春の花・ハナズオウ(花蘇芳)は、淡い赤みを帯びた紫の小さな花をたわわに咲かすかわいらしい樹木です。
古くから日本で親しまれてきたハナズオウには、実は意外な花言葉がついていることをご存知ですか?今回は、ハナズオウの花言葉やその由来、育て方までを一挙解説します!
- ハナズオウ(花蘇芳)とはどんな花?
- ハナズオウ(花蘇芳)の原産地や特徴
- ハナズオウ(花蘇芳)の学名・英名、基本データ
- ハナズオウ(花蘇芳)の名前の由来
- ハナズオウ(花蘇芳)の花言葉
- ハナズオウ(花蘇芳)の種類や品種
- ハナズオウ(花蘇芳)の開花時期・栽培カレンダー
- ハナズオウ(花蘇芳)の育て方・栽培方法のポイント
- ハナズオウ(花蘇芳)の植え付けの時期と方法
- ハナズオウ(花蘇芳)の水やり・肥料の与え方
- ハナズオウ(花蘇芳)の剪定時期や方法
- ハナズオウ(花蘇芳)の種まきの時期と方法
- ハナズオウ(花蘇芳)の病気や害虫の防ぎ方・対策方法
- まとめ
1. ハナズオウ(花蘇芳)とはどんな花?
ハナズオウは、マメ科・ハナズオウ属の淡い赤みを帯びた紫色の小さな花です。
春になると、葉が出る前に、明るい茶色の枝から花がたわわに密集して咲きます。
自生地では10m以上の大木ですが、日本では樹高2?3mのため、庭先や玄関などに植えられていることも。
枝はあまり横に広がらず、ほうき状に伸びます。
品種の中には可憐な白い花を咲かせるセイヨウハナズオウもあります。
2. ハナズオウ(花蘇芳)の原産地や特徴
2-1. 原産地は中国、江戸初期に日本へ
ハナズオウの原産地は中国です。
その他に、朝鮮半島や日本など、東アジアに広がって生息しています。
日本には江戸初期に伝わり、春に映える優しい花色と、小ぶりな可愛らしい姿で多くの人に愛されています。
2-2. 花は蝶、葉はハートの形に似ている
ハナズオウの花は蝶の形に似ています。
その花が枯れた後は、幅10cmほどのハートの形をした葉っぱが愛くるしい姿を見せます。
マメ科の植物のため、秋には長さ数センチの豆のサヤがぶら下がり、冬に向けて黒褐色に熟します。
3. ハナズオウ(花蘇芳)の学名・英名、基本データ
- 分類
- マメ科ハナズオウ属※ジャケツイバラ属に分類されることもあります
- 原産地
- 中国
- 学名
- Cercis chinensis(サーシス・チャイネンシス)
- 和名
- 花蘇芳(ハナズオウ)
- 別名
- 蘇芳花(スオウバナ)
- 英名
- Chinese redbud
- 開花時期
- 4〜5月
- 品種
- セイヨウハナズオウ・アメリカハナズオウ
4. ハナズオウ(花蘇芳)の名前の由来
4-1. 染料液の色に似ていたことからついた名
ハナズオウは、漢字で「花蘇芳」と書きます。
この名前の由来は、花の色が「蘇芳」という染料によく使われている植物の染料液に似ていることからつけられました。
蘇芳はハナズオウとは別の花木で、古い時代から染料の原材料として用いられており、実際にはえんじ色に近い赤色をしています。
紫がかったハナズオウの色とは少し異なりますが、昔の人からすると似たような色として捉えられたのでしょう。
5. ハナズオウ(花蘇芳)の花言葉
5-1. 西洋と東洋で異なる花言葉
ハナズオウの原産地は中国ですが、ハナズオウ属の品種には「セイヨウハナズオウ」や「アメリカハナズオウ」など、北半球に広く分布するものもあります。
そのため、西洋と東洋で花言葉が異なります。
西洋は暗いイメージの花言葉ですが、東洋は春の喜びに満ちた花言葉となっており、相反する2つのイメージを抱くことになります。
5-2. 西洋の花言葉では、裏切りを象徴
「疑惑」「裏切り」「反逆」「不信」
セイヨウハナズオウは、聖書によると、イエス・キリストに仕える十二使徒のひとり「ユダ」が、キリストを裏切った後、命を絶った場所に生えていた木だそうです。
そのことから、「疑惑」「裏切り」といった暗いイメージの花言葉がつきました。
5-3. 東洋の花言葉では、春の喜びを象徴
「高貴」「豊かな生涯」「喜び」「目覚め」
西洋の花言葉とは対照的に、東洋の花言葉は明るいイメージに満ちあふれています。
