ヨーロッパに自生し、人々から愛されてきたクロッカスはギリシャ神話にもたくさん登場します。
「クロコス(krokos)という美青年がスミラックスという名のニンフ(妖精)に出会い二人は愛し合うようになりました。
しかし神は人間とニンフとの愛を許しませんでした。
絶望したクロコスは命を絶ってしまいました。
スミラックスもまた後を追うように命を絶ったのでした。
哀れに思った花の女神フローラはクロコスの姿を植物に変え、クローカスという名前を与えました」
またもうひとつのギリシャ神話は次のような話です。
「伝令神ヘルメスは婚約者の美しいクローカスとソリで遊んでいました。
ひとしきり遊んで帰ろうとしたとき、突風が吹き、ソリに乗っていたクローカスは谷底に落ちて命を落としてしまいました。
愛しいクローカスを失ったヘルメスが翌年彼女が命を落とした谷を訪れてみると谷底には美しい花がたくさん咲いていました。
ヘルメスは愛の証としてその美しい花に「クロッカス」と名づけました」
ギリシャ神話の遠い昔から春を告げる花として親しまれるクロッカスについてご紹介します。
- クロッカスとはどんな花?
- クロッカスの花言葉
- クロッカスの色別の花言葉
- クロッカスの名前の由来
- クロッカスの開花時期
- クロッカスの育て方や注意点
- 種類(原種、園芸品種)など
- まとめ
1. クロッカスとはどんな花?
クロッカスは原産地はヨーロッパ南部や地中海沿岸から小アジアのアヤメ科クロッカス属の総称です。
料理のスパイスとして使用されるサフランはクロッカス属の秋咲き種です。
観賞用のクロッカスは春咲きでハナサフランとも呼ばれています。
サフランは古くから貴重な薬用や染料として栽培されていたそうです。
その歴史は紀元前15世紀以前までさかのぼり、国と国の間で取引されいたといわれています。
日本でも江戸時代に薬として伝来し栽培されるようになりました。
2. クロッカスの花言葉
2-1. 「青春の喜び」
日本では冬の寒い時期にも花をつけるツバキなどの植物がありますが、クロッカスの原産地のヨーロッパには冬に花をつける植物はほとんどないそうです。
雪の中から顔を出して健気に色とりどりの花を咲かせるクロッカス。
春は人間にとって「青春」。
早春に元気よく咲くクロッカスを青春時代に例え、希望に満ちて喜びが溢れている日々に重ねてつけれらたようです。
2-2. 「切望」「切実」
早春の1月から2月頃から咲くクロッカスは「春を待ち焦がれている」「春の訪れを切実に待っている」とのことからつけられたそうです。
2-3. 「裏切らないで」
ギリシャ神話のクロコスという美青年とスミラックスというニンフ(妖精)の悲恋が由来しているといわれています。
2-4. 「あなたを待っています」
こちらも「裏切らないで」と同じくギリシャ神話から。
悲恋の二人がもう一度会いたいと願ったことからつけられたそうです。
2-5. 西洋の花言葉「機嫌が良い、元気(cheerfulness)」「笑いさざめき、歓喜(mirth)」
西洋の花言葉にもギリシャ神話からくる悲しいものもありますが、どちらかというと寒さがまだ残る地面の中から元気に花芽を出すクロッカスのイメージから「元気」「歓喜」など明るいイメージのものが多いようです。
3. クロッカスの色別の花言葉
花色もさまざまなクロッカスには花色ごとにも花言葉があります。
3-1. 白クロッカスの花言葉「青春の喜び」「切望」
一般のクロッカスと同じ花言葉です。
白色の純粋なイメージと合わせてつけられたようです。
3-2. 黄色いクロッカスの花言葉「私を信じて」
こちらもギリシャ神話より。
クロコスとスミラックスの二人の愛が由来しているといわれています。
3-3. 紫のクロッカスの花言葉「愛の後悔」
やはりギリシャ神話より。
伝令神ヘルメスがクローカスを助けられずにひとり谷底へ滑落させてしまったことが由来するともいわれています。
4. クロッカスの名前の由来
クロッカスの名前には諸説あるのでご紹介します。
「クロッカス(Crocus)」はギリシャ語で「クロコス(krokos:糸)」が転じたものだとといわれています。
長いめしべが糸のように見えることからつけたれたという説。
ギリシャ神話に因んだクロコス美青年とニンフ(妖精)の話からつけれたという説。
同じくギリシャ神話の伝令神ヘルメスとクローカスの話からつけられたという説。
