真夏の抜けるような青い空と白い雲に鮮やかな濃いピンクの花が映えるサルスベリ(百日紅)。
真夏の炎天下でも負けずに細かいフリル状花を次々と咲かせて夏の庭を元気に華やかに彩ってくれます。
しかし、この快活な花には悲しい恋の伝説もあるのです。
サルスベリ(百日紅)についてご紹介します。
- サルスベリ(百日紅)とはどんな花?
- サルスベリの花言葉
- サルスベリについて
- サルスベリのマメ知識
- サルスベリを育てる時の注意点
- サルスベリの種類(原種、園芸品種の特徴)
- サルスベリに似た植物(花言葉や特徴)
- まとめ
1. サルスベリ(百日紅)とはどんな花?
サルスベリの花は主枝からいくつも枝を伸ばして次から次へと花芽をつけ、下から順に咲いていく「円錐花序(えんすいかじょ)」という花のつきかたをするため、ずっと花が咲き続けているように見えます。
6枚の花びらはちりめん状にちぢれていて付け根は細く糸状になっています。
花から飛び出るほどの長い黄色い雄しべがあります。
花の元にある萼(がく)は星型で花径は約3cmで花色はピンク、淡紫、白色のものがあります。
2. サルスベリの花言葉
2-1. 「雄弁」
真夏の日差しと暑さに負けずと華やかにたくさんの花をつけて咲くサルスベリの様子からこの花言葉がつけられました。
真夏を「雄弁」に語る様子が目に浮かんできます。
2-2. 「愛敬」
猿も滑り落ちるほどすべすべの木であるという名前の由来からつけられたといわれています。
このコミカルな名前はとても覚えやすいので木姿はわからずとも名前だけは知っているという方が多いのでなないでしょうか。
2-3. 「不用意」
つるつるすべすべの幹は「不用意」に登ろうとすると怪我をする、ということからつけられたといいます。
用心が必要だという戒めでもあるのですね。
2-4. 「活動」
サルスベリの花は開花期には休む間もなく次から次へと花を咲かせることから「活動」という花言葉がつけられたということです。
初夏から秋口までずっと咲きっぱなしのサルスベリにぴったりの花言葉ですね。
2-5. 「世話好き」
密集して次々と花が咲いていくことからこの花言葉がつけられたということです。
花々が寄せ合うようにおしゃべりしながらせっせっと次に開花する花の「世話」をしながら準備しているのです。
2-6. 「あなたを信じる」
こちらは韓国に伝わる悲恋の伝説が由来しています。
愛する人との誓いを「信じて」待った美しい少女と他国の王子の伝説です。
3. サルスベリについて
3-1. 英語での呼び名
「crape myrtle(クレープ・マートル)」「crepe myrtle」といいます。
マートルとは「ギンバイカ (銀梅花)」のことです。
3-2. 原産地
中国南部原産の落葉小高木です。
3-3. サルスベリの伝説
サルスベリには中国や韓国に伝わる伝説があります。
どちらも悲恋にまつわる話です。
サルスベリの中国の伝説
「昔、中国南部のある村に貧しいもののとても美しい娘がおりました。
色白で唇に紅をさすと百日も消えなかったので人々は彼女のことを「百日紅」というあだ名で呼びました。
ある日のこと金持ちの商人が多額の金を用意して百日紅を妾にほしいといいました。
貧しい両親はこの申し出を快諾しましたが、百日紅には思いを寄せ合っている青年がいたのです。
絶望した百日紅は川に身を投げてしまったのでした。
その日以来青年も消えてしまいました。
彼女の遺体があがった川辺の林に見知らぬ木が生えて紅い花を咲かせました。