春先の穏やかな日光の中、爽やかで凛とした花を咲かせる姿から、「高貴」「喜び」といった華やかで生命力のある花言葉がつきました。
どちらかというと、ハナズオウは西洋の花言葉のイメージが強いので、花を贈る際には慎重に選びましょう。
6. ハナズオウ(花蘇芳)の種類や品種
西洋の花言葉のもとになっている、ハナズオウ属の他の品種についてご説明します。
6-1. セイヨウハナズオウ
南ヨーロッパから西南アジアにかけて自生しています。
花の色は濃いピンクです。
西洋の花言葉の由来にもなっているユダのエピソードちなみ、「ユダの木」とも呼ばれています。
6-2. アメリカハナズオウ
北アメリカの中部から東部にかけて自生しています。
園芸品種として、シルバークラウド・フォレストパンシー・ハートオブゴールドというものがあります。
6-3. シロバナハナズオウ
中国に自生しているハナズオウの白色品種です。
「高貴」という花言葉がよく似合う白く清楚な佇まいから、庭木としての人気も高いです。
7. ハナズオウ(花蘇芳)の開花時期・栽培カレンダー
植え付け・植え替え 3月 開花期 4〜5月 剪定 5月、12〜3月 肥料 1〜3月 種まき 3月・10月
8. ハナズオウ(花蘇芳)の育て方・栽培方法のポイント
ハナズオウは、園芸初心者でも育てやすい植物です。
これから育てようと考えている方に向け、育て方のポイントを紹介します。
8-1. 日当りのよいところで育てる
ハナズオウは日のあたるところで育てましょう。
日陰で育てると、枝が間延び気味になってしまい、花つきもよくなりません。
寒さには強いため、特に防寒を行う必要はありません。
また、斑入りの葉の品種は、日が直接あたりすぎると葉焼けするおそれがあるので、直射日光があたらない場所を選びましょう。
8-2. 水はけのよい土質を選ぶ
水はけがよければ土質は特に問わず、市販の培養土でOKです。
粘土質の場所はあまり適しませんが、どうしてもその場所に植える場合は、砂や堆肥を十分に混ぜ、水はけをよくしてから植えましょう。
8-3. 肥料はあまり与えすぎない
マメ科の植物は自分で肥料を合成できるため、肥料をあげすぎると花つきが悪くなってしまうことも。
心配で肥料を与えたくなるかもしれませんが、量は控えめにしておきましょう。
9. ハナズオウ(花蘇芳)の植え付けの時期と方法
9-1. 時期は、3月か11?12月
ハナズオウの植え付けは、葉が出ている時期にすると枯れてしまいますので避けましょう。
最適な時期は3月、もしくは11?12月です。
日当りのよい場所、水はけのよい土質の環境を整えて、苗を植えます。
9-2. 植え付け直後は水をたっぷりと
苗を選ぶ時は、太くて丈夫そうな幹が数本伸びているものを選びましょう。
苗が入るくらいの穴を掘ったら、庭土に腐葉土や完熟堆肥を混ぜておきます。
苗を穴の中心に入れたら、土を埋め戻しましょう。
植え付け後はたっぷり水を与えます。
9-3. 鉢植えも楽しめます
木が幼いうちは、鉢植えも楽しめます。
苗よりもひとまわりほど大きな鉢を用意し、庭植えと同じような土と手順で植え付けます。
鉢植えで育てる場合は、鉢に土を入れる前に鉢底石を敷き、水はけをよくしておきましょう。
10. ハナズオウ(花蘇芳)の水やり・肥料の与え方
10-1. 水やりは土が乾いてから
ハナズオウは、植え付け直後にたっぷり水を与えれば、その後は頻繁に水を与える必要はありません。
土の表面がひどく乾いたら、水を与えるくらいで大丈夫です。
庭植えの場合は、日照りなどがなければ、雨のみで十分です。
10-2. 肥料は元気がない時に
ハナズオウは、基本的には肥料がなくても育ちます。
ただ、元気がない時には肥料を与えましょう。
庭植えの場合は、1月頃に寒肥として、油かすと骨粉を1ずつ混ぜた有機質肥料を株元の周辺に与えます。
鉢植えの場合は、3月に化成肥料を株元に与えましょう。
11. ハナズオウ(花蘇芳)の剪定時期や方法
11-1. 剪定は落葉期か開花後に
ハナズオウの剪定は、落葉期である12?3月か、開花後の5月に行います。
