(ハアザミ・葉薊)は地中海から熱帯アジア・熱帯アフリカ原産の多年草です。
アジアには約50種が分布しています。
日本には明治末から大正に渡来しました。
葉の形がアザミに似ていることから和名でハアザミ(葉薊)と呼ばれています。
アカンサスの中でもよく栽培されているのはモリス(Acanthus mollis)で、園芸ではアカンサスというとモリスを指します。
濃緑色で光沢のある大きな葉を広げ、花期にはまっすぐに花穂をつけます。
草丈は1m以上にもなるとても丈夫な植物です。
2. アカンサスの花言葉
やはりその装飾にちなんだ花言葉が多いです。
2-1. 「芸術」
古代ギリシア建築のコリント式の円柱にアカンサスの葉が装飾化され彫刻されていることにちなんでいます。
2-2. 「技巧」
「芸術」と同じくアカンサスの葉が装飾化され彫られていることに由来します。
2-3. 「芸術への愛」
この花言葉もアカンサス装飾からつけられています。
古代ギリシャよりその芸術を愛する人々がその美しさを伝えていったのですね。
2-4. 「気品あるふるまい」
ギリシャ神話でアカンサスが太陽神アポロンに求婚されても気品を持って断ったことが由来しているそうです。
2-5. 「信じ難い生命力」
アカンサスの頑健で他の植物を駆逐するほどの勢いで生長することにちなんでいるそうです。
3. アカンサスの装飾とは
古代ギリシャ文化がアカンサス装飾の起源とされています。
大きく上に向かって広がるアカンサスの根生葉が装飾モチーフとされています。
このモチーフにはある伝説があります。
「古代ギリシャのコリントという都市にアカンサスが咲いていた墓地がありました。
ある日のこと、幼くして亡くなった女の子がいました。
彼女の遺品を納めたバスケットを墓に置いているとその下からアカンサスの葉が華麗な曲線を描いて絡みつき、これを見た前5世紀頃のアテネの彫刻家「Kallimachos(カリマコス)」が、ギリシャのコリント式建築の円柱にデザインしました」
アカンサス装飾は建築装飾の中で最も一般的なもので地中海産のアカンサス・スピノザ種の葉が彫刻されています。
古代ギリシア・ローマ 柱頭装飾や陶画によく用いられ、ギリシャ建築コリント様式柱頭がその典型的な例です。
ローマのコンポジット様式柱頭、ガンダーラのインド・コリント式柱頭、イスラムやインドの工芸品、中国雲崗石窟の彫刻などにも使用されています。
また「唐草模様」のモチーフのひとつでもあります。
頑健な植物アカンサスは「再生の象徴」としてギリシャの美術品に多用されていたそうです。
4. アカンサスの名前の由来
アカンサスは(acanthus)はギリシャ語の「akantha(とげ)」に由来します。
葉先が鋭くとがっていることや苞にとげが生えているところにちなみます。
5. アカンサスの開花時期や見頃
る毎年花を咲かせる多年草のアカンサスの開花期は6月中旬から8月中旬です。
大きいものは150cmにもなり、まっすぐに伸びた花穂をつけた姿は壮観です。
6. アカンサスを育てるポイント
アカンサスは大きくなると150cmをこすこともある大型の植物です。
生育旺盛でゴボウ状の根が地中に伸ばし、そこから新しい芽をつけてどんどん広がっていきます。
他の植物を駆逐することもあるので庭植えする場合、場所には注意が必要です。
6-1. 場所
葉を楽しみたい場合はやや日陰の場所でもよく育ちますが、花を楽しみたいのなら日当たりのよい場所の方が花つきがよくなります。
少なくとも木もれ日程度の明るさがあるといいです。
耐暑性、耐寒性とも強く丈夫な植物なので気温が-3℃くらいでも大丈夫です。
乾いた寒風にさらされると葉が傷むので、風よけをしてあげるといいでしょう。
寒冷地では地上部は枯れてしまいますが、地中にある根は枯れずに春になると芽をだします。
鉢植えの場合、夏に葉が枯れて休眠状態になりやすく、秋に新葉がでます。
6-2. 水やり
庭植えの場合、雨の降らない日が続いて土がすっかり乾燥してしまわない限りは水やりの必要はありません。
地中にとても太い根をおろしているので非常に乾燥に強いです。
春と秋の成長期は、極端に乾かさないよう、葉のしおれ具合を見て与えます。
冬は特に生育が鈍くなるので水が残りやすくなります。
多湿だと根が傷んで根腐りをおこすので気をつけます。
6-3. 植えつけ・植え替え
植えつけ
かなり大きくなるので、基本的に露地植えで育てます。
3月から5月、10月から11月頃が適期ですが、ポット苗の植えつけは、ほぼ周年可能です。
大きく育つので、生育スペースを十分確保しておきます。
狭い場所で小さく育てることもできますが、その場合、花はほとんど咲きません。
植え替え
4年~5年、またはそれ以上植えっぱなしで育てられます。
土の表面がかたくなったり、根が広がりすぎて絡まり水はけが悪くなったり水はけが悪いようなら、植え替えや植え直しをします。
切れた根からも芽を出して次々と増えていくので、掘り上げて他の場所に移す場合は根を土の中に残さないよう注意します。
根をブチブチ切って地中に残してしまうと苗をふやしているようなものです。
6-4. ふやし方
株分け
早春か秋に行います。
葉はしおれるので切り取っておきます。
根伏せ
同じく早春か秋に、ゴボウのような太い根を5cm~10cmくらいの長さに切り、横にして土に浅く埋めておきます。
土に埋めているだけでアカンサスの芽が出てきて生長して苗ができます。
