「キレる老人」が話題になっていますが、あなたも駅や病院の窓口、また店などの公共の場で、声を荒らげている老人の姿を見たことがあるはずです。
しつこく自分の主張を繰り返し、相手の過失をこれでもかとあげつらい、相手が謝っていても聞く耳を持たない人々です。
個人であれば、何を言っているんだ! と怒鳴り返したいようなことでも、駅員や病院のスタッフ、またお店の人は、その職責にあるために、言いたいことも言わず、平身低頭しています。
なんであんなに「キレる」のだろう、と疑問には思いませんか?
自分がその被害者になってしまったら、どうすれば良いでしょうか。
ここではすぐにキレる老人が、なぜキレてしまうのか、その理由や心理、特徴、また対処法について見ていきます。
- すぐにキレる老人とは?
- 「すぐにキレる老人」の類語や言い換え
- キレやすい老人は、なぜすぐにキレるのか
- すぐにキレる老人の心理
- すぐにキレる老人の特徴
- すぐにキレる老人が増える要因
- すぐにキレる老人の対処方法:あなたが被害者になったら
- すぐにキレる老人の対処方法:あなたの周囲の人だったら
- まとめ
1. すぐにキレる老人とは?
一般に「キレる老人」とは、公共の場で他人や家族に対して、怒鳴り声を上げたり、過剰な要求をしたり、暴力をふるったりする高齢者のことを指します。
女性の場合もありますが、多くは高齢男性です。
キレる老人のことが、社会問題となったのは、2015年のことです。
10年前にくらべて高齢者による傷害事件が1. 6倍、暴行事件が4. 3倍になったことから、高齢者による暴力事件の増加が大きくクローズアップされるようになりました。
実際に暴力をふるう高齢者だけでなく、公共の場で他人に対して罵詈雑言を浴びせたり、行き過ぎた非難をしたりする高齢者の姿は、それ以前から目立つようになっています。
現在の日本は4人に1人が高齢者であり、高齢者自体が増えていることもあって、すぐに「キレる老人」の問題は、私たちにとっても無視できないものとなっています。
2. 「すぐにキレる老人」の類語や言い換え
2-1. 老害
老害という言葉自体は、もともとは個人を指すのではなく、世代交代がうまくいかなかったために老朽化した組織に向けて使われていた言葉です。
それが今日では、社会や組織で迷惑行為をする高齢者のことを指して使われることの方が多くなっています。
2-2. 暴走老人
石原慎太郎元東京都知事が、知事を辞職し、国政に復帰すると宣言したことに対して、政治家の田中真紀子が「暴走老人」と呼んだことから、この言葉は有名になりました。
また作家の藤原智美が2007年に『暴走老人』というタイトルのノンフィクションを発表したことで、この言葉はさらに普及しました。
藤原智美は同書の中で、すぐにキレる高齢者のことを「暴走老人」と呼び、その原因を考察しています。
それ以降、キレてしまった高齢者を指して「暴走老人」とする言い方もあります。
3. キレやすい老人は、なぜすぐにキレるのか
3-1. 脳の構造からみた原因
脳の中で理性をつかさどる層は、勉強や仕事をしている間は常に鍛えられています。
嫌なことや思い通りにならないことがあっても、その理由を分析し、納得することで、人はがまんできるのです。
ところが定年退職し、積極的に地域活動に参加したり、ボランティア活動に参加したりせず、脳が刺激を請けない状態を続けていると、理性の働きはどんどん鈍くなっていきます。
そのために、がまんができなくなるのです。
また年齢と共に、生命の中枢をつかさどる層の働きも落ちてきます。
睡眠や体温調節など、この層の働きが落ちることで、人は疲れやすくなります。
また疲労しても回復力も落ちているので、疲労は蓄積し、ものを考える力も低下します。
そういうことが重なって、歳を取るとキレやすくなってしまうのです。
3-2. 認知症
認知症の症状の一つに、怒りやすい、暴力行為をする、というものがあります。
それは、認知症になると適切な判断ができず、状況に適応できなくなってしまうためなのです。
状況に適応できないことから、怒りを抱き、その怒りを抑えることもできなくなって、爆発してしまいます。
キレやすい老人の中には、認知症を患っている人もいるでしょう。
3-3. 時代についていけない
スマホやインターネット、IoTなど、私たちを取り囲むテクノロジーは、ものすごい勢いで変化を続けています。
生まれたときからネットがあり、パソコンがあった世代ならともかく、中年期、壮年期になってIT機器が登場した世代は、苦手意識を持っている人が少なくありません。
また、身体の諸機能が衰えているため、タッチパネルの使い方に戸惑ったり、人工音声が聞き取りにくかったりのケースもあるでしょう。