人々は「身投げした少女の化身だ」といってその木に彼女のあだ名だった「百日紅」という名前をつけました」
サルスベリの韓国半島の伝説
「昔、朝鮮半島のある漁村には水難防止に生娘を竜神の生贄にする風習がありました。
ある年のこと旅の途中で美しい娘が生贄にされているのをみた他国の王子が竜神を退治して娘を救いました。
王子と娘はすぐに恋に落ちましたが、王子にはまだ王に託された仕事が残っていたのです。
二人は100日後に再会を誓いあって別れました。
しかし娘は100日目を迎えることなく亡くなっていました。
王子はその墓前で慟哭したそうです。
すると娘の墓地に2本の木が生え、紅と白の花を咲かせました。
花は100日間も次々と咲き続けたので村人たちは娘の切ない恋の化身であろうとこの木を「百日紅」と名づけた」ということです。
3-4. サルスベリの名前の由来
サルスベリの名前の由来
樹皮がはがれて滑らかな地肌がでてくるため、「木を登ろうとする猿もツルツルと滑りおちてしまう」ということからこの名前がつけられました。
しかし、実際は猿もしっかり登れます。
サルスベリの別名「百日紅」の名前の由来
サルスベリの別名は「百日紅(ひゃくじつこう)」です。
この百日紅の由来には諸説あります。
まず、1つ目はサルスベリの花が7月〜10月までという長い期間に次々と花をつけて咲き続けることから、「紅」色の花が「百日」も咲き続ける花ということでこの名前がついたといわれています。
2つ目は中国の悲恋の伝説から「百日紅」の名前がついたという説です。
3つ目は中国と同じような伝説がある韓国の朝鮮半島の伝説からつけられたという説です。
英名「Crape myrtle(クレープ・マートル)」の由来
「Crape」とは「ちりめん(生地の表面にしわ状の凹凸がある布)」という意味で「myrtle」とはフトモモ科の植物「ギンバイカ (銀梅花)」の意味です。
サルスベリの花がちりめんのようにしわしわと縮れていて花の形状がギンバイカに似ていることに由来します。
学名「Lagerstroemia indica(ラガーストロミア・インディカ)」の由来
「Lagerstroemia」とはサルスベリを西洋にもっていくときに協力したスウェーデン東インド会社の商人 Magnus von Lagerstrom(マグナス・ヴォン・ラガーズトーム)にちなんだ名前です。
「indica」とはインドのことです。
中国原産の樹木のサルスベリですが、このとき採取された場所がインドだったためにこの名前がつけられたといわれています。
3-5. サルスベリの誕生日花の日
7月18日、7月24日、7月31日、8月5日、8月27日、8月29日
4. サルスベリのマメ知識
4-1. サルスベリはなまけもの?
あの純文学の新人に与える芥川賞で有名な芥川龍之介の随筆でサルスベリ(百日紅)は「怠け者の木」と表現されています。
彼は随筆の中でこう言っています。
「朝寝も好きなら宵寝も好きなる事 百日紅の如きは滅多になし…自分は時々この木の横着なるに 人間同様腹を立てる事あり」
(要訳:春になって他の樹木が次々と新緑になる中、まるで朝寝でもしているようにサルスベリはまったく芽吹く様子もない。
花が終わると今度はさっさと葉を落としてしまってまるで宵寝してしまうかのようだ。)
サルスベリを人間に例えて腹が立つとはやはり小説家芥川龍之介の感性は面白いものですね。
4-2. サルスベリはくすぐったがり?