いずれもギリシャが深く関わっているようですね。
5. クロッカスの開花時期
春咲きのクロッカスの開花時期はまだ寒い日の続く2月から4月です。
秋咲きのクロッカスの開花時期は9月から10月です。
花の寿命は10日ほどです。
クロッカスの花は地上に着いてしまいそうなくらいの場所で咲いていますが、茎はどこにあると思いますか?実は茎は地面の下にある球根です。
クロッカスの球根は地下茎が縮まって肥大化したものです。
これは「球茎」といいます。
そのほかの球茎の植物はフリージアやアヤメ、サトイモなどがあります。
6. クロッカスの育て方や注意点
クロッカスは多年草の球根性植物です。
耐寒性もあり耐暑性(夏は休眠期間)もあるので初心者でも育てやすいので是非チャレンジしてはいかがでしょうか。
6-1. 場所
日当たりのよい水はけのよい場所を好みます。
お日様にあたると花が開きますが曇りや日当たりが悪い場所だと花が開きません。
地上部がない時期は日陰でもよいのですが、地上部に芽がでてからは半日以上日の当たる場所でないと球根が育たないので翌年以降の花つきが悪くなります。
庭植えのときは日陰は避けて植えつけます。
鉢植えの場合はお日様の動きに合わせて鉢の場所を決めるとよいでしょう。
クロッカスは冬の寒さにあったのち暖かくなってから花を咲かせる性質を持っています。
室内で栽培する場合も12月いっぱいまで屋外において寒さに当てておいてから室内に取り込みます。
耐暑性があるクロッカスですがやはり真夏の暑さと過湿は苦手です。
水はけが悪いと球根が腐ってしまうので注意しましょう。
落葉樹の下で自生しているクロッカスは秋から冬にかけては日当たりがよい場所を好みます。
自生地に近い環境で庭植えした場合は植え替える必要はありません。
6-2. 植えつけ・植え替え
9月下旬から遅くて11月頃がよいでしょう。
クロッカスは球根2個分ほどの深さに植えつけます。
間隔もできれば同じくらい離して植えると球根の育つ環境が作られます。
庭植えの場合は植えっぱなしでもクロッカスにとって環境がよい場所で育てられていると段々と混みあってきます。
十分のスペースがないと生育が悪くなって花が咲きにくくなってしまうのでその場合は掘りあげて球根を分球して秋に植え替えます。
鉢植えの場合は浅くギューギューに詰めて植えることもできますが翌年花を咲かせるたことを考えるとある程度の間隔をあけてあげる方がよいでしょう。
水耕栽培でも育ちます。
水栽の時は球根の根がはる部分に水がつくかつかないかというところに水をはりましょう。
水はこまめに換えてあげます。
6-3. 水やり
庭植えの場合は植えつけのときにたっぷりと水やりをします。
その後は基本水やりの必要はありません。
雨が降らない日が続くなど土が乾燥しきっている場合だけ水やりをします。
鉢植えの場合は土が乾燥しやすいので秋から春までの生育期は土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えます。
ただし水をやりすぎると球根が腐るので気をつけましょう。
開花期には必ず根元に水をやり花に水がかからないように気をつけます。
花びらに水がかかると溶けるように縮んでしまいます。
葉が枯れて休眠期に入ったら秋まで水を与える必要はありません。
休眠期に水を与えると球根が腐ってしまう心配があるからです。
水耕栽培の場合は1週間に1回は水を入れ替えます。
6-4. 肥料
植えつけるときに土の中に緩効性肥料を混ぜ込んで元肥にします。
花が咲くまでは肥料は必要ありません。
開花後から休眠期間に入るまで追肥して球根を大きくします。
1〜2回液体肥料または緩効性肥料をあげるとよいでしょう。
液肥をあげるときは水やりと一緒にすると手軽です。
球根を太らせるためにカリ分を多く含んだものを与えるとよいでしょう。
6-5. ふやし方
クロッカスは古い球根の上に新しい球根がてきてふえていきます。
花が終わりタネをつけてしまうとタネを作ることに栄養をとられてしまうので球根が大きく育たなくなってしまうので、花がらは早めに根元からとるようにするといいでしょう。
葉は光合成をして球根にたっぷり栄養を蓄えるのでとりません。
鉢植えの場合、短かった葉が伸びて半分ほど黄色く枯れてきたころに掘りあげて分球してふやします。
分球後は風通しのよいところでネットなどの袋にいれてつるしておくとよいでしょう。