高齢者の中でもITを積極的に取り入れ、活用しようという気持ちがある人もいますが、そうではない人にとっては、生きにくい世の中になっているといえます。
4. すぐにキレる老人の心理
4-1. 満たされてない
すぐにキレる老人はほとんどが、定年退職後、仕事には就いていません。
職場にいるころは、社長や部長、支部長などと職責で呼ばれ、責任ある仕事に就き、自分がみんなから必要とされているという実感を、毎日味わい、充実した日を送っていたことでしょう。
また、現在の高齢者は終身雇用・年功序列制が当たり前の時代に職に就いていたために、定年退職時は給与・役職ともに最高であった人がほとんどです。
そこから一気に無職・肩書なしの状況になるのですから、それを「転落」ととらえ、やりきれない思いを抱いてしまうのも理解できます。
自分は誰からも求められていない、誰からも必要とされていない、その不満感や空虚感が、胸の内にたまっても、仕方がないのかもしれません。
4-2. 不安を抱いている
仏教では、怒りは「三毒」(「貪欲」「怒り」「無知」)のひとつであり、人間の苦しみの根源であるとしています。
そしてこの怒りの根幹には、不安があるといいます。
体の不安、経済状態の不安、親しい友人や配偶者の病気や死、そしていつかかならず自分にも訪れる死の不安。
そうしたどうしようもない不安感が、怒りとなる、と。
仏教ではそうした怒りを手放すように教えるのですが、仏教が日本人の心に深く根を下ろしていた時代ならともかく、戦後の高度経済成長期、日本人の多くは仏教徒といっても、仏教に少しでも関係を持つのはお葬式だけ、という状態になってしまいました。
仏教の助けもなく、さまざまな不安に直面せざるを得ない、またその不安をまぎらわせるすべも持たない高齢者が「キレ」やすくなるのも、ある意味で仕方のないことなのかもしれません。
4-3. うつ症状や認知症を抱えている
3で見てきたように、キレる背景には脳の疾患や認知症、また老人性のうつ症状などがあります。
それが原因でキレやすくなっている人もいます。
この場合は適切な対処をすることによって、症状を緩和したり、進行を抑えたりできるため、周囲の人の助けが必要です。
5. すぐにキレる老人の特徴
5-1. やることがない
公共の場でキレる老人は、同じことをエンドレスで言っています。
それは、時間だけはあり余っているからです。
多くの「キレる老人」は職に就いていません。
職に就いていないだけでなく、町内会や地域の老人会、ロータリークラブなど、組織にも属していない人がほとんどです。
そのため「病院へ行く」ぐらいしか予定がないのです。
彼らにとって、キレて相手に説教する、相手に非があることを認めさせ、謝罪させることは、ある意味で「やりがいのある仕事」なのでしょう。
5-2. 生きがいがない
現在の高齢者が現役世代だったころ、社会は高度経済成長期にあり、長時間労働が当たり前とされていました。
彼らにとって余暇といっても、せいぜいが仕事帰りに飲みに行ったり、休日にパチンコにいく、あとは家でテレビを見ながらビールを飲むぐらいしか過ごし方がありませんでした。
そういう時代を経て定年退職したのですから、その後を「第二の人生」と位置付けて、積極的に趣味を持ち、余暇を楽しもうとする人以外は、もはや何の目的もない、生きがいもない、文字通りの「余生」となってしまっています。
キレて人に怒りを爆発することが、彼らにとっては「趣味」の代わりになってしまっているのです。
5-3. 話し相手がいない
現在の高齢者が現役だった時代は、夫は外で仕事、妻は家で家事育児ということが当たり前になっていました。
朝早くから夜遅くまで会社で働く夫と妻は、ほとんど会話することもなく、子供が成長してしまうと話題もないという状態になります。
そんな状態が何十年と続いた後に定年退職して家にいても、妻の方は友達づきあいやカルチャーセンター、スポーツジム通いなど、自分のペースで社会と交流するのに対し、夫の方は妻と一緒に行動することもありません。
また、妻に対するこれまでの態度を急に改めることもできず、自分から進んで話しかけることもありません。
その日話をした唯一の機会が、誰かにクレームを言っているとき、ということにもなりかねないのです。
普段話をしていないので、相手の反応を見ることもなく、切り上げ時もわからない、という状態に陥ります。
5-4. 必要とされていない
妻は家庭内に夫がいない状態に慣れているため、家の中に夫の仕事はありません。
また、外に出ても、町内会や自治会などの地域コミュニティに所属していなければ、まったく誰からも必要とされていません。
何十年も必要とされることで、張り合いを持って仕事をしていた人がその状態に陥ってしまうと、自分自身の存在意義を見失ってしまう人も出てきます。
5-5. 孤立している
人間は社会的動物です。