サルスベリは地方によって「笑いの木」や「こちょこちょの木」と呼ばれています。
成長に伴って樹皮の古いコルク層が剥がれてツルツルになっていきます。
裸の幹は振動が伝わりやすく少し触れるだけで枝先の花や葉が揺れるから、弱い風でも枝先の花がくすぐったそうに身をよじるためともいわれています。
4-3. 中国では紫薇(ズウェィ)
中国ではサルスベリは紫薇(ズウェィ)と呼ばれているそうです。
唐代長安の紫微(宮廷)に多く植えられたためだともいわれています。
また「百日紅」ともよばれてもいるそうです。
中国南部原産のサルスベリは江蘇省徐州市、湖北省襄陽市、四川省自貢市、台湾基隆市などで「市花」になっています。
5. サルスベリを育てる時の注意点
真夏の直射日光にも負けないサルスベリは耐暑性もあり、耐寒性もある比較的育てやすい樹木です。
しかし意外と大きく育ってしまうので剪定してよい樹木丈を維持するとよいです。
大きく育ちすぎると剪定が大変になってしまいます。
また鉢植えの場合もよく育つのでいずれは庭植えにするものと思って育てるとよいでしょう。
5-1. 場所
日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。
日当たりが悪いと、ほとんど花が咲きません。
一年を通して日当たりのよい場所で育てます。
5-2. 水やり・肥料
5-2-1. 水やり
庭植えは植え付けた直後の根づくまでの間や炎天下の日が2週間以上続く場合は水やりをしますが、基本水やりはしなくても大丈夫です。
鉢植えの場合は、土が乾いたら水やりをします。
夏場は特に水切れしやすいので朝と夕方の水をやります。
それでも水切れする場合は、半日陰に移動させます。
5-2-2. 肥料
肥料は庭植えの場合、植え付ける前に土にたっぷりと堆肥を混ぜ込みます。
鉢植えの場合は生育期に2週間に1回液体肥料をあげます。
5-3. 剪定
12月〜3月の落葉時期に剪定します。
12〜3月の落葉時期に剪定します。
その年に伸びた枝を短く切り戻すことが大切です。
サルスベリは剪定に強く、強く剪定すればするほどに脇芽を出して花が増えます。
逆に剪定が甘いと細かい枝が多く出て花つきが悪くなります。
春以降に伸びた枝に初夏〜夏にかけて花をつけるので、この時期は基本的に枝は剪定しませんが、混みあった枝は間引いて風通しをよくしてもよいでしょう。
5-4. 病気・害虫
病気「うどんこ病」
糸状菌のカビの一種で3月から4月ごろから発生します。
葉や茎が白い粉をはたいたような菌糸でおおわれ、生育を弱らせます。
対策:風通しと日当たりが良いと発生しにくいので、枝が混み合わないように冬にしっかり剪定します。
薬剤を散布して予防してもよいでしょう。
害虫「サルスベリフクロカイガラムシ」
白い楕円形のカイガラムシが樹液を吸汁します。
排せつ物にカビが発生して起こるすす病にかかってしまうことがあるので見つけたら早めに駆除します。
対策:風通しの悪いところにつきやすいので、よく日光が入り込んで風通しをよくするように剪定します。
幼虫の時期(5月〜7月)は薬剤に弱いのでこの時期に薬剤を散布して駆除します。
6. サルスベリの種類(原種、園芸品種の特徴)
サルスベリの花色は主に赤、ピンク、白があります。
6-1. サルスベリ(Lagerstroemia indica)
ミソハギ科サルスベリ属の木で樹高は10mほどになるものもあります。
開花期は7月〜10月でピンク、赤、白色の花を咲かせます。
真夏でも次々に花を咲かせるほど耐暑性があります。
開花期も長く、初心者でも育てやすい樹木です。
6-2. バナバ(Lagerstroemia speciosa)
ミソハギ科サルスベリ属の落葉高木です。
原産地はインド、東南アジアから北オーストラリアまでの熱帯地域で樹高は5m〜20mにもなります。
バナバの葉から作られる「バナバ茶」は食物繊維が豊富でカリウムなども含まれる健康茶として注目されています。
6-3. サルスベリ・'タスカローラ'(Lagerstroemia indica 'Tascarora')
紅い花が特徴のタスカローラはうどんこ病に強いアメリカで作出された園芸種です。
