アジサイ(紫陽花)という花・植物の特徴と名前の由来を詳しく解説しながら、「アジサイ(紫陽花)の花言葉の意味」について紹介していきます。
アジサイの花に関するエピソードも満載です。
アジサイの花には「紫色・青色・ピンク色・赤紫色・白色・緑色」など複数の色があって梅雨の風物詩として観賞されていますが、アジサイにはどのような花言葉や花(植物)の特徴があるのでしょうか。
- アジサイ(紫陽花)とはどんな花・植物なのか?
- アジサイ(紫陽花)の花言葉
- アジサイ(紫陽花)の花の色別の花言葉
- アジサイ(紫陽花)の名前の由来
- アジサイ(紫陽花)の開花時期
- アジサイ(紫陽花)の育て方や注意点
- アジサイの種類(原種・園芸品種)など
- まとめ
1. アジサイ(紫陽花)とはどんな花・植物なのか?
アジサイの花や植物としての特徴について解説していきます。
1-1. アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木:アジサイの花は萼・装飾花
アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で、5~7月の時期にピンク色・青色の花を咲かせる「梅雨の風物詩・代名詞」として、日本人に古代の昔から親しまれてきました。
アジサイの花のように見える部分は、実際には花弁(花びら)ではなくて葉が変形した「ガク(萼)」と呼ばれるものなのですが、一般的にはこのガクの集合がアジサイの花と呼ばれています。
学術的には、花のように見えるガク(萼)の集合は「装飾花(そうしょくか)」と言われています。
ガク(萼)のみでは種子を作れませんが、装飾花に囲まれた中央に隠れている「5枚の花びら(雌しべ)+10本の雄しべ」がくっつくことで果実・種子が作られることになります。
1-2. アジサイは「七変化・八仙花」の別名がある
紫陽花(あじさい)と呼ばれている花・植物はアジサイ属の植物の総称で、長年にわたって品種改良が繰り返されたことで、「花の形状・色のバリエーション」が非常に多くなっています。
アジサイ(紫陽花)には「七変化・八仙花」という別名がありますが、それは「アジサイの花色」が時間が経つに従って(季節が変わるのに従って)変化していくからです。
日本の原生種のアジサイは、蕾の状態から花が咲き終わるまで「淡緑色→白色→青色→淡紅色」へと変化するとされていますが、実際は青色(藍色)の期間が長くて、秋アジサイになると赤色に近づいてきます。
1-3. アジサイの花色が変わる理由:アントシアニンの色素と土の性質の相互作用
アジサイの花色が変わる理由は、アジサイに「アントシアニン」という色素が含まれているからですが、酸性土の影響を受けないアジサイの元々の花色はピンク色だと言われています。
アントシアニンに、補助色素やアルミニウム(アルカリ性)が作用することで花色が変わるのです。
アルカリ性の土壌では「赤色・ピンク色」の花が咲いて、酸性の強い土壌では「青色」の花が咲き、中性の土だと「紫色」になってきます。
アントシアニンの色素自体を持たない白色のアジサイの場合は、土壌の性質で花色が変化することはありません。
1-4. アジサイにはアルカロイドの毒成分が含まれている
アジサイの「蕾・葉・根」の部分には「青酸配糖体・アルカロイド」という毒性成分が含まれています。
手や皮膚でアジサイに触れても毒性はありませんが、間違ってアジサイを食べたために中毒症状で健康を害した事例も過去にはあります。
アジサイを食べた場合でも「死亡するリスク」はまずありませんが、「嘔吐・痙攣・歩行困難・呼吸麻痺(息苦しさ)」などの中毒症状が発症する恐れがあるので、間違って食べることがないように気をつけて下さい。
1-5. アジサイには「魔除け・厄除け」の信仰もあった
