シュウカイドウという花、は漢字で書くと「秋海棠」と書きます。
中国が原産で、実はベゴニアの仲間で、日本には江戸時代に初期に園芸用に持ち込まれた帰化植物です。
貝原益軒の「大和本草」の中に、『寛永年中(1624年〜1645年)、中華より初て長崎に来る。
(略)花の色海棠に似たり。故に名付く』と記載されています。
草丈は70cm程になり、夏から初秋にかけてピンクの花を咲かせ、葉は左右非対称を互い違いに生え、葉の長さは20cmと大きめです。
花は2〜3cmと小さ目ですが、ピンクや濃いピンクをしていて可愛らしく、真ん中のおしべの集まりの黄色がいかにも花らしく綺麗なコントラストになっており、花の色は、ピンクの他に白もあります。
耐寒性も耐暑性も強く、育てやすい植物です。
- シュウカイドウとはどんな花?
- シュウカイドウの育て方
- シュウカイドウの花言葉
- シュウカイドウについて解説
- シュウカイドウの名前の由来
- シュウカイドウの誕生日花の日
- シュウカイドウの仲間
- シュウカイドウに似た花(花言葉や特徴)
- まとめ
1. シュウカイドウとはどんな花?
1-1. ベゴニアの仲間
シュウカイドウはシュウカイドウ科シュウカイドウ属ですが、シュウカイドウ属はベゴニア属に分類されるので、シュウカイドウはベゴニアの仲間ということになります。
花の形もベゴニアに似ています。
しかし、耐暑性も耐寒性も弱いベゴニアとは違い、同じ仲間の中では寒さに強いのがシュウカイドウの特徴です。
花は7月中旬から10月中旬まで咲き続けます。
花はおしべとめしべが別々に咲き(雌雄異花同株)、雄花は正面を向いて咲き、花の中心に黄色い小さなおしべが球状に固まっています。
1-2. ベゴニアの花はこんな花
4枚の花弁のうち、左右の小さな2枚が本当の花弁で、上下にある大きめの花弁に見える2枚は萼です。
雌花の方は下を向いて咲き、中心のめしべは3つに分かれていて、その先端はらせん状になっています。
雌花と雄花は同じ形ですが、雌花は三角錐状の子房を花の根元に持っていて、小さな方の花弁が1枚だけのこともあります。
つまり、花弁が3枚の物もあるということです。
花が終わるとこげ茶色の羽が3枚付いている楕円形の実を付けます。
この実の他、開花後にムカゴを付けるので、それでも増えていきます。
1-3. 日本での園芸化
中国とマレー半島を原産地とするシュウカイドウですが、日本には江戸時代初期に渡来したようです。
花の名前は中国名「秋海棠」を音読みしたものです。
ベゴニアはシュウカイドウ属の植物の総称ですが、シュウカイドウは古くから日本に定着していたのでベゴニアとは呼ばれません。
また、あとから渡来したベゴニアはシュウカイドウの和風な雰囲気を持っていなかったので、両者は別々の名前で呼ばれるようになりました。
江戸初期に渡来したシュウカイドウは、それ以降園芸用として栽培が続けられていますが、ベゴニアと違って変異が起きにくいので、新しい品種はあまり作られておらず、園芸店での扱いもあまりありません。
ネット通販では手に入りやすいようです。
その代わりと言っては何ですが、環境が合えばどんどん増えていくので、山中や道端などでよく見かけます。
1-4. シュウカイドウの別名
- ヨウラクソウ(瓔珞草)
- ダンチョウカ(断腸花)
2. シュウカイドウの育て方
2-1. 植え付け
4月中に球根を植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の培養土に植えます。
球根を植える時、あまり深い所に植えないようにします。
球根が隠れる程度に土を被せる位で充分です。
庭植えの場合は、土に腐葉土を混ぜて植えます。
花が終わる頃に葉の脇にムカゴが出来ます。
これが地面に落ちると、それが発芽して増えていきます。
また、球根も太ってくれば分かれて広がっていきます。
2-2. 日当り
シュウカイドウは半日陰や日陰と湿気を好みます。
直射日光が1日中当たるような所は苦手です。
その為、ヨーロッパでは大きな木の日陰(陽だまり)を利用して、シュウカイドウの様な半日陰を好む植物を植えます。
これを”シェードガーデン”と言いますが、シュウカイドウはシェードガーデンに向いている植物です。
また、建物の東側など、1日のうち数時間だけ日が当たるような場所でも大丈夫です。
2-3. 水やり
シュウカイドウは乾燥が苦手なので、鉢植えの場合は土が乾いたら水をたっぷりと、鉢底から水が出るまでやって下さい。
夏など乾燥しやすい季節には、株元に腐葉土を敷いて水の蒸発を防ぐようにすると元気でいてくれます。
