いわゆる、という言葉を使用したことのない人はいないと思います。
少し固い言葉ではありますが、その分ビジネス文書などで説得力を持たせるために活用できる言葉です。
しかし、その意味や使い方をきちんと把握、理解している人は少ないと思います。
また、漢字で書くと「所謂」となり、少々見慣れない字面になります。
それゆえ、間違いやすい言葉が多いのも特徴です。
そのため会議資料などでうっかり打ち間違いをしてしまうと、説得力どころか誤字のある資料として、内容は悪くなくても最悪説得力を損なうことにもなりかねません。
今回は、「いわゆる」という言葉の使い方や由来、間違いやすい言葉のご紹介をします。
- いわゆるの意味とは?
- いわゆるの例文や使い方
- いわゆるの由来・言葉の背景
- 「いわゆる」と「即ち」の違い
- 所謂の読み方「しょせん」は間違い?
- 「所謂」と間違えやすい言葉
- まとめ
1. いわゆるの意味とは?
いわゆるとは、辞書を引くと「世に言われている、世間で言う」という意味になっています。
「何か」に対しての説明を繰り返したのち、一言でまとめるときに無意識に使ってしまいがちな言葉ですが、その使用条件として「社会的に認知されていること」が必要となってきます。
そのため、個人的な見解やまだ周知されていない事実などに「いわゆる」を使うことは誤りです。
「いわゆる○○という新システムです」などと使う場合は、〇〇システムを紹介している段階で、誰もが知る情報でないのであればおかしな表現ということになるでしょう。
2. いわゆるの例文や使い方
いわゆるという言葉を付けるには、社会的、あるいは狭い団体内だったとしても複数人が認知している必要があります。
また逆に、世間で認知されていたとしても、その情報が通用しないと思われる団体内では「いわゆる」を多用しない方が無難でしょう。
自分の知識をむやみに披露している印象にもなりかねません。
以下に、例文をご紹介します。
2-1. 事象に対してもろもろの説明をしたのち、大体の人が分かる言葉で表すために「いわゆる」でまとめる使い方です
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一般的にはこのように使用されることが多いでしょう。
「出張先のホテルは、フロントが無人だが部屋のアメニティや設備は充実している。
いわゆるビジネスホテルだ」
2-2. 広く世間一般で使われていなくても、その集団が認知して定着している言葉であれば、その集団内に限り「いわゆる」を使用するのは問題ないでしょう
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「いわゆるアイドルタイムの業務とは、お客さんが少なくなった間に、掃除と各種カトラリーのチェック、夜の繁忙時間の仕込みをするものです」
2-3. いわゆるという言葉には、世間に広く知られた言葉を紹介する形で使われます
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そのため、ことわざや故事を引用する際には大変相性のいい言葉です。
「このような集団を、いわゆる烏合の衆というのではないだろうか」
3. いわゆるの由来・言葉の背景
いわゆるの起源は、古代日本までさかのぼります。
現在では使いませんが、万葉集などには文章中に助動詞として「ゆ」を使う形式がありました。
見る→見ゆ、泣く→泣かゆ、などの使い方をしていたようです。
その流れで、「言う」に対して「ゆる」がつき、「いわゆる」という言葉があったことが分かっています。
言葉の意味も現在と同じように使われていたようです。
歴史のある古い言葉ですね。
4. 「いわゆる」と「即ち」の違い
さて、「いわゆる」と使いどころを迷ってしまうのが「すなわち」という言葉です。
どのような違いがあり、適正に使うにはどんなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
すなわちとは、辞書を引くと「言い換えれば、とりもなおさず」という意味があるようです。
つまり、すなわちという言葉の前で説明文を書いておき、表現のブレなどを統一するために使える言葉と言えます。
この際、注目すべきは「いわゆる」が持っていた「世間一般で言う」というような、他者の目線が不要なことです。
そのため、説明などを一言でまとめるという意味では同じ意味を持ちますが、世間的に言うことについては「いわゆる」を使い、知られていないことは「すなわち」を使うとスマートであると言えるでしょう。
例文を挙げてみます。
「報告、連絡、相談。これをいわゆる報連相と言う」
「報告、連絡、相談の上で自己判断。これがすなわち、わが社の報連相だ」
ちなみにすなわちは漢字で書くと「即ち」となり、もう一つ意味として「その時、即」という意味も持つようです。
しかしこちらは「いわゆる」と使用を迷うことのない意味なので解説は省きます。
5. 所謂の読み方「しょせん」は間違い?