庭植えの場合は植えっぱなしでも自然に分球してふえていきます。
6-6. 水栽培のコツ
室内で手軽に育てられるのがクロッカスの魅力のひとつではないでしょうか。
自然のインテリアとしても花色の多く、花丈も低いクロッカスを水栽培で育てるのはおすすめです。
ただ、寒さに当たらないと花芽がつきにくいクロッカスにとって暖房がきいている冬の室内は自然環境とは異なるため、育成するのには適した環境ではありません。
通常は寒い環境におくために球根を屋外に置いておきますがもっと手軽な方法があるのでご紹介します。
春咲きの球根を購入したら封筒や紙袋などに移し変えて「冷蔵庫の中」に2ヶ月以上入れておきます。
冷蔵庫の中で「冬の寒さ」を十分に体感した球根を水栽培専用のポットやお好みの容器に置きます。
このとき球根の根がはる部分に水がつくかつかないかというところまで水をはります。
球根が水につかってしまうと腐りやすくなるので注意しましょう。
水栽培用の器がなくても大丈夫。
グラスでも育てることはできますよ。
ラップや透明なセロファンなどをくしゃくしゃに丸めてグラスの中につめこみます。
その上に球根を置いて球根にかぶらないように水をはります。
この方法をつかうと広い口の容器であっても球根を水の中につけることなく育てることができるのでおすすめです。
植えつけた後は根が十分はるまでは暖房に当たらない涼しく暗い場所に置きます。
明るい場所に置いていると根がなかなかはってくれません。
地中にいると球根をだましてあげる必要があります。
暗い場所が見つからなければ容器を黒い布で覆ってもよいでしょう。
根が十分にはったら日当たりのよい暖かい場所へ移動させます。
このように冷蔵庫の中など人工的に寒い環境を与えて冬を体感させてあげることを「春化処理」といいます。
春化処理した球根は生育もよく、開花も早くなるのでおすすめです。
クロッカスのほかにもチューリップやムスカリ、スイセン、ヒヤシンスなど水栽培で生育する植物にも春化処理させるとよいでしょう。
6-7. 害虫・病気
丈夫なクロッカスは害虫や病気の心配は特にありません。
水はけが悪い場合、球根が腐りやすくなること、ネズミや野鳥に食害を受けることに注意します。
7. 種類(原種、園芸品種)など
クロッカスの原種は約80種あります。
植物学上はクロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthu)を原種とする黄色種とクロッカス・ヴェルヌス(Crocus vernus )を原種とする白・紫系の品種があります。
現在の園芸品種は原種であるクロッカス・ヴェルヌス(C. vernus )を中心にその他の原種と交雑して作られました。
花色は豊富で黄色、白、紫、赤紫、藤色、クリーム色、紫の絞り色など多々あります。
春咲きクロッカスと秋咲きクロッカスがあります。
7-1. クロッカス・ヴェルヌス(Crocus vernus )春咲きクロッカス
ヨーロッパの山岳地帯に分布。
オランダで園芸品種が開発されたため、別名をダッチ・クロッカスといいます。
現在の園芸種の親といってもいいクロッカスの原種です。
紫系や白系の花を咲かせます。
開花時期は3月中旬。
クロッカスとしては遅咲きの花です。
草丈は10~15cm。
1球から数輪花を咲かせることもあります。
7-2. クロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthu)春咲きクロッカス
小アジア、バルカン半島に分布。
草丈は5~10cm。
開花時期は2月から3月です。
寒い時期に咲くため、寒咲きクロッカスともいわれます。
花も球根も少し小さめですが花つきがよく丈夫です。
基本種の花色は黄色ですが、色にも変化があるため、この種を元にカラフルな園芸種が数々誕生しました。
7-3. クロッカス・フラバス(Crocus flavus)春咲きクロッカス
地中海沿岸~小アジア原産の原種です。
鮮やかな濃い黄色の花を咲かせます。
イギリスの詩人テニソン (Tennyson 1809‐92)はクロッカス・フラバスを「炎」に例えたそうです。
ダッチ・クロッカスに比べると小ぶりです。
「フラバス」とはラテン語で「純粋な黄色」の意味です。
7-4. クロッカス・イエロー・マンモス(Crocus flavus ‘Yellow Mammoth’)春咲きクロッカス
