「破滅主義」とは「自分の存在・人生に本質的価値などないので決定的に破滅したい(破滅しても構わない)と考えている思想」や「社会・人間には価値などないので破滅しても構わないという願望」を意味していますが、破滅主義者が持つ破滅願望・特徴・傾向にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、破滅主義の「類語(同義語)・反対語(対義語)・英語表現」を紹介して、「破滅主義者の破滅願望の例」「破滅主義の人の特徴や傾向」を分かりやすく説明していきます。
- 破滅主義とは?
- 破滅主義の類語や反対語
- 破滅主義者が持つ破滅願望
- 破滅主義の英語
- 破滅主義の使い方「例文」
- 破滅主義の人の特徴や傾向
- まとめ
1. 破滅主義とは?
破滅主義とは、「自分の存在・人生に本質的価値などはないので決定的に破滅したいと考えている思想・立場」のことであり、「自分にも世の中・他者にも価値などないので、全体が破滅しても構わないとする虚無的な願望」もそこに含まれています。
破滅主義とは、自分自身や他者、世の中を積極的に破滅させたいと思う願望であり、自分を含むすべての物事には本質的価値は何もないので破滅しても構わないと考える思想的立場なのです。
破滅主義の前提として、「自分・他者・世の中には何の価値もないのだから、意味のある行動というものもなく、何かを成し遂げるために必死に頑張ることもすべて無意味である」とする「虚無主義(ニヒリズム)」があります。
2. 破滅主義の類語や反対語
破滅主義の類語(同義語)や反対語(対義語)は以下のようになります。
2-1. 破滅主義の類語(同義語)・関連語
破滅主義の類語・関連語には、「虚無主義・破壊主義・自己否定・自己嫌悪・自己卑下」などがあります。
「虚無主義(ニヒリズム)」は、自分自身や他人、世の中には何の価値も意味もなく、すべてが破滅したり消滅したりしても構わないとする実存主義的な思想哲学の立場になります。
「破壊主義」は、社会や他者によって価値があるとされているものや既存の秩序を無茶苦茶に破壊したいと思う願望を根底に持つ危険思想のことです。
破滅主義は、自分自身の存在や行動には何の価値もないこと、自分自身が失敗したり破滅したりしても構わないことを前提にしているので、「自己否定・自己嫌悪・自己卑下」なども類似の意味を持つ関連語として扱うことができるでしょう。
2-2. 破滅主義の反対語(対義語)
破滅主義の反対語(対義語)・関連語には、「楽観主義・楽天主義・自己肯定・自尊心」などがあります。
「楽観主義」とは、自分や他者、世の中の今後について今よりも良くなるだろう(今よりも悪くなることはないだろう)というポジティブな予測をする考え方や思想のことです。
「楽天主義」とは、細かいことをくよくよといつまでも考えること(悩むこと)がなく、物事を楽観的・肯定的にとらえようとする考え方や思想のことです。
自分自身を大切にして自分に価値があると思えることが、破滅主義の反対の意味になってきますから、「自己肯定・自尊心」なども破滅主義の反対語(対義語)として扱うことができるでしょう。
3. 破滅主義者が持つ破滅願望
破滅主義者が持つ典型的な破滅願望として、「恋愛・仕事・家庭で感じることのある破滅願望のケース(事例)」を紹介していきます。
3-1. 恋愛における破滅願望の例
恋愛における破滅願望の例としては、片思いの段階で何となく相手が自分のことを好きな雰囲気があるが、まだ両思いになれることが確実でない時に、わざと「相手から嫌われるような言動・相手から幻滅されるような態度・相手を馬鹿にするような発言」を取るということがあります。
恋愛における破滅願望を持っている人は、「自分が嫌われるかもしれない・自分が相手から拒絶されるかもしれない」というプレッシャーに耐えることができず、もし真面目にアプローチして振られるくらいだったら自分から「嫌われたり幻滅されたりする言動・態度」を取って、相手から嫌われてしまったほうが楽だと考えるわけです。
例えば、相手から決定的に嫌われるために、わざと目の前で他の異性とイチャイチャしている姿を見せたり、相手から軽蔑されるために公共の場所でマナーの悪い態度を取ったり、大声でバカ騒ぎして下品な姿を見せたりすることなどが想定できます。
恋愛における破滅願望がある人は、「相手から別れを切り出されること」や「真剣にアプローチして相手から拒絶されること」をもっとも恐れているので、相手から嫌われたり拒否される前に、自分のほうから相手に嫌われて縁を切られるようなことをわざとすることがあるのです。
3-2. 仕事で感じる破滅願望の例(データ入力・製造業の現場仕事)
