認知のゆがみという心理学の言葉を聞いたことがあるでしょうか。
簡単にいうならば「何でもマイナスに解釈してしまう」ことです。
認知のゆがみについてわかりやすく説明していきましょう。
- 認知のゆがみとは?
- 認知のゆがみのパターン
- 認知のゆがみの原因
- 認知のゆがみを治す為にできること
- 認知のゆがみが治らない理由
- 認知のゆがみを改善する方法やコツ
- まとめ
1. 認知のゆがみとは?
認知のゆがみについて説明する前に、まず認知の意味を理解しておきましょう。
心理学における認知とは、「外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断、解釈したりする過程」のこととなっています。
ちょっと難しいでしょうか。
要するに今目の前で起こっていることがどういうことなのか解釈するという意味になります。
それがゆがむわけですから、正しく解釈しない(できない)ことを「認知のゆがみ」というのです。
例えば、他人からある対応をされたとします。
その対応に対して、何とも思わない人もいれば、気にして自分が悪いのではないかと悩んだりする人もいます。
気にし過ぎてどんどんネガティブに解釈していく人が時々いませんか。
極端にマイナス思考、ネガティブな人は「認知のゆがみ」を起こしている可能性は高いのです。
2. 認知のゆがみのパターン
認知のゆがみという言葉の意味は何となく理解できたでしょうか。
少し難しい概念かもしれませんが、最後まで読んでいただければ理解できるかと思います。
認知のゆがみには10種類のパターンがあります。
それではまとめてみましたので見てみましょう。
2-1. 全か無かの思考
物事に対して、白か黒かの二極でしか考えられない人がいます。
これは極端な完璧主義の思考パターンで、このようなタイプと仕事やつきあいをするのは相手は疲れてしまうことが多いものです。
しかし一番疲れて苦しいのは当の本人なのです。
例えば、何か一つ失敗をしてもやり直しもできますし、大して問題がないということであっても認知のゆがみがあると「ああ、これで全部台無しになった」「自分はもう駄目だ」と勝手に思い込んでしまうのです。
周りがいくら「大丈夫」とか「心配しないでもいいよ」と声をかけてもパニック状態になったり、落ち込んでしまったりということがあります。
2-2. 〇〇すべきという思考
「〇〇すべき」と何かにつけて完璧を目指そうとする人です。
自分の中だけならまだしも、往々にして他の人にもそれを求めてしまう為、周りの人から煙たがられたりすることもあります。
また勝手に自分の中でハードルを上げてパンクしてしまうこともあります。
誰もそんな高度なことは求めていないのに自分で自分を追い詰めてしまうのです。
「できなかったら馬鹿にされる、これぐらいできて当然、努力すべき」という考え方です。
冷静になって、誰がそんなことを望んだのかといえば、実は誰もいなかったりしますし、根拠もないのです。
理由もなく自分で「〇〇すべき」「〇〇すべきではない」とルールを作っているのです。
2-3. 極端な一般化をする
一度や二度あっただけで、全部がそうだと決めつけてしまうパターンです。
一度、二度のことでも「いつもそう」「毎回している」など思ってしまうのです。
例えば、一度の失敗でも「この人は失敗ばかりする人」といったように捉えてしまうのです。
こういった捉え方をし続けますと、すぐに決めつける、偏見が強いといった攻撃的なタイプに思われますし、自分にとってもいいことはないのです。
2-4. 心のフィルター(自分の偏見、思い込み)
物事のいい面を見ずに悪い部分にばかり気にしてしまいます。
あることに対して、褒めてくれる人と、批判した人がいたとします。
その場合、褒めてくれた人のことではなく、批判した人のことばかりが気になってしまうような状態です。
ポジティブ思考の人は褒められたことを嬉しく思いますし、批判されたことはそれほど気にしないのです。
また自分のことだけに限らず、人のことにしてもいい面を見ず、悪い部分にばかり注目してしまうことがあります。
そのような姿はまるで人のあら探しをしているようにも見えますし、偏見や思い込みが強くなっています。
2-5. マイナス思考
マイナス思考の人は何かに対して悪いことばかりあげつらいます。
また自分がマイナス思考になっていることに気がついていないことも多いのです。
