あなたの周りには、突然「自分語り」を始める人はいませんか?
「オレってこういう人間だからさ」「私ってこういう人じゃない?」
こうした独演会が始まると、周囲の人は「そ、そうだね…」とあいづちを打つことしかできません。
そしているうちに、その人はますます雄弁になっていき、自分の言葉に感動して涙を浮かべたりし始めました。
あなたは心の中でこんな風に思います。
「ああ、この人は今、自分に酔っているなあ」
「自分に酔っている」人の姿を見たことのない人はいないでしょう。
また過去の自分を振り返って、「あの時は自分に酔っていたな」と恥ずかしい思いをした経験も、おそらく誰にもあるはずです。
「自分に酔っている」とはどういうことなのでしょう。
また、「自分に酔っている」人の心理とはどのようなものなのでしょうか。
ここではほかにも「自分に酔っている」人の特徴や、酔いやすい人の性格パターン、「自分に酔っている」人あるあるなどを見ていきます。
- 「自分に酔っている」とは?
- 自分に酔っている人の心理
- 自分に酔っている人の特徴
- 自分に酔いやすい性格のパターン
- 自分に酔っている人あるある
- まとめ
1. 「自分に酔っている」とは?
「自己陶酔」や、「ナルシシズムに浸っている」という状態と言い換えることもできます。
自分の言動に夢中になるあまり、冷静さを失って自分のことしか考えられなくなる状態です。
その考えというのも、「こんなことをしている自分はどんなにすばらしいんだ」「こんな私ってなんてステキなの」「こんなことを思いつける自分は天才だ」という風に、ただひたすら肯定的だという特徴があります。
その自己評価も、客観的なものではなく、誇大妄想やバイアスのかかった思考が混ざっていることが多く、他人からの共感の得られにくいものです。
このように自分をすばらしい何かだと妄想するだけでなく、それをアピールし続け、周囲の人の感情や意見を一切無視する人が、「自分に酔っている」人だと言えます。
2. 自分に酔っている人の心理
2-1. 「自分を周りの者とは違う、特別な人間」と思い込んでいる
保護者のものの見方や教育の仕方、また成育環境にもよりますが、自分に酔いやすい人は、小さいころから「あなたは特別」と言われながら育った傾向があります。
それが意識下に刷り込まれ、無意識のうちに自分のことを特別な人間だとみなしているため、「自分は特別だから○○されて当然」、あるいは「自分は特別だから○○な扱いを受けるのはおかしい」と自然に考えるようになってしまいます。
2-2. 「失敗したのは周りが悪かったから」(自己奉仕バイアス)
私たち誰もがものごとを見たり、判断したりするとき、「認知バイアス」という独特のゆがみを持っています。
たとえば自分の失敗に対しては「あのときは〜だったから仕方がなかった」と周囲のせいにするのに対し、他人の失敗に対しては「努力が足りなかった」と本人のせいだと考える傾向が誰にでもありますが、これは「自己奉仕バイアス」と呼ばれるものです。
しかし、多くの人はいくつもの失敗や、悪い結果から、次第に自分の「実力」がどの程度のものか、少しずつ客観的に評価できるようになってきます。
ところが自信と実力が釣り合っていようといなかろうと関係なしに、自分に絶対の自信を持つ人もいるのです。
良いことはすべて自分の実力、才能などによるものだと思い込み、悪いことは自分以外の運、周りの人がやったことが原因だと信じて疑わないで、自分に非があるとは絶対に認めようとしない人です。
このような人は、悪い結果が出ることの方がはるかに多いのですが、たまに良い結果が出るようなことがあれば、すっかり自分に酔って、自分はすごいアピールを垂れ流すことになります。
2-3. 耳の痛い意見は聞かない、無視する(確証バイアス)
「自分に酔っている」人を見ると、私たちはいつも「今まで誰からも指摘されたことはないのだろうか」と不思議になります。
実はそういう人の多くは、これまでにも指導者や上司、先輩や友人たちから何度も注意され、指摘されてきたのですが、自分の優位性を脅かすような指摘には、「この人は何もわかっていない」「自分に嫉妬している」と一切耳を貸さないで来ました。
自分や、自分の理論にとって不都合な事実や考えは無視し、自分にとって都合の良いものだけを取り上げたがる心理的なゆがみを確証バイアスと言いますが、「自分に酔っている」人はこの確証バイアスがきわめて強いのです。
このような人の好きなことわざは、「出る杭は打たれる」であることも多く、仮に批判されても、自分が優れているがゆえに批判されているのだ、と思い込むことができるのです。