アジサイは近世・近代初期の頃まで、特別な霊力が宿った植物・花と考えられていることも多く、「魔除け・厄除けの効果」が期待されていました。
アジサイの花を軒下などに吊るしておくことで、病気が治る健康運の上昇やお金が入ってくる金運の上昇に期待できるという民間信仰があったのです。
不運・不遇を遠ざけてくれる「魔除け・厄除けの効果」もあると伝えられてきたので、アジサイの花を身近に飾ることは縁起が良いと言えるでしょう。
2. アジサイ(紫陽花)の花言葉
アジサイ(紫陽花)には、以下のような花言葉があります。
2-1. 移り気・浮気
アジサイの花は花色が季節・時期によって次々と変化することから、「七変化・八仙花」という異名で呼ばれることもあります。
花色が落ち着きなく変わる様子から、アジサイの元々の花言葉は「移り気・浮気」でした。
一人の相手や一つの環境・活動に落ち着くことがないという「移り気・浮気」というアジサイの不吉な花言葉が嫌われて、昔は贈り物にふさわしくない花として認識されることも多かったのです。
しかし、近年は「辛抱強い愛情・一家団欒・元気な女性・仲良しや団結」などの「アジサイの良い意味の花言葉」も増えてきています。
2-2. 辛抱強い愛情
アジサイが「母の日」にプレゼントされる人気の花となった理由の一つが、この「辛抱強い愛情・忍耐の強い愛情」という花言葉です。
アジサイの花が咲いている期間は長くて、梅雨の激しい雨にも負けず、美しくて可憐な花を咲かせ続けます。
雨に濡れても枯れることのないアジサイの花の姿が、苦労に耐え忍んでいる姿にも感じられることから、「辛抱強い愛情」という花言葉が生まれたのです。
2-3. 美しいが冷淡・高慢
梅雨の降りしきる雨の中で咲いているアジサイの花には、人を寄せ付けない孤高や冷淡のイメージもあります。
そのためなのか、昔ながらのアジサイの花言葉として、「美しいが冷淡・高慢」というものがあります。
雨の中で咲いている色鮮やかなアジサイの花に、冷たさやプライドの高さを感じる人が多かったのかもしれませんが、それだけ「梅雨の時期のアジサイの美しさ(人を寄せ付けないほどの美しさ)」が際立っていたのでしょう。
2-4. 一家団欒・仲良し・平和
近年になって言及されることの多いアジサイのポジティブな花言葉として、「一家団欒(団結)・仲良し・平和」などがあり、複数の人たちが仲良く寄り添って協力し合っているイメージにつながっています。
小さなガク(萼)が多く集まることで、「一つの装飾花」を形成していることからの連想で、「みんなで仲良く過ごす・家族で団欒の一時を過ごす・争いごとがなくて平和」という花言葉が生まれてきました。
3. アジサイ(紫陽花)の花の色別の花言葉
アジサイ(紫陽花)の花には、「青色・紫色・ピンク色・白色・緑色」など様々な色がありますが、その色によって花言葉とその意味が変わってきます。
この項目では、アジサイの花の色別の花言葉をご紹介します。
3-1. 青色のアジサイの花の花言葉:辛抱強い愛情(忍耐強い愛情)
青色のアジサイの花の花言葉には元々、「美しいが冷淡(高慢)・無常・知的・神秘的」などのクールで冷たい印象の花言葉が多かったのですが、近年は梅雨時期の激しい雨に打たれながらも健気に花を咲かせ続ける姿から「辛抱強い愛情(忍耐強い愛情)」という花言葉が有力になっています。
国外追放されたシーボルトが愛妾の楠本滝(お滝さん)にちなんで青色のホンアジサイを「Hydrangea otaksa」と名づけたエピソードも、「辛抱強い愛情」の花言葉と関係しています。
3-2. 紫色~ピンク色のアジサイの花の花言葉:移り気・浮気・元気な女性
紫色のアジサイの花色は、色が変化している途中のプロセスを意味していることから、「移り気・浮気・ほら吹き」などのネガティブな意味合いの花言葉が多くなっています。
しかし、紫色ではなくピンク色に近い淡い色味や赤色に近い色味になってくると、「元気な女性」という花言葉に変わってきます。