太古の昔から社会を形成し、そこで助け合いながら生きてきました。
むしろ現代のように、孤立して生きる方が、人間にとっては不自然な形なのです。
まして現在の高齢者は戦中・戦後生まれ。
家族の数も多かったし、学校も、会社も、大勢の人に囲まれながら、切磋琢磨して生きて来た、という経験を持っています。
今の若い世代の抱く「孤独感」とはまったく異なる「孤立感」を抱いていたとしても、何の不思議もありません。
5-6. 身の回りのことができない
「男は外で仕事、女は家庭を守る」という考え方で生きて来た高齢男性の多くは、自分の身の回りのことをするのが苦手です。
料理や買い物はもちろん、掃除、洗濯などもやったことがない、中には自分の靴下がどこにあるかさえ知らないという人もいます。
そうした生活を何十年も続けて来たとしても、定年後は料理を楽しんだり、庭造りを楽しんだりしようと考える人もいますが、まったくしようともしない人もいます。
そういう人は、新しいことを覚えようという気概もないので、駅の自動改札にすら腹を立てたりします。
5-7. 周りを敵視している
キレやすい老人は、現在の自分が置かれている状況に強い不満を抱いています。
自分がこんな目に遭う原因を、外部に求めずにはいられません。
そこで、名前を呼ぶのが遅い、呼んでもすぐに返事をしなかった、などと、きわめて些細なことをとらえて、すぐに自分が軽んじられている、老人だからとバカにされている、と結び付けがちになっています。
周囲はすべて自分の敵、隙さえあれば自分に対して攻撃しようとしている、という見方をしがちです。
5-8. 視野が狭くなっている
キレやすい老人は、自分にとって一番不快な解釈しか思いつかない、という傾向があります。
店員がすぐに反応しなかったのも、店が混雑していて聞こえなかったからかもしれないし、先客の対応に追われていたのかもしれません。
心に余裕がある人であれば、視野も広く、そうした状況を見て取ることもできるのですが、キレやすい老人は、本来なら自分にとって一番不快な解釈、つまり「老人である自分をないがしろにしている」という見方を選択し、自分の解釈を根拠に「キレる」のです。
6. すぐにキレる老人が増える要因
6-1. 高齢化が進んでいるため
すぐにキレる老人が増えているのは、ひとつには高齢者の絶対数が増えていることが上げられます。
現在日本人の4人に1人が高齢者(65歳以上)と言われています。
都市部に行けばその割合は低くても、地方に行けば、その割合はもっと高くなるでしょう。
現在は社会全体の高齢化が進んでいるのに対し、その受け皿をはじめとした対応が遅れているために、定年退職後、所属する組織もなく、仕事もやりがいもない高齢者が放置されている状況にあります。
そのため、行き場がなく、やることもない高齢者が、あちこちで「キレる老人」と化しています。
6-2. 孤立化が進んでいるため
以前はお盆やお正月、またお彼岸など、何かあると親族で集まる機会も数多くありました。
親戚の結婚式や葬式、法事と、日常的に顔を合わさなくても何かあれば親戚一同顔をそろえていました。
そんな中では年長者が仕切り、あちこちの家で起こったもめ事の相談に乗り、先祖代々の墓や檀那寺への寄進など、定年退職後の高齢者が中心となって、話し合い、決定する場があったのです。
ところが高度経済成長期になると、多くの人は生まれ育った土地を離れて都会で働くようになります。
そうすることで、かつては高齢者の役目だった、親族のとりまとめや先祖供養の仕事もなくなり、親戚づきあいもなくなっていきました。
都市部に住む高齢者は、自分から積極的に動かない限り、自宅以外の居場所を失いつつあります。
6-3. 地域コミュニティが崩壊してしまったため
地域の自治会が残っているところでは、高齢者が通学路の見守りや、道路の清掃などを行ったりしています。
そうしたボランティア活動が、高齢者同士の交流の場であり、同時に地域住民との交流の場となっているのです。
一方で、少子化も進み、単身世帯が増えて、自治会がなくなっているところも数多くあります。
そうしたところでは、交流どころか同じマンションに住んでいても、名前も知らない、挨拶もしないという関係になってしまいます。
ますます高齢者は孤立化する傾向にあるのです。
7. すぐにキレる老人の対処方法:あなたが被害者になったら
7-1. 相手と同じ土俵に乗らない
キレている相手は、実はキレていることを楽しんでいるので、同じ土俵に乗っては相手の思うツボです。
「申し訳ございません。このように対処させていただきます」とそれだけ言って、可能であれば相手の要求を呑みましょう。
キレる老人がその場にいることが何より最大の「損」なので、お引き取り願うことを最優先に考えます。
対処し、相手に言いがかりの隙を与えないようにするのです。
7-2. 上司に対応してもらう
