赤い色を茜色と表現します。
それがアカネ(茜)という植物に由来していることは知っていても、どんな植物なのかはあまり知られていません。
ここでは、そんなアカネ(茜)について、花言葉や育て方、名前の由来などの豆知識を解説します。
- アカネ(茜)とはどんな花?
- アカネ(茜)の花言葉
- アカネ(茜)について解説
- アカネ(茜)のマメ知識
- アカネ(茜)を育てる時の注意点
- アカネ(茜)の種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
- アカネ(茜)に似た植物(花言葉や特徴)
- まとめ
1. アカネ(茜)とはどんな花?
アカネ(茜)は日本書紀や万葉集にもその名が出てくるほど、古来より親しまれてきた植物です。
絹を赤く染める染料として用いられてきました。
夕焼けなどを茜色と呼ぶ表現は、この植物に由来しています。
日本の山野、道端などでも見かける植物ですが、花は白色をしているため、赤色のイメージがあるアカネ(茜)という植物であると気づく人は少ないです。
染料の他にも漢方としても利用されています。
2. アカネ(茜)の花言葉
2-1. 「傷」
アカネ(茜)には薬効があるとされ漢方薬の原料に使用されていることから、傷を癒す植物であるというイメージがあり、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-2. 「私を思って」
茜色の鮮やかなイメージからは想像できませんが、アカネは真っ白で可愛らしい控えめな小花を咲かせる植物です。
その花はとても素朴で可憐です。
遠慮がちに花を咲かせている姿から、この花言葉がつけられたと考えられています。
3. アカネ(茜)について解説
アカネ(学名:Rubia argyi)は、アカネ科・アカネ属の多年草です。
日本では本州、四国、九州に広く分布しており、道端などで自生しているのを見ることができます。
8〜10月ごろに、五弁の星のような形をした小さな白い花をたくさん咲かせます。
アカネは、茎を周囲の植物に絡みつかせながら成長します。
葉は卵型をしています。
根からはアザリンという赤い染料が取れ、日本では古来より利用されてきました。
アカネは、インドやエジプトでも染料として利用されており、人類最古の染料の1つと呼ばれています。
3-1. 英語での呼び名
英語名はmadder、 Rubia です。
Rubiaにはラテン語で「赤い根」という意味があります。
根を乾燥させるとオレンジ色になり、煮出して染料にすると赤く染まることから、この名が付けられたと考えられています。
3-2. 原産地
原産地は、日本、中国、朝鮮半島で、山野や道端などに自生しています。
日本では、花を観賞する植物としてではなく、染料が取れる植物として一般に知られています。
3-3. アカネ(茜)の名前の由来
アカネは、根から赤い染料が取れることから、「赤い根」という言葉が変化してアカネと呼ばれるようになったとされています。
「アカネカズラ(茜蔓)」とも呼ばれています。
このアカネ(茜)の名は、「茜色の夕焼け」や、赤トンボの正式名称である「秋茜」など、赤い色を指すのにも良く使われています。
3-4. アカネ(茜)の誕生日花の日
9月16日、9月22日の誕生花です。
誕生花を贈る際は、アカネの素朴で野趣あふれるイメージを生かして、ナチュラルなイメージのブーケにすると良いでしょう。
また、アカネの染料を使った草木染(茜染め)のアイテムを贈っても喜ばれます。
4. アカネ(茜)のマメ知識
4-1. 漢方
アカネの根を天日で乾燥させたものは、古くから「茜草根(せんそうこん)」という生薬として利用されてきました。
リュウマチ、神経痛、止血、利尿、黄疸、月経不順などに効果があるとされています。
4-2. 染料
日本のアカネの根から取れる赤い染料は、日本書記にも登場するほど古くから草木染(茜染め)に利用されてきたと伝えられています。
戦国時代には武将の鎧を飾るために用いられ、明治時代には、「日の丸」の旗にこの茜の染料が使用されました。
今では、茜染めには近縁種のセイヨウアカネ(西洋茜)やインドアカネが使われています。
ニホンアカネは色素が少なく、その上、栽培に手がかかることから、その染料が一般の市場に出回ることは、ほとんどありません。
憧れの天然染料と言われています。
4-3. 茜と和歌
日、昼、紫にかかる枕詞に「茜さす」があります。
万葉集にはこの茜色を詠んだ歌がいくつもあります。
茜で染めた深い赤色の美しさが、多くの人に感銘を与えたことを物語っています。
あかねさす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも(柿本人麻呂)
あかねさす昼は物思ひぬばたまの夜はすがらに音のみし泣かゆ(中臣家守)