庭植えの場合はいつもじめじめしているような所なら良いのですが、水はけや風通しがとても良い所の場合は、地面が乾いていないかよく見て、適宜水やりをして下さい。
2-4. 肥料
植え付け時に原肥として緩効性の化成肥料を土に施します。
花が大型化するので、追肥は不要です。
2-5. 害虫・病気
害虫として、アザミウマが挙げられます。
アザミウマが付くと、花が茶色になって萎んだり、カサカサになる等の症状が見られます。
アザミウマは数が増えやすいので、長期間効果がある新党移行性の殺虫剤が効果があります。
土に撒くだけの粒剤なら手軽に駆除出来ます。
「オルトラン水和剤」や「オルトラン粒剤」がアザミウマには効果があります。
これが効かない場合は、在来種のアザミウマでは無く、新種のミナミイロアザミウマと思われるので、「ベルトガード粒剤」や「モスピラン粒剤」が有効です。
また、殺虫剤を撒きたくない場合は、アザミウマは黄色と青に引き付けられる習性があるおで、株元に黄色や青の粘着トラップを置いておけば対策になります。
アザミウマの予防策としては、枯れた花を好むので、花がらをマメに摘む方法が効果的です。
3. シュウカイドウの花言葉
3-1. 「片思い」
これは、シュウカイドウが雄花と雌花が同じ木に別々に咲くからではないでしょうか。
めしべとおしべが一緒に付いている花とは違い、シュウカイドウはめしべは雌花に、おしべは雄花に付いています。
両方が出会わなければ受粉は出来ません。
虫や風といったものが媒介となってくれますが、それまでは「片思い」で待つしかない状態が続くのです。
もう1つの説は、ハート型の葉の片方が大きくなることに由来するというものです。
シュウカイドウの葉は左右非対称についているので、そういうことになるようです。
片方だけが想いが深くなっている、という片思いの状態を示しているように見えるのでしょう。
3-2. 「恋の悩み」
これは、シュウカイドウの雄花が下を向いてうなだれたような様子に見えるので付けられた花言葉のようです。
恋に悩んで寂しそうに見えるようです。
3-3. 「自然を愛す」
これは、シュウカイドウが園芸品種として流通するよりも、日本に帰化してそこここの山中で半野生化して見られることから付けられたようです。
自然の中でのびのびと生きたいというように見えるのでしょう。
3-4. 「未熟」
これはちょっと難しいですが、小さな可愛い花がまだ純粋な子供の様に感じるからかもしれません。
また、雌花と雄花が別々に咲くので、成熟していないという印象を持ったのかもしれません。
4. シュウカイドウについて解説
4-1. 英語での呼び名
英語では「hardy begonia」です。
「忍耐強いベゴニア」という意味になるでしょうか。
シュウカイドウ属とベゴニア属は同じですが、シュウカイドウだけは寒さに強く、球根のまま外でも楽に冬を越すことが出来るので、このような呼び方になったのかもしれません。
4-2. 原産地
原産地は中国とマレー半島です。
そこから各地へ渡来し、今では世界中で1400種類以上が存在します。
特に熱帯・亜熱帯地方に広く分布しています。
現在アジアに600種類以上、中央〜南アメリカに600種類以上、アフリカに150州類があります。
4-3. シュウカイドウのマメ知識
シュウカイドウの学名
シュウカイドウの学名は「Begonia grandis」です。
grandisは「大きな」という意味なので、直訳すると「大きなベゴニア」という意味となります。
「秋海棠」の持つ意味
中国語で「棠」は山梨(バラ科の落葉高木)のことを差します。
また「海棠」は中国では美人の代名詞として、気高い花を表す時に使う言葉で、玄宗皇帝が楊貴妃を評した時にも使われた言葉です。
楊貴妃は海棠の様に美しいと、皇帝から讃えられたのでしょう。
「海棠」の美しさは他を圧倒する程の見事なものだったようです。
海棠が日本に入ってきた時、漢字をそのまま使って音読みをしたと言います。
5. シュウカイドウの名前の由来
バラ科の海棠に似た花を秋に咲かせるので、秋海棠(シュウカイドウ)という名前が付きました。
中国で美人を表す時に使われる「海棠」の花とはどんな花でしょうか。
海棠は日本では「花海棠」と呼ばれています。
やはり中国が原産の落葉小高木です。
春4月〜5月に美しい白やピンクのふわふわした幾重にも重なった花弁を開きます。
色は優しく、姿は華やかな美しい花です。
シュウカイドウはこの花海棠の花を小さくしたような花を、秋に咲かせるという意味で付けられたそうです。