仕事で感じる破滅願望の例としては、「ストレスを感じる細かいデータ入力・データ検証の作業」などで、わざと間違ったデータ(数字)を入力したり間違っているデータの修正をしなかったりして、自分が失敗するように導いていくことがあります。
ずっと同じような作業を繰り返す仕事で、わずかなミスも許されないような条件があるような時に、わざとデータ入力や数字の設定を間違えるような破滅願望が顔を覗かせることがあるのです。
仕事で感じる破滅願望の例としては、「自動車工場でボディーをピカピカに磨き上げる作業」や「わずかな小傷さえも見落とすことが許されない液晶ディスプレイ(有機ELディスプレイ)の製造作業」などで、「絶対に傷をつけてはいけない(絶対にどんな傷も見落としてはいけない)」という強迫観念に耐え切れずに、自滅願望に突き動かされる形で大きな失敗をしてしまうことがあります。
わざと製造ラインにある新車のボディーに衝動的に大きなひっかき傷をつけてしまったり、仕事で検査している液晶ディスプレイを叩き割ってしまったりすることで、「こんな神経を使う細かい作業を馬鹿丁寧に毎日毎日やっていられるか」というような破滅主義の願望が行動化してしまうのです。
仕事で感じる破滅願望の例(接客販売などのサービス業・上司との人間関係)
レストランのウェイターやシティーホテルのホテルマン、販売業の店員などで「常に親切・丁寧な接客スキル」が求められる時にも、「クレイマー的なお客様のイライラとさせられる言動・苦情」に我慢することができなくなり、「いつまでも細かい問題でうるさいんだよ・そんなに気に入らないならうちのお店には二度と来なくても結構ですから」と声を荒げるような破滅願望が出てしまうことがあります。
「いくら自分が店員(仕事)だからと言っても、どうしてここまで我慢させられなければいけないんだ」というような気持ちは、馬の合わない理不尽な職場の上司との人間関係においても破滅願望として現れてくることがあります。
毎日毎日、どうでもいいような小さなミスを粗探しして怒鳴りつけてくるような上司に対して、「お前、あんまり調子に乗ってるんじゃないぞ」とか「いつまでも俺がおとなしくハイハイと頭下げているなんて思うなよ。
お前をぶん殴ってこんな会社、やめてやるからな」とかいう自分を破滅(退職・解雇)に導く発言・行動をしてしまうことになるのです。
3-3. 家庭で感じる破滅願望の例
家庭で感じる破滅願望の例としては、「安定した幸福な家庭生活や夫婦関係がずっとこのまま続いて欲しいという願望」が強くなりすぎることで、逆に自分自身のほうから家庭・夫婦関係を壊してしまうような「非常識・反道徳的な願望」を抱くことがあります。
今ある幸福な家庭・夫婦関係が何らかの出来事や裏切りをきっかけにして壊れてしまうかもしれないという不安が募ることによって、「相手から裏切られるくらいなら自分のほうから裏切ってやろう」という自滅的な破滅願望につながりやすいのです。
家庭で感じる破滅願望の典型的な現れとしては、自分のほうから相手の反応を試す目的で「危険な火遊びである浮気・不倫」に興じるということがあります。
これは、相手から不倫される前に自分のほうから不倫することで、「相手に裏切られた場合のショック」を事前に無くしてしまおうとする破滅願望の現れになります。
あるいは、どんなに自分が相手を裏切って傷つけても、相手が自分のことを決して見捨てないことを改めて確認したいという思いがそこにはあるのです。
家庭で感じる破滅願望の例には、「家事育児や配偶者としての役割の放棄」というものもあり、「家事育児を全くやらないダメな自分」であっても、相手が変わることなく自分のことをずっと愛してくれるかを確かめようとしているのです。
家庭で感じる破滅願望の事例には、このように自分が何をやっても相手が許して愛してくれるかをチェックしようとする「試し行動」が多くなっています。
4. 破滅主義の英語
破滅主義は英語では、「catastrophism(カタストロフィズム)」と表記します。
破滅主義には、自分や他者、世界には本質的価値がないとする虚無主義と重なる部分もあるので、英語で「nihirism(ニヒリズム)」と表記されることもあります。
5. 破滅主義の使い方「例文」
破滅主義の使い方を示す「例文」としては、「彼は破滅主義の振る舞いによって自業自得の挫折を経験することになった・破滅主義とは虚無主義と同じく人間や世の中の価値を認めない思想である・破滅主義と格好つけてみても、ただ自分の人生が上手くいっていないことの裏返しに過ぎない・彼女が不倫をして離婚に至った原因はある種の破滅主義だったのだろう・破滅主義という思想や価値観はその人の人生をめちゃくちゃにしてしまう・破滅主義に逃げることなく、私は自分の仕事や結婚と真摯に向き合ってきたのです・現代では自分だけが不幸と思い込む破滅主義者が増えている・破滅主義を持っている人と親密な人間関係を築くのは難しいし危険でもある・幼少期のトラウマティックな体験の記憶が、私の破滅主義の考え方の原点になっているのです」などがあります。
