カモミールは古代エジプトやギリシャ、ローマ時代から現代まで薬草として重宝されてきました。
しかし、カモミールといっても非常に多くの種類があります。
古くはキク科の薬草をひとくくりに「カモミール」と呼んでいたといわれます。
ここでは主にリンゴのような甘い香りをもつジャーマン・カモミールをメインにご紹介します。
- カモミール(カミツレ) とはどんな花?
- カモミール(カミツレ) の花言葉
- カモミール(カミツレ) について
- カモミール(カミツレ) のマメ知識
- カモミール(カミツレ) を育てる時の注意点
- カモミール(カミツレ) の種類(原種の特徴)
- カモミール(カミツレ) に似た植物(花言葉や特徴)
- まとめ
1. カモミール(カミツレ) とはどんな花?
1-1. カモミールといってもたくさんあります
「カモミール」または「カミツレ」という名をつけた植物は非常にたくさんありますが、同じキク科であっても属が違う近縁種のものが多く存在します。
一般にカモミールというとジャーマン・カモミール、ローマン・カモミールの二つですが、特にハーブで利用されるジャーマン・カモミールのことを指します。
1-2. カモミールの花の特徴
ジャーマン・カモミールの花をよく見ると白い花びらの真ん中にある黄色い花芯がぽっこりと盛り上がっていることがわかります。
これは筒状花(トウジョウカ)といって花びらの一種です。
黄色い花芯は成熟するにつれて甘い香りが強くなり、盛り上がっていき、白い花びらは下に垂れ下がっていきます。
2. カモミール(カミツレ) の花言葉
カモミールにはその特徴から考えられた色々な花言葉があります。
2-1. 特性からつけられた花言葉「逆境に耐える力」
地面を這うように生えて、踏まれても踏まれても立ち上がるカモミールの力強さからこの花言葉がつけられたといわれています。
2-2. 特性からつけられた「逆境で生まれる力」
カモミールは荒地でも繁殖力が強くどんどんこぼれダネを落としてその数をふやしていきます。
そんなカモミールの特性が由来しているといわれいます。
2-3. 特性からつけられた「苦難の中の力」
カモミールは丈夫で雑草のようにどんな環境でも育つことができます。
そのたくましさから「苦難の中の力」という花言葉がついたといわれています。
2-4. 特性からつけられた「あなたを癒す」
古来より薬草として利用されてきたことが由来します。
2-5. 花姿からつけられた花言葉「清楚」
カモミールは白い花を咲かせます。
白のイメージは「純粋」「清純」「無垢」などがあります。
小さくて白いカモミールの花はまるで白い襟をつけて黄色い帽子をかぶった「清楚」な少女のようにみえますよね。
3. カモミール(カミツレ) について
3-1. 英語での呼び名は?
アメリカ英語だと「Chamomile」。
イギリス英語だと「camomile 」という表記になります。
その他には「wild chamomile(野生のカモミール)」「scented mayweed(香りのよいカミツレモドキ)」とも呼ばれています。
3-2. 原産地
ヨーロッパから西アジアまで広く分布します。
3-3. カモミール(カミツレ) の名前の由来
カモミール(Chamomile)」の名前の由来
カモミールの語源は「地面のリンゴ」という意味のギリシャ語名のカマイメーロン (chamaimelon)です。
カモミールの花にはリンゴに似た香りがあることに由来しています。
学名「Matricaria chamomilla(recutita)」の名前の由来
「Matricaria」はラテン語のMatrix(子宮)が語源です。婦人病に薬効があるということからつけられました。
また、種小名の「recutita」は「rectus(意味:上向きの、直線の、まっすぐ)」に由来します。
花びらが茎と一直線になるかのように下に垂れるように反り返っていることにちなんでいます。
和名「カミツレ(加密列)」の名前の由来