6. シュウカイドウの誕生日花の日
6-1. 8月29日
この日生まれの有名人には、YOUさん、千葉ほのかさん、田島英明さん等がいます。
6-2. 9月10日
この日生まれの有名人には、斉藤由貴さん、松田翔太さん、横粂勝仁さん、加藤茜さん等がいます。
6-3. 9月17日
この日生まれの有名人には、大島さと子さん、中村アンさん、橋爪功さん、蝶野正洋さん等がいます。
7. シュウカイドウの仲間
シュウカイドウは変異を起こしにくいので、品種改良も進まず、仲間は少ないです。
7-1. 白花シュウカイドウ:白い花を咲かせるシュウカイドウです
">
在来のピンク色と比べると弱いので、混植すると総ての花がピンクになってしまいます。
花言葉はシュウカイドウと同じで「片思い」「未熟」「恋の悩み」「自然を愛す」です。
7-2. 裏紅シュウカイドウ:葉の裏が濃い赤になるシュウカイドウです
">
表の緑からは人工的にも見える赤い色なのが不思議です。
花言葉は、やはりシュウカイドウと同じです。
7-3. コウトウシュウカイドウ
沖縄県八重山諸島に生息。
茎が立って木立状になるので背が高くなるのが特徴です。
7-4. マルヤマシュウカイドウ
こちらも沖縄県八重山諸島に自生しています。
マルヤマシュウカイドウは茎が短く葉は根出状です。
8. シュウカイドウに似た花(花言葉や特徴)
8-1. カイドウ(海棠)
バラ科で桜の仲間です。
その割に花がうつむく様に咲く姿などはシュウカイドウに似ています。
一重のカイドウなら、よりシュウカイドウに似ています。
花言葉:「温和」「美人の眠り」「灼熱の恋」「妖艶」「友情」「美徳」「艶」
誕生花:2月7日
8-2. ベゴニア
シュウカイドウの仲間ですが、暑さにも寒さにも弱く、最低でも10℃はないと育ちません。
一重のものはシュウカイドウとよく似た花ですが、八重のものは一見しただけではベゴニアと気づかないこともある位華やかです。
草丈は15〜40cm程度。
花の開花期は9月中旬〜翌6月下旬までと、真夏を除いた時期です。
常緑性で開花期が長いのです。
色も白、赤、ピンク、オレンジ、黄色、複色、と品種改良がしやすかった為に種類も多く存在します。
やはり湿気を好むので、室内で鉢植えを飾るなら、受け皿に水を溜めておいた方が良いでしょう。
花言葉
ベゴニア全体:「片思い」「愛の告白」
赤:「公平」
白:「親切」
オレンジ:「繁栄」「永遠の栄え」
ピンク:「丁寧」「親切」
木立ベゴニア:「つり合いが取れている」
クリスマスベゴニア:「あなたに付いていく」
四季咲きベゴニア:「永遠の栄え」
レックスベゴニア:「愛される喜び」
リーガースベゴニア:「高貴」
誕生花:1月13日、1月30日、3月14日、3月17日、6月14日、9月28日、10月18日、11月17日、11月29日、12月17日
まとめ
シュウカイドウ、いかがでしたか。
ベゴニアの仲間と聞けば、急に親しみが沸きますね。
しかもベゴニアよりずっと丈夫で、育てやすいので、初心者の方でも楽しんで育てられます。
日当りを気にすることも無く、注意するのは多湿にすること位です。
冬に土が凍らない地域なら、毎年花を楽しめます。
真冬以外は日陰で花を付ける花は珍しいですから、東や北向きの場所を華やかに飾ってくれるでしょう。
もちろん、室内に飾るのも良いですね。
色はピンクと白だけですが、ピンクも白もとても色が綺麗なので部屋を明るく可愛らしく彩ってくれるでしょう。
シュウカイドウは他にも玄宗皇帝が楊貴妃の美しさを讃えるときに用いた「海棠」の仲間でもあります。
愛する女性にこの話をして、世界で一番美しいことを知らせることが出来たら、片思いもきっと叶うことでしょう。
シュウカイドウという花、は漢字で書くと「秋海棠」と書きます。
中国が原産で、実はベゴニアの仲間で、日本には江戸時代に初期に園芸用に持ち込まれた帰化植物です。
貝原益軒の「大和本草」の中に、『寛永年中(1624年〜1645年)、中華より初て長崎に来る。
(略)花の色海棠に似たり。故に名付く』と記載されています。
草丈は70cm程になり、夏から初秋にかけてピンクの花を咲かせ、葉は左右非対称を互い違いに生え、葉の長さは20cmと大きめです。
花は2〜3cmと小さ目ですが、ピンクや濃いピンクをしていて可愛らしく、真ん中のおしべの集まりの黄色がいかにも花らしく綺麗なコントラストになっており、花の色は、ピンクの他に白もあります。
耐寒性も耐暑性も強く、育てやすい植物です。
1. シュウカイドウとはどんな花?
