梅擬(うめもどき) の名前にある「もどき」。
「もどき」とは『似せて作ること、また似せて作ったもの、まがいものなど。
(世界大百科事典 第2版平凡社)』を意味するそうです。
ということは、梅擬(うめもどき)は「梅のまがいもの」という名前をつけられているのです。
梅は桜に並んで日本人に愛されてきている花です。
梅の花は甘いよい香りがあり、その花はやがて実になります。
毎年6月になると梅の実は多くの人が日本の伝統食である「梅干」や「梅酒」や「梅ジュース」を作ります。
一方、梅擬の花はとても小さく葉の陰に隠れてよく見えません。
秋になると赤い実をたくさんつけますが梅のように食用にはなりません。
しかし「もどき」と呼ばれるこの木の小さい花をよく観察してみるととても可憐なことがわかります。
白地にうっすらと頬紅をさしたような花びらはうら若き乙女が頬を染めているかのようです。
また赤い実は葉が落ちたあとも枝に残るため、秋になると梅の花に勝るとも劣らない美しい姿を鑑賞することができます。
「もどき」なんていわれても負けてない、そんな梅擬についてご紹介します。
- 梅擬(うめもどき) とはどんな花?
- 梅擬(うめもどき) の花言葉
- 梅擬(うめもどき) について解説
- 梅擬(うめもどき) を育てる時の注意点
- 梅擬(うめもどき) の種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
- 梅擬(うめもどき) に似た花(花言葉や特徴)
- まとめ
1. 梅擬(うめもどき) とはどんな花?
梅擬は日本に分布する落葉低木です。
雌雄異株のため花の形が雌雄で違ってきます。
まず、雄花ですが、「梅」の花のような丸い形状の花びらを持ち、4枚〜6枚の花びらをつけます。
花の色は白や淡紫色、淡いピンク色、白地にほんのりピンクがかったものなどがあり、雄しべに黄色い花粉がたっぷりついているため、花芯部分はほんのりと黄色く見えます。
一方雌花は花びらのつきかた、形状は雄花と同じですが、花芯には黄緑色の雌しべと退化した雄しべがあります。
退化した雄しべは白っぽく、花びらの枚数と同じ数つきます。
どちらの花も枝につく葉の付け根あたりにとても小さな花がたくさんかたまってつきます。
しかし小さな花は緑の大きな葉に隠れてしまうため梅擬の花を観賞するためにはよく近づかなければなりません。
2. 梅擬(うめもどき) の花言葉
2-1. 「明朗」
葉がすっかり落ちた冬になると赤い色の実をたくさんつける梅擬は冬の彩りの少ない世界でそこだけぱっと明るくなります。
「明朗」という花言葉はその様子からつけられたといわれています。
2-2. 「知恵」
この花言葉は発芽抑制物質のある実を野鳥に食べてもらうことではじめて発芽能力をもち、遠くへ運んでもらう梅擬の特徴が由来しているといわれています。
2-3. 「深い愛情」
梅擬は盆栽としてもとても人気のある樹木です。
梅擬は古いものになるほど枝が細かくなり風格がでるといわれています。
「深い愛情」をかけて手入れされた梅擬はとても見事なものです。
2-4. 「強運」
野鳥に運ばれてタネを遠くへ運んでもらい新天地で生命を宿らすことはとても「強運」なことです。
3. 梅擬(うめもどき) について解説
3-1. 英語での呼び名
「Japanese winterberry」
3-2. 原産地
原産地は中国、日本です。
本州や四国、九州の山間の落葉広葉樹林の湿地に中に分布します。
3-3. 梅擬(うめもどき) のマメ知識
晩秋から初冬にかけて可愛らしい赤い実をたくさんつけた梅擬。
その赤い実を目当てにヒヨドリなどの野鳥がやってきます。
野鳥たちは実を食べてまた飛び立っていきますが、これは梅擬の作戦でもあるのです。
梅擬の実は鳥が一度食べ排泄したタネでしか発芽しないのです。
梅擬の果肉には発芽抑制物質が含まれているため、鳥が食べて消化器官を通過しないと発芽しにくくなっています。
そして鳥にタネを運んでもらい、新たな地でその子孫を増やしていくのです。
3-4. 梅擬(うめもどき) の名前の由来
和名「梅擬(うめもどき) 」の名前の由来
梅擬はその名前の通り、枝ぶりや葉が「梅」に似ているので、梅擬(うめもどき)と名づけられました。
漢名「落霜紅(うめもどき)」の名前の由来
落ちる、霜、紅と書いて「うめもどき」。