3. 自分に酔っている人の特徴
3-1. 人の忠告を無視しがち
たいてい、人は誰かに忠告する時は、頭ごなしに悪いところだけをしかりつけるのではなく「あなたにはこういう良いところがある。
でもね(ここからが本題)…」という話し方をするものです。
ところが「自分に酔っている人」は、最初のところしか聞きません。
また、それをしないでいきなり忠告する人に対しては、非難されたと思い込み、意見しようとする人に対して、攻撃的になることが多いのです。
3-2. 自分の価値を否定してくるものに対し異常なまでの敵意を抱く
「自分に酔っている人」は、成功体験より、圧倒的に失敗体験の方が多いのです。
そのため、どこかで自分が「それほどでもないのではないか」という恐れを抱いています。
また、コンプレックスも密かに抱えているのです。
そのため、ちょっとでも価値を否定されると、それが自分自身の価値でなくても、自分が応援しているアニメやアイドルグループが対象であっても、軽い冗談でさえも過剰なまでに反応する傾向があります。
3-3. 自分よりできる人を認めない、自分よりできない人と思えば見下す
こうした人は自分の自尊心を保つために、自分よりできる存在を決して認めようとしません。
逆に、自分より下のだと判断すれば、容赦なく見下します。
こういう人にとって他人の粗探しは何よりの楽しみ。
できる人の粗を見つけて優越感を得ようしたり、自らの劣等感を押し隠そうとしたりするだけでなく、「自分より下」と決めつけた相手には、それを元に攻撃したり、バカにしたりします。
3-4. 他人からの称賛を過剰なまでに求める
こういう人は、SNSでのプロフィール欄を見れば、すぐにわかります。
自分がどれだけすごいか、どんな有名人と知り合いで、どんなことをやっているか、ゴテゴテと飾り立てているのですが、すべて「すごいでしょ、褒めて、褒めて」と言っているようなものです。
また、自分のプロフィールを飾るのが大好きなので、必要もないのに頻繁に書き換えます。
逆にそういうものに対して称賛をしてくれない人には、一気に興味を失うのもこういう人の特徴です。
称賛をしてくれる人と、そうでない人との距離感の差が極めて激しいのです。
3-5. 人の話を聞かず、自分の意見だけ強引に押し通そうとする
こういう人の前で、何かを主張しようとすると、途中で無理やり話を遮ってでも、自分の意見を主張することにこだわります。
自分の意見が正しいか、それとも他人の意見が正しいか、自分の話と他人の話のどちらが重要か、などということは、「自分に酔っている人」にとっては、まったく気にならないことなのです。
3-6. 常に上から目線で、相手の上に立たないと気が済まない
「自分に酔っている人」は、グループの中に2人いることはできません。
一方が酔うと、もう一方はどうしても冷めてしまうからです。
「自分に酔っている人」は、自分が誰よりも「酔うだけの価値」のある存在だと考えたい人でもあります。
そのためどうしても上から目線になり、相手の上に立たないと、気がすみません。
3-7. 上昇志向が強い
上昇志向が強いのは決して悪いことではないのですが、それも本人の努力があってこその話です。
「自分に酔っている人」は、地道な努力のように人の目に触れないこと、褒めてもらえないことはやりたがりません。
努力なしに良い結果だけをほしがるために、他人を利用しようとします。
そのために、役に立ちそうにない人と役に立ちそうな人との態度の取り方がまったく違うという特徴があります。
3-8. 極端な自己中心的思考やうぬぼれが目立つ
小さな子供は親を始め、周囲の視線を独占したがります。
自分の親が、ほかの子を褒めたりするのもいやがります。
しかし、健全な発達段階を経ていくうちに、自分が大切なように、周囲の子供たち一人一人が大切であり、それぞれの親にとってかけがえのない子供なのだということを理解するようになります。
またきょうだいがいれば、親の注目を自分だけが独占できない、という経験も、早い段階で味わうことでしょう。
しかし、「自分に酔っている人」は、未だに小さい子供と同じように、自分こそが世界の中心でないと気に入りません。
自分以外の誰かが注目されたり、大切にされたりするのには、がまんができないのです。
4. 自分に酔いやすい性格のパターン
4-1. 愛されたい願望が強い
人から愛され、必要とされ、評価されることを強く希望し、それを確かめるために自分の持っているエネルギーのほとんどを使うような人です。