カミツレはオランダ語名カーミレ(kamille)の言葉の音をそのまま聞き取った音「カミッレ」が語源です。当時、促音の小さい「ッ」は大きい「ツ」と表記していたため、今では文字どおり「カミツレ」として呼ばれています。
3-4. カモミール(カミツレ) の誕生日花の日
3月14日、4月27日、6月16日、11月3日
4. カモミール(カミツレ) のマメ知識
4-1. カモミールの薬草としての歴史
カモミールは4千年以上前の古代バビロニアにおいて、すでに薬用として用いられていたカモミールは今でもヨーロッパでは万能な民間薬として使用されています。
カモミールは炎症をおさえるといわれており、腹痛や胃痙攣、女性の生理痛などを和らげる効能があるとされています。
日本には19世紀初頭、江戸時代に薬草としてオランダから入ってきました。
4-2. ハーブティーを楽しみましょう
カモミールは花を観賞するだけではなく、収穫してカモミールティーをつくる楽しみもあります。
カモミールは不眠症の改善、発汗作用、消化促進などの効果や消炎作用、便秘解消、月経痛の緩和、生理不順、美肌効果もあるといわれています。
美味しいだけでなく、身体にもやさしいカモミールティーを作ってみませんか。
4-3. カモミールの花を収穫しましょう
ハーブティーで使用するのは香りのよい白い花の部分です。
カモミールは暗くなると花を閉じ、おひさまが出て明るくなると開花します。
収穫はしっかりと開花した後、昼前までにするのがよいようです。
収穫した花は乾燥させて香りアップ!
収穫した花をそのままハーブティーにすることもできますが、乾燥させることによって甘いよい香りがアップします。
カゴなどに入れておひさまの下で自然乾燥させます。
もっと手軽に楽しみたい場合は、電子レンジを使います。
キッチンペーパーにカモミールの花をのせて30秒ほど加熱します。
使用する電子レンジによって違うので加減をみながら行います。
乾燥したら乾燥剤をいれた密封容器で保存します。
カモミールティーとして飲用するほか、ポプリにしたり浴用剤として使用できます。
モミールティーの入れ方
乾燥保存したカモミールをティースプーン2杯分ポットに入れ、お湯を注いで3分〜5分蒸らして待ちます。
お湯が色づいたら甘酸っぱい香りのよいカモミールティーの出来上がり。
ミルクとの相性もよいのでカモミールミルクティーもおすすめです。
お砂糖をいれて甘くしても美味しいですよ。
飲用上の注意点
カモミールは身体にやさしいといわれていますが、薬になる分注意が必要です。
カモミールはキク科の植物なので、キクアレルギーがある方はアレルギー症状がでてしまう可能性があるので摂ってはいけません。
また、高濃度のカモミールを大量に摂って吐き気や嘔吐を引き起こしたという事例もあります。
4-3. ジャーマン・カモミールとローマン・カモミールの見分け方
同じ「カモミール」と呼ばれる植物でよく似ているジャーマン・カモミールとローマン・カモミールですがこの二つは属違いの近縁種です。
花の構造で見分けましょう
花の形でも見分けられます。
ジャーマン・カモミールの白い花びらが反り返っているのに対し、ローマン・カモミールは横に広がります。
また花を縦にばっさり切ってみるとジャーマン・カモミールの花には空洞がありますが、ローマン・カモミールには空洞がありません。
香りで見分けましょう
ジャーマン・カモミールは花にリンゴのような甘い香りがしますが、葉は香りません。
一方、ローマン・カモミールは花だけでなく葉もリンゴのような甘酸っぱい香りがします。
草丈で見分けましょう
ローマン・カモミールが草丈が低く横に広がるのでグランドカバーに向いているのに対し、ジャーマン・カモミールは草丈は60cmほどになります。
味で見分けましょう
ローマン・カモミールをハーブティーにするとリンゴの香りと甘酸っぱさの中に苦味が混ざっていますが、ジャーマン・カモミールには苦味はあまりありません。
5. カモミール(カミツレ) を育てる時の注意点
5-1. 場所
日当たりのよい場所で育てます。