その為ポジティブ思考の人が話しかけてきても、全て否定系で返してしまうことになったり、周りから引かれてしまうことになるのです。
起こったことに対して素直に受け取らない、悪い方へ考えてしまう、またその想像がたくましいのです。
2-6. 結論の飛躍
相手の言動に対して、自分で勝手にマイナスな方向へ結論づけてしまうのです。
例えば自分が連絡をしたけれどすぐに返事が返ってこない時があります。
もしかしたら相手は忙しくて連絡に気がついていないだけかもしれません。
しかし認知のゆがみがあると「自分が連絡したのが迷惑なのだ」「自分は嫌われているのだ」と思い込んでしまうのです。
2-7. 拡大解釈&過小解釈
自分の悪いところ、マイナス面を拡大解釈して、いい部分に対しては自信がなく過小解釈になってしまいます。
自分は駄目だから、何もできないからと卑下して自信がないのです。
2-8. 感情的に決めつける
自分の感情で物事を決めつける、結論づけます。
例えば自分に注意してきた人のことを「性格が悪いに違いない」といった具合です。
認知のゆがみがない人であれば「次から気をつけよう」と思いますし「相手も忙しくてイライラしていたのかな」ぐらいにしか思わないでしょう。
2-9. レッテル貼り(創作)
自分でも他人でも、何か失敗をしたら「自分が馬鹿だから」「あの人はどうしようもない」などほんの一部分ですべてを判断して決めてしまいます。
失敗ぐらい誰にでもあるものだと大らかになれません。
批判的になってしまうのです。
2-10. 自分のせいにする
何か良くないことが起こった時に自分に責任があるのでは、自分のせいではと思ってしまいます。
相手が機嫌が悪かったら自分が何かしたせいでは?と不安がったりもします。
そもそも相手が機嫌が悪いのは相手の感情の問題であり他人のせいではないのです。
3. 認知のゆがみの原因
認知のゆがみ、10パターンを紹介しました。
誰にでも少しはそういった傾向はあるかもしれません。
ですがすぐに打ち消したり、考え方をニュートラルに戻すことでコントロールしているのです。
認知のゆがみがある人はそのコントロールが上手くできていないのです。
もしくは自分に認知のゆがみがあるという概念すら持っていないでしょう。
ここでは認知のゆがみの原因を見ていきましょう。
3-1. 育ってきた環境
認知のゆがみの原因は育ってきた環境にあります。
伸び伸びとできずに育ってきた可能性が高いのではないでしょうか。
周りの人の目を気にしていたり、本音が出せなかったり、また本音を言えば叱られたりして結局自分を肯定してもらえずに育った場合、どうしてもネガティブな性格になりやすいでしょう。
また自分はいつも相手を怒らせる、自分が悪いのだろうと、自分に対しても自信が持てないのです。
3-2. マイナス思考
性格的に、マイナス思考であることが原因です。
ですが最初からマイナス思考だったのではなく、育ってきた過程でマイナス思考になってしまうことが多かったと考えられます。
周りの家族、友達にマイナス思考の人が多いとどうしても影響は受けてしまうでしょう。
特に家庭の中が上手くいっていなかったり、親、兄弟にマイナス思考の人がいますとどうしてもそれが「普通」となってしまいますので、知らずしらずのうちに認知のゆがみが起こってしまうのです。
3-3. 自分に自信がない
自分に自信がない人は、悪いことが起これば自分のせいではないかと一番に心配したり不安になるのです。
自分に自信がある人はそのような考え方にはなりません。
客観的に物事を見て判断することができるのです。
3-4. 親との関係性
認知のゆがみは、親との関係性も関係があるでしょう。
例えば子供がネガティブ思考であっても親がポジティブに受け止めて優しくフォローしてあげれば認知のゆがみは起こりません。
認知のゆがみが起こっていても「あなたは何も悪くないよ」と言い聞かせて自信を与えてあげればいいのです。
しかし世の中には残念なことに子供に愛情が薄い人間もいるのです。
そのような親が子供を育てますと、自信が持てない、生き辛いと悪影響が起こりやすくなるのです。
いわゆる毒親に育てられると認知のゆがみが起こりやすいのではないでしょうか。
4. 認知のゆがみを治す為にできること
自分の中にある認知のゆがみに気がついた人はとてもラッキーな人です。
なぜなら認知のゆがみというのは自分で治そうと思えば治すことはできるからです。