赤色に近い赤紫色のアジサイは、ヨーロッパ産のセイヨウアジサイに多く、「男女同権・女性の社会進出のイメージ」が強いヨーロッパの女性像からの連想で、「元気な女性」という花言葉が生まれたのです。
「いつまでもお母さんには明るく元気なままでいてほしい」という願いを込めて、最近ではカーネーションの代わりに赤紫系のアジサイを「母の日」に贈る人が増えているといいます。
3-3. 白色のアジサイの花の花言葉:寛容・ひたむきな愛情・気の迷い
白色のアジサイの花の花言葉は、「寛容・ひたむきな愛情」というポジティブなものになっています。
白色のアジサイは、アントシアニンの色素を持たないために白色の花色が変わることがありません。
そこからの連想で、「すべての人々や物事を包み込む寛容さ」や「一人の人だけを一途に愛そうとするひたむきな愛情」という花言葉が生まれたのでしょう。
真っ白な花色はウェディングドレスの白色とも重なる色であり、「配偶者・嫁ぎ先の色に染まります」というクラシカルな結婚・純愛のイメージにもつながっています。
反対に、白色は何色にも簡単に染まってしまうことから「気の迷い」という花言葉もあります。
3-4. 緑色のアジサイの花の花言葉:ひたむきで一途な愛
緑色のアジサイに特化した花言葉はまだありませんが、緑色の花を咲かせることで有名なアジサイ・アナベルの品種の花言葉は「ひたむきで一途な愛」になっています。
緑色のアジサイは「母親に贈る花」というよりも、「恋人・妻に贈る花」としてふさわしいのかもしれません。
4. アジサイ(紫陽花)の名前の由来
アジサイの名前の由来・起源は、「藍色が集まったもの」という意味を持つ「あづさあい(集真藍)」と言われています。
あるいは、「あぢさゐ(味狭藍)、あぢ=ほめ言葉、さゐ=青い花の意味)」が語源とする説もあります。
紫陽花の漢字表記は元々古代中国の時代からあったもので、紫陽花は「日本のアジサイ」とは全く違う植物でした。
しかし、平安時代の学者が、唐の詩人・白楽天(はくらくてん)の詩にある「紫陽花」を「日本のアジサイ」と勘違いしたことで、日本のアジサイに対する紫陽花という漢字表記が広まってしまったのです。
英語でアジサイを意味する「ハイドランジア(Hydrangea)」はギリシア語の「水の器」を語源にしていて、海外では紫陽花は「東洋のバラ」という別名で呼ばれることもあります。
5. アジサイ(紫陽花)の開花時期
アジサイ(紫陽花)の開花時期は、「5~7月」で梅雨時から初夏にかけて咲く花です。
雨に濡れながら咲く色鮮やかな美しいアジサイの花(正式にはガク)の姿は、「梅雨の風物詩・代名詞」として古くから多くの日本人に愛されてきました。
6. アジサイ(紫陽花)の育て方や注意点
アジサイ(紫陽花)の育て方や注意点について説明していきます。
6-1. アジサイの苗を植えるのに適した時期
アジサイは梅雨から初夏にかけて花を咲かせますが、アジサイの苗を植えるのに適した時期は、「3~4月」あるいは「9月」になります。
アジサイの苗自体は、季節を問わずいつでも売っていますので、春か秋頃に苗を植えるという認識を持っておけば良いでしょう。
ピンク色や青色、白色など咲かせてみたい好みの花色がある人は、「土の酸性・アルカリ性の調整」が簡単な「鉢植え」にした方がいいでしょう。
アジサイの栽培そのものは、鉢植えでも地植えでもどちらでも可能です。
6-2. アジサイの鉢植えの方法
アジサイの苗ポットよりも一回り以上大きめの鉢を準備して、鉢底に「軽石・鉢底石」を敷きつめておきます。
鉢の2分の1ほどの量の土を入れて、軽く根をほぐしたアジサイの苗を鉢に植えていきましょう。
苗を入れたらその周囲に土を持っていき、苗を安定して立てるようにします。
たっぷりと多めの水やりをして、アジサイの苗の生長を待ちましょう。
6-3. アジサイの水やりと肥料のやり方の方法