地中海沿岸~小アジア原産のクロッカス・フラバスを元にした園芸種です。
開花時期は2月から3月です。
クロッカス・フラバスに比べると大輪の花をつけます。
とても育てやすい品種です。
7-5. クロッカス・ジャンヌ・ダルク(Crocus vernus ‘Jeanne d'Arc’)春咲きクロッカス
ヴェルヌス種を親とする園芸種です。
開花時期は3月。
白系の大輪の花を咲かせます。
白い花びらに濃い黄色の花芯のコントラストが美しい
7-6. クロッカス・サフラン(Crocus sativus)秋咲きクロッカス
別名をバンコウカ(蕃紅花)といいます。
草丈は10cmから15cmほどで開花期は10月から11月。
紫色の花びらに赤色の雌しべがあります。
この雌しべを乾燥させたものがパエリアやブイヤベースの色づけやスパイスに欠かせないスパイス「サフラン」です。
日本には江戸時代末期に漢方薬として入ってきました。
花が咲いたら赤い雌しべを抜き取って水分をよく吸う紙(キッチンペーパーなど)の上に置いて日陰で乾燥させます。
しっかり乾燥させたら自家製スパイス「サフラン」の出来上がりです。
雌しべ乾燥しだすと糸のように細くなり風などに飛ばされやすくなるので注意しましょう。
7-6. クロッカス・スペキオスス(Crocus speciosus)秋咲きクロッカス
トルコやコーカサスに分布。
10月中旬ごろに薄紫から青に近い色の花を咲かせます。
コップ状の花の底の部分は白っぽく、花びらにはブルーの筋が入ります。
「コンケロール」などいくつかの品種があり、葉はあとから出ます。
7-7. クロッカス・メディウス(Crocus medius)秋咲きクロッカス
イタリア北西部、フランス南東部に分布。
開花時期は11月ごろ。
コップ状の花は淡い紫色で底の部分にいくにつれ濃い色になるものもあります。
花びらに濃い紫色の筋の入った花を咲かせます。
まとめ
まだ霜がおりるような寒い日にもクロッカスは寒さに負けじと元気に花を咲かせ春を告げてくれます。
クロッカスが咲くとどんなにつらいことがあってもそれに耐え抜けば必ず暖かい春がやってきて花が開くのだという希望を感じます。
またまだまだ色の少ない早春の時期に色とりどりに咲くクロッカスの花をみているだけで心がうきうきわくくしてきませんか。
手軽に室内で水栽培でも育てることができるクロッカス。
みなさんも初春を告げる花クロッカスを育ててみてはいかがでしょうか。
5. クロッカスの開花時期
春咲きのクロッカスの開花時期はまだ寒い日の続く2月から4月です。
秋咲きのクロッカスの開花時期は9月から10月です。
花の寿命は10日ほどです。
クロッカスの花は地上に着いてしまいそうなくらいの場所で咲いていますが、茎はどこにあると思いますか?実は茎は地面の下にある球根です。
クロッカスの球根は地下茎が縮まって肥大化したものです。
これは「球茎」といいます。
そのほかの球茎の植物はフリージアやアヤメ、サトイモなどがあります。
6. クロッカスの育て方や注意点
クロッカスは多年草の球根性植物です。
耐寒性もあり耐暑性(夏は休眠期間)もあるので初心者でも育てやすいので是非チャレンジしてはいかがでしょうか。
6-1. 場所
日当たりのよい水はけのよい場所を好みます。
お日様にあたると花が開きますが曇りや日当たりが悪い場所だと花が開きません。
地上部がない時期は日陰でもよいのですが、地上部に芽がでてからは半日以上日の当たる場所でないと球根が育たないので翌年以降の花つきが悪くなります。
庭植えのときは日陰は避けて植えつけます。
鉢植えの場合はお日様の動きに合わせて鉢の場所を決めるとよいでしょう。
クロッカスは冬の寒さにあったのち暖かくなってから花を咲かせる性質を持っています。
室内で栽培する場合も12月いっぱいまで屋外において寒さに当てておいてから室内に取り込みます。
耐暑性があるクロッカスですがやはり真夏の暑さと過湿は苦手です。
水はけが悪いと球根が腐ってしまうので注意しましょう。
落葉樹の下で自生しているクロッカスは秋から冬にかけては日当たりがよい場所を好みます。
自生地に近い環境で庭植えした場合は植え替える必要はありません。
6-2. 植えつけ・植え替え
9月下旬から遅くて11月頃がよいでしょう。
クロッカスは球根2個分ほどの深さに植えつけます。
間隔もできれば同じくらい離して植えると球根の育つ環境が作られます。
