「どういたしまして」は、日常的に使われることがある相手の感謝やお詫び(謝罪)を丁寧に否定して謙遜する言葉です。
「どういたしまして」の詳しい意味・定義や使い方を説明しながら、「どういたしましての類語」や「どういたしましてに相当する英語の表現」も紹介していきます。
- 「どういたしまして」の意味
- 「どういたしまして」の類語
- 「どういたしまして」はビジネス敬語として使える?
- 「どういたしまして」が使える相手
- 「どういたしまして」に当たる英語の表現
- まとめ
1. 「どういたしまして」の意味
相手から「先日は大変お世話になりました」とか「この間は挨拶もできずに失礼を致しました」とか言われた時に、「どういたしまして」と返すことになります。
相手が感謝やお詫びの気持ちを伝えてきた時に、「そこまで言って頂かなくても大丈夫です(私は気にしていません)」といった意味合いを込めて「どういたしまして」と返すわけです。
「どう(如何)」は「どのように」の意味で、「いたす」は「する」の謙譲語になります。
「どういたしまして」は、「私はあなたに対してどんな事をして差し上げたでしょうか(大した事はしていません)」という意味になります。
2. 「どういたしまして」の類語
「どういたしまして」には、以下のような類語があります。
2-1. とんでもないことでございます(とんでもない)
ビジネス敬語として定着している「とんでもないことでございます」は、「どういたしまして」の類語として使用することができます。
相手から「今回はあなたのお陰でとても助かりました」や「あなたにはどんなに感謝しても感謝し尽くすことができません」などと感謝されたり賞賛されたりした時に、「とんでもないことでございます」という返事を返すことができます。
この場合の意味は、「まったくそうではない、滅相もない(分不相応な賞賛・感謝である)」という意味であり、相手の自分を褒める言葉を強く否定して謙遜する言い方になります。
ただし「とんでもない」には「もってのほか・言語道断」という相手の言動を強く否定する意味もあるので、使い方や使うシチュエーションには注意が必要になってきます。
現在では「とんでもございません(とんでもありません)」も間違った言い方ではない
元々は「とんでもない」で一語を構成することから、「とんでもございません・とんでもありません」は完全な誤用であるとして否定されてきました。
しかし、平成19年(2007)2月文化審議会答申の「敬語の指針」において、相手からの「褒め言葉・感謝(ねぎらい)の言葉」などに対して、謙遜しながら軽く打ち消す意味の表現として「とんでもございません(とんでもありません)」を使っても、現在では問題がないという結論が出されました。
「とんでもございません(とんでもありません)」は日本語の歴史的な語用では間違いなのですが、現代日本ではあまりに多くの人が一般的に使用するようになったため、実際に使用される言い方としてその語用が認められてきているのです。
2-2. 恐縮です(恐れ入ります)
「恐縮です(恐れ入ります)」は、ビジネス敬語として非常にポピュラーな表現ですが、「恐縮です(恐れ入ります)」も「どういたしまして」の類語になります。
「恐縮」の意味は、「相手に迷惑や手間を掛けたり、相手の感謝・評価・厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。
恐れ入っている様子や心理」です。
「どういたしまして」の類語として「恐縮です(恐れ入ります)」の意味を定義する時には、「相手からの感謝・賞賛(評価)・厚意(厚遇)に対して自分なんかにはもったいないお言葉(過ぎた好待遇)です」といった意味合いになってきます。
「恐縮です(恐れ入ります)」は非常に応用範囲の広い謙遜の表現
自分自身に対する自己評価以上の賞賛(評価)や待遇、感謝を相手からしてもらった時に、「恐縮です(恐れ入ります)」という返事をすることになります。
ビジネスシーンに限らず、目上の相手からの褒め言葉や感謝の言葉に対して返しやすい言葉なので、「恐縮です」という褒め言葉(感謝の言葉)に対する返し方を覚えておくと、とても便利です。
「恐縮です(恐れ入ります)」は非常に応用範囲の広い謙遜の表現なので、誰に対して使っても違和感がありません。
目上の相手から褒められた時でも「恐縮です」と返事をすれば、敬語の使い方の間違いを指摘される恐れはないのです。
2-3. お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)
一般的な人間関係やビジネス敬語で最も使いやすい「どういたしまして」の類語として、「お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)」があります。
相手の感謝やお詫びの言葉に対して、「どういたしまして」と返事をすると、やや上から目線の不遜な言い方として受け取られる恐れもありますが、「お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)」と返事をすれば非常にポジティブな印象を相手に与えることができます。
「昨日は大変お世話になりました。
ありがとうございます」と目上の相手に言われた時に、「お役に立てて光栄です。
またいつでもお申し付け下さい」とでも答えれば最高に良い印象を相手に与えられるでしょう。
3. 「どういたしまして」はビジネス敬語として使える?
