雲一つない夏空に、ギラギラと焼け付くように輝く太陽の下、紅色の真っ赤な花びらを揺らして、咲き誇る夾竹桃の花は、夏の風物詩でもあり、逆に、たくましく生きる姿を感じさせる一服の清涼剤でもあります。
夏の季語として、俳句にも多く読み込まれているほど、身近に見ることができる、夏の代表的な花です。
なので、見るとよけいに暑さを感じる人もいるようですが、それだけに、誰でもが知っている花でもあります。
また、反面、強い毒性のあることでも知られています。
- 夾竹桃とはどんな花?
- 夾竹桃の花言葉
- 夾竹桃の毒性
- 夾竹桃の名前の由来
- 夾竹桃の開花時期
- 夾竹桃の品種
- まとめ
1. 夾竹桃とはどんな花?
夾竹桃は、もともとはインド原産の木で、江戸の中頃に、中国から伝えられたとされています。
多くは、白や赤の一重もしくは、二重の花を枝いっぱいに咲かせる、細長い楕円形の薄くて固い葉っぱをした低木、あるいは、小高木の類になる、さほど高くならない常緑の木になります。
夏の暑さだけでなく、大気汚染や公害にも強く、乾燥にも強いので、街路樹や高速道路の中央分離帯などに、よく植えられています。
2. 夾竹桃の花言葉
2-1. 全般的な花言葉
広く全般的な花言葉としては、夾竹桃の毒性が基になっていると思われる、「注意」「危険」「用心」の三つの言葉が、よく知られています。
いずれも、この植物の美しい花の裏にある、強い毒性に気を付けるようにと、この植物の特徴をとらえた、花言葉になっています。
2-2. 毒性を基にした花言葉
さらに、夾竹桃のもつ強い毒性に、注目した花言葉としては、「油断大敵」という言い得て妙の花言葉の他に、「危険な愛」という恋愛上での「用心」や「注意」を促す意味を含んだ花言葉もあります。
2-3. 生育環境に対する強さを基にした花言葉
人類史上、初の原子爆弾を投下され、あたり一面、何も残らない、焼け野原と化した広島の地に、最初に、花開いたのが夾竹桃でした。
また、排気ガスを直接受ける中央分離帯や、水の便も悪く、乾燥しがちな道路脇にでも、たくましく街路樹として生きて、きれいな花を咲かせる姿から生まれた花言葉もあります。
「心の平和」「友情」「恵まれた人」「親友を大切に」「美しき善良」といった、毒性を基にした花言葉とは、全く、異なる意味合いをもつ花言葉になっています。
2-4. 外国語の訳を基にした花言葉
外国での夾竹桃に対する花言葉を翻訳したものもあります。
英語のcautionから「用心」bewareから「注意する」「用心する」といった花言葉などで、他には、フランス語を訳したもので「気を付けて」「永遠の命」「喜び」、ドイツ語からは「注意」「不信感」といった花言葉が、あります。
いずれも日本の花言葉と大同小異の感ですが、ドイツ語からの「不信感」という花言葉は、夾竹桃の美しさに騙されたという感情からきたものなのでしょうか。
他とは、性質を異にするようです。
3. 夾竹桃の毒性
夾竹桃の毒性の原因は、オレアンドリンという成分が基になって、起きる中毒ですが、その毒性は、意外にも、想像以上に、かなり強烈で、致死量に至っては、薬物による中毒死でよく知られている青酸カリと比べても、青酸カリの500 分の1から1000分の1の量で十分な致死量に至るというほどの恐ろしい毒性をもっています。
さらに、その毒性を含む部分が、一般的に、毒性の物質が多く含まれる実や根の部分だけではなく、枝や葉、花に至るまで、いわば、夾竹桃全体が、毒性を含んでいる状態です。
だから、夾竹桃に触った時には、触った場所を問わず、丁寧に、確実な手洗いを欠かさないことが大切です。
中毒の症状としては、吐き気、嘔吐、下痢、めまい、腹痛、などといった体調の変化が表れるので、早急な対応が重要です。
また、樹木を剪定したあと、切り落とした枝や葉っぱを燃やす煙にさえも、毒性が含まれていますので、焼却処理をする際にも、細心の注意が必要です。
4. 夾竹桃の名前の由来
漢字の中に「竹」と「桃」が」使われていますが、これは、葉っぱの形や様子が「竹の葉」に似ているという意味を表しています。
また、「桃」は、赤く紅色に咲いた花が、「桃の花」に似ていることを表しています。
さらに、「夾」の字には、「挟まる」「混じる」という意味が含まれていますので。
「竹」と「桃」とが「混じった」あるいは「挟まった」樹木の名前として、「夾竹桃」と、命名されています。
5. 夾竹桃の開花時期
7、8月が、開花には最適な時期ですが、実際的には、6月の中頃から9月頃までという夏本番を迎える前の初夏から、暑さの残る残暑まで、まさに、照りつける太陽と時期を同じにする開花時期と言えます。
6. 夾竹桃の品種
6-1. 原種と呼ばれる品種
江戸時代に、中国から持ち込まれた夾竹桃は、白い、中輪の花が咲く木でした。
やがて、明治の初め頃、西洋、特に、ヨーロッパから、品種改良された夾竹桃が多く入るようになり、花も中輪だけでなく、大輪や、八重咲きのものも現れました。
当然、花の色も白だけではなく、白、紫、ピンク、淡いピンクなど、多彩な色合いがそろうようになりました。
また、これらをセイヨウキョウチクトウと呼んで、在来種とは、区別しています。
従って、原種と言えるのは、最初に持ち込まれた、中輪、白花の夾竹桃だということになります。