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(額田王)
5. アカネ(茜)を育てる時の注意点
5-1. 栽培環境
日当たりの良い場所か、半日陰で育てます。
強い直射日光は嫌いますので、7月〜9月ごろは、鉢植えの場合は木陰などに置いて育てます。
庭植えの場合は、40%ほど遮光します。
寒さには強いですが、高温多湿には弱い植物です。
5-2. 水やり
鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水を与えます。
庭植えの場合は、水やりの必要はほとんどありません。
5-3. 土
水はけの良いアルカリ性の土を好みます。
赤玉土(中粒)6:腐葉土3:パーライト1の割合で混合した土に苦土石灰を混ぜておきます。
苦土石灰は、鉢植えの場合は7号鉢に小さじ1杯を、庭植えの場合は1㎡につき100〜200g程度を目安にします。
5-4. 肥料
植え付けの時に、鉢植えの場合は、緩効性の肥料を元肥として与えます。
庭植えの場合は、1㎡につき10g程度の堆肥を与えます。
そして、6月〜7月ごろと9月〜10月ごろには、月に1回、2000倍に薄めた液体肥料を水がわりに与えます。
5-5. 植え付け
4月〜5月または9月に行います。
鉢植えの場合は、水はけの良いアルカリ性の土に苗を植えたらたっぷり水を与えます。
1週間ほどは直射日光に当てないように日陰に置き、徐々に日光に当てるようにします。
庭植えの場合は、隣の株と葉が重ならない位の間隔を空けて植えつけます。
株と株が近すぎると風通しが悪くなり、蒸れて枯れることがあります。
5-6. 植え替え
4月〜5月または9月中旬〜下旬に行います。
鉢植えの場合は、成長とともに鉢の中が根でいっぱいになると根詰まりを起こします。
2〜3年に1回を目安に、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
古い根を3分の1ほど切ります。
茎も2分の1程度に切り戻してから植え替えます。
地植えの場合は、植え替えの必要はありません。
5-7. 増やしかた
株分けで増やすことができます。
株分けは3月〜4月又は、9月〜10月に行います。
痛んだ根を切り、株を分けて新しい土に植え付けます。
たっぷりと水を与え、1週間ほどは直射日光に当てないように日陰で管理します。
6. アカネ(茜)の種類(原種、園芸品種の花言葉や特徴)
セイヨウアカネ(学 名:Rubia tinctorum L. )
アカネ科・アカネ属の多年草です。
原産地はヨーロッパで、根から採れる赤い染料は、草木染に利用されています。
この赤色はトルコレッドと呼ばれ、かつては盛んに使われていました。
草丈は50〜100cmで、茎と葉にトゲがあり、茎はつる状になります。
夏から秋にかけて薄い黄色や白い小花を咲かせます。
姿と赤い染料が採れる特徴がアカネに似ていることから西洋茜(セイヨウアカネ)と呼ばれています。
根には薬効作用があり、乾燥させて煎じたものは、殺菌、利尿、発汗、強壮といった目的で利用されています。
7. アカネ(茜)に似た植物(花言葉や特徴)
ペンタス(学名:Pentas Lanceolata)
アカネ科・クササンタンカ属(ペンタス属)の熱帯植物で、熱帯アフリカ、アラビア半島が原産です。
5月〜10月ごろに赤、白、ピンク、紫色など、五弁の星型の小さな花を咲かせます。
本来は低木状になる植物ですが、草丈が30〜50cm程にしか成長しない園芸品種が普及したことから、鉢植えでも庭植えでも育てることができ、ガーデニングでは人気のある植物です。
園芸品種は花色のバリエーションが豊富で、八重咲のものや、葉に模様が入った品種もあります。
名前の由来
ペンタス(Pentas)は、ギリシャ語で数字の5を意味するPenteが語源になっています。
ペンタスが五弁の花を咲かせることに由来しています。
英名はStar clusterといい、星団という意味があります。
星形の花を沢山咲かせることに由来しているとされています。
和名は「草山丹花(クササンタンカ)」といい、ペンタスの花がサンタンカという樹木の花と似ていることから、この名が付けられたと考えられています。
花言葉(全般)「希望がかなう」「願い事」
ペンタスは星形の花を咲かせます。
流れ星に願いをかけると願い事が叶うといわれていることから、これらの花言葉が付けられたと考えられています。
ヤエヤマアオキ(学名:Morinda citrifolia)は、アカネ科・ヤエヤマアオキ属の熱帯植物です。
インドネシア原産で、インド、太平洋諸島、オーストリア東部、フィリピン、台湾、小笠原諸島、沖縄などにも分布しています。
1. 5 〜 2cmほどの白色の花を咲かせます。
花は5弁で、星のような形をしています。
樹高は8〜10mにも達します。