霜がおりる頃に葉が落ちてしまった中に紅(赤)い実だけ残っている木がその漢字だけでまざまざと雌に映るようです。
音は同じですが、こちらの漢名はその赤い実の美しさをよりいっそう際立たせている表現です。
英名「Japanese winterberry 」の名前の由来
その名のとおり日本原産で冬に赤い実だけをつけていることからその名がつけられたといわれています。
学名「Ilex serrata」の名前の由来
Ilex は、「holly(西洋ヒイラギ:ホーリー)」の古代ラテン名です。
serrataは「鋸歯のある」の意味です。
葉の先端が尖っていて縁が細かい鋸歯形をしていることからつけられました。
3-5. 梅擬(うめもどき) の誕生日花の日
10月6日、10月15日、10月26日、11月1日、11月8日、12月7日
4. 梅擬(うめもどき) を育てる時の注意点
落葉しても赤い実が残る梅擬は冬の少し寂しくなりがちな庭を彩ってくれる木として庭木や生垣で人気が高まっています。
また風情のある木は盆栽としても楽しめます。
実を楽しみたい場合は必ず雌株を選んで植えることです。
雌株は単体でも実をつけることができます。
反対に雄株は花はつきますが実はなりません。
4-1. 場所
日当たりのよい湿り気のある土を好みます。
梅擬は半日陰でも育ちますが、「実」は日当たりよくないと量も少なく、またきれいな赤い色になりにくいです。
梅擬を植えるには日当たりのよい場所がおすすめです。
ただ、夏場の強い日差しや西日が当たって乾燥しやすいならば半日陰で育てる方がよいでしょう。
4-2. 水やり
梅擬は丈夫で育て易い樹木ですが、乾燥が大の苦手です。
鉢植えのものは特に水切れに注意して土が乾いたら水をたっぷりやりましょう。
春秋は1日1回、冬は3日に1回、真夏は2回です。
夏に水切れを起こすと実つきが悪くなってしまいます。
庭植えの場合は特に水やりの必要はありませんが、真夏の猛暑日や乾燥した日が続く場合は朝か夕方に水やりをしてあげます。
4-3. 肥料
新芽に合わせて2月上旬から3月下旬に緩効性肥料をやります。
窒素分の多い肥料は実がつきにくくなるので注意しましょう。
4-4. 剪定
剪定は落葉した冬に行います。
新芽は延びた葉の根元などにできるので落葉したときにすれば特に枝を選別する必要はありません。
ただ主幹を切ってしまうと横は横へと伸びていってしまうので気をつけましょう。
剪定は樹形を整える程度の剪定にすると自然と樹形が整ってくれます。
その他の注意点は強く剪定しないこと。
刈り込みすぎると回復しようと枝を伸ばすので徒長して花芽がつきにくくなってしまいます。
5. 梅擬(うめもどき) の種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
5-1. ウメモドキ(梅擬)(Ilex serrata)
モチノキ科モチノキ属の落葉低木です。
樹高は2m〜3mで開花時期は5月〜7月です。
花は3mm〜4mmで葉の付け根にかたまって咲きます。
5-2. キミノウメモドキ(Ilex serrata f. xanthocarpa)
モチノキ科モチノキ属の日本に自生するウメモドキです。
花色は白く、黄色い実をつけます。
5-3. シロウメモドキ(Ilex serrata f. leucocarpa)
モチノキ科モチノキ属の日本に自生するウメモドキです。
花色は白で淡い黄緑〜白色の実をつける梅擬です。
5-4. コショウバイ
梅擬の小型の園芸種です。
実の色は赤色をはじめ黄色、白色などがあり小さな樹形に大きな実をつけます。
5-4. 大納言(Ilex serrate ‘Dainagon’)
野生のウメモドキの中でも特に果実の大きなものを選んで繁殖・育成した園芸種です。
5-5. フウリンウメモドキ(Ilex geniculata)
モチノキ科モチノキ属で東北地方南部以南の本州・四国・九州に分布する落葉低木の梅擬の近縁種です。
白い小さな花をつけます。
秋になると実をつけます。
垂れ下がって実をつけるので「フウリン(風鈴)」の名がついているといわれています。
6. 梅擬(うめもどき) に似た花(花言葉や特徴)
6-1. ズミ(Malus toringo)花言葉「追憶」
バラ科リンゴ属の1種でリンゴの近縁種です。
原産地は日本と朝鮮半島で荒地や湿地に群生しています。