認知のゆがみがあり、気がつかないままで他人との関係性で損をしている人の方が多いのかもしれません。
それでは認知のゆがみを治す為にできることを紹介しましょう。
4-1. メンタルの本を読む
認知のゆがみは考え方の癖です。
ネガティブにならないように自分で自分の心をコントロールすることを意識するといいでしょう。
日頃から気に入った自己啓発本、メンタルの本を読むようにしましょう。
前向きなこと、当たり前のことが書いてあるものです。
しかしそういった基本的なことは忘れてしまいついネガティブになりやすいのではないでしょうか。
特に忙しかったり、余裕がなくなりますと、イライラしたり悪い方向へ物事を考えたり、決めつけたりということがあります。
そんな自分の悪い思考の癖を、良質な自己啓発、メンタルの本を読むことによって上から打ち消してください。
4-2. カウンセリングを受ける
認知のゆがみは自分で気をつけて治すことができる人もいれば、なかなか考え方の癖が変わらない人もいるのです。
一人で何とかしようとするよりカウンセリングを受けて第三者の力を借りるということもいい方法です。
自分のことを客観視することが苦手な人におすすめです。
4-3. 体を動かすこと
極端にマイナス思考になっている人は運動不足の傾向があります。
動くことで脳内から良いホルモン、セロトニンが出るのです。
セロトニンでストレスに強くなる、健全になることが期待できます。
太陽の光を浴びながら体を動かすことでプラス思考になっていくのです。
4-4. 自分のことを客観視してみる
何か物事を考える時は、認知のゆがみではないかと疑って見る癖をつけましょう。
認知のゆがみ10パターンを大まかに覚えておき、そのどれかに当てはまっていないかと自問自答をするのです。
また自分のことを客観的に見ることも大事です。
「ちょっと決めつけすぎていたかも」「自分を責める必要はない」など見えてくるものがあるでしょう。
4-5. 第三者に相談、協力してもらう
身近にいる信頼できる人に、自分がマイナス思考になっていないかチェックしてもらうこともいいでしょう。
「大丈夫だよ」「気にすることないよ」と優しく言われれば心も落ち着きますし、安心できます。
またマイナス思考になりやすい状況なども指摘してもらうといったこともできます。
自分のことはわかっているようで気がついていない部分も多いのです。
第三者の方がよく見ていてわかっている部分もありますので認知のゆがみを治すのを協力してもらうといいでしょう。
ただし、信頼できる人に限ります。
4-6. 悪影響を与えるだけの人と縁を切る
認知のゆがみは、物事を極端にマイナスにとらえてしまう状態をいいます。
そのような状態になるのはネガティブになる相手が関わっていることが関係している場合もあります。
自分にとって悪影響を与えるだけの人はいないでしょうか。
いつもトラブルを持ち込んでくる、嫌な話ばかり聞かせるといったような人はつきあっていても自分が嫌な思いをしたり迷惑をかけられるだけなのです。
認知のゆがみを治すにはポジティブ思考になることが大事です。
人間関係において悪影響、ネガティブになるだけの人、関係性は断ち切るぐらいの覚悟は必要でしょう。
5. 認知のゆがみが治らない理由
気をつけていても、認知の歪みが治らないこともあります。
その理由を見ていきましょう。
5-1. 周りにネガティブ、マイナス思考な人がいる
せっかく、自分が認知のゆがみを治そうとして考え方を変えていても、周りにネガティブでマイナス思考な人がいますと、悪い影響を受けてしまうことになります。
ネガティブでマイナス思考な人と一緒にいますと自分も少なからず影響を受けてしまうのです。
認知のゆがみがない人であれば関わらないようにしますし、自分に自信がありますので影響を受けることはさほどありません。
しかし認知のゆがみがある人はもともといいことであっても悪い方向へとってしまいやすいのです。
認知のゆがみを治そうと思うならばポジティブ思考の人となるべく一緒にいた方がいいでしょう。
5-2. 自分のことを否定している
認知のゆがみを治したいのに治らないのは、自分のことを自分が信じていない、否定していることが考えられます。
自分のことが嫌いだったり、駄目だと思い込んでいれば、認知のゆがみは治りにくいでしょう。
なぜならば自分を嫌ったり、駄目だと思い込むこと自体がネガティブなことだからです。