キレる高齢者は、多くの場合、目の前にいる相手では問題解決にならないから、と「責任者を呼べ」と言ってきます。
そうしたら即座に責任者にバトンタッチしましょう。
彼らの多くが会社という序列社会のどこかに所属していたので、相手がどの序列にいるか、非常に敏感です。
最高責任者に対応してもらえれば、それだけで機嫌を直すこともあります。
7-3. 警察を呼ぶ
キレる老人たちは、警察という権威にも弱い人が多いです。
警察は第三者的な立場からですが、話を聞いてくれるし、行き過ぎは制してくれます。
警察を呼ぶことによって、話を打ち切ることができます。
8. すぐにキレる老人の対処方法:あなたの周囲の人だったら
8-1. 日常的に挨拶する
高齢者をキレさせないためには、孤立化を防ぐことが大切です。
こんにちは、寒くなりましたね、お体に気を付けてくださいね、と日常的に声掛けすることで、「キレる」芽を摘んでおきます。
8-2. 肉を食べさせる
家族なら、なるべく肉を食べさせるようにしてください。
キレる老人の怒りを引き起こすのは、セロトニンが足りていないから、という説もあります。
そのセロトニン不足を補うためには、肉を食べさせるのが一番だということです。
8-3. 町内会や老人会、囲碁クラブなどに参加させる
暇なこと、自分が求められていないことが、キレる老人をキレさせる大きな誘因となっています。
町内会や自治会、また老人会などはありませんか? 市の広報などにもそうした老人向けのサークルや同好会の案内が載っています。
「こんなのあるよ、一緒に行ってみよう」と声をかけてあげてください。
まとめ
ここではすぐにキレる老人とはどんな人なのか、その原因や心理状態、またキレる老人の特徴や対処法について見ていきました。
確かにキレる老人は非常に厄介です。
家族や近所にいたら、うんざりしてしまうかもしれません。
でも、自分もかならず数十年後には老人になります。
自分が周囲の厄介者にならないためにも、今のうちからそんな困った老人にも、声をかけたり、丁寧に接したり、普段からできることをやっておくといいですね。
「キレる老人」が話題になっていますが、あなたも駅や病院の窓口、また店などの公共の場で、声を荒らげている老人の姿を見たことがあるはずです。
しつこく自分の主張を繰り返し、相手の過失をこれでもかとあげつらい、相手が謝っていても聞く耳を持たない人々です。
個人であれば、何を言っているんだ! と怒鳴り返したいようなことでも、駅員や病院のスタッフ、またお店の人は、その職責にあるために、言いたいことも言わず、平身低頭しています。
なんであんなに「キレる」のだろう、と疑問には思いませんか?
自分がその被害者になってしまったら、どうすれば良いでしょうか。
ここではすぐにキレる老人が、なぜキレてしまうのか、その理由や心理、特徴、また対処法について見ていきます。
1. すぐにキレる老人とは?
一般に「キレる老人」とは、公共の場で他人や家族に対して、怒鳴り声を上げたり、過剰な要求をしたり、暴力をふるったりする高齢者のことを指します。
女性の場合もありますが、多くは高齢男性です。
キレる老人のことが、社会問題となったのは、2015年のことです。
10年前にくらべて高齢者による傷害事件が1. 6倍、暴行事件が4. 3倍になったことから、高齢者による暴力事件の増加が大きくクローズアップされるようになりました。
実際に暴力をふるう高齢者だけでなく、公共の場で他人に対して罵詈雑言を浴びせたり、行き過ぎた非難をしたりする高齢者の姿は、それ以前から目立つようになっています。
現在の日本は4人に1人が高齢者であり、高齢者自体が増えていることもあって、すぐに「キレる老人」の問題は、私たちにとっても無視できないものとなっています。
2. 「すぐにキレる老人」の類語や言い換え
2-1. 老害
老害という言葉自体は、もともとは個人を指すのではなく、世代交代がうまくいかなかったために老朽化した組織に向けて使われていた言葉です。
それが今日では、社会や組織で迷惑行為をする高齢者のことを指して使われることの方が多くなっています。
2-2. 暴走老人
石原慎太郎元東京都知事が、知事を辞職し、国政に復帰すると宣言したことに対して、政治家の田中真紀子が「暴走老人」と呼んだことから、この言葉は有名になりました。
また作家の藤原智美が2007年に『暴走老人』というタイトルのノンフィクションを発表したことで、この言葉はさらに普及しました。
藤原智美は同書の中で、すぐにキレる高齢者のことを「暴走老人」と呼び、その原因を考察しています。
それ以降、キレてしまった高齢者を指して「暴走老人」とする言い方もあります。
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