学名のMorindaは、ラテン語でクワを意味するmorusと、インドを意味するindusが語源に、citrifoliaはシトロンを意味するcitrusと、葉を意味するfoliusが語源となっています。
葉が柑橘に似ていることに由来しています。
漢字では「八重山青木」と書きます。
利用
樹皮や根は染料として草木染に利用されています。
日本では主に根が染料として用いられています。
果実は食用にされています。
東南アジア諸国など熱帯地域では、健康維持、スタミナ増進、病気の予防などに効果があるとされ、一般的に食べられています。
日本では、ノニという名で、お茶や果実のジュースが販売されています。
ノニは、ヤエヤマアオキのハワイでの呼び名です。
コーヒーノキ(学名:Coffea)
アカネ科・コーヒーノキ属で、熱帯アフリカやマダガスカル島とその周辺諸島を原産とする植物です。
5月〜6月に五弁の小さな白い花を咲かせ、花にはジャスミンを思わせる良い香りがあります。
可憐な白い花は2日ほどで散ってしまいますので、栽培していないと花を目にする機会はほとんどありません。
花後には楕円形の実を付けます。
緑の実は、熟すと赤紫色になり、その種子はコーヒー豆になります。
和名は「コーヒーの木」です。
観葉植物としてのコーヒーノキ
コーヒーノキはコーヒー豆を収穫する以外に、観葉植物としても人気があり、鉢植えが広く流通しています。
葉に光沢がある常緑樹であることと、緑色の実が赤紫色に熟すまでに9か月という長い時間を要することから、長期間に渡り実を鑑賞できることと、育て方が易しいことが、人気の理由です。
風水ではコーヒーノキは気持ちを落ち着かせる効果があるとされています。
又、赤い実を付ける観葉植物を置くと子宝に恵まれるとも言われています。
収穫
観葉植物として栽培しているコーヒーノキでも、樹高が1m以上になればコーヒー豆を収穫することができます。
白い花はジャスミンのような香りがしますので、可愛らしい花姿と香りを愛でたら、実が熟すのを待ちましょう。
緑色の実が付いてから9か月程後に実が熟しますので、コーヒー豆(種子)を収穫できます。
自家栽培したコーヒー豆を挽いていただくコーヒーほど贅沢なものはありません。
花言葉「一緒に休みましょう」
種子がコーヒー豆として利用されていることから、この花言葉がつけられたと考えられています。
トコン(学名:Carapichea ipecacuanha)
アカネ科・ボチョウジ属の多年草です。
原産地はブラジルで、暗い湿った森林に自生しています。
樹高は20〜40cmで、五弁の白く小さな花を咲かせますが、この花は朝咲いて夕方には萎んでしまいます。
トコンの根には催吐作用のあるアルカロイドが含まれており、漢字では「吐根」と書きます。
学名のipecacuanhaは、吐き気を催す草、という意味があるトゥピ族の言葉が語源となっています。
薬効
根を乾燥させたものは「吐根」という生薬の原料にもなっており、去痰、催吐、緩下作用があるとされています。
医薬品などを誤飲した際、吐き出させるために使用するトコンシロップの原料にもなっています。
又、トコンには抗ウイルス作用、抗アメーバ赤痢菌作用があることが知られており、南米では昔から治療に利用されてきました。
まとめ
茜は庭でも育てられる植物です。
育てた株の根から採った染料で、茜染めに挑戦してみましょう。
古来より人々が魅了されてきた深い赤色の美しさを実感できます。
赤い色を茜色と表現します。
それがアカネ(茜)という植物に由来していることは知っていても、どんな植物なのかはあまり知られていません。
ここでは、そんなアカネ(茜)について、花言葉や育て方、名前の由来などの豆知識を解説します。
1. アカネ(茜)とはどんな花?
アカネ(茜)は日本書紀や万葉集にもその名が出てくるほど、古来より親しまれてきた植物です。
絹を赤く染める染料として用いられてきました。
夕焼けなどを茜色と呼ぶ表現は、この植物に由来しています。
日本の山野、道端などでも見かける植物ですが、花は白色をしているため、赤色のイメージがあるアカネ(茜)という植物であると気づく人は少ないです。
染料の他にも漢方としても利用されています。
2. アカネ(茜)の花言葉
2-1. 「傷」
アカネ(茜)には薬効があるとされ漢方薬の原料に使用されていることから、傷を癒す植物であるというイメージがあり、この花言葉がつけられたと考えられています。
2-2. 「私を思って」
茜色の鮮やかなイメージからは想像できませんが、アカネは真っ白で可愛らしい控えめな小花を咲かせる植物です。
その花はとても素朴で可憐です。
遠慮がちに花を咲かせている姿から、この花言葉がつけられたと考えられています。
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