6-4. サルスベリ・'ナチェ'(Lagerstroemia indica 'natchez')
高木性で白花の代表品種です。
うどんこ病の耐性があります。
7. サルスベリに似た植物(花言葉や特徴)
7-1. キョウチクトウ(Nerium oleander var. indicum)花言葉「危険な愛」「用心」「油断大敵」「危険」「美しき善良」など
キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木です。
原産地はインドで開花期は7月〜9月です。
サルスベリ同様強い日射しに強く夏を代表する花木のひとつです。
キョウチクトウは全体が有毒です。
7-2. ナツツバキ(Stewartia pseudocamellia)花言葉「愛らしさ」「愛らしい人」「はかない美しさ」「哀愁」など
ツバキ科ナツツバキ属の樹木です。
原産地は日本、朝鮮半島で開花期は6月〜7月初旬で白い花を咲かせます。
サルスベリ同様に幹の樹皮がはがれてつるつるとした表面になります。
7-3. シマトネリコ(Fraxinus griffithii) 花言葉「偉大」「服従」「思慮分別」「高潔」「荘厳」
モクセイ科トネリコ属で日本では沖縄県に、また中国、台湾、フィリピンからインドに分布します。
カブトムシが集まる木としても知られています。
5月下旬〜7月上旬に香りのある白い小さな花をたくさん咲かせます。
雄と雌の木があり、雄の木は花を咲かせません。
雌の木は、結実すると白いさやが実ります。
まとめ
サルスベリが咲く頃といえば夏休みを思い出す方が多いのではないでしょうか。
海に行った思い出、山に行った思い出。
どの思い出にもこの濃いピンク色と青空のコントラストが目に浮かんできます。
コミカルにも聞こえる「サルスベリ」という名前も印象深く、樹木をあまり知らない人でも名前を聞いたことがある木のひとつではないでしょうか。
真夏の抜けるような青い空と白い雲に鮮やかな濃いピンクの花が映えるサルスベリ(百日紅)。
真夏の炎天下でも負けずに細かいフリル状花を次々と咲かせて夏の庭を元気に華やかに彩ってくれます。
しかし、この快活な花には悲しい恋の伝説もあるのです。
サルスベリ(百日紅)についてご紹介します。
1. サルスベリ(百日紅)とはどんな花?
サルスベリの花は主枝からいくつも枝を伸ばして次から次へと花芽をつけ、下から順に咲いていく「円錐花序(えんすいかじょ)」という花のつきかたをするため、ずっと花が咲き続けているように見えます。
6枚の花びらはちりめん状にちぢれていて付け根は細く糸状になっています。
花から飛び出るほどの長い黄色い雄しべがあります。
花の元にある萼(がく)は星型で花径は約3cmで花色はピンク、淡紫、白色のものがあります。
2. サルスベリの花言葉
2-1. 「雄弁」
真夏の日差しと暑さに負けずと華やかにたくさんの花をつけて咲くサルスベリの様子からこの花言葉がつけられました。
真夏を「雄弁」に語る様子が目に浮かんできます。
2-2. 「愛敬」
猿も滑り落ちるほどすべすべの木であるという名前の由来からつけられたといわれています。
このコミカルな名前はとても覚えやすいので木姿はわからずとも名前だけは知っているという方が多いのでなないでしょうか。
2-3. 「不用意」
つるつるすべすべの幹は「不用意」に登ろうとすると怪我をする、ということからつけられたといいます。
用心が必要だという戒めでもあるのですね。
2-4. 「活動」
サルスベリの花は開花期には休む間もなく次から次へと花を咲かせることから「活動」という花言葉がつけられたということです。
初夏から秋口までずっと咲きっぱなしのサルスベリにぴったりの花言葉ですね。
2-5. 「世話好き」
密集して次々と花が咲いていくことからこの花言葉がつけられたということです。
花々が寄せ合うようにおしゃべりしながらせっせっと次に開花する花の「世話」をしながら準備しているのです。
2-6. 「あなたを信じる」
こちらは韓国に伝わる悲恋の伝説が由来しています。
愛する人との誓いを「信じて」待った美しい少女と他国の王子の伝説です。
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