6-5. 害虫・病気
ほとんど見られませんが、水はけが悪いと根腐れしやすくなります。
ネコブセンチュウが稀に発生します。
センチュウ
土中にいる体長1mm以下の小さな生物です。
根に寄生して養分を吸い取り、植物の生育を衰えさせたり枯らします。
同じ植物を同じ場所で何年も連続して栽培していると発生しやすい害虫です。
7. 種類(原種、園芸品種)など
7-1. アカンサス・モリス(Acanthus mollis)
原産地はヨーロッパ南部、北アフリカ、西南アジアの宿根草です。
最もポピュラーで代表的な種類です。
開花期は6月から8月。
草丈は60cmから150cmにもなる大型の植物です。
切れ込みのあるつややかな大ぶりの葉と、高く立ち上がるボリュームのある花穂はダイナミックで、庭植えにすると目を引くポイントになります。
深みのある紫の萼(がく)から薄いピンクの花弁がのぞく姿はとておもスタイリッシュな印象です。
大株になると、花穂がたくさん立ち上がって、花期はひときわ目を引きます。
タネから育てた苗は、多少の個体差がでます。
7-2. アカンサス・モリス‘アルバ’(Acanthus mollis ‘Alba’)
アカンサス・モーリスの白花種です。
萼は緑色です。
濃い緑の葉と白い花のコントラストが美しい。
7-3. アカンサス・モリス‘ホーランズ・ゴールド’(Acanthus mollis ‘Holland's Gold’)
ニュージーランド作出され、その後1992年に英国で公表された品種です。
普通種のアカンサス・モリスとは花には違いがありませんが、異なる点は葉色が黄色を帯びていて明るいところです。
普通種は濃い緑色ですが、「ホーランズ・ゴールド」は春の新葉は鮮やかな黄緑色をしています。
花の咲くころになると葉色はだんだんと黄緑色から明るい緑に変わっていきます。
7-4. アカンサス・モリス‘トレジャー・アイランド’(Acanthus mollis ‘Treasure Island’)
メタリックな力強い葉で白から黄色の斑が入りますが、斑入りと言うより、白地に緑が入るというくらいの明るい葉を持ちます。
萼(がく)も苞(ほう、花のねもとにつく小形の葉)も乳白色です。
初夏に咲く白い花も幻想的で、在来の緑葉のアカンサスとは全く異なります。
夏以降になると葉の緑が濃くなってきます。
7-5. アカンサス・スピノサス(Acanthus spinosus)
原産地は南ヨーロッパです。
開花期は5月下旬から6月の草丈は1m前後です。
アカンサスの中ではやや小型です。
アザミのように深く切れ込んだ葉を持ちます。
葉全体に光沢あり、ワイルドなアカンサスの原種です。
その葉はよりアザミ的でリーフプランツとしても観賞価値があります。
花はえんじ紫の苞(ほう)に渋めの淡白ピンクでモリス種と似ています。
花つきもよく、萼の色は赤みが強く鮮やかです。
7-6. アカンサス・ハンガリクス(Acanthus hungaricus)
原産地はバルカン半島・ルーマニア・ギリシャでナガハアザミ、バルカニカス、ロンギフォリウスとも呼ばれています。
大きさや姿もモリス種に似ていますが、より強く羽状に切れ込むような細長く優雅な葉を持ちます。
アカンサス属の葉は根出葉だけのものが多いですが、ハンガリクスには花茎の途中に葉がつきます。
葉はアカンツス・モリスより小さく、より明るいグリーンで、ツヤのない葉です。
また硬いトゲもありません。
冬に葉の枯れる落葉性です。
まとめ
アカンサスは花穂がぐんと伸びるため開花時期のその姿は圧巻されるものがあります。
葉先が鋭くとがったギリシア風のアカンサス・スピノサスや葉先がやや丸味を帯びたローマ風のアカンサス・モリスの2種類の装飾美のモチーフとされました。
古代ギリシャからその姿を彫刻されてきたアカンサスをタイムトリップした気持ちで育ててみてはいかがでしょうか
3. アカンサスの装飾とは
古代ギリシャ文化がアカンサス装飾の起源とされています。
大きく上に向かって広がるアカンサスの根生葉が装飾モチーフとされています。
このモチーフにはある伝説があります。
「古代ギリシャのコリントという都市にアカンサスが咲いていた墓地がありました。
ある日のこと、幼くして亡くなった女の子がいました。
彼女の遺品を納めたバスケットを墓に置いているとその下からアカンサスの葉が華麗な曲線を描いて絡みつき、これを見た前5世紀頃のアテネの彫刻家「Kallimachos(カリマコス)」が、ギリシャのコリント式建築の円柱にデザインしました」
アカンサス装飾は建築装飾の中で最も一般的なもので地中海産のアカンサス・スピノザ種の葉が彫刻されています。
古代ギリシア・ローマ 柱頭装飾や陶画によく用いられ、ギリシャ建築コリント様式柱頭がその典型的な例です。
ローマのコンポジット様式柱頭、ガンダーラのインド・コリント式柱頭、イスラムやインドの工芸品、中国雲崗石窟の彫刻などにも使用されています。
また「唐草模様」のモチーフのひとつでもあります。
頑健な植物アカンサスは「再生の象徴」としてギリシャの美術品に多用されていたそうです。
4. アカンサスの名前の由来
アカンサスは(acanthus)はギリシャ語の「akantha(とげ)」に由来します。
葉先が鋭くとがっていることや苞にとげが生えているところにちなみます。
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