庭植えの場合は植えっぱなしでもクロッカスにとって環境がよい場所で育てられていると段々と混みあってきます。
十分のスペースがないと生育が悪くなって花が咲きにくくなってしまうのでその場合は掘りあげて球根を分球して秋に植え替えます。
鉢植えの場合は浅くギューギューに詰めて植えることもできますが翌年花を咲かせるたことを考えるとある程度の間隔をあけてあげる方がよいでしょう。
水耕栽培でも育ちます。
水栽の時は球根の根がはる部分に水がつくかつかないかというところに水をはりましょう。
水はこまめに換えてあげます。
6-3. 水やり
庭植えの場合は植えつけのときにたっぷりと水やりをします。
その後は基本水やりの必要はありません。
雨が降らない日が続くなど土が乾燥しきっている場合だけ水やりをします。
鉢植えの場合は土が乾燥しやすいので秋から春までの生育期は土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えます。
ただし水をやりすぎると球根が腐るので気をつけましょう。
開花期には必ず根元に水をやり花に水がかからないように気をつけます。
花びらに水がかかると溶けるように縮んでしまいます。
葉が枯れて休眠期に入ったら秋まで水を与える必要はありません。
休眠期に水を与えると球根が腐ってしまう心配があるからです。
水耕栽培の場合は1週間に1回は水を入れ替えます。
6-4. 肥料
植えつけるときに土の中に緩効性肥料を混ぜ込んで元肥にします。
花が咲くまでは肥料は必要ありません。
開花後から休眠期間に入るまで追肥して球根を大きくします。
1〜2回液体肥料または緩効性肥料をあげるとよいでしょう。
液肥をあげるときは水やりと一緒にすると手軽です。
球根を太らせるためにカリ分を多く含んだものを与えるとよいでしょう。
6-5. ふやし方
クロッカスは古い球根の上に新しい球根がてきてふえていきます。
花が終わりタネをつけてしまうとタネを作ることに栄養をとられてしまうので球根が大きく育たなくなってしまうので、花がらは早めに根元からとるようにするといいでしょう。
葉は光合成をして球根にたっぷり栄養を蓄えるのでとりません。
鉢植えの場合、短かった葉が伸びて半分ほど黄色く枯れてきたころに掘りあげて分球してふやします。
分球後は風通しのよいところでネットなどの袋にいれてつるしておくとよいでしょう。
庭植えの場合は植えっぱなしでも自然に分球してふえていきます。
6-6. 水栽培のコツ
室内で手軽に育てられるのがクロッカスの魅力のひとつではないでしょうか。
自然のインテリアとしても花色の多く、花丈も低いクロッカスを水栽培で育てるのはおすすめです。
ただ、寒さに当たらないと花芽がつきにくいクロッカスにとって暖房がきいている冬の室内は自然環境とは異なるため、育成するのには適した環境ではありません。
通常は寒い環境におくために球根を屋外に置いておきますがもっと手軽な方法があるのでご紹介します。
春咲きの球根を購入したら封筒や紙袋などに移し変えて「冷蔵庫の中」に2ヶ月以上入れておきます。
冷蔵庫の中で「冬の寒さ」を十分に体感した球根を水栽培専用のポットやお好みの容器に置きます。
このとき球根の根がはる部分に水がつくかつかないかというところまで水をはります。
球根が水につかってしまうと腐りやすくなるので注意しましょう。
水栽培用の器がなくても大丈夫。
グラスでも育てることはできますよ。
ラップや透明なセロファンなどをくしゃくしゃに丸めてグラスの中につめこみます。
その上に球根を置いて球根にかぶらないように水をはります。
この方法をつかうと広い口の容器であっても球根を水の中につけることなく育てることができるのでおすすめです。
植えつけた後は根が十分はるまでは暖房に当たらない涼しく暗い場所に置きます。
明るい場所に置いていると根がなかなかはってくれません。
地中にいると球根をだましてあげる必要があります。
暗い場所が見つからなければ容器を黒い布で覆ってもよいでしょう。
根が十分にはったら日当たりのよい暖かい場所へ移動させます。
このように冷蔵庫の中など人工的に寒い環境を与えて冬を体感させてあげることを「春化処理」といいます。
春化処理した球根は生育もよく、開花も早くなるのでおすすめです。
クロッカスのほかにもチューリップやムスカリ、スイセン、ヒヤシンスなど水栽培で生育する植物にも春化処理させるとよいでしょう。