アジサイの水やりの基本は「多め・たっぷり」です。
鉢植えのアジサイは土の表面が乾いてきたら、鉢の底から水が流れ出るくらいの量の「多めの水」を与えるようにして下さい。
夏場は朝と夜の2回、土の乾き具合を見ながら水やりをしましょう。
アジサイの綺麗な花をたくさん咲かせるためには、「適量の肥料」を与えることが有効です。
肥料の三成分が均等に含まれた「緩行性の肥料(液体肥料も可)」が、アジサイの栽培には適しています。
3〜4月の苗を植える時期、7~8月のアジサイの花が咲いた後、12月~2月の冬場を目処にして、1回ずつ肥料を与えるようにして下さい。
6-4. 青色のアジサイを咲かせるための土作り
青色のアジサイの花を咲かせるためには、土を「酸性」にする必要があります。
青色のアジサイの花は一般的なアジサイの花色なので、園芸用品店などに「アジサイ(青色)の土」として売られているのでそれを購入すれば良いでしょう。
自分で酸性の土を作る場合は、赤玉土と腐葉土を混ぜてそこに若干の「ピートモス(酸性)」を加えると土が酸性になります。
ピンク色のアジサイを咲かせるための土作り
ピンク色のアジサイの花を咲かせるためには、土を「アルカリ性」にする必要があります。赤玉土と腐葉土を「7:3」で混ぜ合わせて、そこに石灰(苦土石灰)を加えて、約2週間置いておくとアルカリ性の土壌ができます。
日本は酸性雨が多いので、土の状態によって再度石灰を加えてアルカリ性を保つようにしましょう。
6-5. アジサイがかかる病気の注意点・予防法
アジサイは一般的に病気にかかりにくくて育てやすい植物ですが、湿気が多すぎたり(水をあげすぎたり)、雑菌が多く繁殖していたりすると病気にかかるリスクがあります。
アジサイがかかりやすい病気には、「黒点病(黒星病)・炭そ病・うどんこ病」などがあります。
病気予防のために、水遣りの水の量に気をつけて、殺菌剤を定期的に撒いておくようにしましょう。
定期的な剪定で風通しを良くすることも病気予防につながりますが、病気にかかった部分はすぐに切り取り、病気だった部分には殺菌剤を塗って下さい。
7. アジサイの種類(原種・園芸品種)など
アジサイ(紫陽花)には、以下のような代表的な種類があります。
アジサイは100種以上の種類があるとされる植物で、品種改良が長い年月をかけて頻繁に行われてきました。
ガク(萼)が花の周囲を縁取っている「ガク咲き」、ガクが球形になっている「手まり咲き」、ガクが複層的に折り重なってる「八重咲き・覆輪(ふくりん)」など、ガクが見せるアジサイの花の形状は多様性に富んでいます。
7-1. ガクアジサイ
ガクアジサイ(H. macrophylla f. normalis)は日本に自生するアジサイの原種であり、高さは2~4mにまで生長する背丈の高いアジサイです。
房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島、足摺岬、南硫黄島、北硫黄島などの海岸部に自生していることから、ガクアジサイは「ハマアジサイ」とも呼ばれます。
花は多数の両性花が集まった華やかなもので、装飾花の「ガク(萼)」が周りを縁取っているので、この花の形状からガクアジサイと命名されました。
花の色は「白色・青色・淡青緑色・淡赤紫色」があり、両性花は典型的なアジサイの花の色である「濃紫色」をしています。
葉の大きさは約10~18cmで、かなり大きくて厚みがあり、macro/phyllus (大きい/葉っぱ)の語源にもなっています。
ガクアジサイの栽培品種として、 「花火・三河千鳥・城ヶ崎(きがさき)」などが知られています。
7-2. ホンアジサイ(アジサイ)
ホンアジサイ(H. macrophylla var. macrophylla)は、 日本原産のガクアジサイの品種(変種)で、日本で品種改良して作られたという説と初めから山地で自生していたという説があります。