会社や学校、プライベートで「自分に酔いやすい人」がいると、人間関係は悪くなりがちなのですが、自分が原因であるにもかかわらず、被害者と思い込み、周囲を恨んだり、攻撃的になったりします。
4-2. 自分を特別な人間だと思っている
「自分に酔いやすい人」は、自分のことを特別な人間だと感じています。
身勝手な行動を取っても、その結果他人に迷惑をかけることになったとしても、平気で正当化できる傲慢さも持っているのです。
逆に言うと、そうした正当化は、自分に酔っていない人であれば罪悪感を抱いてしまって、できることではありません。
4-3. 長続きしない
ひとつの組織に長く所属することも、何かのスキルを身に付けることも、「自分に酔いやすい人」は苦手です。
「自分に酔いやすい人」は、組織の成果を独り占めして称賛を浴びることは大好きでも、一員として地道に活動することは苦手です。
周囲の人がそれを理解し、一種の広告塔のように使ってくれる場合を除けば、そういう人がひとつの組織で長く務めることはないでしょう。
5. 自分に酔っている人あるある
5-1. 自己アピールが大好き
「オレ仕事多すぎて昨日○○時間しか寝てないわ〜」などの露骨な寝てないアピール、忙しい人アピール、仕事多いアピール…。
とにもかくにも自分のアピールを楽しそうにしています。
5-2. 自分語りが大好き
相手に話す時間を与えず、自分の話したいことばかり話します。
趣味の話をしていても、仕事の話をしていても、結局は「オレってこういう人間だから〜」「この仕事は私がいなきゃ、大変なことになってたんだから」と自分語りになっています。
5-3. 無駄な動きが多い
自分が話していない時は、スマホを何回も取り出してチェックしたり、汗もかいていないのにハンカチを取り出して顔を押さえたり、髪をいじったり、鏡を出して自分の顔を見たりするなど、無駄な動きが多く、一緒にいる人にほとんど意識を向けようとしません。
5-4. SNSに「そんなことはないよ」と言ってもらうための自虐を投稿する
可能な限り盛った画像に「私ってブスだから〜」、渾身のダンス動画に「私ってダンスがヘタだから〜」などと書き込みます。
しかもそれらの自虐ネタを肯定すると、途端に攻撃的になります。
5-5. 人との間に波風が立ちがち
自己中心的な言動は人に嫌われることが多いものですが、それに加えて相手の意見と批判を混同しがちなため、何かと相手ともめごとが起こりがちです。
5-6. SNSポエマー
「愛」「キズナ」など、口当たりのいい言葉を使ったポエムを頻繁にSNSに投稿します。
しかもいかにも何か言っていそうで、実は雰囲気だけだったり、ありきたりだったり。
せめてもう少し内容のあるものなら読んでもいいのですが…。
5-7. 自分の放ったブーメランに気づかない
「日本人って大体○○(マイナスイメージの言葉)だよな〜。
そこへ行くとアメリカ(北欧、ヨーロッパ)は…」「ウチの学校はバカばっかりだから〜」
など、人、団体などを貶める発言が多いのが特徴ですが、そう言っている自分も、日本人だったり、その学校の生徒だったりして、自分の言った批判がそのまま返ってきているのに気づきません。
5-8. 流行りものが大好き
「イケてる自分」が大好きな彼らは、流行りものが大好き。
さっそく取り入れては、ネットで仕込んだうんちくを披露して、「イケてる自分」を演出します。
相手もその記事を読んでいてもおかまいなしです。
辛抱して聞いてあげるか、せめて聞いているふりをしてあげましょう。
まとめ
ここでは「自分に酔っている」という言葉の意味や、「自分に酔っている」人の心理、「自分に酔っている」人の特徴や、酔いやすい人の性格パターン、「自分に酔っている」人あるあるなどを見てきました。
自分に酔っている人は、自分に関して極端な意識を持ちがちです。
厄介なのは、自分に酔っている人は、自分に酔っていると認めることができないということです。
仮に言葉で指摘されても、自分の酔いを覚ますことはできないでしょう。
実際にお酒で酔った時のように、一定時間が過ぎるか、取り返しのつかないことになるまで普通は治りません。
自分の言葉に涙した経験のある人は、「自分は今、大丈夫かな」と、ちょっと振り返ってみてくださいね。
周りに「自分に酔っている」人がいるときは迂闊に注意などすれば、先にも述べたように波風を立たせがちなことになるため、距離を置くか、同じ組織に所属していてそれも難しいときは、つかず離れずの関係を持つことが重要になります。
上司がそのタイプなら、「あるある」を見つけてこっそり楽しむと、精神衛生上、少しはマシになるかもしれませんね。
あなたの周りには、突然「自分語り」を始める人はいませんか?