やや暑さに弱いですが、真夏が来る前にはジャーマン・カモミールの花期は終わってしまい枯れてしまうので、しっかりとおひさまに当てて花をたくさん咲かせましょう。
5-2. 水やり、肥料
水やり
水は土の表面が乾いたらたっぷりとあえます。
水はけがよいことは大切ですが、ジャーマンカモミールは湿気が多少ある環境を好みます。
乾きすぎると生育が鈍くなるので注意します。
といっても過湿にすると根腐れを起こすので、乾かしすぎに適湿を保つことが肝心です。
鉢植えの場合はついつい水やりしすぎてしまうと根腐れしやすくなるので注意します。
肥料
肥料はタネを撒く時や植え付ける時に土に緩効性肥料を少量混ぜ込みます。あとは肥料をあげる必要はありません。
チッソ分の多い肥料をあげると葉ばかり茂って花が咲きにくくなるので気をつけます。
5-3. ふやし方
春か秋にタネを撒いて育てます。
秋まきのほうが生育期間が長いため、大株に育ちます。
春まきの場合は生育期間が短い間に開花期を迎えるため、比較的コンパクトに育ちますが夏の暑さで枯れてしまいますので長く楽しみたい場合は秋まきがおすすめです。
こぼれダネでもふえます。
ただ、こぼれダネや採取したタネで育てていくと徐々に香りが弱いカモミールになってくるので、毎年新しいタネを購入して更新した方が香りを楽しむことができます。
5-4. 摘心、収穫
摘心
高温多湿に弱く、風通しが悪いと蒸れて葉が枯れ上がってしまうので、混み合ってきたら間引きます。
また、茎の先端を摘心すると枝数がふえてしっかりした株に育ち、花数が多くなります。
収穫
花芯の黄色い部分がふくらんできたころ、花びらが反り返る直前のタイミングで収穫します。午前中に行うといいでしょう。
タネができないうちに花をこまめに収穫すると花期を長くすることができますし、収穫した花は乾燥させてカモミールティーやポプリに利用できます。
5-5. 病気、害虫
病気「うどんこ病」
高温期にうどんこ病がでる場合があります。
うどんこ病は一種のカビで風で胞子が運ばれて発生します。
うどん粉病に効く薬を病変部に散布します。
農薬類を散布した場合はその用法にしたがって、花を利用するかしないかを判断しましょう。
害虫「アブラムシ」
特にプランターや鉢植えで育てているカモミールに発生しやすいです。発生が少ないうちに駆除します。
風通しが悪かったり、チッソ分の多い肥料を与えると発生しやすいといわれています。
6. カモミール(カミツレ) の種類(原種の特徴)
6-1. ジャーマン・カモミール(Matricaria chamomilla)
キク科シカギク属の一年草です。
花にリンゴのような甘い香りを持ちます。
開花期は3月〜5月で、白い花びらが反り返るようにして咲きます。
6-2. コシカギク(Matricaria matricarioides )
キク科シカギク属の一年草で原産地はアジア東北部で牧草地や道端、空地などに自生します。
開花期は7月〜9月ですが、ジャーマン・カモミールのような舌状花はなく、黄緑色のボール状の花(筒状花)を咲かせます。
強いキクの香りがします。
「Pineapple weed(パイナップルの雑草)」とも呼ばれます。
6-3. マトリカリア・ディスコイデア(Matricaria discoidea)
キク科シカギク属の一年草で英語名は「Pineapple weed(パイナップルの雑草)」「Wild chamomile(野生のカモミール)」といいます。
野原や庭、道ばたなどの荒廃地に生え、草丈は40センチほどになります。
葉は手で潰すとカモミールと同じくリンゴの香りがします。
開花期は3月〜9月でコシカギクと同じく舌状花のない黄緑色のボール状の花(筒状花)を咲かせます。
6-4. イヌカミツレ(Matricaria inodora)
キク科シカギク属のヨーロッパ原産の一年草です。
「役に立たない」という意味で「イヌカミツレ」と呼ばれています。
花はジャーマン・カモミールと似て白い花びらが強く反り返ります。
香りがないことで判断がつきます。