普通にアジサイと呼ばれる場合には、日本ではホンアジサイのことを指します。
花序の大きさは約20~25cmです。
ホンアジサイの花序の大部分は、装飾花だけから構成されています。
そこが、花序の中心に両性花があって周りを装飾花が飾っているガクアジサイとの見かけ上の違いになっています。
ホンアジサイは元々日本で作られたもの(自生していたもの)であり、日本から中国に伝えられて、更に18世紀になるとヨーロッパ世界へと輸出されました。
日本にヨーロッパから逆輸入されたホンアジサイは「セイヨウアジサイ」と呼ばれています。
江戸時代にシーボルトがホンアジサイを、愛妾の楠本滝(お滝さん)にちなんで「Hydrangea otaksa」と名づけましたが、現在は学名としては使用されていません。
ホンアジサイは種子がほとんどできないため、「挿し木・株分け」で花を増やすことが一般的に行われています。
7-3. ヤマアジサイ・サワアジサイ(H. serrata)
ヤマアジサイは、沢・川の周辺といった水の多い地域に自生しているアジサイであり、水のある山野に多く咲いていることからヤマアジサイと名付けられました。
ヤマアジサイは、沢地の近くに自生していることから「サワアジサイ」と呼ばれることもあります。
ガク(萼)から構成される花は小ぶりであり、葉っぱの大きさもホンアジサイと比べると小さめになっています。
ヤマアジサイ(サワアジサイ)は学術的な分類では、ガクアジサイの一種に分類されていることもあり、植物の種としての違いはそれほど大きなものではありません。
7-4. フェアリーアイ
フェアリーアイは、2006年の「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー」で最優秀賞を受賞したアジサイの品種で、中央にある両性花を囲むような形で八重咲の華やかな装飾花がついています。
派手過ぎない柔らかい「ピンク色・青色」をしていますが、夏頃には「黄緑色」に変わり、秋アジサイになると更に「赤色」へと変わります。
花が咲き進むと両性花が隠れて、装飾花が「半てまりの形状」で咲くようになります。
季節によって花色が変わるユニークなアジサイです。
7-5. ダンスパーティー
ダンスパーティーは星形をした八重咲きのアジサイの品種で、日本ではガクアジサイの中でも人気のある種類になります。
たくさんの装飾花で飾られたダンスパーティーは、風で花が揺れると、貴婦人が華やかなパーティーでダンスを踊っているような上品な雰囲気が漂います。
ダンスパーティーは日照量・土壌の性質で花の色が微妙に変化する特徴があります。
7-6. アジサイ・アナベル
アジサイ・アナベルは、日照量の多い場所で育てやすい白色の花を咲かせる品種であり、アジサイ・アナベルの花は大きな手まり型の形状をしています。
蕾(つぼみ)の段階では「緑色」をしていますが、花が咲き始めると少しずつ「白色」に変化していく清楚な雰囲気を持ったアジサイです。
まとめ
アジサイ(紫陽花)は梅雨の時期から初夏にかけて、ガク(萼)の装飾花で構成された色鮮やかな花を咲かせます。
シトシトと降り注ぐ雨の景色の中、美しい花を咲かせて群生しているアジサイの花は、多くの日本人にとって「梅雨の風物詩・初夏の訪れを告げる花」になっているのです。
全国各地にアジサイの名所として知られている場所があり、地域や自治体による「アジサイ祭り」が開催されていることもあります。
5〜7月頃に咲くアジサイの花には、「紫色・青色・ピンク色・白色・赤色」など様々な花がありますが、アジサイの花色は土壌から吸い上げる養分が酸性(青色)かアルカリ性(ピンク色)かによって変わります。
アジサイの花言葉は花の色によっても変わりますが、「辛抱強い愛」「移り気・浮気」「元気な女性」「ひたむきな愛情」「家族団欒・仲良し」などになります。