6. 破滅主義の人の特徴や傾向
破滅主義の人は、以下のような特徴・傾向を持っています。
6-1. 人生や人間関係が全般的に上手くいっていない
破滅主義の人の特徴として第一に挙げられるのは、「自分自身の人生が全般的に上手くいっていないこと」と「自分自身の人間関係でひどい裏切り・傷つきを経験していること」です。
人生と人間関係が何から何まで上手くいっていて、自分の人生が順風満帆で多くの人から愛されていると感じている人は、まず破滅主義に陥ることがないのです。
自分自身の人生や人間関係が思い通りにいかずに、毎日面白くない気持ちを抱いている時、人は「自分の人生・存在には何の価値もないからどうなったって構わない」や「自分の人生が破滅して台無しになってもいい」という破滅主義の思想を持ちやすくなるのでしょう。
6-2. 恋愛・結婚でトラウマ的な体験をして深く傷ついている
破滅主義の人の傾向として、「過去の恋愛・結婚(広義の異性関係)でトラウマ的な体験をしている」ということもあります。
恋愛関係や結婚生活における異性関係の充実・信頼は、「未来に対する明るい希望」や「自分自身の存在に対する価値の実感」にもつながりやすいからです。
恋愛関係で大好きでたまらなかった相手からひどい振られ方をして傷ついた場合には、「異性に対する不信感」が「人生全般に対する虚無感」を形成してしまうリスクがあります。
結婚生活でも信頼していたパートナーから「不倫・DV・遊びの借金」などをされた場合には、「結婚相手・家庭生活に対する不信感」が「自分・人生・結婚に対するネガティブな価値観」を生みやすくなってしまうのです。
6-3. 物事を悪い方向に解釈するネガティブ思考がある
破滅主義の人の特徴として、「物事の良い部分」をほとんど見ることがなく、「物事の悪い部分」ばかりを見て、自分の人生について常にマイナスに考えているという「ネガティブ思考」があります。
物事や他人の言動を悪い方向にばかり解釈するネガティブ思考があると、人はどうしても「自分の人生・他人の存在・世の中の未来には何の価値もないのだから結果がどうなっても構わない」というニヒリスティック(虚無主義的)な破滅主義に傾きやすくなるのです。
「自分・他人・社会」に対するネガティブ思考が、「自分の存在や行動には価値がない+他人の存在や他人との人間関係には価値がない+社会には意味も価値もない」という破滅主義の基盤を作り上げてしまうのです。
破滅主義によって自分の人生を台無しにしたくないのであれば、ネガティブ思考からポジティブ思考に切り替えることがとても大切になってきます。
6-4. 未来を悪い方向に想像する悲観主義がある
破滅主義の人の傾向として、「自分・仲間の未来+世の中の未来」を悪い方向にばかり想像する「悲観主義」があります。
「未来は現在よりもどんどん悪くなっていくに違いない+真面目に努力して生きていても何も良いことなど起こらない」という根拠のない妄想的な悲観主義によって、自分の人生なんてどうなっても構わないという破滅主義に近づいてしまうのです。
破滅主義の根底には必ずといっていいほどに、自分や世の中の未来をネガティブにイメージする悲観主義があるのですが、「本当にこれからの未来に何も良い出来事がないと断言できるのか?」と言われると、未来を悲観視するだけの十分な材料・根拠などは何もないのです。
未来を勝手に悲観して破滅主義に陥るのではなく、「自分の未来の人生・人間関係をより良いものにしていこうとする前向きな希望と努力」こそが、価値ある人生を作り上げていく上で一番大切なことなのです。
6-5. 100点(完璧)か0点(全然ダメ)かの極端な二分法思考がある
破滅主義の人の特徴として、満点が取れないのであれば80点でも0点でも同じで意味がないというような「極端な二分法思考」があります。
極端な二分法思考は、「100点(完璧)」か「0点(全然ダメ)」かの価値判断しかできない思考であり、98点であっても満足したり楽しんだりできないという意味で、「非現実的な思考+非適応的な生き方」につながるのです。
極端な二分法思考になると、「わずかなミスもない完全な結果(常に満点の結果)」を出し続けない限り、自分の人生に意味・価値があると思うことができなくなり、破滅主義に落ち込みやすくなるのです。
誰よりも優れていなければ生きている意味がないとか、いつでもどこでも幸せでなければこんな社会に意味はないとか言っている人がいたら、大半の人は「現実を受け入れられていない未熟な人・甘えた価値観に過ぎない」と思うでしょう。
極端な二分法思考を捨てて、現実に見合った自分なりの成果を出して受け入れることで、自滅思考を回避した前向きな人生を送ることができるようになるのです。