「いわゆる」という言葉は、漢字で表すと「所謂」です。
「しょせん」と呼んでしまう人は大多数いますが、それは誤りです。
漢字二文字が並んでいると、どうしても音読みしたくなってしまう気持ちになってしまうのは分かります。
しかし「所謂」には音で読む読み方はありません。
「いわゆる」という音の響きが柔らかいため、漢字の字面のイメージとは合いませんが、気にせず訓読みでそのまま読みましょう。
ビジネス文書など、固い文章の時には漢字は音読みすることが慣例となっているため、いきなり訓読みの漢字が出てくると違和感を感じます。
その場合、「いわゆる」を漢字で書かずにもとからひらがなにしておいた方がいい印象を与える場合もあります。
「しょせん」と間違えてしまうのは、「所」という漢字のせいかと思います。
「しょせん」という言葉は漢字では「所詮」と書き、また音の流れ方も良いので混同してしまうのでしょう。
6. 「所謂」と間違えやすい言葉
いわゆるは、「所謂」というやや見慣れない漢字のせいか間違いやすい言葉がいくつか存在します。
間違いやすい言葉の種類と、その正しい意味をご紹介します。
6-1. 「所詮」(しょせん)
所詮とは、「結局は、結果としては」という意味合いを持ちます。
主に否定的な場合に使用されます。
そのため、例えばいわゆると間違えて使用するとこのようなマイナスのイメージの文章になってしまいます。
「新しいサービスを導入することにした。所詮経費削減のためだ」
これでは経費削減が大変ネガティブなものとして受け取られかねません。
6-2. 「所以」(ゆえん)
所以とは、根拠や理由、いわれという意味を持ちます。
物事の根幹の語を修飾するものですから、結果をまとめる「いわゆる」と間違うとおかしなことになってしまいます。
「出産を機に、10時から16時の短時間労働という所以時短になった」
出産を機とした時短を説明する際に「所以」を使いたければ、下記のような使い方が適当でしょう。
「短時間労働、すなわち時短になった所以には出産がある」
6-3. 「所為」(しょい)
所為とは「せい」とも読み、しわざ、おこない、ある原因の結果という意味合いを持っています。
結果という広い意味を持ちますので、「世間が認知していること」が条件の「いわゆる」とは異なります。
「高齢者を雇用することになった。所為、シルバー人材である」
なお、漢字の字面としては所謂と間違いやすい「所為」ですが、例えビジネス文書上だったとしても固すぎて高圧的な文章になりかねません。
普段使うことはあまりない単語であると言えます。
まとめ
「いわゆる」という言葉には、今まで話していた説明を総括し、まとめ上げるパワーがあります。
しかしパワーワードである分、少々威圧的で押しつけがましいイメージにもなりかねません。
文書中に漢字で「所謂」と使う場合はなおのことです。
便利な言葉ではありますが、TPOを考え、適正に使うようにしたいですね。
3. いわゆるの由来・言葉の背景
いわゆるの起源は、古代日本までさかのぼります。
現在では使いませんが、万葉集などには文章中に助動詞として「ゆ」を使う形式がありました。
見る→見ゆ、泣く→泣かゆ、などの使い方をしていたようです。
その流れで、「言う」に対して「ゆる」がつき、「いわゆる」という言葉があったことが分かっています。
言葉の意味も現在と同じように使われていたようです。
歴史のある古い言葉ですね。
4. 「いわゆる」と「即ち」の違い
さて、「いわゆる」と使いどころを迷ってしまうのが「すなわち」という言葉です。
どのような違いがあり、適正に使うにはどんなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
すなわちとは、辞書を引くと「言い換えれば、とりもなおさず」という意味があるようです。
つまり、すなわちという言葉の前で説明文を書いておき、表現のブレなどを統一するために使える言葉と言えます。
この際、注目すべきは「いわゆる」が持っていた「世間一般で言う」というような、他者の目線が不要なことです。
そのため、説明などを一言でまとめるという意味では同じ意味を持ちますが、世間的に言うことについては「いわゆる」を使い、知られていないことは「すなわち」を使うとスマートであると言えるでしょう。
例文を挙げてみます。
「報告、連絡、相談。これをいわゆる報連相と言う」
「報告、連絡、相談の上で自己判断。これがすなわち、わが社の報連相だ」
ちなみにすなわちは漢字で書くと「即ち」となり、もう一つ意味として「その時、即」という意味も持つようです。
しかしこちらは「いわゆる」と使用を迷うことのない意味なので解説は省きます。
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