まずは自分を否定することを止めることから始めた方がいいでしょう。
5-3. 縁を切るべき相手と縁が切れていない
認知のゆがみは、育ってきた環境、今の環境なども関係があります。
例えば身近な人から肯定されることなく「お前は駄目だ」と決めつけられて育ってきたとしたら、自分に自信は持てず認知のゆがみがあるでしょう。
親や兄弟が原因となって認知のゆがみがある、治らないということもあるのです。
また、友人、恋人、配偶者の場合もあります。
自分にとって良くない影響を与えている相手とは勇気を出して縁を切ることも必要な時があります。
認知のゆがみが治らないのは縁を切るべき相手と縁が切れていないことも原因です。
5-4. 上手くいっていないことがある
認知のゆがみを治したいけれど、治らないのは、上手くいっていないことがあるからです。
その問題をまずは解決しなければいつまでもネガティブな気分のままでしょう。
上手くいっていないことを先延ばしにしたり、見て見ぬふりをするのではなく問題と向き合って取り除いていくことで、気持ちも上向きますし、自分に自信も持てるようになるのです。
5-5. 治す気がない(自分は正しいと信じている)
認知のゆがみが治らないのは、実は本人が認知のゆがみに気がついていないことも理由としてあります。
周りの人はわかっているのですが本人だけがその状態に気づいていないのです。
自分は正しいと信じているので、治す気がありません。
とても頑固で一度自分がこうと思ったら絶対に譲ることはありませんし、自分が悪いと認めることもしません。
この場合は認知のゆがみがある本人は平気なのですが、周りの人が迷惑を被るのです。
それは主に家族です。
他人であれば避けることができますし、一緒に生活することもありません。
しかし家族は逃げることができません。
6. 認知のゆがみを改善する方法やコツ
認知のゆがみも人によって程度の差があります。
少しぐらいならば大して生活に影響はありませんし、心配症な人、神経質な人といった印象を与えるぐらいのものです。
しかし、度が過ぎますと周りも困りますし、本人も鬱々としてきていいことはありません。
生き辛く感じることが多くなりますので、考え方を変えていくことが必要でしょう。
ここでは認知のゆがみを改善する方法やコツをお伝えしていきます。
6-1. 日記をつけてみる
認知のゆがみを記録するという方法です。
日記というのはその時は何の意味があるのだろうと思うかもしれませんが、時間が経ってから読み返すと面白いものですし、データとして役にも立つのです。
思ったこと、感じたことなど自由に書いていきましょう。
書くことで気が落ち着くこともありますし、後で自分のことを客観的に見つめることにも役立ってくれることでしょう。
6-2. 自分の思考のパターンを掴む
自分の思考の癖、パターンを客観的に理解しているでしょうか。
なかなか自分のことを客観視することは難しいですし、認めたくない欠点もあるものです。
嫌なことがあったら、自分はどう考えるか、行動するかといったことを考えてみましょう。
決めつけてはいないか、必要以上に自分が悪かったのではと責めていないかなど冷静に思考パターンを掴んでいきましょう。
それを繰り返していきますと何かあっても「あ、自分の思考の悪い癖が出ている」とわかってきます。
気にしすぎる人、自信を失くしがちな人ほど意識した方がいいでしょう。
思い込みが認知のゆがみを起こしているのです。
6-3. 考え過ぎず自然に任せてみる
認知のゆがみを改善するには、あまり考え過ぎないことです。
終わったことをいつまでも思考し続けるのは悪いことではありませんが、意味がない場合も多いのです。
なぜならば過去に戻ることはできませんので起こったことを変えることはできないからです。
考えるならば、この先どう対処するか、変えていくかといったことにしましょう。
例えば誰かに注意されてそれで落ち込んでいるとします。
「自分は嫌われているのではないか」と考えてもそれは無駄なことです。
相手の気持ちは相手にしかわからないからです。
確かにあなたのことを嫌っている場合もあるでしょう。
しかし、ただ単にその時機嫌が悪かったとか、注意をしただけで個人的感情はないという場合もあるのです。
気にしても仕方ないこと、忘れるという方がポジティブです。
また「次から失敗しない為に何を注意するか」といったことを考えるのならば前向きでいいでしょう。