牧草地のほか、野原や庭、道ばたなどに生えます。
しばしば雑草として扱われています。
7. カモミール(カミツレ) に似た植物(花言葉や特徴)
7-1. ローマン・カモミール (Chamaemelum nobile)花言葉「苦難の中の力」「逆境に負けない強さ」「仲直り」など
キク科ローマカミツレ属の常緑の多年草です。
花だけでなく葉にもリンゴの香りがあります。
花はジャーマン・カモミールよりやや大きめですが花芯黄色い部分はジャーマン・カモミールほど盛り上がりません。
花の時期以外は草丈が低くカーペット状に横に広がります。
踏んでも強いのでグランドカバーとして栽培されることもあります。
7-2. マトリカリア(Tanacetum parthenium)「集う喜び」「楽しむ」「忍耐」「寛容」「鎮静」「深い愛情」など
キク科ヨモギギク属の一重咲きの多年草です。
原産地は西アジア、バルカン半島。
和名を「ナツシロギク」といいます。
白い花びらに花芯の黄色い筒状花がぽっこりと盛り上がります。
青くさいキクの香りがします。
7-3. ダイヤーズカモミール(Anthemis tinctoria)
キク科アンテミス属の多年草で原産地はヨーロッパです。
開花期は5月〜6月ごろで黄色やオレンジ色の花を咲かせます。
白い花を咲させるハーブとして使われているカモミールとは異なり、観賞用の花として楽しまれています。
花は染料として使われる事もあるそうです。
まとめ
可愛らしいデイジーに似た白い小花は鑑賞するだけではなく、薬草やハーブとして世界中の人々に愛され続けているのです。
カモミールは古代エジプトやギリシャ、ローマ時代から現代まで薬草として重宝されてきました。
しかし、カモミールといっても非常に多くの種類があります。
古くはキク科の薬草をひとくくりに「カモミール」と呼んでいたといわれます。
ここでは主にリンゴのような甘い香りをもつジャーマン・カモミールをメインにご紹介します。
1. カモミール(カミツレ) とはどんな花?
1-1. カモミールといってもたくさんあります
「カモミール」または「カミツレ」という名をつけた植物は非常にたくさんありますが、同じキク科であっても属が違う近縁種のものが多く存在します。
一般にカモミールというとジャーマン・カモミール、ローマン・カモミールの二つですが、特にハーブで利用されるジャーマン・カモミールのことを指します。
1-2. カモミールの花の特徴
ジャーマン・カモミールの花をよく見ると白い花びらの真ん中にある黄色い花芯がぽっこりと盛り上がっていることがわかります。
これは筒状花(トウジョウカ)といって花びらの一種です。
黄色い花芯は成熟するにつれて甘い香りが強くなり、盛り上がっていき、白い花びらは下に垂れ下がっていきます。
2. カモミール(カミツレ) の花言葉
カモミールにはその特徴から考えられた色々な花言葉があります。
2-1. 特性からつけられた花言葉「逆境に耐える力」
地面を這うように生えて、踏まれても踏まれても立ち上がるカモミールの力強さからこの花言葉がつけられたといわれています。
2-2. 特性からつけられた「逆境で生まれる力」
カモミールは荒地でも繁殖力が強くどんどんこぼれダネを落としてその数をふやしていきます。
そんなカモミールの特性が由来しているといわれいます。
2-3. 特性からつけられた「苦難の中の力」
カモミールは丈夫で雑草のようにどんな環境でも育つことができます。
そのたくましさから「苦難の中の力」という花言葉がついたといわれています。
2-4. 特性からつけられた「あなたを癒す」
古来より薬草として利用されてきたことが由来します。
2-5. 花姿からつけられた花言葉「清楚」
カモミールは白い花を咲かせます。
白のイメージは「純粋」「清純」「無垢」などがあります。
小さくて白いカモミールの花はまるで白い襟をつけて黄色い帽子をかぶった「清楚」な少女のようにみえますよね。
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