りんごによく似た白〜淡いピンク色の花を咲かせます。
秋になると黄色や赤色の梅擬に似た実をつけます。
6-2. ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)花言葉「大器晩成」「開運」
ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉つる性木本です。
原産地は日本、東アジアです。
雌雄異株で開花期は5月〜6月です。
秋になると黄色の実をつけます。
黄色の実はしばらくたつ3つに裂けて、真っ赤な仮種皮(カシュヒ:タネの外側を覆っている皮)がみえます。
6-3. オニツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus var. papillosus )花言葉「大器晩成」「開運」
ニシキギ科ツルウメモドキ属落葉つる性木本のツルウメモドキの変種です。
北海道・本州中部以北に分布しています。
葉の裏面の脈上に小さな突起毛があるのが特徴です。
別名をイヌツルウメモドキといいます。
まとめ
梅擬の花はとても小さく葉に隠れてみえにくいですが、秋から冬にかけてはしっかりと自己主張するかのように赤い実をつけます。
その姿はまるで恥ずかしがりやの少女が大人になるにつれてしっかりと自立して美しく成長しているかのようにも思えます。
梅擬(うめもどき) の名前にある「もどき」。
「もどき」とは『似せて作ること、また似せて作ったもの、まがいものなど。
(世界大百科事典 第2版平凡社)』を意味するそうです。
ということは、梅擬(うめもどき)は「梅のまがいもの」という名前をつけられているのです。
梅は桜に並んで日本人に愛されてきている花です。
梅の花は甘いよい香りがあり、その花はやがて実になります。
毎年6月になると梅の実は多くの人が日本の伝統食である「梅干」や「梅酒」や「梅ジュース」を作ります。
一方、梅擬の花はとても小さく葉の陰に隠れてよく見えません。
秋になると赤い実をたくさんつけますが梅のように食用にはなりません。
しかし「もどき」と呼ばれるこの木の小さい花をよく観察してみるととても可憐なことがわかります。
白地にうっすらと頬紅をさしたような花びらはうら若き乙女が頬を染めているかのようです。
また赤い実は葉が落ちたあとも枝に残るため、秋になると梅の花に勝るとも劣らない美しい姿を鑑賞することができます。
「もどき」なんていわれても負けてない、そんな梅擬についてご紹介します。
1. 梅擬(うめもどき) とはどんな花?
梅擬は日本に分布する落葉低木です。
雌雄異株のため花の形が雌雄で違ってきます。
まず、雄花ですが、「梅」の花のような丸い形状の花びらを持ち、4枚〜6枚の花びらをつけます。
花の色は白や淡紫色、淡いピンク色、白地にほんのりピンクがかったものなどがあり、雄しべに黄色い花粉がたっぷりついているため、花芯部分はほんのりと黄色く見えます。
一方雌花は花びらのつきかた、形状は雄花と同じですが、花芯には黄緑色の雌しべと退化した雄しべがあります。
退化した雄しべは白っぽく、花びらの枚数と同じ数つきます。
どちらの花も枝につく葉の付け根あたりにとても小さな花がたくさんかたまってつきます。
しかし小さな花は緑の大きな葉に隠れてしまうため梅擬の花を観賞するためにはよく近づかなければなりません。
2. 梅擬(うめもどき) の花言葉
2-1. 「明朗」
葉がすっかり落ちた冬になると赤い色の実をたくさんつける梅擬は冬の彩りの少ない世界でそこだけぱっと明るくなります。
「明朗」という花言葉はその様子からつけられたといわれています。
2-2. 「知恵」
この花言葉は発芽抑制物質のある実を野鳥に食べてもらうことではじめて発芽能力をもち、遠くへ運んでもらう梅擬の特徴が由来しているといわれています。
2-3. 「深い愛情」
梅擬は盆栽としてもとても人気のある樹木です。
梅擬は古いものになるほど枝が細かくなり風格がでるといわれています。
「深い愛情」をかけて手入れされた梅擬はとても見事なものです。
2-4. 「強運」
野鳥に運ばれてタネを遠くへ運んでもらい新天地で生命を宿らすことはとても「強運」なことです。
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