6-4. 自分に責任はないと自信を持つ
認知のゆがみを改善するには、いい意味で「無責任」な人になるようにしましょう。
何でも自分が悪かったのではと思わない、責任を感じることはしないようにするのです。
本当に自分が悪かったとしたら、それを指摘されるはずです。
また不機嫌になったり、悪感情を表面に出す人はその人自身に問題があることがほとんどなのです。
常識のある大人であれば自分の感情をむき出しにして周りの人に不愉快な思いをさせることはしないものです。
またもしもあなたが原因でそのような態度になっているならば、何か言ってくることでしょう。
何も言われないならば気にすることもないのです。
6-5. 完璧を目指さない
完璧にしないといけないと、思い込むことを止めましょう。
「〇〇すべき」といった考え方を人に求めることも止めましょう。
真面目すぎる傾向にある人は少々手を抜くぐらいでちょうどいいのです。
完璧を目指そうとするから、できなかった時に失望が大きくなり、自分を責めたり、人を批判してしまうのです。
前向きに頑張ることと、完璧主義は違います。
6-6. 自信がある人、輝いている人に学ぶ
自分の身近にいる、自信があって堂々としている人、幸せそうで輝いている人に、学ぶようにしましょう。
別に本人とつきあいがなくても、観察していいところは真似する、自分に取り入れることでも十分です。
自信がある人や輝いている人はポジティブなことが多いですので、学ぶことが多いでしょう。
6-7. 人の発言に一喜一憂しない
人の発言とは無責任なものです。
言われたことに一喜一憂するのは止めましょう。
いいことを言われたら嬉しいと思うのはいいのですが、悪いことを言われた時は真に受けず流してしまうことです。
自分にとっていいことばかり言う人はいないのです。
誰だって自由気ままに思ったこと、言いたいことを言っているだけ、そう思えば人の発言に振り回されたり、自分が落ち込むことも少なくなるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
認知のゆがみの種類、原因、治らない理由、治し方などまとめて紹介しました。
誰でも考え方がネガティブになる時もありますが、一時的なものです。
後で自己嫌悪に陥ったり反省するのであれば問題はないでしょう。
問題となるのは、認知のゆがみで生き辛いと感じたり対人関係が悪くなる場合です。
もしも自分にもその傾向があると気づいた時は考え方を変えていくように意識しましょう。
そして身近にいる人が認知のゆがみがあると気づいた時は、注意を促してあげたり、距離をとって衝突を防ぐなど自分なりに気をつけていきましょう。
認知のゆがみという心理学の言葉を聞いたことがあるでしょうか。
簡単にいうならば「何でもマイナスに解釈してしまう」ことです。
認知のゆがみについてわかりやすく説明していきましょう。
1. 認知のゆがみとは?
認知のゆがみについて説明する前に、まず認知の意味を理解しておきましょう。
心理学における認知とは、「外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断、解釈したりする過程」のこととなっています。
ちょっと難しいでしょうか。
要するに今目の前で起こっていることがどういうことなのか解釈するという意味になります。
それがゆがむわけですから、正しく解釈しない(できない)ことを「認知のゆがみ」というのです。
例えば、他人からある対応をされたとします。
その対応に対して、何とも思わない人もいれば、気にして自分が悪いのではないかと悩んだりする人もいます。
気にし過ぎてどんどんネガティブに解釈していく人が時々いませんか。
極端にマイナス思考、ネガティブな人は「認知のゆがみ」を起こしている可能性は高いのです。
2. 認知のゆがみのパターン
認知のゆがみという言葉の意味は何となく理解できたでしょうか。
少し難しい概念かもしれませんが、最後まで読んでいただければ理解できるかと思います。
認知のゆがみには10種類のパターンがあります。
それではまとめてみましたので見てみましょう。
2-1. 全か無かの思考
物事に対して、白か黒かの二極でしか考えられない人がいます。
これは極端な完璧主義の思考パターンで、このようなタイプと仕事やつきあいをするのは相手は疲れてしまうことが多いものです。
しかし一番疲れて苦しいのは当の本人なのです。