さらに、セイヨウキョチクトウは、園芸栽培のもとで、交配を重ね作りだしてきたものなので、園芸種として、別扱いする例も見られます。
6-2. 園芸種と呼ばれる品種
家庭での観賞用に品種改良されたものが、大型の園芸センターや通信販売などで販売されています。
その中でも次のような種類が、人気を博しています。
(ミセス・ジョ-ジ・ロディング)サーモンピンクの色をした中輪の花を八重で咲かせる夾竹桃で、なかなか見応えのある花です。
(ミセス・スワンソン)淡い紅色をしたロディングと違って、大輪の花を咲かせる夾竹桃で、華やかさが見事な花です。
(カーディナル)色は赤ですが、花が、一重でも八重でもない。
半八重というおもしろい花を咲かせます。
これらの他にも、大輪、中輪、一重、八重、さらには、色も橙などもあって、原種はかすんでしまうくらいに多彩です。
その中でも「フイリキョウチクトウ」と呼ばれる木は、葉っぱに黄色の斑が入り、濃いピンクの花を咲かせるので、豪華きわまりなく、華麗な夾竹桃の代表格と言える品種です。
6-3. オキナワキョウチクトウ
琉球諸島には、「オキナワキョウチクトウ」と呼ばれる原種の色、白い花を咲かせる熱帯や亜熱帯にある常緑の高木があります。
「ミフクラギ」というキュチクトウ科の花で、厳密には別種となります。
また、「クサキョウチクトウ」と呼ばれる、シバザクラなどに似たものもあって、日本全国に夾竹桃が、、入り込んでいることが分かります。
まとめ
かつて、官軍に敗れ、鹿児島へと落ちて行く西郷隆盛の軍が、大分と宮崎の県堺の野営地で、昼食をとるのに足りなかった箸を、手近にあった木の枝を切り、削って即席の箸を作って食事を済ませたところ、ややしばらくあって、幾人もの兵が苦しみだし、かなりの兵を死なせてしまった話は、知る人ぞ知る、悲劇の秘話です。
もちろん、削った木が、夾竹桃であったわけで、南国の宮崎では、どこにでもある木でもあったわけです。
箸を使っただけで死に至るという毒性をもつが故に、照りつける太陽に、鮮やかな、大輪や八重の見事な花を咲かせるのかもしれません。
あでやかな、はなやかさの裏には、危険な影が隠れているのかもしれません。
くれぐれも、ご用心ご用心。
5. 夾竹桃の開花時期
7、8月が、開花には最適な時期ですが、実際的には、6月の中頃から9月頃までという夏本番を迎える前の初夏から、暑さの残る残暑まで、まさに、照りつける太陽と時期を同じにする開花時期と言えます。
6. 夾竹桃の品種
6-1. 原種と呼ばれる品種
江戸時代に、中国から持ち込まれた夾竹桃は、白い、中輪の花が咲く木でした。
やがて、明治の初め頃、西洋、特に、ヨーロッパから、品種改良された夾竹桃が多く入るようになり、花も中輪だけでなく、大輪や、八重咲きのものも現れました。
当然、花の色も白だけではなく、白、紫、ピンク、淡いピンクなど、多彩な色合いがそろうようになりました。
また、これらをセイヨウキョウチクトウと呼んで、在来種とは、区別しています。
従って、原種と言えるのは、最初に持ち込まれた、中輪、白花の夾竹桃だということになります。
さらに、セイヨウキョチクトウは、園芸栽培のもとで、交配を重ね作りだしてきたものなので、園芸種として、別扱いする例も見られます。
6-2. 園芸種と呼ばれる品種
家庭での観賞用に品種改良されたものが、大型の園芸センターや通信販売などで販売されています。
その中でも次のような種類が、人気を博しています。
(ミセス・ジョ-ジ・ロディング)サーモンピンクの色をした中輪の花を八重で咲かせる夾竹桃で、なかなか見応えのある花です。
(ミセス・スワンソン)淡い紅色をしたロディングと違って、大輪の花を咲かせる夾竹桃で、華やかさが見事な花です。
(カーディナル)色は赤ですが、花が、一重でも八重でもない。
半八重というおもしろい花を咲かせます。
これらの他にも、大輪、中輪、一重、八重、さらには、色も橙などもあって、原種はかすんでしまうくらいに多彩です。
その中でも「フイリキョウチクトウ」と呼ばれる木は、葉っぱに黄色の斑が入り、濃いピンクの花を咲かせるので、豪華きわまりなく、華麗な夾竹桃の代表格と言える品種です。
6-3. オキナワキョウチクトウ
琉球諸島には、「オキナワキョウチクトウ」と呼ばれる原種の色、白い花を咲かせる熱帯や亜熱帯にある常緑の高木があります。
「ミフクラギ」というキュチクトウ科の花で、厳密には別種となります。
また、「クサキョウチクトウ」と呼ばれる、シバザクラなどに似たものもあって、日本全国に夾竹桃が、、入り込んでいることが分かります。
まとめ
かつて、官軍に敗れ、鹿児島へと落ちて行く西郷隆盛の軍が、大分と宮崎の県堺の野営地で、昼食をとるのに足りなかった箸を、手近にあった木の枝を切り、削って即席の箸を作って食事を済ませたところ、ややしばらくあって、幾人もの兵が苦しみだし、かなりの兵を死なせてしまった話は、知る人ぞ知る、悲劇の秘話です。
もちろん、削った木が、夾竹桃であったわけで、南国の宮崎では、どこにでもある木でもあったわけです。
箸を使っただけで死に至るという毒性をもつが故に、照りつける太陽に、鮮やかな、大輪や八重の見事な花を咲かせるのかもしれません。
あでやかな、はなやかさの裏には、危険な影が隠れているのかもしれません。
くれぐれも、ご用心ご用心。
スポンサーリンク