1-1. ベゴニアの仲間
シュウカイドウはシュウカイドウ科シュウカイドウ属ですが、シュウカイドウ属はベゴニア属に分類されるので、シュウカイドウはベゴニアの仲間ということになります。
花の形もベゴニアに似ています。
しかし、耐暑性も耐寒性も弱いベゴニアとは違い、同じ仲間の中では寒さに強いのがシュウカイドウの特徴です。
花は7月中旬から10月中旬まで咲き続けます。
花はおしべとめしべが別々に咲き(雌雄異花同株)、雄花は正面を向いて咲き、花の中心に黄色い小さなおしべが球状に固まっています。
1-2. ベゴニアの花はこんな花
4枚の花弁のうち、左右の小さな2枚が本当の花弁で、上下にある大きめの花弁に見える2枚は萼です。
雌花の方は下を向いて咲き、中心のめしべは3つに分かれていて、その先端はらせん状になっています。
雌花と雄花は同じ形ですが、雌花は三角錐状の子房を花の根元に持っていて、小さな方の花弁が1枚だけのこともあります。
つまり、花弁が3枚の物もあるということです。
花が終わるとこげ茶色の羽が3枚付いている楕円形の実を付けます。
この実の他、開花後にムカゴを付けるので、それでも増えていきます。
1-3. 日本での園芸化
中国とマレー半島を原産地とするシュウカイドウですが、日本には江戸時代初期に渡来したようです。
花の名前は中国名「秋海棠」を音読みしたものです。
ベゴニアはシュウカイドウ属の植物の総称ですが、シュウカイドウは古くから日本に定着していたのでベゴニアとは呼ばれません。
また、あとから渡来したベゴニアはシュウカイドウの和風な雰囲気を持っていなかったので、両者は別々の名前で呼ばれるようになりました。
江戸初期に渡来したシュウカイドウは、それ以降園芸用として栽培が続けられていますが、ベゴニアと違って変異が起きにくいので、新しい品種はあまり作られておらず、園芸店での扱いもあまりありません。
ネット通販では手に入りやすいようです。
その代わりと言っては何ですが、環境が合えばどんどん増えていくので、山中や道端などでよく見かけます。
1-4. シュウカイドウの別名
- ヨウラクソウ(瓔珞草)
- ダンチョウカ(断腸花)
2. シュウカイドウの育て方
2-1. 植え付け
4月中に球根を植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の培養土に植えます。
球根を植える時、あまり深い所に植えないようにします。
球根が隠れる程度に土を被せる位で充分です。
庭植えの場合は、土に腐葉土を混ぜて植えます。
花が終わる頃に葉の脇にムカゴが出来ます。
これが地面に落ちると、それが発芽して増えていきます。
また、球根も太ってくれば分かれて広がっていきます。
2-2. 日当り
シュウカイドウは半日陰や日陰と湿気を好みます。
直射日光が1日中当たるような所は苦手です。
その為、ヨーロッパでは大きな木の日陰(陽だまり)を利用して、シュウカイドウの様な半日陰を好む植物を植えます。
これを”シェードガーデン”と言いますが、シュウカイドウはシェードガーデンに向いている植物です。
また、建物の東側など、1日のうち数時間だけ日が当たるような場所でも大丈夫です。
2-3. 水やり
シュウカイドウは乾燥が苦手なので、鉢植えの場合は土が乾いたら水をたっぷりと、鉢底から水が出るまでやって下さい。
夏など乾燥しやすい季節には、株元に腐葉土を敷いて水の蒸発を防ぐようにすると元気でいてくれます。
庭植えの場合はいつもじめじめしているような所なら良いのですが、水はけや風通しがとても良い所の場合は、地面が乾いていないかよく見て、適宜水やりをして下さい。
2-4. 肥料
植え付け時に原肥として緩効性の化成肥料を土に施します。
花が大型化するので、追肥は不要です。
2-5. 害虫・病気
害虫として、アザミウマが挙げられます。
アザミウマが付くと、花が茶色になって萎んだり、カサカサになる等の症状が見られます。
アザミウマは数が増えやすいので、長期間効果がある新党移行性の殺虫剤が効果があります。
土に撒くだけの粒剤なら手軽に駆除出来ます。
「オルトラン水和剤」や「オルトラン粒剤」がアザミウマには効果があります。
これが効かない場合は、在来種のアザミウマでは無く、新種のミナミイロアザミウマと思われるので、「ベルトガード粒剤」や「モスピラン粒剤」が有効です。
また、殺虫剤を撒きたくない場合は、アザミウマは黄色と青に引き付けられる習性があるおで、株元に黄色や青の粘着トラップを置いておけば対策になります。
アザミウマの予防策としては、枯れた花を好むので、花がらをマメに摘む方法が効果的です。
スポンサーリンク