「オレってこういう人間だからさ」「私ってこういう人じゃない?」
こうした独演会が始まると、周囲の人は「そ、そうだね…」とあいづちを打つことしかできません。
そしているうちに、その人はますます雄弁になっていき、自分の言葉に感動して涙を浮かべたりし始めました。
あなたは心の中でこんな風に思います。
「ああ、この人は今、自分に酔っているなあ」
「自分に酔っている」人の姿を見たことのない人はいないでしょう。
また過去の自分を振り返って、「あの時は自分に酔っていたな」と恥ずかしい思いをした経験も、おそらく誰にもあるはずです。
「自分に酔っている」とはどういうことなのでしょう。
また、「自分に酔っている」人の心理とはどのようなものなのでしょうか。
ここではほかにも「自分に酔っている」人の特徴や、酔いやすい人の性格パターン、「自分に酔っている」人あるあるなどを見ていきます。
1. 「自分に酔っている」とは?
「自己陶酔」や、「ナルシシズムに浸っている」という状態と言い換えることもできます。
自分の言動に夢中になるあまり、冷静さを失って自分のことしか考えられなくなる状態です。
その考えというのも、「こんなことをしている自分はどんなにすばらしいんだ」「こんな私ってなんてステキなの」「こんなことを思いつける自分は天才だ」という風に、ただひたすら肯定的だという特徴があります。
その自己評価も、客観的なものではなく、誇大妄想やバイアスのかかった思考が混ざっていることが多く、他人からの共感の得られにくいものです。
このように自分をすばらしい何かだと妄想するだけでなく、それをアピールし続け、周囲の人の感情や意見を一切無視する人が、「自分に酔っている」人だと言えます。
2. 自分に酔っている人の心理
2-1. 「自分を周りの者とは違う、特別な人間」と思い込んでいる
保護者のものの見方や教育の仕方、また成育環境にもよりますが、自分に酔いやすい人は、小さいころから「あなたは特別」と言われながら育った傾向があります。
それが意識下に刷り込まれ、無意識のうちに自分のことを特別な人間だとみなしているため、「自分は特別だから○○されて当然」、あるいは「自分は特別だから○○な扱いを受けるのはおかしい」と自然に考えるようになってしまいます。
2-2. 「失敗したのは周りが悪かったから」(自己奉仕バイアス)
私たち誰もがものごとを見たり、判断したりするとき、「認知バイアス」という独特のゆがみを持っています。
たとえば自分の失敗に対しては「あのときは〜だったから仕方がなかった」と周囲のせいにするのに対し、他人の失敗に対しては「努力が足りなかった」と本人のせいだと考える傾向が誰にでもありますが、これは「自己奉仕バイアス」と呼ばれるものです。
しかし、多くの人はいくつもの失敗や、悪い結果から、次第に自分の「実力」がどの程度のものか、少しずつ客観的に評価できるようになってきます。
ところが自信と実力が釣り合っていようといなかろうと関係なしに、自分に絶対の自信を持つ人もいるのです。
良いことはすべて自分の実力、才能などによるものだと思い込み、悪いことは自分以外の運、周りの人がやったことが原因だと信じて疑わないで、自分に非があるとは絶対に認めようとしない人です。
このような人は、悪い結果が出ることの方がはるかに多いのですが、たまに良い結果が出るようなことがあれば、すっかり自分に酔って、自分はすごいアピールを垂れ流すことになります。
2-3. 耳の痛い意見は聞かない、無視する(確証バイアス)
「自分に酔っている」人を見ると、私たちはいつも「今まで誰からも指摘されたことはないのだろうか」と不思議になります。
実はそういう人の多くは、これまでにも指導者や上司、先輩や友人たちから何度も注意され、指摘されてきたのですが、自分の優位性を脅かすような指摘には、「この人は何もわかっていない」「自分に嫉妬している」と一切耳を貸さないで来ました。
自分や、自分の理論にとって不都合な事実や考えは無視し、自分にとって都合の良いものだけを取り上げたがる心理的なゆがみを確証バイアスと言いますが、「自分に酔っている」人はこの確証バイアスがきわめて強いのです。
このような人の好きなことわざは、「出る杭は打たれる」であることも多く、仮に批判されても、自分が優れているがゆえに批判されているのだ、と思い込むことができるのです。
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