「どういたしまして」をビジネス敬語として使うことができるかですが、基本的には取引先やお客様に対するビジネスメールには「どういたしまして」は使わない方が良いでしょう。
「どういたしまして」には、「私はあなたに対してそんなに大したことはしていません」や「あなたにお詫びされるほどのことは何もされてはいませんからお気遣いは不要です」という意味があります。
そこには「相手の感謝・謝罪の気持ちに対する軽い否定の意味」が含まれますから、特に「取引先・お客様・目上のビジネスの相手」に対しては使わない方が無難でしょう。
「どういたしまして」には、「そんなに大したことはしていません→少しはあなたに対して良いことをして上げました」のニュアンスもあるので、やや上から目線の物言いとして受け取られる危険性もあるのです。
4. 「どういたしまして」が使える相手
「どういたしまして」が使える相手は、以下のような近しくてフラットな関係にある相手になるでしょう。
ただし、上司・先輩・恩師などの「目上・上位の相手」であっても、相手との関係が親密であり、目上の相手がフランクで親しげな物言いや雰囲気を好むことが明らかである場合には、「ありがとう」と言われた時に「どういたしまして」と返事をしても特段の問題はないでしょう。
4-1. 近しい友人知人などの相手
自分と対等(フラット)な立場にある「近しい友人・親しい知人」であれば、相手からお礼を言われたりお詫びの言葉を掛けられたりした時に、「どういたしまして(それほど大したことはしていません)」という返事を返しても問題はありません。
「どういたしまして」がもっとも使いやすい相手が、普段から親しくコミュニケーションを取り合っている「友人・同僚・知人」になってきます。
友人知人・同僚のためにちょっと何かをして上げた時に、相手から「今日はどうもありがとう。
助かったよ」などと声を掛けられたら、「どういたしまして」と気軽な感じで返せば、友人や同僚との心理的距離も縮まりやすくなるでしょう。
4-2. 家族・親族などの身内の相手
「どういたしまして」が気軽に使える典型的な相手として、「家族(親きょうだい)・親族」などの身内に該当する相手がいます。
相手の感謝やお詫びを軽く否定するニュアンスのある「どういたしまして」は、基本的に「上下関係・公的な立場を気にしなくても良いフラットな相手」に対して使いやすいやや丁寧なへりくだった言葉なのです。
「どういたしまして」には「あなたに対してそれほど立派なことはしていません」という謙譲語の意味合いがあるのですが、「多少は相手に良いことをして上げた」というニュアンスも含まれています。
聞く人によっては、やや上から目線で押し付けがましい言い方(相手を軽く見た言い方)に聞こえてしまうので、「家族・親族」といった身内の気の置けない相手に使った方が間違いがないでしょう。
5. 「どういたしまして」に当たる英語の表現
「どういたしまして」に当たる英語の表現には、以下のようなものがあります。
5-1. 「You’re welcome.」
学校教育の英語の授業で、お店などでの定型的なやり取りとして習う「どういたしまして」が、「You’re welcome.」です。
「Thank you.」と相手から言われた時に返す定型の返事として、「You’re welcome.」は誰でも知っている最もポピュラーな英語表現になっています。
直訳すれば「あなたは歓迎されています」となりますが、「あなたのために喜んでさせて頂いたのです」といったニュアンスが含まれている明るくてポジティブな英語表現になっています。
5-2. 「My pleasure.」
「My pleasure.」は、日常的な「You’re welcome.」よりもやや上品で丁寧なニュアンスのある英語表現になります。
相手から感謝やねぎらいの言葉を掛けてもらった時に「My pleasure.」や「It was my pleasure.」という返事を返せば、「いえいえ、私の楽しみとして進んでやらせて頂いたことです(あなたのお役に立てることが私の喜びなのでした)」という肯定的な意味合いを伝えることができます。
「My pleasure.」は「どういたしまして」の意味で使えますが、「あなたのお役に立てたのであれば幸いです」に近い丁寧なニュアンスを伝えられます。
5-3. 「It’s nothing.」「Not at all.」
「It’s nothing.」は「何でもありません・全然、大したことではありません」といった意味であり、日本語の「どういたしまして」と類似の意味を伝えられる英語表現になります。
「It’s nothing.」の英語表現は、日本語の「どういたしまして」と全く同じ思考・気持ちの回路を経由した表現であり、「私はあなたに何も特別なことはしていません(私があなたにしたことなんて何でもないことなのです)」といった意味になっています。
「全く何でもないことです・全然大したことではありません」といった意味を持つ英語表現としては「Not at all.」もあります。
「It’s nothing.」と「Not at all.」は基本的に同じ意味の英語表現であり、日本語の「どういたしまして」という謙遜の気持ちを伝えたい時にも使える簡単な表現なのです。
まとめ
「どういたしまして」には、「私はあなたに対してどんな事をして差し上げたでしょうか(大した事はしていません)」という意味があり、「どういたしまして」は相手の感謝やお詫び(謝罪)の気持ちを否定するニュアンスが含まれます。