6-7. 害虫・病気
丈夫なクロッカスは害虫や病気の心配は特にありません。
水はけが悪い場合、球根が腐りやすくなること、ネズミや野鳥に食害を受けることに注意します。
7. 種類(原種、園芸品種)など
クロッカスの原種は約80種あります。
植物学上はクロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthu)を原種とする黄色種とクロッカス・ヴェルヌス(Crocus vernus )を原種とする白・紫系の品種があります。
現在の園芸品種は原種であるクロッカス・ヴェルヌス(C. vernus )を中心にその他の原種と交雑して作られました。
花色は豊富で黄色、白、紫、赤紫、藤色、クリーム色、紫の絞り色など多々あります。
春咲きクロッカスと秋咲きクロッカスがあります。
7-1. クロッカス・ヴェルヌス(Crocus vernus )春咲きクロッカス
ヨーロッパの山岳地帯に分布。
オランダで園芸品種が開発されたため、別名をダッチ・クロッカスといいます。
現在の園芸種の親といってもいいクロッカスの原種です。
紫系や白系の花を咲かせます。
開花時期は3月中旬。
クロッカスとしては遅咲きの花です。
草丈は10~15cm。
1球から数輪花を咲かせることもあります。
7-2. クロッカス・クリサントゥス(Crocus chrysanthu)春咲きクロッカス
小アジア、バルカン半島に分布。
草丈は5~10cm。
開花時期は2月から3月です。
寒い時期に咲くため、寒咲きクロッカスともいわれます。
花も球根も少し小さめですが花つきがよく丈夫です。
基本種の花色は黄色ですが、色にも変化があるため、この種を元にカラフルな園芸種が数々誕生しました。
7-3. クロッカス・フラバス(Crocus flavus)春咲きクロッカス
地中海沿岸~小アジア原産の原種です。
鮮やかな濃い黄色の花を咲かせます。
イギリスの詩人テニソン (Tennyson 1809‐92)はクロッカス・フラバスを「炎」に例えたそうです。
ダッチ・クロッカスに比べると小ぶりです。
「フラバス」とはラテン語で「純粋な黄色」の意味です。
7-4. クロッカス・イエロー・マンモス(Crocus flavus ‘Yellow Mammoth’)春咲きクロッカス
地中海沿岸~小アジア原産のクロッカス・フラバスを元にした園芸種です。
開花時期は2月から3月です。
クロッカス・フラバスに比べると大輪の花をつけます。
とても育てやすい品種です。
7-5. クロッカス・ジャンヌ・ダルク(Crocus vernus ‘Jeanne d'Arc’)春咲きクロッカス
ヴェルヌス種を親とする園芸種です。
開花時期は3月。
白系の大輪の花を咲かせます。
白い花びらに濃い黄色の花芯のコントラストが美しい
7-6. クロッカス・サフラン(Crocus sativus)秋咲きクロッカス
別名をバンコウカ(蕃紅花)といいます。
草丈は10cmから15cmほどで開花期は10月から11月。
紫色の花びらに赤色の雌しべがあります。
この雌しべを乾燥させたものがパエリアやブイヤベースの色づけやスパイスに欠かせないスパイス「サフラン」です。
日本には江戸時代末期に漢方薬として入ってきました。
花が咲いたら赤い雌しべを抜き取って水分をよく吸う紙(キッチンペーパーなど)の上に置いて日陰で乾燥させます。
しっかり乾燥させたら自家製スパイス「サフラン」の出来上がりです。
雌しべ乾燥しだすと糸のように細くなり風などに飛ばされやすくなるので注意しましょう。
7-6. クロッカス・スペキオスス(Crocus speciosus)秋咲きクロッカス
トルコやコーカサスに分布。
10月中旬ごろに薄紫から青に近い色の花を咲かせます。
コップ状の花の底の部分は白っぽく、花びらにはブルーの筋が入ります。
「コンケロール」などいくつかの品種があり、葉はあとから出ます。
7-7. クロッカス・メディウス(Crocus medius)秋咲きクロッカス
イタリア北西部、フランス南東部に分布。
開花時期は11月ごろ。
コップ状の花は淡い紫色で底の部分にいくにつれ濃い色になるものもあります。
花びらに濃い紫色の筋の入った花を咲かせます。
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