自然に近い形の樹木が見栄えよく、あまり剪定する必要はありませんが、好みの樹形にしたいのであれば、できるだけ若いうちに剪定を行いましょう。
剪定時に花芽を切り落としてしまわないように、夏~秋は枝先を整える程度にとどめておき、枝をばっさりと切り落とす場合は、花芽が目で確認しやすい落葉期に行うとよいでしょう。
11-2. 混み合った部分や長い枝を整える
ハナズオウの幹は、丈夫なもの2?3本くらい残しておき、他は根元から間引いておきましょう。
樹齢が若いうちは枝も伸びやすく、枝が混み合うと管理がしにくくなってしまいます。
見た目にもよくありませんので、枝や伸びすぎた枝、内向きの枝は剪定します。
適度に空間をつくってあげることで、管理がしやすくなるだけではなく、風通しがよくなり、健やかな生育を促します。
12. ハナズオウ(花蘇芳)の種まきの時期と方法
ハナズオウは、種まきで殖すことができます。
秋の終わり頃に種を収穫し、その直後か3月頃に種まきを行います。
その手順は、
(1)秋に熟したサヤを収穫する
(2)3日間ほどサヤを陰干しした後、種を採取する(その時に蒔いてもOKです)
(3)春に蒔く場合は、取り出した種を空気の通りやすい茶封筒に入れ、冷暗所に保管する
(4)翌年の3月頃に種を蒔く
種を蒔く前には、下処理をしておくとより発芽しやすくなります。
下処理の方法は、種を包む固い皮をヤスリやナイフで傷を付けた後、80°前後の湯に浸しておきます。
そうすると、種が水分を吸って発芽率が高まります。
育苗ポットに種まきする方法もありますが、庭に直接まいても育ちます。
13. ハナズオウ(花蘇芳)の病気や害虫の防ぎ方・対策方法
13-1. アメリカシロヒトリ・イラガ類に注意
病気はほとんどありませんが、害虫はアメリカシロヒトリやイラガ類に注意しましょう。
アメリカシロヒトリの幼虫は、6月・8月・9月と年に2?3回発生します。
葉を食べてしまうため、見つけたら枝ごと切って退治しましょう。
イラガ類は、種類により年に1?2回発生し、葉を食べてしまいます。
成長すると分散してしまうため、発生初期の集団でいるうちに葉ごと切り取って退治します。
幼虫の体の毛に触れると、痛みを感じ、刺された部分が腫れるので注意しましょう。
まとめ
ハナズオウは、寒さや厚さに強く、病気の心配も少ないことから、園芸初心者にもおすすめです。
水やりや肥料もほどほどでよく、時に剪定を行う程度と育てる手間もそこまでかかりません。
樹木も2?3m程度なので、庭木にもぴったりですね。
春の訪れを爽やかな色合いで教えてくれるハナズオウ、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
春の花・ハナズオウ(花蘇芳)は、淡い赤みを帯びた紫の小さな花をたわわに咲かすかわいらしい樹木です。
古くから日本で親しまれてきたハナズオウには、実は意外な花言葉がついていることをご存知ですか?今回は、ハナズオウの花言葉やその由来、育て方までを一挙解説します!
1. ハナズオウ(花蘇芳)とはどんな花?
ハナズオウは、マメ科・ハナズオウ属の淡い赤みを帯びた紫色の小さな花です。
春になると、葉が出る前に、明るい茶色の枝から花がたわわに密集して咲きます。
自生地では10m以上の大木ですが、日本では樹高2?3mのため、庭先や玄関などに植えられていることも。
枝はあまり横に広がらず、ほうき状に伸びます。
品種の中には可憐な白い花を咲かせるセイヨウハナズオウもあります。
2. ハナズオウ(花蘇芳)の原産地や特徴
2-1. 原産地は中国、江戸初期に日本へ
ハナズオウの原産地は中国です。
その他に、朝鮮半島や日本など、東アジアに広がって生息しています。
日本には江戸初期に伝わり、春に映える優しい花色と、小ぶりな可愛らしい姿で多くの人に愛されています。
2-2. 花は蝶、葉はハートの形に似ている
ハナズオウの花は蝶の形に似ています。
その花が枯れた後は、幅10cmほどのハートの形をした葉っぱが愛くるしい姿を見せます。
マメ科の植物のため、秋には長さ数センチの豆のサヤがぶら下がり、冬に向けて黒褐色に熟します。
スポンサーリンク