「どういたしまして」の相手の感謝やお詫び(謝罪)の否定の度合いは、「とんでもないことでございます(とんでもない)」よりも弱くなるので、「多少は相手に対して良いことをして上げた」というやや恩着せがましい上から目線の物言いとして捉えられる可能性もあります。
ビジネス敬語や目上の相手に対する返事としては、「どういたしまして」は使わない方が無難(賢明)でしょう。
「どういたしまして」の意味・類語・英語表現・使い方について調べたい時には、この記事を参考にして下さい。
「どういたしまして」は、日常的に使われることがある相手の感謝やお詫び(謝罪)を丁寧に否定して謙遜する言葉です。
「どういたしまして」の詳しい意味・定義や使い方を説明しながら、「どういたしましての類語」や「どういたしましてに相当する英語の表現」も紹介していきます。
1. 「どういたしまして」の意味
相手から「先日は大変お世話になりました」とか「この間は挨拶もできずに失礼を致しました」とか言われた時に、「どういたしまして」と返すことになります。
相手が感謝やお詫びの気持ちを伝えてきた時に、「そこまで言って頂かなくても大丈夫です(私は気にしていません)」といった意味合いを込めて「どういたしまして」と返すわけです。
「どう(如何)」は「どのように」の意味で、「いたす」は「する」の謙譲語になります。
「どういたしまして」は、「私はあなたに対してどんな事をして差し上げたでしょうか(大した事はしていません)」という意味になります。
2. 「どういたしまして」の類語
「どういたしまして」には、以下のような類語があります。
2-1. とんでもないことでございます(とんでもない)
ビジネス敬語として定着している「とんでもないことでございます」は、「どういたしまして」の類語として使用することができます。
相手から「今回はあなたのお陰でとても助かりました」や「あなたにはどんなに感謝しても感謝し尽くすことができません」などと感謝されたり賞賛されたりした時に、「とんでもないことでございます」という返事を返すことができます。
この場合の意味は、「まったくそうではない、滅相もない(分不相応な賞賛・感謝である)」という意味であり、相手の自分を褒める言葉を強く否定して謙遜する言い方になります。
ただし「とんでもない」には「もってのほか・言語道断」という相手の言動を強く否定する意味もあるので、使い方や使うシチュエーションには注意が必要になってきます。
現在では「とんでもございません(とんでもありません)」も間違った言い方ではない
元々は「とんでもない」で一語を構成することから、「とんでもございません・とんでもありません」は完全な誤用であるとして否定されてきました。
しかし、平成19年(2007)2月文化審議会答申の「敬語の指針」において、相手からの「褒め言葉・感謝(ねぎらい)の言葉」などに対して、謙遜しながら軽く打ち消す意味の表現として「とんでもございません(とんでもありません)」を使っても、現在では問題がないという結論が出されました。
「とんでもございません(とんでもありません)」は日本語の歴史的な語用では間違いなのですが、現代日本ではあまりに多くの人が一般的に使用するようになったため、実際に使用される言い方としてその語用が認められてきているのです。
2-2. 恐縮です(恐れ入ります)
「恐縮です(恐れ入ります)」は、ビジネス敬語として非常にポピュラーな表現ですが、「恐縮です(恐れ入ります)」も「どういたしまして」の類語になります。
「恐縮」の意味は、「相手に迷惑や手間を掛けたり、相手の感謝・評価・厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。
恐れ入っている様子や心理」です。
「どういたしまして」の類語として「恐縮です(恐れ入ります)」の意味を定義する時には、「相手からの感謝・賞賛(評価)・厚意(厚遇)に対して自分なんかにはもったいないお言葉(過ぎた好待遇)です」といった意味合いになってきます。
「恐縮です(恐れ入ります)」は非常に応用範囲の広い謙遜の表現
自分自身に対する自己評価以上の賞賛(評価)や待遇、感謝を相手からしてもらった時に、「恐縮です(恐れ入ります)」という返事をすることになります。
ビジネスシーンに限らず、目上の相手からの褒め言葉や感謝の言葉に対して返しやすい言葉なので、「恐縮です」という褒め言葉(感謝の言葉)に対する返し方を覚えておくと、とても便利です。
「恐縮です(恐れ入ります)」は非常に応用範囲の広い謙遜の表現なので、誰に対して使っても違和感がありません。
目上の相手から褒められた時でも「恐縮です」と返事をすれば、敬語の使い方の間違いを指摘される恐れはないのです。
2-3. お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)
一般的な人間関係やビジネス敬語で最も使いやすい「どういたしまして」の類語として、「お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)」があります。
相手の感謝やお詫びの言葉に対して、「どういたしまして」と返事をすると、やや上から目線の不遜な言い方として受け取られる恐れもありますが、「お役に立てて光栄です(お役に立てて幸いです)」と返事をすれば非常にポジティブな印象を相手に与えることができます。
「昨日は大変お世話になりました。
ありがとうございます」と目上の相手に言われた時に、「お役に立てて光栄です。
またいつでもお申し付け下さい」とでも答えれば最高に良い印象を相手に与えられるでしょう。
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