アジサイ(紫陽花)の花言葉や植物・花の特徴、種類について知りたい方は、この記事を参考にしてみて下さい。
3. アジサイ(紫陽花)の花の色別の花言葉
アジサイ(紫陽花)の花には、「青色・紫色・ピンク色・白色・緑色」など様々な色がありますが、その色によって花言葉とその意味が変わってきます。
この項目では、アジサイの花の色別の花言葉をご紹介します。
3-1. 青色のアジサイの花の花言葉:辛抱強い愛情(忍耐強い愛情)
青色のアジサイの花の花言葉には元々、「美しいが冷淡(高慢)・無常・知的・神秘的」などのクールで冷たい印象の花言葉が多かったのですが、近年は梅雨時期の激しい雨に打たれながらも健気に花を咲かせ続ける姿から「辛抱強い愛情(忍耐強い愛情)」という花言葉が有力になっています。
国外追放されたシーボルトが愛妾の楠本滝(お滝さん)にちなんで青色のホンアジサイを「Hydrangea otaksa」と名づけたエピソードも、「辛抱強い愛情」の花言葉と関係しています。
3-2. 紫色~ピンク色のアジサイの花の花言葉:移り気・浮気・元気な女性
紫色のアジサイの花色は、色が変化している途中のプロセスを意味していることから、「移り気・浮気・ほら吹き」などのネガティブな意味合いの花言葉が多くなっています。
しかし、紫色ではなくピンク色に近い淡い色味や赤色に近い色味になってくると、「元気な女性」という花言葉に変わってきます。
赤色に近い赤紫色のアジサイは、ヨーロッパ産のセイヨウアジサイに多く、「男女同権・女性の社会進出のイメージ」が強いヨーロッパの女性像からの連想で、「元気な女性」という花言葉が生まれたのです。
「いつまでもお母さんには明るく元気なままでいてほしい」という願いを込めて、最近ではカーネーションの代わりに赤紫系のアジサイを「母の日」に贈る人が増えているといいます。
3-3. 白色のアジサイの花の花言葉:寛容・ひたむきな愛情・気の迷い
白色のアジサイの花の花言葉は、「寛容・ひたむきな愛情」というポジティブなものになっています。
白色のアジサイは、アントシアニンの色素を持たないために白色の花色が変わることがありません。
そこからの連想で、「すべての人々や物事を包み込む寛容さ」や「一人の人だけを一途に愛そうとするひたむきな愛情」という花言葉が生まれたのでしょう。
真っ白な花色はウェディングドレスの白色とも重なる色であり、「配偶者・嫁ぎ先の色に染まります」というクラシカルな結婚・純愛のイメージにもつながっています。
反対に、白色は何色にも簡単に染まってしまうことから「気の迷い」という花言葉もあります。
3-4. 緑色のアジサイの花の花言葉:ひたむきで一途な愛
緑色のアジサイに特化した花言葉はまだありませんが、緑色の花を咲かせることで有名なアジサイ・アナベルの品種の花言葉は「ひたむきで一途な愛」になっています。
緑色のアジサイは「母親に贈る花」というよりも、「恋人・妻に贈る花」としてふさわしいのかもしれません。
4. アジサイ(紫陽花)の名前の由来
アジサイの名前の由来・起源は、「藍色が集まったもの」という意味を持つ「あづさあい(集真藍)」と言われています。
あるいは、「あぢさゐ(味狭藍)、あぢ=ほめ言葉、さゐ=青い花の意味)」が語源とする説もあります。
紫陽花の漢字表記は元々古代中国の時代からあったもので、紫陽花は「日本のアジサイ」とは全く違う植物でした。
しかし、平安時代の学者が、唐の詩人・白楽天(はくらくてん)の詩にある「紫陽花」を「日本のアジサイ」と勘違いしたことで、日本のアジサイに対する紫陽花という漢字表記が広まってしまったのです。
英語でアジサイを意味する「ハイドランジア(Hydrangea)」はギリシア語の「水の器」を語源にしていて、海外では紫陽花は「東洋のバラ」という別名で呼ばれることもあります。
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