6-6. 等身大の自分を受け入れられない
破滅主義の人の特徴や傾向として、「等身大の自分を受け入れられない」や「客観的な自分自身のステータスを認めることができない」ということがあります。
破滅主義の人は、自分でわざと学業や仕事、異性関係を台無しにして失敗することで、「自分・他人・世の中に価値などないこと」を一生懸命に証明しようとしますが、それは裏返せば「等身大の自分・現実の人生を受け入れられていない」ということを意味しています。
破滅主義の人は、「自分はわざと破滅しているだけだから+自分は本気を出していないだけだから」という言い訳を準備して破滅することで、頑張ってやっても自分が満足できるだけの凄い結果を得られない「等身大の自分(=現実の自分)」を否定しているのです。
等身大の自分と現実の人生のレベルを否定し続ければ、ほぼ確実に破滅主義に落ちていくことになるでしょう。
まとめ
この記事では、「破滅主義」の意味を説明して、「破滅主義」の類語や反対語、英語を紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
破滅主義の人は「恋愛・仕事・家庭における破滅願望」を抱えていることが多く、破滅主義者の特徴・傾向には、「人生が全般的に上手くいっていない・物事を悪い方向に解釈するネガティブ思考がある・未来を悪い方向に想像する悲観主義がある・他人を信用していない・等身大の自分を受け入れられない」などがあります。
「破滅主義」の意味や類語・反対語・英語、破滅主義者の事例・特徴・傾向について調べたい時には、この記事を参考にしてみて下さい。
「破滅主義」とは「自分の存在・人生に本質的価値などないので決定的に破滅したい(破滅しても構わない)と考えている思想」や「社会・人間には価値などないので破滅しても構わないという願望」を意味していますが、破滅主義者が持つ破滅願望・特徴・傾向にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、破滅主義の「類語(同義語)・反対語(対義語)・英語表現」を紹介して、「破滅主義者の破滅願望の例」「破滅主義の人の特徴や傾向」を分かりやすく説明していきます。
1. 破滅主義とは?
破滅主義とは、「自分の存在・人生に本質的価値などはないので決定的に破滅したいと考えている思想・立場」のことであり、「自分にも世の中・他者にも価値などないので、全体が破滅しても構わないとする虚無的な願望」もそこに含まれています。
破滅主義とは、自分自身や他者、世の中を積極的に破滅させたいと思う願望であり、自分を含むすべての物事には本質的価値は何もないので破滅しても構わないと考える思想的立場なのです。
破滅主義の前提として、「自分・他者・世の中には何の価値もないのだから、意味のある行動というものもなく、何かを成し遂げるために必死に頑張ることもすべて無意味である」とする「虚無主義(ニヒリズム)」があります。
2. 破滅主義の類語や反対語
破滅主義の類語(同義語)や反対語(対義語)は以下のようになります。
2-1. 破滅主義の類語(同義語)・関連語
破滅主義の類語・関連語には、「虚無主義・破壊主義・自己否定・自己嫌悪・自己卑下」などがあります。
「虚無主義(ニヒリズム)」は、自分自身や他人、世の中には何の価値も意味もなく、すべてが破滅したり消滅したりしても構わないとする実存主義的な思想哲学の立場になります。
「破壊主義」は、社会や他者によって価値があるとされているものや既存の秩序を無茶苦茶に破壊したいと思う願望を根底に持つ危険思想のことです。
破滅主義は、自分自身の存在や行動には何の価値もないこと、自分自身が失敗したり破滅したりしても構わないことを前提にしているので、「自己否定・自己嫌悪・自己卑下」なども類似の意味を持つ関連語として扱うことができるでしょう。
2-2. 破滅主義の反対語(対義語)
破滅主義の反対語(対義語)・関連語には、「楽観主義・楽天主義・自己肯定・自尊心」などがあります。
「楽観主義」とは、自分や他者、世の中の今後について今よりも良くなるだろう(今よりも悪くなることはないだろう)というポジティブな予測をする考え方や思想のことです。
「楽天主義」とは、細かいことをくよくよといつまでも考えること(悩むこと)がなく、物事を楽観的・肯定的にとらえようとする考え方や思想のことです。
自分自身を大切にして自分に価値があると思えることが、破滅主義の反対の意味になってきますから、「自己肯定・自尊心」なども破滅主義の反対語(対義語)として扱うことができるでしょう。
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