例えば、何か一つ失敗をしてもやり直しもできますし、大して問題がないということであっても認知のゆがみがあると「ああ、これで全部台無しになった」「自分はもう駄目だ」と勝手に思い込んでしまうのです。
周りがいくら「大丈夫」とか「心配しないでもいいよ」と声をかけてもパニック状態になったり、落ち込んでしまったりということがあります。
2-2. 〇〇すべきという思考
「〇〇すべき」と何かにつけて完璧を目指そうとする人です。
自分の中だけならまだしも、往々にして他の人にもそれを求めてしまう為、周りの人から煙たがられたりすることもあります。
また勝手に自分の中でハードルを上げてパンクしてしまうこともあります。
誰もそんな高度なことは求めていないのに自分で自分を追い詰めてしまうのです。
「できなかったら馬鹿にされる、これぐらいできて当然、努力すべき」という考え方です。
冷静になって、誰がそんなことを望んだのかといえば、実は誰もいなかったりしますし、根拠もないのです。
理由もなく自分で「〇〇すべき」「〇〇すべきではない」とルールを作っているのです。
2-3. 極端な一般化をする
一度や二度あっただけで、全部がそうだと決めつけてしまうパターンです。
一度、二度のことでも「いつもそう」「毎回している」など思ってしまうのです。
例えば、一度の失敗でも「この人は失敗ばかりする人」といったように捉えてしまうのです。
こういった捉え方をし続けますと、すぐに決めつける、偏見が強いといった攻撃的なタイプに思われますし、自分にとってもいいことはないのです。
2-4. 心のフィルター(自分の偏見、思い込み)
物事のいい面を見ずに悪い部分にばかり気にしてしまいます。
あることに対して、褒めてくれる人と、批判した人がいたとします。
その場合、褒めてくれた人のことではなく、批判した人のことばかりが気になってしまうような状態です。
ポジティブ思考の人は褒められたことを嬉しく思いますし、批判されたことはそれほど気にしないのです。
また自分のことだけに限らず、人のことにしてもいい面を見ず、悪い部分にばかり注目してしまうことがあります。
そのような姿はまるで人のあら探しをしているようにも見えますし、偏見や思い込みが強くなっています。
2-5. マイナス思考
マイナス思考の人は何かに対して悪いことばかりあげつらいます。
また自分がマイナス思考になっていることに気がついていないことも多いのです。
その為ポジティブ思考の人が話しかけてきても、全て否定系で返してしまうことになったり、周りから引かれてしまうことになるのです。
起こったことに対して素直に受け取らない、悪い方へ考えてしまう、またその想像がたくましいのです。
2-6. 結論の飛躍
相手の言動に対して、自分で勝手にマイナスな方向へ結論づけてしまうのです。
例えば自分が連絡をしたけれどすぐに返事が返ってこない時があります。
もしかしたら相手は忙しくて連絡に気がついていないだけかもしれません。
しかし認知のゆがみがあると「自分が連絡したのが迷惑なのだ」「自分は嫌われているのだ」と思い込んでしまうのです。
2-7. 拡大解釈&過小解釈
自分の悪いところ、マイナス面を拡大解釈して、いい部分に対しては自信がなく過小解釈になってしまいます。
自分は駄目だから、何もできないからと卑下して自信がないのです。
2-8. 感情的に決めつける
自分の感情で物事を決めつける、結論づけます。
例えば自分に注意してきた人のことを「性格が悪いに違いない」といった具合です。
認知のゆがみがない人であれば「次から気をつけよう」と思いますし「相手も忙しくてイライラしていたのかな」ぐらいにしか思わないでしょう。
2-9. レッテル貼り(創作)
自分でも他人でも、何か失敗をしたら「自分が馬鹿だから」「あの人はどうしようもない」などほんの一部分ですべてを判断して決めてしまいます。
失敗ぐらい誰にでもあるものだと大らかになれません。
批判的になってしまうのです。
2-10. 自分のせいにする
何か良くないことが起こった時に自分に責任があるのでは、自分のせいではと思ってしまいます。
相手が機嫌が悪かったら自分が何かしたせいでは?と不安がったりもします。
そもそも相手が機嫌が悪いのは相手の感情の問題であり他人のせいではないのです。
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